○開会式前 |
チェックインしたあと、開会式までしばらく時間があるので会場の物販スペースなどを覗いてみました。
広い部屋に、多くの出展者さんが軒を連ねておられます。話題の新作から、過去の名作珍作まで目白押し。欲しいものができたら素早く買わないとすぐに売り切れてしまうので注意しましょう。
ええ、僕は思い切り買い損ねました……
この物販スペースの片すみに、グループSNEの笠井道子がお店を開いていました。おお、これが噂に聞く笠井商店ですね。
いろいろと凝ったアクセサリーやかわいいぬいぐるみが売られています。その中に1、2……5桁……の品物があったのは気のせいでしょうか……
今年は開会式に先立って物販スペースが開場されたこともあり、いずれのブースにも、貯めこんだお小遣いを握りしめたお客さんが大勢、押しかけておられました。
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○開会式: |
午後5時になると、いよいよ開会式が始まります。
普段は披露宴などに使われるであろう広い会場に入ると、すでに多くの参加者が開会式を待っていました。
アークライトの宮野洋美さんと井上鮭さんの司会で開会式が始まります。
まずはGPAを代表して、エンターブレイン常務取締役の青柳昌行氏。
「流れ流れてこの地にたどり着き……ここが我々の楽園となると嬉しいですね」
と、前回までの苦労がしのばれるお話からはじまります。
次に我らがボス安田社長の登場。この日、ボスは「マンチキン」Tシャツの上に「スーーパーマンチキン」Tシャツを着込んでおくという凝りよう(『マンチキン』とはルールの穴をつく濃いRPGゲーマーを皮肉ったエスプリあふれるカードゲーム。8月に翻訳・発売されたばかりです)。
ボスがおもむろにスーパーマンチキンTシャツをめくりあげて、マンチキンTシャツをあらわにし、
「これを着ている人だけは手札を毎回、2枚プラスして引ける!」
と発言すると、参加者からどっと笑いが起こります。
SNEの社友でもある作家、山本弘さんもボスに続けとばかり、自著『サーラの冒険6』や『アイの物語』の紹介をされました。久しぶりにゲームマスターをされるとのことで、わくわくしておられる様子。
そして最後に業界の重鎮、鈴木銀一郎さんが締めてくださいます。
「ゲームするぞー!」
「おー!」
というわけで2006年JGCは幕を開けたのでした。
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○TRPGセッション |
JGCといえばTRPG! 開会式の開かれた広い会場「若菜」では3日間とも、富士見書房、ゲーム・フィールド、JIVE、新紀元社、ホビージャパン、メディアワークスなど各社主催のTRPG卓が所せましと並べられておりました。パーティションはあるものの、卓数が多いのでどうしても声を張り上げることになり、開始から20分たった頃には早くも喉が痛くなりました(苦笑)。
SNE関連では「ソード・ワールド」「ガープス・ユエル」「ガープス・リボーンリバース」「六門世界RPG」「デモンパラサイト」「トンネルズ&トロールズ(T&T)」第7版、「ストームブリンガー」「ゲヘナ〜アナスタシス〜」の卓が並びました。その中のいくつかをご紹介します。
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●ソードワールド卓 |
参加者のほとんどが「一度はやったことがある」というソード・ワールド、さすがです。けれど、今回は誰もが「やったことない」と口をそろえるシステムをご用意しました!
それは発売されたばかりの『ソードワールドRPGツアー4 パダ/堕ちた都市』に掲載されている「VE(ヴィジュアル&イージー)コンバット)」です。
簡単に説明しますと、スクウェア・マスとコマを使う、いわゆるタクティクス形式です。これで初心者にもキャラクターの位置がはっきりとし、呪文の距離も一目で分かります。もちろん、思考型のプレイヤーとっても判断材料が明確になるので歓迎すべきシステムでしょう。
実際、戦闘になると「こっちに行ったほうが有利じゃない?」「いや、この後のことを考えて……」「うーん、そこ行かれると射線がー」などなど意見が飛び交いました。それでもプレイヤー間でケンカが起こるようなことはなく、逆に見事な立ち振舞いで敵を撃破していきます。
GMとしては、プレイヤーを殺すのもどうかと思いますけど、簡単にやられるのも悔しいですよね(苦笑)。なので、僕は余った時間でもう一戦やってみたのですが、やっぱりコテンパンにされました!
