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ども、友野です。
先日、宿泊型TRPGコンベンション『TRPG文華祭』に行ってきました。
今回で、第六回になるこの文華祭、アマチュア主催のイベントにもかかわらずゲスト比率が高くて、参加者との距離が近いのが、特徴です。ここでしか会うチャンスのない業界のお友達もけっこういたりするので、なにげに皆勤だったりします。
初日は東大赤門近くの日本旅館を借り切って、昼間はセッション、夜はトークショーとワークショップが行われました。遊びたい人は夜を徹してフリー卓を建て続けることも可能ですし、おしゃべりで夜を明かすこともできます。飲食の持ち込みも自由なので、全国あちこちのおみやげも楽しめたりなんかして。
二日目は、イエローサブマリン秋葉原店さんとロール&ロールステーションさんに分かれてのセッション三昧です。
これまでもシルバーレインの試作品をプロと遊んだり、また私も他のプロのみなさんのテストプレイに参加したりしていましたが、今回も、夏の終わりごろ発売予定のタイルゲーム『ゴーストハンター13』の試作バージョンをずっと遊んでいました。
そのようすについては、また後ほど、まとめて語ることとして……。
昼間はセッション、そして夜はトークショー。第二回だったかはうちのボスが「絶対に外で言ってはいけない思い出話」をしたり、昨年はJコミの赤松健先生による電子出版や著作権についてのディスカッションなどが行われたり、このイベントのトークショーは、年によって大きく色が異なります。
今年は、朱鷺田佑介さんや藤浪智之さん、最近ホライゾンブレイクでプロデビューされた八熊一也さんら、参加ゲストによる、最近のお仕事などの告知や文華祭の思い出話などが中心のトークでした。他にもたくさんゲストがいらしたのですが、全員のお名前が出せないので、去年から今年にかけて商業ベースで新作TRPGを出された著者さんということで、この三人の方に代表していただきます。あ、水野良さんの新企画『グランクレスト』にかかわってらっしゃる内山靖二郎さんや志端祐さんもおいでになって告知されてた、というのも書いておかんと、水野さんに申し訳ない(笑)。
進行から「後が詰まっておりますので手早く」と言われ「だそうですよ、みなさん!」と言っておきながら、ふりかえると友野のトーク時間、かなり長かったです。ホンマすんません。でも、けっこうええ話もしたと思うので、許してください。
トークショーの後は、ワークショップです。昨年は「アナログゲームを三時間で作る」というものでした。おもちゃメーカーのデザイナーさんが、デジタルのゲームメーカーの若い方と行っておられるセミナー的なものをそのままの形で進行してくださり、希望者がチームに分かれて、デザイン作業を体験してゆく、というもの。2チームで競ったのですが、プロや同人ゲーム作成経験者が多かったので、どちらもそれなりに遊べるものを作っていました。
今年は、TRPGに役立ちそう、というか共通点があるもの、ということで「即興演劇」「インプロビゼーション」のワークショップです。
即興演劇の公演を行ってらっしゃるインプロ部Platformのみなさん、インプロバイザー(即興役者)として一人芝居なども行っておられる「のんべ(蔵重智)」さんらによって、さまざまなインプロの実演、即興演劇についての講演を拝見しました。
たとえば。
観客からアンケートで『セリフ』を多数、書いておいてもらい、それをランダムにひいては、与えられた設定の中でやりとりを続けてゆく、ですとか。
あるシチュエーションでの演技中、横から突然脈絡なく「激怒して」「あきれて」など、感情を指示されて、そのまま芝居を続けてゆく、ですとか。
演技型ボードゲーム(『フリーズ!』)や、感情ルールのあるTRPGなどに、よく似ています。なにより、友野にとっては『シルバーレインRPG』のアクトワードシステムそのものです。
実演の後「外から与えられたセリフとお話の設定を、どのようにまとめあげてゆくのか」「物語全体を見て、どうやって面白くして、流動し変化するストーリーを、鑑賞後、ひとつの完成したものを見た気持ちになってもらうにはどうするか」が語られました。
最後には、インプロ部Platformが公演された『愛とか恋とか』を、本来二時間のところ、45分の特別バージョンで演じていただきました。
先に観客(我々ですね)が書いたランダムな単語やセリフを引いて、それを用いて、登場人物の設定が固まってゆき(ライフパスそのもの)、さらにキャラが紹介されるオープニングの後、観客投票で主役を決める、など、ストーリー型TRPGによく似た感触でした。
で、じつはその……「友野さん、途中で『結婚式の神父役』で登場してください」と言われておりまして。
ええ、主人公の結婚式がクライマックスで。で、話の流れでイタリアがさんざん出てきたいたので「ほな、イタリアから来ました神父です」くらいで、ウケをとろうと思っていたらですね、登場前に「わざわざイタリアからローマ法王が」と無茶ブリをされてしまいまして。
