GM |
では君たちはフルスピードで装置の場所に戻っていった。通路に特に変化はなく、起動スイッチであったらしい白く輝く石が壁から引き出されていて、その上に新たな立体映像がぴかぴかしている以外は最初にここに入ったときと変わりはない。目まぐるしく変わる映像は、相変わらず奇妙なコーラスのような声を伴っているよ。 |
プレアデス |
フーバー、滅多にないあんたの活躍の場所だよ。 |
フーバー |
では、僭越ながら……あ〜あ〜ああ〜(発声練習らしい)。 |
ホクト |
ルシーネは映像のパネルにいつでも触れる場所にいておけよ。 |
ルシーネ |
うん、ジョーに乗って画面の下に待機してる。 |
GM |
ではフーバー、《歌唱》の判定を3回行ってくれたまえ。 |
フーバー |
る〜(ころころ)成功……るる〜(ころころ)成功。 |
ルシーネ |
あと一回……。 |
フーバー |
るるる〜(ころころ)……ふう、あぶないところでしたが、成功ですな。 |
ルシーネ |
この島の画面は出てきた? |
GM |
ピュイン、と何かのスイッチが切り変わるような音がして、見覚えのある島の映像が画面一杯に映し出される。よく見ると、島を目指しているらしき船影がぽつぽつと見えるね、大きいのが一つ。ちっちゃいのが3つ。 |
ルシーネ |
うん、まだリターナーの船はたどり着いてないみたいだね、よかった! じゃあ、下向きの矢印に触ってみる。これが一番沈ませるっぽい。 |
GM |
ゴゴっと音がして、島がわずかに震えた気がする。 |
一同 |
反応アリ! |
ホクト |
ルシーネ、もっと触れ! |
ルシーネ |
うん!(画面をぺたぺた触るしぐさ) |
GM |
ゴゴ、ゴゴッ、ゴゴッとルシーネが下をさす矢印の画面に触れるたびに島が震えてる。そして、画面の中の島が、幾分海に沈んでいるように見えはじめたよ。 |
プレアデス |
よかった、逆に上がってたらどうしようかとは思ってたんだわ(笑)。 |
ルシーネ |
ぺたぺたぺたぺた。 |
GM |
ゴゴッ、ゴゴッ、ゴゴッ。ある程度それを繰り返していると、上のほうから「もう十分」という意味のこもったおばあさんの声が聞こえてきたよ。 |
ルシーネ |
やった! |
ホクト |
でも、島は完全に沈めておかないとまずいぞ、すぐそこまで人間の船がきてるんだからな。 |
ルシーネ |
うん! |
GM |
突然おばあさんの鳴き声に、切羽詰まったような警戒音が混じりこんだ。それとともに、パンパンという何かが弾けるような乾いた音も海上から聞こえてくるね。 |
ホクト |
やばい! |
GM |
画面の中の船たちは、沈みつつある島に肉薄しているぞ。 |
ルシーネ |
島を沈めるだけなら、あとはあたしだけでもできそうだし、みんなはおばあちゃんとクリスを助けてあげて! ジョーもいるからここは大丈夫! |
プレアデス |
まかしておおき! |
ホクト |
よし、迎撃しにいくぞ! |
GM |
海から顔を出すと、おばあちゃんに向かって銃を撃っている人間たちの姿がよく見えるよ。おばあちゃんはクリスをかばって身動きがとれないようだ。 |
マリン |
ひどいことをしてますねえ。 |
フーバー |
ニョモニョモの次くらいには許せませんな。 |
ホクト |
小さな船は体当たりでひっくりかえしてやる。 |
GM |
一番大きなクルーザーのへさきに立っている妙な親父はがはははと大笑いしながらどっぱんどっぱんと銃をぶっぱなしているよ。 |
ホクト |
へさきに立ってる? ……丁度いい、叩き落としてやる。 |
プレアデス |
落ちたやつはあたしが始末してやるわ。ぐふふふふ。 |
GM |
……ビッグ・ママ、なんだか恐いんですけど。 |
ホクト |
