○トークショーいろいろ |
JGCならではのトークショーもたくさん開催されていました。SNE関連のイベントを簡単にご紹介しましょう。
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●安田均トークショウ |
じつはボス安田均はJGCのはじまる前々日にアメリカから帰国したばかり! しかも、アメリカ出発の前日(8/11)にテロ未遂事件があったせいで、どこの空港も厳戒態勢。
しかし、そんな苦境もなんのその、ほかほかの新作を前に、まずはアメリカのアナログゲームの祭典GENCONを熱く語ります。
もともとはRPG色の強かったGENCONですが、近頃はドイツやアメリカの新作ボードゲームが続々と並んでいたり、古きよきRPGが復刻されていたのが目を引いたようです。
『ルーンクエスト』『クラシック・バトルテック』など、かつて翻訳されて人気のあった作品なので、昔遊んだ人はまた遊んでほしいとはボスの弁。
こうしたRPGに関しては『ROLE&ROLL』Vol.25(9月中旬発売)、GENCONについては同vol.26(10月中旬発売)に詳しく紹介されるので、ご期待ください。
続いては4月に発売された『ゲームを斬る!』について。これは本の内容と言うよりもなぜボスが『ゲームを斬る!』を書くにいたったかについてのトークになりました。ゲームといかに出会い、SNEを立ち上げ、ソード・ワールドが生まれ、六門世界が生まれたかなどなど……なんと、お話の冒頭部分、まだ僕は生まれていません(生きる昭和史のようだ)! そんなボスが自伝を出版したら、ゲーム好きにはたまらない一冊になりそうですね。
最後にボスは「みんな熱心に聞いてくれてありがとう!」と、聞きに来てくれたお客さんに感謝していました。
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●ソードワールドトークショー |
水野良さん、山本弘さんも参加された豪華絢爛、、満員御礼のイベントです!
グループSNEからは清松みゆき、秋田みやび、川人忠明、篠谷志乃、藤澤さなえが招かれました。はてさて、そこで一体どんなトークが行われたのか……?
まずは、これからの関連書籍の刊行スケジュールが発表されました。篠谷志乃が描く新ソード・ワールドソードワールドRPGリプレイ集の第3シリーズ『ワルツ』の発売予定や、川人忠明の著作『ダークエルフシリーズ』二巻目の予定などなど。
ワルツの方は
「六門世界リプレイも『W』だったし、また『W』か。志乃ちゃんお笑い好きだねぇ」
と社内では評判の一冊。内容もしっかり笑えるのでご期待ください!
そして、すでに発売されている『ソード・ワールドツアー4 パダ/堕ちた都市』から「VEコンバット」の紹介がされました(詳しくはTRPGセッションのレポートを参照してくださいね)。
やがてトークが一段落すると話は脱線。『チベットRPG』の話題、お子さんの自慢話から悩みまでノンジャンルなお話が飛び出してずいぶん盛り上がった模様です(『チベットRPG』については後述の「バカバカRPG」をご覧ください)。
こういう場でしか聞けない貴重なトークが繰りひろげられたのでした。
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●新作発表会 |
SNEからは安田社長、柘植めぐみ、北沢慶、田中公侍、力造が出席しました。
まずは30周年を迎え、記念版が12月に発売される『T&T』から。
安田社長と柘植さんが「昔、よく遊んだねー」と懐かしそうに紹介をはじめます。それによると、ルールブックの発売に先行して、ソロシナリオとリプレイが1冊にまとまって刊行されるそうです。
ソロシナリオは、かつて社会思想社から出ていた『傭兵剣士』。そして、リプレイはグループSNEのホームページに掲載され、好評を博した北沢慶の『傭兵剣士』リプレイ。両方とも第7版のルールに沿って修正して、新たにお目見えします。
ゲームブックとリプレイが1冊で楽しめる――一粒で二度美味しいとはこのことですね!
古くて新しい『T&T』にご期待ください。
次は7月に発売され、「焼肉」「脱衣」「寄生虫」「基本ルールブック1000円ポッキリ」で話題の『デモンパラサイト』!