「あ、そうなの。やっていいのね。いいってことね?」
培ったGM技能を駆使して、すいません、私が話をまとめてしまいました(爆)。
しかし楽しかった。実に楽しかった。今回は体験版でしたが、本格的なワークショップも定期的に行っておられるそうですので、みなさんも飛び込んでみられるといいんじゃないでしょうか。
ワークショップ終了後、そのまま、大広間でボードゲーム。いろいろ遊ばれていました。ゲストとして参加されているのは、ゲームデザイナーのほかにもアナログゲームの好きな作家さん、経験してみたい作家さんや絵描きさん、そのほかいろんなジャンルの方がいらっしゃるので、異業種交流もできました。若手の作家さんに、終了後の懇親会で飲んで説教モードに入ったのは、ホンマすまんかったです。
さて、そろそろ『ゴーストハンター13』のお話をいたしましょう。
タイルゲーム、という用語は、みなさん聞きなれないかと思いますが、一枚のボードだけを使うのではなく、数十枚のタイルをつなげてゲームが進んでゆくのでこう呼んでいます。
ボードに描かれているのは、幽霊屋敷のさまざまな部屋。プレイヤーは、ゴーストハンターキャラクターを操り、屋敷から脱出するために、さまざまな謎を解き明かします。
時にはモンスターが現れますが、戦うよりも逃げたほうが生き延びやすいかも? でも、時には戦わないと解決できないこともあり……。
そして、ただ屋敷をさまよっているだけで、プレイヤーの手元には狂気カードが溜まってゆき、破滅の足音が近づいてきます。
そう! なんたってゴーストハンターですから、トランプを引いて、こっそり精神のダメージが蓄積してゆく、あのシステムは健在なんですね。もちろん、絵札による回復もあります。自分がどの程度危ない状態になっているかは、ロールプレイで伝えるしかありません。これがまた楽しいんですよねー。
という、テーブルトークRPG風味のゲームです。
幽霊屋敷で起こる事件は、イベントカードで用意されたもののほか、ストーリーが「シナリオ」として用意されています。交互にシナリオを読むことでGMなしでも遊べますが、やはり今回、友野がつとめたようにマスター役プレイヤーがいると、いちばん楽です。マスターも、基本的には、特定のタイルやモンスターが登場したら、シナリオイベントを読み上げるだけなので楽なものです。
なので、これからテーブルトークRPGをはじめようとしているみなさんにも、入門用としてオススメできると思っています。イベント内容や語りをアレンジしたり、ちょっとしたルールを自分で工夫しているうちに、TRPGのコツもつかめてくると思いますよ。
……思えば、25年前にGMをはじめたときも、ランダムダンジョンのボードゲームのモンスターやトラップ処理役でなれていったっけなあ。
バランスは、それなりに厳しく、二度ばかり敗北エンドも迎えましたが(セッション時間が短めの初日は2シナリオ、二日目は4シナリオ)、プレイヤーさんたちは『それもまた面白い!』『いまのシナリオ、リベンジしましょう! キャラ変えていいですか!』と、和気藹々、タイルをめくるたびに悲鳴をあげたり歓声をあげたりと、たっぷり楽しんでいただきました。
多くの方は、もとのゴーストハンターをご存知なかったのですが、まったく問題なく遊んでいただきました。ご存知の方は、弘司先生書下ろしのキャラクターボードのイラストに『ケン! ケンをやる〜』と喜んでいただきましたしね。
ある程度は、戦術も考えないといけませんが、多少のリスクは覚悟の上で挑むのが、やっぱり面白いですね、とも言っていただきました。
繰り返しになりますが、夏の終わりに発売予定で、現在、がんばっていただいています。
ちなみに、泊まった旅館が、ほどよく古めかしいいい雰囲気で、ちょっとダンジョンめいた構造だったので「次は、和風の屋敷を探検するサプリとかどうですか」と提案をいただきました。
もちろん、みなさんのご支持があれば、いろんな追加セットも可能です。よろしくお願いします!
ほかにも『トラベラー』や『ファーローズトゥロード』といった懐かしいタイトル。流行の『クトゥルフ神話RPG』や最近作の『エリュシオン』、未訳の『ペンドラゴン』や『エクリプスフェイズ』(こっちは翻訳進行中とうかがっていますが)などなど、新旧さまざまなシステムがプレイされていました。同人システムの『怪人学園』はプレイヤーでまざりたかったなあ(笑)。
このTRPG文華祭は、来年も開催されるそうですので、また完成版の『ゴーストハンター13』や、来年にもきっと創っているであろう新作で参加したり、ずっと本棚で寝ているバカバカRPGを夜中に酔っ払って遊んだりしたりと思います。
みなさんともご一緒できたら嬉しいですね。
ではでは、イベントレポートでした。長らくのおつきあい、ありがとうございました。 |
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