安田: |
最初は、久しぶりに登場するドリッズトの物語かな。 |
テーブルトークRPGの古典、『ダンジョンズ&ドラゴンズ(以降、D&D)』の〈忘れられた領域(フォーゴトン・レルム)〉を舞台にした戦いと陰謀の物語。主人公は、心優しきダークエルフの魔法剣士ドリッズト・ドゥアーデンです。『ダークエルフ物語』では、同族の住む地下の〈暗黒世界〉を捨て、地上に出てくるまでのドリッズトの冒険が描かれていました。『アイスウィンド・サーガ』(書かれたのはこちらが先)では、ドワーフのブルーノー、人間のウルフガーとキャッティ・ブリー、ハーフリングのレギスと固い絆で結ばれていくようすが語られています。そして……。
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安田: |
前回のインタビューで「2008年の秋には」と宣言していたとおり、もうすぐ『ドロウの遺産』が出るね。 |
笠井: |
はい、11月14日発売です。正式タイトルは『ダークエルフ物語 ドロウの遺産』。 |
安田: |
相変らず、なかなかの分量だよね。でも面白いから、一気に読めたよ。 |
笠井: |
よかったです〜。 |
安田: |
書かれたのは『ダークエルフ物語』三部作(日本では2002〜2003年に刊行)のあとなんだけど、日本での刊行はずいぶん間が空いてしまったね。 |
笠井: |
ストーリー的には間に『アイスウィンド・サーガ』が入るんですよね。〈氷風の谷〉でドリッズトは信頼できる仲間たちと出会い、ドワーフの失われた王国〈ミスリル・ホール〉を発見して……。 |
安田: |
『ドロウの遺産』へと突入するんだよね。 |
笠井: |
はい。『ドロウの遺産』は、〈ミスリル・ホール〉を奪還して仲間が再び集まるシーンから始まります。 |
柘植: |
ド派手な内容だそうですね〜。 |
笠井: |
ブルーノーが〈ミスリル・ホール〉の王におさまって、もうすぐウルフガーとキャッティ・ブリーの結婚式が行なわれる、というときに……。 |
安田: |
地下と言えば、忘れちゃならないのがドリッズトの故郷の〈メンゾベランザン〉。ダークエルフたちが彼を許すまじ、と追ってくるんだよね。 |
笠井: |
〈ミスリル・ホール〉の地下資源が潤沢だから、という理由もあります。 |
安田: |
さらにドリッズトをつけ狙うといえば、もう1人……。 |
笠井: |
あわわわわ。 |
安田: |
おっと、これは言っちゃダメか。ドリッズトの宿敵とも言うべきあの人物も出てくるのでお楽しみに。とにかく『ドロウの遺産』は、これまでの『ダークエルフ物語』と『アイスウィンド・サーガ』の総決算とも言うべき作品。と同時に、新たな冒険の始まりでもある。ぜひとも読んでいただきたい。 |
笠井: |
わたしの大好きなヤーラクスルという傭兵隊長や、化け物みたいなダークエルフ婆あのベンレも出てきます。もちろん、ドリッズトのお姉さんやお兄さんも。二大勢力がぶつかり合う地下の大規模戦闘はすごいですよ〜。 |
柘植: |
これまでのキャラクターが勢ぞろいなんですね。ブルーノー、王さまになっても戦うんですか? |
笠井: |
もちろん! 周りに止められても、先陣切って突っこんでいきますよ。あとね、結婚前だっていうのに、ウルフガーとキャッティ・ブリーの間に微妙な空気が。ウルフガーが「女は男の言いなりになるべきだ!」とか言ったり……。 |
柘植: |
みんな、相変らずですねえ。 |
笠井: |
新しいキャラクターも出てきますよ。ちょっと頭の変な狂闘士(バトル・レイジャー)のドワーフとか。 |
安田: |
でもなんだかんだいって、黒豹のグエンワイヴァーは強いし、ドリッズトのシミターの威力もすごい。 |
柘植: |
ドリッズトはやっぱり最強ですか? |
笠井: |
最強ですね〜。めちゃくちゃカッコいいです! |
柘植: |
そろそろ悟りの境地って感じ? |
安田・笠井: |
それはぜんぜん! |
笠井: |
エルフなので、悟りの境地に至るまでに300年くらいかかるんでしょうね。 |
安田: |
このシリーズはまだ続くんだよね? |
笠井: |