受けろ、海の怒り! 《跳躍》(ころころ)……成功! そのまましっぽチョップ! |
GM |
(ころころ)……「うわああ!」海に落ちこそはしなかったけど、男は尻もちをついて銃を手離してしまった。 |
マリン |
じゃあ、その間にこっちは小型ボートに体当たりをしてます。えいえい!(ころころ) |
フーバー |
我々はママと違って小柄ですからな、2匹で一隻です。(ころころ) |
GM |
はいはい、力をあわせるわけね。どっちも成功? ならボートは不安定になって、ひっくり返った。乗っていた男たちが海に投げ出されるよ。 |
フーバー |
あと2隻ですな。 |
プレアデス |
クルーザーをどうにかしたいねえ。大きい昆布かわかめをクルーザーのスクリューに巻きつけてやりたいところだけれど、そんな物がある様子もなし…… |
その頃のルシーネ |
ぺたぺたぺたぺた。(パネルに触りまくり)もっと触ってもいいのかなあ……ちょっと様子を見に海面に上がってみよう。 |
ホクト |
今度銃を構えてきたら、また《跳躍》アーンド《尻尾チョップ》で海の中にご招待パート2だ。 |
マリン |
その前に、手から落とした銃は僕が隙を見てとり上げましょう。念動力が使えますから。そして、そのまま海に捨てます。 |
プレアデス |
それはありがたいわさ。じゃあ、わたしがボートをひっくり返す手伝いをしようかねえ。こぼれた人間は《音波ビーム》で気絶させるわさ。 |
GM |
ううーん、完全にイルカ優位だなあ。そうなると丸腰になってしまったクルーザーの男は、慌てて戻った船内から小型ミサイルをとり出してくるけど……。 |
ホクト |
げ、あんなもので狙われたらさすがにバラバラになるぞ! |
ルシーネ |
(やっと海面に出てきた)あああ! みんな危ないよ! 逃げてー! |
ホクト |
みんな海に潜れ! |
GM |
え? みんな潜った? じゃあ、しょうがないからクリスをかばったままのおばあちゃんに照準を合わせるけど……。 |
プレアデス |
げ、ミサイル相手じゃ、いくらおばあちゃんでも無傷じゃすまないわさ! |
ルシーネ |
えええ? だめだめ! やめてー! |
GM |
と、ルシーネが悲痛に叫んだ瞬間、その祈りが届いたかのように、太陽の光を遮って影が落ちる。いつのまにかヘリが近づいてきていたようだ。そのスピーカーから声が流れてきた。「バロン・リゾート社長、トール・バロン! お前の悪事はすべて暴かれたぞ、アーコロジーからの逮捕状も出ている!」 |
ルシーネ |
この声は……。 |
GM |
うん、聞き覚えのある声だねえ。 |
ルシーネ |
お父さんだ! お父さんだ! お父さんだ! |
GM |
そのとおり。「おとなしくお縄に……って、ルシーネ! 何でお前がここにいるんだ!?」途中から声が裏返ったぞ(笑)。 |
フーバー |
おいしい登場ですなあ。 |
ルシーネ |
あの男の人、悪い人だったんだね。 |
プレアデス |
ルシーネ、手を振ってる場合じゃないよ。 |
ホクト |
どうやらクリスの親父さんを操ってた地上げの元締めっぽいなあ。 |
GM |
そう、前回の地上げ屋事件の裏にいた会社社長だ。「ルシーネ! いいか、そこを動くんじゃないぞ!」といいながら、お父さんはひらりとヘリから飛びだし、クルーザーの上に舞い降りた。そして鮮やかな手並みで、乗っていた男たちを捕縛していく。 |
ルシーネ |
うわー、お父さんかっこいー。 |
イルカ一同 |
おおーさすが元トリトン(ヒレで水面を叩くイルカ拍手)。 |
GM |
「ルシーネ! いいか、あとできっちりと説明をしてもらうからな! ……っと、うわあああ!」お父さん、いきなり目の前にぬっと出てきたおばあさん恐竜に目が点だ。その頭にはずっとかばわれていたクリスくんがちょこんと乗っていて、やさしくクルーザーの上におろされる。 |