おとなしくしていればよかった……
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●ガープス・ユエル卓 |
新人である僕は、ガープス・ユエルのGMも担当しました。シナリオは友野詳が執筆(『ROLE&ROLL』Vol.26に掲載されます)。プレイヤーにはプレ・ロールドキャラクターを使って頂きました。
そのキャラクターには11月発売予定のサプリ『かくて世界は広がった』で登場の異種族も含まれていたわけですが……これがまた強い強い。戦闘に入るとGMたちの目にはほんのり涙があふれておりました。
僕自身は公の場でGMするは初めてでして、正直、ものすごく緊張しておりました。ですが、ここまできたら楽しまなければ! と腹をくくります。
新人GMとしての冒険の始まりです。
「よろしくお願いします!」
挨拶から入り、軽くガープス、そしてユエルの説明をはじめます。それで時間は充分足りると踏んでいたのに、そこは新人、考えが甘かったです。結局、セッションが終了したのは制限時間ぎりぎり。タイムキーパーさんが締め切りを迫る編集さんに見えて怖かったです(泣)。
そして解散間際。
「サイン頂けませんか?」
と、プレイヤーの一人がおっしゃいました。
ええ、こんないつ消えるかわからないド新人のサインを!?
「エッセイを読んで、お名前は知ってました。これからも頑張ってください」
な、なるほど……いつ消えるかわからない新人だからこそ応援する、と……
ええ、がんばりますとも! 応援してくださる方がいらっしゃるとわかれば勇気百倍です。
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●ゲヘナ〜アナスタシス〜卓 |
こちらは友野詳、秋口ぎぐる、田中公侍がGMを担当しました。
プレイヤーのほとんどがリプレイを読んでくださっていたので、改めて世界観を説明する必要がなく、時間のほぼすべてを冒険に費やすことができたそうです。
さて、今回のセッションには新種族のアーキタイプが用意されていました。この秋刊行予定の新サプリメントの目玉を一足先に楽しんでいただいたというわけです。
シナリオは新人の僕が担当したのですが、自分で作ったシナリオを自分でマスターしないと言うのは心臓に悪いですね……破綻しなかっただろうか、盛り上がっただろうか、と不安でいっぱいでした。社内テストだけじゃ不安なんですよ。
そんなとき、ある術技が「強力すぎる」と参加者の1人がぼやいているのを小耳にはさみました。なんでも、その方の卓に完全堕落者が出てしまったとか。「やば、敵強すぎたか?」とあせりました……
すこし詳しく説明すると、ゲヘナでは「堕落する(サイコロの目を変更する)」ことで、危機を回避できるのですが、その代わり「堕落」ポイントというのがたまっていきます。これが5点たまると「完全堕落」し、以後そのキャラクターはNPC扱いになります。見た目には「ハァハァ、オデ、モウナンデモイイヤ」と呟きながら、好き勝手するヤバイ人になるわけです。けれど、「堕落」ポイントは成長すると回復させることができるので、完全堕落することは滅多にないはずなんです……
よくよく話を聞いてみると、どうやらGMの出目が振るいまくって、プレイヤー側は「堕落」して対抗するしかなかったらしいんですね。つまり「術技」が強いのではなく、GMの出目が強すぎたってことですか(苦笑)。
けれど、そうしたアクシデントも含めて、大いにゲヘナ・ワールドを楽しんでもらえたようで、ほっとしました。
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●デモンパラサイト卓 |
7月に発売された『デモンパラサイト』の卓では、ゲームデザインをした北沢慶と、ルールブック、リプレイの執筆をした力造がGMを担当しました。急遽、卓数を増やしての開催でしたが、それでも抽選券がすぐになくなるほどの人気でした。
参加された方の8割がルールブックを所持しており、なんとリプレイにいたってはほぼ全員が読んでくださっていたそうです! そんな中
「今回のセッションが面白かったらルールブックを買う!」
と豪語される方もいらっしゃって、実際、終了後すぐに買いにいってくださったそうです。
力造曰く
「脅して買わせたんじゃじゃないっすよ! ちゃんと面白かったって言ってくださったんですからね!」
とのこと。
セッションそのものは世界観の説明に1時間ほどかかったものの、参加者の皆さんのノリがよかったおかげで、しっかり時間内に収まったようです。
GMは「全てプレイヤーさんのおかげ」と感謝していました。
そのGMの一人、力造が渾身の力を込めて書き起こしたリプレイ2巻も10月末発売予定!