新サプリメントに掲載される「LV10までの共生生物」や「共生武装」「デュアルパラサイトシステム」「追加共生生物」、そして「リプレイ二巻の発売」が発表されました。
共生武装は共生生物が使用する凶悪な武器です。デュアル・パラサイトシステムとは、体内に別種の共生生物を二匹宿せるシステムなのです! また、追加共生生物の例を上げると「アルバレスト」「バルディッシュ」――どんな共生生物かは、サプリを手にとって確かめてみてください!
ちなみに「デュアル・パラサイト」は9月発売の『ROLE&ROLL』誌にて先行で紹介されます!
これによってコンボや戦術の幅が無限に広がり、『デモンパラサイト』がより面白く! より強く! よりかっこよく! より焼肉が食べたく!? そしてよりセクシーに!??
続いては『ゲヘナ〜アナスタシス〜』です。
こちらも追加種族、追加術技を掲載した新サプリメントの情報、そしてリプレイ2巻の発売予定が発表されました。
新種族! それは3つ! 獣人にして空を飛ぶことのできる「有翼の獣人」! 砂地にもぐったり、形状を変化させたりするサソリ人間「パ・ピル・サグ」! 最後はもっとも邪霊に近しい存在。非実体になれども、親のように空は飛べない「半妖霊」!
と、これで種族が全10種になりました。それに対応して新たに「種族闘技」なるものも加わります。詳しくはお伝えできませんが、新サプリで遊んだ人はこう叫ばずにいられないはずです。
「GM! もっと俺にランクを!!」
リプレイは著者、田中公侍さん曰く「寒くなる前には!」とのことです。そういえば、9月に入ってずいぶん寒くなってきました(笑)。ということは――読者のためにも、期待いっぱいで朗報を待つことにします。
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●バカバカRPGをかたる |
友野さんが「おバカなRPG」を語るこのイベントはJGCの恒例イベントだそうですが、『ROLE&ROLL』誌で連載がはじまり、さらには単行本化も予定されています。その人気のほどがわかろうというものです。詳しくはこちらをご覧ください。
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●100ゴースト夜行R(SNEホラートークショー) |
深夜1:00。しわがれた声で不気味にSNEホラートークショーが始まりました……
このイベントは、参加者に紙を配って怪談話の題名を書いてもらい、そのなかから語り手を選んで怪談話をしてもらうというものです。
出席したのは友野詳、清松みゆき、川人忠明、柘植めぐみ、諸星崇の5人。妖魔夜行、百鬼夜翔、ゴーストハンター、そしてルールブック刊行が決定した「リボーンリバース」と言った、霊関係作品の作者が一堂に会したわけですね。
参加者に題名を書いてもらっているあいだ、清松みゆきが見えない人にお辞儀したり、川人忠明がボーイズラブを熱く語ったりして時間が過ぎて行きます。
やがて、提出された中から面白そうなお題が選ばれ、怪談話が始まりました。詳しくはこちらをご覧ください。
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○控え室の様子 |
控え室の様子もお伝えしましょう。控え室、というと関係者が休んでいたり、次のイベントの準備をしたり、反省会をしたり、ご飯を食べたりしています。大概、イベントの控え室というとそんな感じですよね。
ですが、JGCはこれだけではありません。いつ部屋に入っても必ず誰かがゲームをしています。ええ、必ずです。ここでゲームが行なわれなかったのは、明け方の数時間だけではないでしょうか……
僕も深夜、イベントが終わった後に『リーパーバーン』や『ペンギン』を遊んじゃいました。
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○サイン会 |
まずは『ゲヘナサイン会』。友野詳、秋口ぎぐる、田中公侍、篠谷志乃が出席しました。僕も『瓦礫の空に煌く炎』の一編を書かせてもらい、晴れてデビューとなった身なので、末席に参加させて頂きました。
正直、デビューしていきなりサイン会とは思ってもみませんでした。ええ、サインも考えてませんでしたし。ドキドキしながら開始を待ちます。
友野さんと、秋口さんが多少遅れるというハプニングがありながらも、サイン会は無事に始まり、和気藹々と進んでいきました。買ってくださった本にサインするというのは想像以上のプレッシャーがありました。セッションでGMするよりも緊張しましたよ。でも、本を買ってくださった皆さんと顔を合わせたり、会話したりするのはとても楽しかったですね!