はい。全部で四部作なんですが、とりあえず続編を2009年にはお届けしたいと思います。今度は地上での派手な戦いになりますよ。 |
安田: |
それは楽しみ。早く訳してね(笑)。 |
安田: |
ドリッズトの次はもちろん、「ドラゴンランス」。前のインタビューで『ドラゴンランス 失われた伝説』と言っていたものを改題して、その名も『ドラゴンランス秘史』! いよいよ、新しいシリーズがこの冬に登場するよ。 |
株式会社アスキーから「ドラゴンランス」シリーズの出版が始まったのは2002年。まず、『ドラゴンランス(戦記)』が発売になり、その後、『ドラゴンランス伝説』、『セカンドジェネレーション』、『夏の炎の竜』と続きました。シリーズの終わりを締めくくる『魂の戦争』第三部が発売されたのが、2007年冬。総冊数は23冊にのぼります。
そう、「ドラゴンランス」は完結≠オたはずなのですが……。
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安田: |
じつは「ドラゴンランス」は続いていた! ……っていうのは少し嘘で、『ドラゴンランス秘史』は続きというより、最初の『ドラゴンランス(戦記)』で抜けていたエピソードなんだ。この『ドワーフ地底王国の竜』は、日本語版ドラゴンランス第2巻『城砦の赤竜』で英雄たちがヴェルミナァルド卿を破ったあと、第3巻『氷壁の白竜』が始まるまでの物語。 |
柘植: |
第3巻の冒頭、いきなり「〈カーラスの槌〉、登場!」で始まりますよね。主人公のタニスたちはドワーフの王国にいて、なにか偉業をなしとげたあとらしいんですけど、よくわからない。初めて読んだときはびっくりしました。いきなり時間が飛ぶので。 |
安田: |
そのときの冒険が、この『ドワーフ地底王国の竜』ってわけだ。 |
笠井: |
(原書を手にとって)1エピソードでこの分厚さですか? 4、5センチはありますよ。 |
安田: |
1エピソードとは言っても、山あり谷ありだからね。書いたのはもちろん、ワイス&ヒックマンのコンビ。じつは、もともと『ドラゴンランス』のときからこのエピソードは存在してたんだ。ただ、この話を入れると最初の長編が長くなりすぎてしまうので、泣く泣くカットされたシーンなんだよ。 |
柘植: |
たしか、『ドラゴンランス』はじっさいにシナリオをロールプレイで遊んでから書かれていますよね。 |
安田: |
うん。『D&D』をプレイした結果を、小説化していたんだ。だからこのドワーフ王国の冒険も、ちゃんとゲームのシナリオがあるんだよ。ワイス&ヒックマンにしてみれば、書こうと思えばいつでも書けたんだ。 |
柘植: |
『魂の戦争』も完結したことですし、満を持しての登場ですね。 |
笠井: |
どんなお話ですか? |
安田: |
『ドラゴンランス』で重要な鍵となる竜槍は、〈カーラスの槌〉で鍛えなくてはならない。長年失われていたこの槌を、英雄たちがいかにして手に入れるかという物語。 |
柘植: |
わたしは先に読ませていただいたんですけど、感慨ひとしおでしたね。このエピソードがなければ、後々の英雄たちの活躍もないわけですし。 |
安田: |
ひじょうに面白い話に仕上がってる。読み出したら止まらないと思うよ。しかもみなさん、喜んでください! 死んでしまった面々が、若い姿で再登場します(笑)! |
柘植: |
ティカは初々しいし、レイストリンもまだかわいげがありますよね。 |
安田: |
ドワーフの話だけに、老戦士のフリントも大活躍だよ。 |
笠井: |
ゴールドムーンも出てくるんですか? |
柘植: |
もちろんです。リヴァーウィンドとゴールドムーンは新婚ホヤホヤ。 |
安田: |
彼らは別任務があって登場シーンは少ないけど、タニスやスタームたちは元気そのもの。もちろん、タッスルホッフもね! |
柘植: |
いろいろ面白いしかけもあって、とくにタッスルが『氷壁の白竜』のときにいつのまにか持っていた〈真見の眼鏡〉! |
安田: |
あのとき、レイストリンが気づいて「どこで手に入れた?」って訊くんだけど、タッスルホッフは「ドワーフ王国で見つけたんだ」と答えるだけ。その経緯が、ようやく明かされるよ。 |
笠井: |
往年の『ドラゴンランス』ファンにはたまりませんね。 |
