8.明ちゃんと遊ぼう 明坂聡美のTRPGれっつぷれー!LIVE(2日目) |
夕暮れ。一つの会場を借り切って『デモンパラサイト』のLIVEが行われようとしていました。
参加した豪華ゲストは、声優の明坂聡美さんと当日参加の決まった、さまざま作品に出演している人気プレイヤー河村有木生さん。さらに『剣神〜ブレードデモンズ〜』の著者力造に加え、SNEの藤澤さなえと篠谷志乃が加わります。
明坂聡美さんと河村有木生さんは、力造著の『デモンパラサイトリプレイ 剣神』にプレイヤーとして参加してくださっています。
この豪華ゲストを一目見ようと、立ち見が出るほど大勢の人が集まってきます。
和やかにはじまった歓談は、やがて『剣神』のプレイ中に起こった面白エピソードから『剣神』の第2巻のこぼれ話へと進みます。
そして、しだいに会場がヒートアップするなか、いよいよ「明坂さんと一緒にヴィシャスを倒す」という目玉イベントが始まります。
ヴィシャス。悪魔寄生体と呼ばれる寄生虫に寄生され、自我を失った人達の総称。善悪の区別がない悪者です。 |
力造がこのイベントのためだけに用意したヴィシャス。そのレベル、なんと35!(『デモンパラサイト』のルールブックやサプリメントに記載されているヴィシャスの最高レベルは16)
1751というありえないエナジー(体力)をもった化け物の正式名称は大友市を襲うカルトロップ(虫のような外見のヴィシャス)の群衆=iその数おおよそ1万人) そのカルトロップを倒すため……否! 一緒に戦う明坂聡美さんを守るため! 50人近くの“悪魔憑き”(参加者)が立ち上がる!
ルールはいたって簡単。
参加者が7〜8人で組を作り、『デモンパラサイト』の戦闘ルールを利用して戦闘を行います。一組が敵と戦闘を終えると、つぎの一組が入れ替わるというもの。
最初は楽しそうにサイコロを振っていたお客さんですが、最初の1組目が敵にろくなダメージを与えられなかったと知るや、どんどん目が真剣になっていきます。
「このままでは、倒しきれない! GM、家から日本刀持ってきてもいいですか!?」
「電柱はありですか!?」
「ビル振り回してもいいですか!?」
エスカレートするお客さん。『デモンパラサイト』では、このように手近にある「でかいブツ」を使って、殴ったり、投げつけたりできるのです。
そのうちゲストの皆さんまで「俺たちだって、戦えるはず!」と参戦し、敵のヴィシャス(=力造)がボコボコに殴られる始末。
そして、最後は明坂聡美さんの一撃が敵に命中!
その攻撃で合計1754点のダメージを与えたことになり、大友市を襲ったヴィシャスはゲストと勇敢な参加者の前に倒れることとなったのです。
最後に力造は言っていました。
力造「勝てると思ったんだけどなぁー」
どうも本気でお客さんを倒すつもりだったみたいです(笑)
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9.サイン会(2日目) |
今年も随所で、たくさんのサイン会が開催されていました。
SNE関連では、まずJGCで先行発売された『エムブリオマシンRPG』。システムデザイナー秋口ぎぐると丹野佑、世界デザイン片山泰宏の3人。秋口ぎぐるはともかく、新人2人はドキドキで初サインを行っておりました。
同じく先行発売の『ゲヘナ〜アナスタシス〜リプレイ 血の妖石は宿命の道標』のサイン会に友野詳。
さらに友野詳は『クトゥルフカレンダー』サイン会にも、イラストレーターの槻城ゆう子さんと並んで、附録ゲーム製作者として出席しておりました。
ほかにも、僕がお見かけしただけで緑一色さん、朱鷺田祐介さん、小太刀右京さん、三輪清宗さん、合鴨ひろゆきさんなど、みなさん、ファンの方々との雑談をはさみながら、楽しそうにサインをしておられました。
どのサイン会も長い列ができるほどの人気っぷりでした!