次があれば、もっとかっこいいサインを書けるようになっていよう……と心に誓うのでした。
そして、物販スペースでは、秋口ぎぐるの長編小説『ひと夏の経験値』とJGCで先行発売された『六門世界RPGサモナーズ・ガイド モンスター・コレクション』(加藤ヒロノリ、杉浦武夫)の合同サイン会が行なわれていました……なんとも不思議な組み合わせと思うのは僕だけでしょうか? スペースが限られていて、杉浦さんがテーブルの隅に追いやられていたように思ったのも(笑)?
しかし、こちらも盛況だったらしく、物販スペースの入り口には長い列ができておりました。
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○ライブRPG『トンネルズ&トロールズ』「ドラゴンを倒せ!&ドラゴンで倒せ!」 |
JGCと言えば? ライブRPG!!
と、言うほど恒例になっているライブRPG。今回はこの冬発売予定の『トンネルズ&トロールズ(T&T)第7版』を基本にして行われました。何気にサブタイトル(Dragonを倒せ&Dragonで倒せ!)の頭文字をとると、別ゲームのようですね(笑)。
今回、参加者には4人パーティーを組んでもらいました。さらに人間軍とドラゴン軍に分かれ、各ブースでさまざまなミッションをこなしてもらいます。そこでアイテムをもらったり、冒険点をかせいでLVを上げたりするわけですね。そして最後は両者でガチバトル! だから人間軍側からすれば「ドラゴンを倒せ!」で、ドラゴン軍側からみれば「ドラゴンで倒せ!」なのです。
しかし、このT&T。ころころとキャラクターが死にます。なので「10回まで死んでもOKよ」キャラシートが用意されていました。GM側も殺す気まんまんでゲームに臨みました。
8/18に行なわれた第1回ではボス安田均、翌日の第2回では清松みゆきが「ドラゴン軍」の大将として参加(「人間側」の大将はレロトラー森本有美が両日とも勤めました)。そして総指揮は北沢慶。これで盛り上がらないわけがありません!
しかも、第2回では人数の足りないパーティーが出たために、ボーナスが与えられました。それが家宝『トモノショウ』(笑)。ええ、本物の友野詳がティム帽子をかぶって参上し、メンバーに加わったのです。家宝だからメチャメチャ強力だろうと思いきや、長いこと倉に入りっぱなしだったためか、じつに貧弱だったようです。なのに、友野さんのキャラシートには一つも死亡マークがない! パーティーの作戦が「家宝を大事に」だったらしく、ダメージをすべて肩代わりしてくれたそうです。おかげでほかのメンバーはボロボロだったとか。ヒドイ……。
そしてライブRPGの結末はと言うと……両日ともに人間軍の圧勝でした。
人間軍が慎重だったのに対し、ドラゴン軍は「やっぱりモンスターは突っ込まなきゃナ」という価値基準で、常にバーサーク状態で戦ったようです。その結果、人間軍が一人死ぬ間に、ドラゴン軍は3人死んでいました(苦笑)。
大差はついたものの、ノリのいい参加者に恵まれ、さらにJGCスタッフの大きな協力を得て、割れるような歓声と拍手と笑い声の絶えないイベントになりました。
終了後、北沢慶は「客室から文句がこないだろうかとドキドキした」と真顔で語っておりました。
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○ウニ頭にもできるもん! |
物販スペースの奥で「ウニ頭にもできるもん!」が行なわれました。これは『ROLE&ROLL』誌に連載中の同名コラムで紹介されたお手軽ボードゲームを遊ぼうというイベントです。
セッションの合い間を縫って清松みゆきや友野詳、諸星崇らがレクチャーを担当しました。僕も微力ながらお手伝いしました――というと、お前は一緒に遊んでただけじゃないかとお叱りを受けそうですけれど。
まず『テイク・イット・イージー』。これはビンゴに似たゲームで子供でもできる簡単ルールです。が、勝つのはまた難しく……。最高で300点(だったはず)のゲームで、高得点は大体200点超、普通でも3桁は行くんです。それなのに僕だけ2桁の得点。諸星崇に100点の差をつけられ惨敗。……アレ?