安田: |
タイトルが『ドワーフ地底王国の竜』なんだけど、舞台となる地下に本当に竜なんか出てくるの? と思って読んでいたらびっくり。とにかくよく書けている。よい作品は悪役が魅力的だけど、これもそう。悪いヤツほど死なないよねえ……。 |
笠井: |
さすがはワイス&ヒックマンですね。 |
安田: |
あえて言おう。あの2人が書いて、面白くならないわけがない! |
笠井: |
ところで、この原書には「Volume
T」と書かれてますけど? |
安田: |
前のインタビューでも少し触れたけど、第二部の『Dragons
of the Highlord Skies』はキティアラと彼女の騎竜スカイアの物語、第三部の『Dragons
of the Hourglass Mage』はレイストリンの物語になる予定。いずれも、最初の『ドラゴンランス』のなかで語られなかった、しかし鍵となる重要な裏話だ。 |
柘植: |
第二部は現在、翻訳中ですよね。来年くらいには読めると嬉しいなあ。 |
安田: |
第三部は原書が2008年発売予定だったんだけど、アメリカでも遅れてるらしい。たぶん、ワイスたちの思い入れがそれだけ深いんだろうなあ。 |
柘植: |
でもそうなると、日本で読めるのはずいぶん先になりそうですね。 |
安田: |
おっ、それなら、昔々ワイスが1人で書いた『Raistlin
Chronicles』のシリーズを訳すのはどうかな? レイストリンの子ども時代の話だけど、きっと翻訳をお待ちかねのレイストリンファンも多いだろう。 |
笠井・柘植: |
読みた〜い! |
安田: |
まあ、そのあたりはこれからのお楽しみということで。 |
柘植: |
『ドワーフ地底王国の竜』は2008年冬発売ですね。 |
安田: |
詳しい発売日が決まったら、新刊案内で告知しよう。この新しいけれど懐かしい『ドワーフ地底王国の竜』、ぜひ読んでください! |
安田: |
ではお待ちかねのルルル文庫の海外翻訳小説を取り上げよう。発売順にいこうかな。 |
『チェンジリング・シー』は、幻想小説の名手、パトリシア・A・マキリップが紡ぐ不思議な海の物語です。主人公のペリは、宿屋で働く14歳。1年前に漁師の父親を海で亡くしてからというもの、海が大嫌いになり、鬱々とした日々を送っています。そんな彼女の前に、海を憧れの目で見つめる王子キールが現われて……。
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安田: |
いやあ、懐かしい雰囲気のファンタジーだったね(笑)。 |
柘植: |
うっ。原書が出たのは1988年ですからね。じつに20年前の作品です。がんばってイマ風に訳したつもりなんですが、みんな「懐かしい」って言う……。 |
笠井: |
あ、ごめん。わたしも思った(笑)。 |
安田: |
マキリップの『妖女サイベルの呼び声』は、早川書房から「FT(ファンタジー)文庫」が出始めたときの最初の作品だからね。日本でもずいぶん注目されたっけ。 |
柘植: |
わたしが初めて読んだマキリップの作品は、そのあとに出た『イルスの竪琴』三部作でした。剣や魔法でチャンチャンバラバラするわけでもないのに、ファンタジーの雰囲気たっぷりで、むちゃくちゃハマリましたね。 |
安田: |
いかにもエピック・ファンタジー! という感じの名作だったね。うん、やっぱりマキリップはいい! |
柘植: |
……訳すのはけっこうたいへんでしたけど(ボソッ)。 |
笠井: |
どのあたりが? |
柘植: |
とにかくイメージが大切にされてて、雰囲気で読む作品なんですよ。だから若い読者さんにいかに具体的な状況を伝えるか、すごく苦労しました。 |
安田: |
そういえば、今年に入ってからマキリップの作品はよく出てるよね。年初に『オドの魔法学校』が東京創元社から出て、8月には短編集の『ホアズブレスの龍追い人』が同社から出たんだっけ。 |
柘植: |
はい。これまで訳された作品が少なくて不思議なくらいだったんですよ。 |
安田: |