そして、友野詳のサイン会の列に安道やすみちが紛れ込んでいるのを発見。ネタと見せかけて、ちゃっかりサインをもらっている辺り抜け目がありません。
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10.ソード・ワールドトークショー(3日目) |
JGCのパンフレットに「今年のトークショーは何かが起こりそうな予感!?」と意味深な文章が記載された「ソード・ワールドトークショー」。
秋田みやび、川人忠明、篠谷志乃、藤澤さなえ、そして清松みゆきの並ぶ檀上の後には、3枚のパネルが並んでいます。ソード・ワールド(以下SW)関連書籍の表紙でびっしり埋め尽くされた1枚、「SWORD WORLD 20」と記載された1枚、10月に新刊が発売される『新ソード・ワールドRPGリプレイ集Waltz(以下Waltz)』のイラストが描かれた1枚。
実はこのパネルにはある伏線が潜んでいるのですが……この時点でそれに気づいたお客様はまずいないでしょう。
トークショーが始まると、清松が歴代のSW作品の表紙が並ぶパネルを見ながら
「色々あるけど、古い短編小説の表紙なんかは結構抜けてるねぇ。何冊載ってるの?」
とコメント。
数えてみれば、そこにある表紙は10×10でちょうど100冊分。十分に膨大な量ですが、様々なSW関連の作品を合わせると、富士見書房から発行されているものだけで170冊を超えるとのこと!
その他出版社さんからも、シナリオ集などが出版され、「これからの作品を合わせれば、たぶん200に届くと思います」との会話が。この微妙な言い回しも、実は伏線となっているのです。
さて、これからの作品ということで、『Waltz』4巻の話に。
SW関連書籍のパネルと『Waltz』のイラストパネルがそれぞれ舞台端にあったため、清松は「これはなんかのいじめか(笑)」とぼやきながら走って移動。
イラストの背景を見て、「奇麗な海ですねぇ、……これだけで、分かる人には(次のリプレイの舞台が)分るかも」とのコメントから、今後の展開トークに花が咲きます。詳しくは、秘密。是非とも『Waltz』の新刊を手に取ってみてください。
それから話題は各種リプレイへ。
藤澤さなえの執筆する『ぺらぺらーず』リプレイに「完結おめでとうございます!」と、会場からは大きな拍手が!
「がんばりました。終わった感想としては、よくやってこれたな、と。でもそれに気づけたのは最近で、霧の深い山道を歩いてきて、霧が晴れたのでふと振り返ってみると、『こんなに細い道を歩いてたんだっ!』と驚いた感じです」
と藤澤さなえ。
秋田みやびの『へっぽこ』シリーズは、7月末にドラマCDが発売されたばかりです。その特典用に収録したリプレイについて
「久しぶりに集まったけれど、ちっとも変わらない。……ちっとは成長しろよっ! みたいな(笑)。でもアットホームな感じで、またやりたいな。もう1本ドラマCDが出ればやれる?(笑)」
とコメント。
さらに清松みゆきの執筆する『リプレイxS 猫の街の冒険』では主人公、ウィンド君の行く末が語られました。
SW展開のもう一本の柱、小説の方では、川人忠明の『ダークエルフの口づけ』シリーズと秋田みやびの『へっぽこ』シリーズ小説版。
『ダークエルフの口づけ』最終巻である4巻は、年内に発売されます! 川人はもう原稿を書き上げ、残す作業は最後の確認だけとのこと。
ソードワールドにしては珍しく(?)大勢の死者が出たシリーズですが、「最終巻で何人死ぬかはヒミツ」と川人。
「誰が死ぬか、誰が生き残るか、トトカルチョをするなら今のうちです」と清松が続けます。
『へっぽこ』小説の方も2巻が発売され、3巻もすでに最終章を執筆中のようです。順調に、SW関連作品が200に近づきつつあります。
そして、小説といえば――ということで、水野良先生が登場!
