0.戦士、集結
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パンフレットによると開場時刻は 9:30 。
大淀コミュニティセンターには、9時すぎの時点 で既に 10人以上 のお客さんがやってきています。
特に遠方から来られた方などは、ホテルに泊まっていただいていたようで。さぞお疲れでしょうに、こんな朝早くからホントすみません。
当日は予想外のトラブルで開場が少し遅れてしまったものの(その節はご心配をおかけしました)、大勢の方にお越しいただいて、開会式前から会場は熱気に溢れております。
う〜んオラ、ワクドキしてきたぜ!
みなさん、ようこそSNEコンへ!! 今日はめいいっぱい楽しみましょう!
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1.見上げた、天井 ― 開会宣言 ―
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さて、私が設営と緊張で冷や汗・脂汗を背中に滴らせていると、ステージ上にマイクが用意されます。
壇上に現れるは、北沢慶 。
さすがは、マイクを握らせたら彼の右に出る者はいない、SNEきってのコンベンション奉行です。雄弁なる黄金の舌が大回転地獄車。
10年以上SNEを支えてきた話術は今も健在、期待と興奮でチャンプルーされた会場を、見事ひとつに纏め上げます。
これで土台は完成です。となれば、残る火蓋を切って落とすのは、もちろんこの人。
我らが大総統閣下、 安田均 。
安田は言います。
「皆さん、天井を見てください」
「?」
ざわ、ざわざわ……
なんだなんだ?
「私はこの会場に来たとき、驚きました。 ライトが六角形 なんです」
「これは 『カタンの開拓者たち(Die Siedler von Catan)』 等ボードゲームに代表される、ヘクス ではないですか!」
「 !! 」
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……私は再認識しました。 この方は
本物 であると。
そして、安田おなじみのこの一言で、会場のボルテージはMAXを超えます。
「 それでは皆さん、レッツプレイ! 」
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2.決戦、21のパーティ 19の召喚士 ― TRPGセッション/モンコレ大会 ―
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今回のSNEコンは、2部構成 になります。
TRPGセッション と モンコレのランブルファイト形式大会 をメインとした 第1部(10:25〜14:50) と、
ボードゲーム大会 をメインとした 第2部(15:20〜18:30) です。
それでは、第1部 の各卓の様子をチェックしていきましょう。
◆ ソード・ワールド2.0
となれば、まず注目しなければいけないのは、長年会社を支えているSNEの顔役TRPG、
『 ソード・ワールド2.0(SW2.0) 』 。
GMを務めたのは、
“ 短期連載の高レベルリプレイ 「滅びのサーペント」 が記憶に新しい ” 清松みゆき 、
“ リプレイ 「マージナル・ライダー」 は紙媒体とwebとの二重連載 ” 田中公侍 、
“ リプレイ 「新米女神の勇者たち」 新刊は5月発売 ” 秋田みやび 、
そして 秋口ぎぐる 、 森本有美 、 ベーテ・有里・黒崎 、 ボランティアスタッフ の 田川氏 、 池上氏 。
うむうむ、さすがはファーストの頃から息の長いSW2.0。プレイヤーさんもGMも、皆さん慣れた方が多くて、安心できるプレイ風景ですね。
と徘徊していると、私の視界端に否応なしに映る黒くて大きな影。
「うわあ!」
……
あ、なんだセッション中のベーテさんか。てっきり育ちすぎたドワーフ……ゲフンゲフン!
コスプレまでして意気込み十分。
もちろん、ソウルウェポン持参です。
SW2.0には、彼のようにハイファンタジーを忠実に体現してしまうほど行き過ぎてしまったプレイヤーさんもいれば、一方、田中さんがGMをした卓には、ロリ女子ドワーフを演じる小学6年生のプレイヤーさんという萌え萌えズッキュン?な方もいまして。
緻密かつ重厚な世界設定を持っているからこそ、お子様〜玄人まで、多彩なプレイを許容する。
この間口の広さこそ、 「ソード・ワールド」
シリーズ が、絶えず第一線でTRPG業界を牽引し続けられるひとつの理由なのでしょう。
これからも私たちを大いなる冒険へと導いてくれ、SW2.0!
ちなみに、田中さんがコンベンションのシナリオで使用したマップは、後に出版される 「マージナル・ライダー」4巻 でも使われていますので、詳細を知りたい方は発売をご期待くださいね!
◆ パラサイトブラッド
皆さんは 『デモンパラサイト』 というゲームをご存知でしょうか。
1000円という驚くべき低価格、初心者を想定した手軽かつ盛り上がる判定システム、食事で回復&電柱や車を投げ飛ばして攻撃、という派手でキャッチーな世界観が特徴のTRPGです。
2006年の発売以来愛され続ける、そんな
“デモンパ” が、なんと今回のSNEコンで新しくなって再登場!