読めば読むほど味が出てくるのがマキリップの作品。逆に言えば、さらりと読み流すとよくわからないかもしれない(苦笑)。本格的なファンタジーだね。『妖女サイベルの呼び声』は獣使いを主人公にしていて、とても新鮮だった。謎かけするイノシシとか、すごく魅力的。それにしても、マキリップの作品に出てくる女性って……わがままだよねえ(笑)。 |
柘植: |
たしかにそうですね。『サイベル』にしても、『イルス』にしても、『オド』にしても……『チェンジリング・シー』のペリも、ちょっと性格悪いかも。 |
安田: |
もっとマキリップは訳されるべきだね。 |
柘植: |
はい。この機会に、若い読者さんがもっともっと海外のファンタジーに触れてくださればいいなあ、と思います。 |
安田: |
ルルル文庫にはがんばってもらいたいね。柘植は次の作品も決まってるんだっけ? |
柘植: |
本格ファンタジーではありませんが、『Hex
Education』という作品を訳しています。エミリー・グールド&ザリーン・ジャフリーという2人の作家さんの共著です。 |
笠井: |
訳すと魔法教育……? どんな話? |
柘植: |
ロサンゼルスの都会で育った現代っ子のソフィーが、父親の都合で田舎に引っ越してくるところから始まります。こんな場所嫌い! 早く帰りたい! って思ってるんですけど、いろいろおかしな出来事が起きて……どうやらおかしいのは「自分自身」だってことに気づくんですが。ぶっちゃけて言うと、21世紀の魔女のお話です。 |
笠井: |
田舎って、どこ? |
柘植: |
マサチューセッツ州です。セーレムの隣のミシックという町で……。 |
安田: |
セーレム! 魔女裁判で有名なところじゃないか! |
柘植: |
はい。その魔女裁判から逃げてきた魔女たちが作った町っていう設定なんです。 |
笠井: |
ロマンスはあるの? |
柘植: |
ええ。田舎町なんか嫌い! っていう女の子なんですが、引っ越した初日からカッコイイ男の子に一目惚れします(笑)。 |
安田: |
なかなか面白そうだね。 |
柘植: |
ええ、ひねりのあるラストが秀逸ですよ。出るのは2009年の春以降になると思いますが、よろしくお願いします。 |
安田: |
さて、トリを飾るのは、笠井道子の『ヴァンパイア・キス』……の続編! |
『ヴァンパイア・キス』は、2008年4月にルルル文庫から発売されました。主人公の少女サニーは双子。ゴシック好きの姉レインとは違い、いたって普通≠フ女の子です。あるときサニーは、姉にむりやり怪しげな集会に連れていかれ、そこで美少年のマグナスに……噛まれてしまいます! そう、彼は吸血鬼。自分まで吸血鬼になってしまったサニーは、もとに戻る方法を探して奔走します。
『ヴァンパイア・キス 〜レインの恋〜』は、その続編。吸血結社の新たな支配者マグナスの失脚をもくろむ一味を探るうち、レインはマグナスの部下ジェレスと知り合い……。
|
安田: |
2008年1月のインタビューで「これから出るよ〜」と言っていた『ヴァンパイア・キス』――あのころは原題のまま、『Boys
that Bite』と呼んでたっけ。ハチャメチャな面白さがウケたのか、続編2冊が出ることが決定したんだよね。 |
一同: |
おお〜(拍手)! |
笠井: |
SNEの翻訳作品も、バリエーションが増えましたよね。 |
安田: |
いわゆるゲーム的な世界設定のある小説だけでなく、普通のモダン・ファンタジーに、珍奇ファンタジー……。 |
笠井: |
珍奇! せめてコミカル・ファンタジーと言ってください(笑)。 |
安田: |
前にも言ったけど、こうした分野はSNEが得意とするところなんだよ。テリー・プラチェットの『ディスクワールド騒動記』(角川書店)や、コスティキアンの『ある日、どこかのダンジョンで』(メディアワークス)みたいにね。 |
柘植: |
にしても、よく続編が出ることになりましたよねえ……あ、いや、その……。 |
笠井: |
まったくです(苦笑)。最初、ルルル文庫さんのラインナップはファンタジーばかりだったので、「ちょっと毛色の違うものを」と思ってこの本を薦めたんですが、編集部ではかなりの冒険と思われていました。 |
安田: |
でも若い読者に受け入れてもらえて、続編が出ることになったんだよね? |
笠井: |
ええ、まあ(照)。 |
安田: |