「リウイの新刊が急遽10月に出ることが決まって、原稿直してます。『ドラゴンマガジン』の連載とかもあるんで、今まで編集さんと打ち合わせしてました」
と水野先生。さらにSW出版物のリストを見て――
「うわ、オレって年間4冊も小説出してる時あるやんっ!」
これを聞き、隣の清松も「ええっ!」と腰を抜かしておりました。
しかし今回、ソード・ワールドトークショーのクライマックスは、ここではありませんでした。
もうトークショーの時間も残り少なくなってきた頃。
「さて、なにやら悪だくみしている二人組がいるみたいですよ」と清松に紹介され、北沢慶、田中公侍の両名が登場。
北沢慶はそのまま『SWORD WORLD 20』と書かれたパネルに歩み寄り、マジックで何やら書きこんでいる様子。
それからパネルが高く掲げられると――『SWORD WORLD 2.0』!
会場からは「にぃ、てん、ぜろ?」と躊躇いがちな声が聞こえてから、大きな歓声が起こります。
そう! この時、ついに、『ソード・ワールド セカンドエディション(以下、SW2.0)』の制作が発表されたのです!
世界設定、北沢慶。システムデザイン、田中公侍。
すでに、全体の構想はほぼ固まり、現在は細部を詰めてクォリティを上げる作業にかかっているとのこと。
2008年、いまはまだ謎に包まれた『SW2.0』が秘密のヴェールを脱ぐ日が間違いなくやってきます。
続報にご期待ください。
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11.ROLE&ROLL新作発表会(3日目) |
最終日、満を持して『ROLE&ROLL』新作発表会が行われました。
SNEからは、安田社長、北沢慶、加藤ヒロノリ、秋口ぎぐる、田中公侍、力造、片山泰宏、丹野佑が出席しました。
まず始めは『デモンパラサイト』。製作者の北沢慶は蟲とかかれたTシャツを着てくるほどの気合の入れ様。
近々発売される第3サプリメント『ディアボロス・リバース』の内容をちょっとだけご紹介すると、『ROLE&ROLL』に過去掲載された3本のシナリオ、共生武装やエネミーのデータに加えて、3本の新規シナリオが追加されるそうです。
さらに共生生物ガントレットも追加されることが語られ、会場の『デモンパラサイト』ファンの方々は『ディアボロス・リバース』が待ちきれない様子でした。
さらに、サプリメント第4弾として、『伝奇デモンパラサイト(仮)』の発売が予定されています。こちらはスタンドアローン型のサプリメントになるとのことでした。
続いて『六門世界RPGセカンドエディション(以下六門2nd)』。『六門2nd』のルール解説をした後で、今後の予定について語られます。
9月末に発売される『六門2ndサプリメント サザンの闘技場』には、大量のモンスターデータだけでなく、新クラスが2つ追加されると宣言。
さらに加藤ヒロノリが『ROLR&ROLL』で連載中の『スカーレット・オーバード』の単行本化が決定したと告げると、なぜか会場は大爆笑。色濃いメンバーが毎回ドタバタを繰り広げる『スカーレット・オーバード』を、それだけ皆さん楽しみにしてくださっているのでしょう(笑)。
さらに、ここで重大発表。我らがボス安田均が『六門2nd』のリプレイを執筆する旨を伝えると、会場は騒然。詳細は残念ながらまだお知らせできませんが、リプレイ収録はすでに終わり、原稿執筆は絶好調で進んでいるとのこと。楽しみにお待ちください。
そして、SNE久々の新作『エムブリオマシンRPG』
秋口ぎぐるが新人の片山泰宏と丹野佑を伴い参上。一歩まちがえば毒舌になりそうな秋口ぎぐるのきわどい発言に挙動不審になりつつも、新人たちはがんばって『エムブリオマシンRPG』の宣伝をしていました。
秋口ぎぐるは
「昔SNEが翻訳した某ロボットものを初心者でも楽しめるようにしたいと思って、このゲームを作りました。武装がドンドン壊れていったりするのですが、そこがまた、ぼくのマゾヒスティックな心を刺激し……」
と語り、会場は大爆笑!