ルシーネ |
えへへ。お父さん、その恐竜さん悪い人じゃないよ。困ってたところを助けてあげただけなの。 |
GM |
お父さんはじろりとルシーネをにらみつけるぞ。「……また危ないことをしようとしていたんだな、ルシーネ」 |
ルシーネ |
……う、違うとは言わないけど。 |
GM |
同じようにクルーザーに飛び降りてきたクリスくんの親父さん、ジャックさんが、息子を抱き締めてからお父さんの肩をぽんぽんと叩いてなだめてくれる。「まあまあ、大事にはならなかったんだ、いいじゃあないか」 |
ルシーネ |
あのね、お父さん。危ないことしたのは謝ります。ごめんなさい。でも、この恐竜のおばあさんだけど、追いかけまわさないで静かに暮らさせてあげて欲しいの。 |
GM |
お父さんはむっつりと黙りこんでしまっている。 |
ルシーネ |
お父さ〜ん(泣)。 |
GM |
ジャックさんがにやっと笑って片目をつぶってみせるよ。「大丈夫、お嬢ちゃん。この人だってよくわかってるさ、ちょいとお説教を我慢した後、『お父さん大好き』ってキスの一つでもくれてやればデレデレになって、どんなわがままだって叶えてくれるのが親父ってもんさ」 |
ルシーネ |
……ジャックさんっていい人だ。 |
GM |
島はまだ完全に沈んでなくて、浅瀬みたいになってるだけだけど、どうする? |
ルシーネ |
……お父さんに事情を説明してから完全に沈めたほうがよさそうだなあ……そのほうが怒られる量が少なくてすみそう……。 |
マリン |
いろいろと調査もできるでしょうしね。 |
GM |
後で詳しい顛末を残らず話すんだぞ、とお父さんはルシーネに念を入れて、クルーザーの男たちを連行していく。残ったのは、君たちとおばあさん恐竜だけだ。 |
ホクト |
おばあさん、おばあさん。無事か? 撃たれてないか? |
プレアデス |
もし傷があったら治してあげるだわさ。ルシーネの婿どのを守ってくれて本当にありがとう。 |
フーバー |
……すでにビッグ・ママの中ではクリスくんの将来は確定されているようですな。 |
GM |
おばあさんはやさしい目で君たち一匹一匹に頬ずりしてくれる。「お礼を言うのはこちらのほうですよ。本当にありがとう、あなたたちのおかげで助かりました」 |
ホクト |
いやいや。 |
GM |
「……それにしても、あの島は一体なんだったんでしょうねえ」 |
マリン |
うーん、いろいろと想像は出来るんですが……。 |
GM |
「まあ、わたしたちは昔からここら辺に住んでいましたから、わたしたちのご先祖に関するものだろうとは思うんですけどねえ」 |
ホクト |
しかし、なんでいきなり浮上してきたんだろうな、あの遺跡。 |
ルシーネ |
でも、おばあさんはこれからどうするの? |
GM |
「どうもしませんよ、わたしたちはこれからものんびりとこの海の底で暮らすだけです」 |
ルシーネ |
また、遊びにきてもいい? そしたら会ってくれる? |
GM |
「歓迎しますよ、小さな恩人さんたち」 |
フーバー |
また歌を教えていただけるとありがたいですな。 |
ルシーネ |
その時はあたしが伴奏にウクレレ弾いてあげる、得意なんだよ |
ホクト |
またな、おばあさん。 |
一同 |
さよーならー。 |
悠然と海の底に帰っていく、巨大な友人の後ろ姿をながめながら
なんだかちょっぴり世界の神秘を知ってしまったような気がするルシーネ、アンド、イルカたち!
海の底に眠る不思議な超古代文明。
その正体が明かされるのかどうか、次回はついにラストエピソード!
青い海の平和を守るため
戦え僕らのイルカ戦隊ドルフィンジャー!
|
ホクト |
最後の一節は違う! |