プレイヤーは、遊びやすいゲームシステムの特徴はそのままに、悪魔事件対策専門組織
「DUST」 のメンバーとなって、様々な事件に挑むこととなります。新たに加わった
「ブラッドリンク」システム と
「ヒーロースタンス」
は必見。 GMには 北沢慶 、 川人忠明 、 龍口明眞 が控えます。
そのうち、今回は北沢さんの卓を覗いてきました。
プレイヤーは皆さんデモンパラサイトをご存知で、5人中4人がプレイ経験者。男女比は男性3:女性2。
キャラクター作成時には新悪魔寄生体2体を含めてセッションしたものの、その2種を担当したプレイヤーさんのコンビネーションがバツグンで、ラスボスのクリティカル攻撃(!!)
を特殊能力を絡めたクリティカル回避でかわす(!!?)
など、初めてとは思えないプレイも飛び出しました。
最後は、ラスボスにとどめの一撃を与えたところで、SNE新人の葛まきの終了アナウンスが流れるという、計ったように劇的な終幕を見せます。
さすがはコンベンション奉行北沢さん、プレイヤーさんには気持ちよく勝っていただいて、とても良いセッションになったようです!
◆ エンドブレイカー!
君たちは “終焉を終焉させる者” 、エンドブレイカーだ!
後記するシルバーレインに続き、この度、トミー・ウォーカー様との協力でPBW(プレイ・バイ・ウェブ)とTRPGの両方からアプローチをかける今作!
PBW(プレイ・バイ・ウェブ)版では人気絶頂の
「エンドブレイカー!」 ですが、こうしてお客様の前にお披露目するのは当日が初めて。
「ちゃんと楽しんでいただけるだろうか……」
GMの 江川晃 、 安道やすみち 、 清水一樹 も緊張した面持ちで卓につきます。
しかし、そんな不安もいざセッションが始まるとどこ吹く風。どちらの卓でも、プレイヤーさんはほとんどの方がPBWを経験済みで、世界観などの説明はほぼ省いてスタートできたようです。
ただ、それぞれの卓で多少のアクシデントはあったよう。
例えばGM清水さんの卓では、プレイヤーさんがTRPGに慣れ過ぎていて、情報の裏打ちをまめになさったおかげで、危険なできごと(主に戦闘)を避けられまくったそうです。
あまりに的確に危険を察知されたのでチュートリアル戦闘まで飛ばされて、最初の戦闘が起こったのがスタートからなんと2時間30分後! しかしこれはこれで、プレイヤー様には
「推理探偵もの」 としてのプレイングを楽しんでいただけたとか。
そして嬉しいアクシデントがもう1つ。
それは、質問攻め です。今回の 「エンドブレイカー!」 には、多くの方が敏感にアンテナを張ってくださっているようです。
気になる今後の予定について江川さんに伺ったところ、今後は、JGC(ジャパン・ゲーム・コンベンション) に合わせた時期にルールブック、リプレイを発売予定。次いで小説の発売も予定されているそうです!
……まだまだ公に答えられないこともございますが、皆さまのアツい期待の後押しでもって、
「エンドブレイカー!」 班も発売へ向けてますます鼓舞されておりましたよ!
◆ 六門世界RPGセカンドエディション
世界は 「六門」 から 「六芒」 へ。
「スペル枠」 「隊列」 「同時攻撃」
など、モンコレTCGと世界観や大まかなルールを共有した、“六門セカンド” 。
GMは 篠谷志乃 、“烙印ゼミナール” の 大井雄紀 、両名です。
ゲームとしては文句なく面白い六門セカンドです。それは疑いようもありません。しかし、私はこの日のシナリオにただひとつ、どうしても心配な要素があったのです――。
「大井さん、お疲れ様です」
「あ、河端君。お疲れ〜」
「……無事ですか?」
「ん? 俺は平気だよ。プレイヤーさんもノリのいい方ばかりだし、これくらいで疲れたりはしないさ」
「いや、そうでなくて」
「! (察した顔をして) ははっ、安心してくれ。まだ大丈夫さ。死人は出ていないよ」
そう、今回のシナリオは、 “DMO(Death Master Ooi)” の異名をとるSNEの死神、大井雄紀作。平和なセッションになっているはずがありません。
だってほら――
ひ、ひえぇ〜!! 皆さん、ご覧ください! 大井さんの溢れんばかりのこの笑顔!
やってますよ! 間違いなく1人や2人、殺ってる顔ですよ!