今後の展開は、追加サプリメントと秋口ぎぐる著の『エムブリオマシンRPGリプレイ マシン・マーセナリー』第2巻が予定されています。
サプリメントには「みなさんの度肝を抜く武装を追加しまくる」と秋口は断言。リプレイ2巻ではさらに激しい物語展開を約束しました。
発売日は? と問われると、
「年内には発売します! 2008年内ですけどね!」(どこまで本気かわかりません)
と、会場を爆笑させつつ煙に巻いたのでした。
SNE以外では、『メタルヘッド』や『シャドウラン』のサプリメントの発売予告がされ、どの新作発表会でもお客さんが興味津々で聞き入っておられました。
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12.物販スペース(1〜3日目) |
広い物販スペースには、さまざまな商品が並べられています。
サイコロ、ボードゲーム、各種ルールブックの他、先行発売の書籍も流通しているじゃないですか!?
楽園がここに存在した。
家の近くにほしいぐらい素晴らしい場所でしたよ、物販スペース。
その気持ちはお客さん達も一緒なのか、皆さん財布を握り締めて一心不乱に買い物をしていました。
この一角には、グループSNEの笠井道子が個人で出展している「笠井商店」も開かれていました。
どこの物販スペースも人気で、誰もがお財布の紐が緩みっぱなしです! (と自分の軽くなった財布を握り締める)
しかも、物販スペースの奥。そこには、体験卓と呼ばれるボードゲームやカードゲームを遊べる場所があるのです。
体験卓にはボードゲームが無料で貸し出されており、いつでも遊ぶことができます。
この体験卓は、なんと当日参加者でも利用できるのです!
残念ながらJGC参加の抽選にもれてしまったお客さんが、こぞって体験卓に集まり、さまざまなボードゲームを楽しそうに遊んでいました。
体験卓は常に人がいっぱい! 僕は楽しそうに遊ぶお客さん達を羨ましそうに眺めているばかりでした。
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13.閉会式(3日目) |
48時間なんてあっという間に過ぎ去って、ついにJGCの閉会式が始まってしまいました。楽しい時間が終わるのは少し悲しいものですが、それでも皆様満ち足りた表情です。
それはきっと、しっかり遊んで、しっかり語って。「また来年のJGCで!」と言って別れられるからでしょう。
壇上では友野詳が『RPG教養講座』と称して、様々な文学作品に絡めた小話でお客さんを沸かせます。
例えば、
「かつて日本には『竹取物語』というTRPGがありまして。竜の玉を取ってこいとか、かなり無茶なマスタリングをした挙句、プレイヤーは全員失敗ですよ! 1500年前のTRPGは、まだバランスの調整がされてないなったみたいです」
という感じ。
続いてマイクを取ったのは、F.E.A.Rの菊池たけしさん。
「ちょっとだけ、このJGCでいいことがあったので、そのお話をさせていただきます」
と、菊池さんは話し始めました。
「会場の廊下で、一人の若者に『菊池先生、これからよろしくお願いします』って声をかけられたんです。話を聞いてみると、どうやら数年前のJGCで、『今日のお客さんの中からも、こちら側の檀上に立つ人が現れるかもしれない』みたいなことを、私が言ったらしいんですね。見ると、彼は胸にゲストのネームプレートをつけていました。私の話を聞いて、実際にゲームを作るところまでやってきたんだ、と」
菊池さんは、その話に、なんだか感動してしまった、と言いました。
「だから私は、もう一度言おうと思います。数年後、みなさんの中からこちら側に立つ人間が現れるかもしれない。それは凄いことです。そんな夢を持っている人、頑張ってください」
会場から、大きな拍手が巻き起こりました。
なにをかくそう、その若者とはいま、私の先輩の一人です。「いつかは菊池先生にちゃんとご挨拶したい」と思っていた彼にとって、今回のJGCは特別な意味があったのです。
そして、いま檀上に向けて手を叩く参加者の中には、きっと同じように熱い思いで菊池先生の言葉を捕えている方もいらっしゃるでしょう。
数年前の彼のように。
そして最後はやはり、鈴木銀一郎先生。
銀一郎先生は大きく拳を振り上げて、会場のみなさんもそれに応えます。
「また来年も会おうぜっ!」
「おーっ!」
「2008年JGCで会おうぜっ!」
「おーっ!」
「必ず会おうぜっ!」
「おーっ!」
こんな風に、2007年JGCは終了しました。
それではみなさん、ぜひ2008年JGCでお会いしましょう。
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