北沢慶の待望のデモンパラサイト小説はもちろん、新サプリメントも着々と進行中です!
『デモンパラサイト』の今後の展開にご期待ください!
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●注目作2作!(T&T、ストームブリンガー) |
1987年、社会思想社から刊行され、大人気を博した『トンネルズ&トロールズ』(T&T)の第7版が翻訳進行中です。
12月の発売に先駆けて、今回のJGCではお試しセッションが行なわれました。GMを努めたのは柘植めぐみです! 『T&T』といえば、何十個と振り足せる豪快な「ダイス振り」を思い浮かべる人は多いでしょう。第7版ではダイス数は減りましたが、『T&T』らしいハック&スラッシュは健在。セッションでは死者こそ出なかったものの、かなりデッドリーなダンジョン探索を楽しんでいただけたとのことです。
『T&T』はJGCの目玉イベント「ライブRPG」のタイトルにも選ばれて、秋〜冬にかけていちばんの注目作です。
また、マイケル・ムアコックの代表的なシリーズ『エルリック・サーガ』を舞台にしたTPRG『ストームブリンガー』が7月に刊行され(ホビージャパンから刊行された『ストームブリンガー』、改名して『エルリック!』のさらに新バージョン)、こちらも体験卓が立ちました。
GMを努めたのは翻訳を担当した江川晃。初めての方にも遊んでもらえるよう準備万端整えていた模様ですが、幕を開けてみるとほとんどが『エルリック!』大好きな方々ばかりだったそうです。
それでも、通称「ストブリ」の最大の売り、予測不能でダイナミックな戦闘システムをおおいに楽しんでもらえたようです。『ROLE&ROLL』誌にサポート記事が掲載されますので、こちらもよろしくお願いします。
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○マンチキン体験会 |
ボス安田均が開会式でも話題にした『マンチキン日本語版』。8月に発売されたこのカードゲームをみんなで体験しようというイベントです。レクチャーには翻訳者の安田均社長、柘植めぐみをはじめ、江川晃などが応援に駆けつけました。
で、「マンチキン」とは何か? 一言で言うと「RPGを遊ぶ時、ルールの穴をついて最強キャラを演じるプレイヤー」のことを指すのだそうです。
これをカードゲームにしたのは『ガープス』で有名なスティーブ・ジャクソン氏。安田社長の戦友でもあります。
簡単にゲームの説明をしますと、プレイヤーは全員、一冒険者となり、盗賊や戦士、魔術師とさまざまに転職しながら経験を積んで、先に10レベルに達すれば勝ちです。レベルは敵(モンスター)を倒したり、お宝を売ったり、GMにゴマをすったり(!)すると上がりますが、戦闘に負けると下がっちゃうことがあります。強力な敵が出てきたら、他プレイヤーに応援を頼むこともできるんですが、逆にモンスター側に味方するプレイヤーが出てきたりして、一瞬も油断できません。
8月に発売された『ROLE&ROLL』Vol.24にリプレイが掲載されていますので、ぜひ読んでくださいね。
ところで、イベントの参加者はほとんど「マンチキンってなに?」と言う方ばっかりだったそうですが、「でも、やっていることはみんなマンチキンだった」とは柘植さん談(笑)。インストラクターが足りなくなるほど好評で、途中、イラストレーターの緑一色さんや、すでにルールを知っている方が手伝ってくださったとか。物販ブースでは100箱を売り上げるほどの人気でした。
やっぱりみんなマンチキンが大好きなんですね(笑)。
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○深夜のJGC |
初日(8/18)はセッションが24:00に終わったので、初めてのJGCをちょっと探索してみることにしました。この時間はイベントが一区切りする時間らしく、思い思いの服装でくつろいでいらっしゃる方をたくさんお見かけました。
フリースペースを覗いてみると「デモンパラサイト」「ソードワールド」「ゲヘナ」「ガープス」に「バトルテック」「カオスフレア」「アリアンロッド」など、ありとあらゆるTRPGセッションが行われておりました。それだけでなく「カタン」や「マンチキン」など物販で買ったばかりのゲームが遊ばれていたり、一人でゲームを研究していらっしゃったり……さすが、ゲーム好きのお祭り。余念がありません。
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