“死神”、“PC処刑人”、“リアル髑髏の騎士”、“微笑みの爆弾”、そして“DMO”……GMとしての彼の異名を挙げればきりがありません。
この日も例に違わず、初期作成のPCに対して9レベルのラスボスを出し、全体攻撃で40ダメージをぶちかます
→ 2人を気絶状態に追い込むという残虐非道のドSプレイ。
さらに篠谷さんの卓ではイベント内でラスボスと戦うことになり、行為修正−1を背負った状態にまでなったそうです。
しかし、さすがは百戦錬磨のプレイヤーさん方。このような血の気も引くセッション後にも、
「やっぱこれくらいじゃないとね」 と軽く言い放たれたそうな……。
あなおそろしや、六芒世界!
◆ シルバーレインRPG
サプリメント第4弾、「幽世奇談(かくりよきだん)」 も発売される 『シルバーレインRPG』 。
「ロールカード」 を使った斬新な判定や、嬉し恥ずかし
「アクトワード」 は実にスタイリッシュで、若者向けTRPGにおけるひとつの指針を示したと言えます。
というわけでGMは、若手女性メンバー代表・田辺あひる が務めました。
田辺さんは真面目な方です。シルバーレインを知っているプレイヤーさんがいないという事態も想定して、大盤の192ページもあるルールブック6冊をわざわざ持参されたらしいです。なんて健気!
まあ、皆さんの予想通り、プレイヤー様は全員ルルブを持ってらっしゃったわけですがね。ハハハ……。
プレイヤーさん方は、セッションにつきましてもよく考え行動してくださったようで、GMの予想をいい意味で裏切ってくださいました。 そんな手があったか! というような方法もとられたのですが、せっかく盛り上がっているのだから、無理に戻さずこのまま進めちゃえ、と……途中から予想外の方向にシナリオが流れていました。
新NPCを数名、急遽用意したり、
あの人とあの人がこうだから、こうすればここと繋がるよね! いける
!! と、運びがほぼアドリブだったり。
大筋を外れて内心冷や汗だらだらで進めてたと伺いましたが、なんとか収拾はつけられたみたいで、良かったです!
◆ ゲヘナ 〜アナスタシス〜
イラストレーターセッションリプレイ 「常夏の島に刃が踊る」 が5月に発売されます、 『ゲヘナ〜アナスタシス〜』 。
GMは高笑いでおなじみ、“600万部の男” 友野詳 。
近いうちにまた同じシナリオでGMをする可能性もあることから、シナリオについての詳細は伏せさせていただきますが、ゲヘナらしい設定とギミックを組み込んだ素晴らしいものになっています。実は私も先日テストプレイに参加させていただき、とても楽しく遊んだばかりです!
そんなゲヘナ卓、当日のプレイヤーさんは男女比=男性3:女性2と、やはり女性率が高め。ちなみに前述の卓でも同じような状況でして、とても素晴らしい状況ですな! むふー!
気になるパーティ構成は男PC4人、女PC1人。
なんと、唯一の女の子キャラは9歳のロリータだったとか! これは萌える!! けれど現実のプレイヤー様は男性! もはや犯罪!!
まあ冗談はさておき、他の男子PCも全て未成年キャラでして、なんにせよ若々しいのはいいことですなと、微笑ましくセッションを眺めていたら、そんな彼らが事件に巻き込まれるのは
「近在でも最も大きな娼館のある街」 。
……
だめぇええ! 逃げてぇええええっ !! (ガクガクブルブル)
となるとやはり、シナリオの詳細については自主規制せざるを得ないということで(笑)。
セッション自体は和やかに進んでおりましたよ〜!
◆ ダークブレイズ
リプレイ 「狭間を駆けるヴァンガード」 が発売されたばかりのタンクライフRPG、
『ダークブレイズ』 。
GMを務めるのは、社内の若手では群を抜いた雑学の引き出しを持つ、片山泰宏 。
今回のシナリオは、“あるもの” を集めることを命じられる、狩猟もの。
PCたちはダークブレイズではおなじみ、「キバヤマネコ」
の群れに悲鳴を上げました (「キバヤマネコ」は1レベルビーストのくせに、一撃で初期作成PCのHPを4/5削ります)。
しかも、シナリオ上 「逃げる」
を選択できない敵です
(「キバヤマネコ」は1レベルビーストのくせに、PCの命中3成功までを回避します)。
「おいおいおいおいっ!」
しかし、そこはクレバーなプレイヤーさん方、
「逃げ切れば勝ち」 としていた格上のラスボスはめった打ちで撃破しちゃったそうで。さすが皆さん、勝負どころではお強い!
詳しくは後に発売のR&Rに記載されますので、発売をお楽しみに!
また、デジタルに処理をする部分の多いダークブレイズは、オンラインセッションに向いているとのお話もありました。皆さまもぜひ、お試しください!