続いて『Cash&Guns』。日本語にして「ゲンナマとハジキ」。その名のとおり、クッション材で作った銃で他プレイヤーを狙い、生きのこったものだけが大金を手に入れるという、死ぬか生きるかの駆け引きゲーム――なんだか悲惨なゲームに聞こえますが、いやいや、見ているだけでも大爆笑です。
「お前にはさっき撃たれたからなー」
「そんなこと言うなよ、おれたち友だちじゃないかー」
「それにしても、おまえ、金握りすぎ」
「ということは……」(と、みんなで同じ人を狙う)
などなど、人間関係の縮図のようなものが見えました。
さらに『ダイアモンド』『トランス・ヨーロッパ』『ウボンゴ』『バンボレオ』を遊び、あっという間に時間が過ぎて行きます。
清松みゆきや友野詳はレクチャーに重きを置いていたようですが、僕と諸星崇は気づけば勝ちに行っていました。
その結果は……きっとゲームは負けた数だけ強くなるんですよ! 今はまだ負け数が足りないんです! きっとそうに違いない!(泣)
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○閉会式17:00 |
48時間ずっと続いたJGC2006もいよいよ幕を閉じようとしています。
JGC中、僕は終始、参加者やゲストの皆さんの熱意、情熱に圧倒されておりました。今でも最終日に見たフリープレイルームの予約状況が忘れられません。全日程、ほぼ隙間なく埋まっていたのですから。
開会式同様、閉会式でも前のひな壇にゲストが列席しています。お客さんの中にはもう体力が尽きたとばかりへたり込んでいる方もいらっしゃいます。48時間ぶっとおしで遊びつづけたのでしょうか。
まず、富士見書房の小川洋代表取締役社長が「お疲れ様でした」と切り出されました。
つづいて司会の宮野さんから
「この人の面白い話を聞かないと終わった気がしません」
と、友野さんが紹介されます。
閉会式には友野詳の面白い挨拶が恒例になっているそうです。友野詳は友野詳で「閉会式の挨拶を30分で考えるのが恒例」になっているのだとか(笑)。
この日のお題は「RPGと絵画の歴史」というものでした。
「アルタミラの壁画はキャラシートの似顔絵の残り」
「『最後の晩餐』はイエスキリストのRPG」
「ロダンの『考える人』はもちろん長考にはいったゲーマー」
「『モナリザ』がなぜ微笑んでいるか? それはクリティカルを振ったからに決まっているでしょう?」
「ムンクの『叫び』はファンブル振っちゃったんですよ」
一つ一つネタを言うたびに笑いと拍手が起こっていました。とても30分で考えた話とは思えませんでしたよ……ほんと……
ひとしきり笑ったところで続いてボス安田均のあいさつ。
「SNEで新人募集しまして……どうしても履歴書がキャラシートに見える」
という笑い話から入り
「みなさんは人生で自分というキャラシートを書いてきた。もちろん破りたくなる時もあるでしょう。でも破らないでこれからも書き込み続けてください。このJGCのこともぜひ書き込んでください。これが本当の『ひと夏の経験値』!」
と、心にしみこませながらも宣伝ばっちしのトーク! さすがです……
そして最後は業界の重鎮、鈴木銀一郎さんがしめてくれます。
「また会おうぜー!」
「おー!」
「2007で会おうぜー!!」
「おー!!」
「必ず会おうぜー!!!」
「おー!!!」
会場は熱い気持ちで満たされました。三日間の疲れなど微塵も感じさせないほどに。
しぼんで行くのではなく、最後の最後まで力強い熱意と情熱にあふれたイベント。
それがJGC。
僕はこの光景を見てそう思いました。
このレポートで全てのイベントをお伝えしたわけではありません。SNEが関係しないイベントも沢山ありますし、すべてのアナログゲーマー、ならびゲームの魅力をお伝えしたわけでもありません。このレポートを読んで「おもしろそうだ」と思った方も、思わなかった方も、来年のJGCにはぜひ来てみてください!
きっと体感すればやみつきになるはずですよ! |