本当に面白いもんなあ。この面白さは笠井にぴったり。 |
笠井: |
えへ(ますます照)。 |
安田: |
続編と聞けば、同じ主人公が同じようなことをくり返しているだけに思われるかもしれないけど、『ヴァンパイア・キス 〜レインの恋〜』はとんでもない! メチャクチャで面白い! |
笠井: |
最初の『ヴァンパイア・キス』をお読みの方はおわかりかもしれませんけど、サニーって、自分では普通の女の子と言いながら、考えがコロコロ変わるんですよ。それがサニーの愛らしさでもあるんだけど、わたしたちからすると姉のレインのほうが意外にまとも……と思っていたら、続編ではそのレインが主人公になります。彼女はずっと吸血鬼になりたかったんですが、なぜか吸血鬼スレイヤーになっちゃって……。 |
柘植: |
そう聞くだけで、吹き出しちゃいますね。 |
安田: |
この作者がすごいのは、書き方にも技巧が凝らしてあるところ。書き出しが「ブログ形式」なんだ。最近はケータイ小説とか流行ってるけど、これはその逆で、出版物のなかでネットをやってる。新しいよね。自分でブログをやってる人には、よくわかるだろうけど。 |
笠井: |
わたしが上手いと思うのは、冒頭で「ブログに書いてたデータが全部飛んじゃった」から、「これまで起こったことを振り返ってみる」とうまくまとめてくれてるところ。 |
柘植: |
続編でも、すんなり入っていけそうですね。 |
笠井: |
ブログにいろんな人がコメントを入れて、それに答えて……というふうに物語は進んでいきます。 |
安田: |
あのコメントは最高だね! しかも、ネットゲームの『ワールド・オブ・ウォークラフト』まで出てくるんだ! ぼくは最初の巻で解説を書いたけど、こっちにも書きたかったなあ(笑)。ブログのなかで、ゲームのキャラクターになりきって文章が書かれてたりするんだよ。「何点ダメージ!」とか言ってる横で、「昨日、吸血鬼の集会に行ってさ」と。こんな書き方ができるなんて、才能のある作家だなあ、と思う。 |
笠井: |
で、ブログ形式も読むのに疲れてきたかな、と思ったころに、主人公が「ブログはヤメ!」と言って、普通の一人称に変わるんです。そのタイミングが抜群。 |
安田: |
センスがあるよね。ぼくは「actuality(アクチュアリティ)」って呼ぶんだけど、臨場感というか、現実のイメージがものすごく上手く表現できている作品だと思う。 |
笠井: |
本当は、アメリカのドラマ『聖少女バフィー』などのパロディーがたくさん出てくる作品なんですけど、それでいて読ませる力がありますよね。 |
柘植: |
もうすぐ発売って、いつですか? |
笠井: |
11月28日です。なんと、カラー口絵がつきますよ! |
安田・柘植: |
(届いたイラストを眺めて)うわ〜。すごい〜。かわいい〜(目をキラキラ)。 |
笠井: |
イラストレーターの吉原世さんが口絵を3枚も描いてくださいました。日本では「ゴシック」っていうと「ゴスロリ」のほうがなじみが深いけど、このイラストを見れば、本当の「ゴシック」がわかってもらえると思います。 |
柘植: |
このあとも、まだ続きがあるんですよね? |
笠井: |
3冊めも姉のレインが主人公です。先ほどボスがおっしゃったような形の上での新しさはないかもしれませんが、バカバカしさは継続中。なんと彼女がチアリーダーになります! |
安田: |
ぷぷっ。それだけで手に取ってしまいそうだなあ! |
笠井: |
2009年の初春くらいにはお届けできると思います。お楽しみに〜。 |
安田: |
ルルル文庫は翻訳作品を月1冊ペースできちっと出してくれてる、貴重なライトノベルのレーベルだからね。これからも期待してるよ。 |
笠井・柘植: |
はい! がんがん訳していきます! |
安田: |
さて、以上でインタビューは終わりかな。 |
笠井・柘植: |
お疲れさまでした! |
安田: |
冒険と裏切りのファンタジー、壮大な英雄ファンタジー、叙情的なエピック・ファンタジー、コミカル・ファンタジー……ひとくくりにファンタジー≠ニ言っても、じつにいろいろあるよね。これからもSNEは、海外の作品をどんどん紹介していきます! みなさん、お楽しみに! |