◆ セイクリッド・ドラグーン
GMは、4月にリプレイ 「虹に輝く未来をめざして」 も発売された、 力造 が行います。
今回はオーソドックスな 「魔境」
探索シナリオで、永久凍土と化した
「魔境」 の解放を目的に動きました。最終的にプレイヤーさんたちは、セイクリ独自の
「竜脈」(ダイスをプールし、後から使用できるシステム)
を使いこなし、「魔境」 の支配者であるアイスドラゴンと戦いました。出目のいいプレイヤーさんたちは、淀みなく技を繰り出し、戦場を華麗に舞い踊ったそうです
(アイスドラゴンは華麗に舞い散ったそうです)!
今回はさらに、「魔境」自動作成ルール、なるものを用い、トランプによるランダムダンジョン作成を実行。
これが予想以上に良い効果を発揮し、時間内に余裕を持ってセッションを終了させることにも成功しました! さすが、力造さんです!
◆ エムブリオマシンRPG
SNEが魅せるウォー・シミュレーションの新解釈。「プロッティング」
による読み合いの妙がコアなゲーマーも唸らせる、本格ロボットバトルRPG
『エムブリオマシンRPG』 。GMは 河野裕 が担当しました。
当日は、「チェーンマイン」
というとても使いづらい武装(某国民的アニメで青い機体が使用する武器としても有名な、爆弾を連結させた武器。敵の装甲に絡みつき、破壊する)での攻撃を命中させられたり、二連続で
「突撃」 を命中させられたりと、悔しい思いもしましたが、終始笑いの絶えないセッションでした。
当の本人・河野さんは 「ぜひまた次の機会があればリベンジしたい」 とのこと!
総じて、今回のTRPGには女性・子ども率が多かったです! うん!
これはSNEコンの特徴でもあるかもしれません。
性別・世代・国籍をも超えて、これからも新たな冒険を求め続けてゆきましょう!
◆ モンスター・コレクション TCG ランブルファイト&初心者講習
会場の半分をTRPGが占めるなら、もう半分は何なのか。
それはもちろん、モンコレ でしょう!
モンコレ卓は、(秋口ぎぐるいわく) “会場の半分を支配する男” 加藤ヒロノリ と、“歩くルールのインデックス” ディベロッパーの 杉浦武夫 、ボランティアスタッフの 岩田氏 、 河端潤一 が担当となりました。
ランブルファイトには19名の参加者さんに集まっていただきましたが、うち数名は全国トップクラスの実力者。大会でも決勝などでなければなかなかお目にかかれない高レベルの白熱した戦いが繰り広げられました。
さらには、初心者講習に元・モンコレ全国ランカーの 藤澤さなえ 、富士見書房の 稲垣様 を配し、新規ユーザーの方にも楽しんでいただけました。
特に驚いたのは、若干10歳ほどの小学生プレイヤーさんが、初心者講習を受けてくださったこと。お父様がファーストの頃のプレイヤーだったそうで。
稲垣様や加藤ヒロノリをボッコボッコとなぎ倒すその背中には、幼いながらも次代を担うゲーマーの風格を感じました。うむ、日本の未来は明るいでごわす!
◆ フリープレイ卓
おっと、注目するべきはメインイベントだけではありませんぞ。
会場の後ろの方に目をやれば、ひとつの卓に行列をなす十名ほどのお客様。
彼らの目的は、社長・安田が直に手ほどきする次世代のカードゲーム、人呼んで
「セレクトカードゲーム」 です。
具体的にはドイツ年間ゲーム大賞を受賞した 「ドミニオン」 と、そのイメージを冒険ファンタジーという形で踏襲した
「サンダーストーン」 。
私も社内で数回プレイしましたが、ゲーム中に自分のデッキができあがっていくあの快感は、他のゲームではなかなか味わえないものです!
皆さん、なかなか思うように回らないデッキに一喜一憂しつつも、笑顔を絶やすことなくプレイしてくださいました。ルールも簡単で覚えやすく、社長が卓を離れた後も、お客様同士で講習をしあう様子が見られました。み、皆さまのルール吸収力には脱帽です!
他にも、秋口ぎぐるが自主制作したことで話題のパーティゲーム、「キャット&チョコレート」(通称・猫チョコ) も物販にて販売。
早速お買い上げいただき、遊んでいただけました!
フリープレイ卓の設置は、SNEコンとしては初の試みでしたが、参加者様同士が積極的に声を掛け合ってくださったおかげで、なんとか無事成功を収められたようです。当日フリー卓担当だった柘植めぐみは、TRPGだけでなくボードゲームも4〜5種プレイでき、ひとまず卓が回ってよかったと言っておりました。ほっと胸をなでおろしております。
これもひとえに、会場に来られた皆さまのご協力あったからこそです。本当にありがとうございました!
しかし、楽しければ楽しいほど、改善点も見えてくるもの。次回のSNEコンでは、さらにご満足いただけるものを目指して頑張ります!
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