|
春の匂いも深まってきた某月某日。
「ひっぐ……ぐすん、ぐすん」
六芒世界の片隅で一人、色黒の見習い召喚士が涙を流していました。
「おやおや。どうかしましたかな、河端殿」
「あ、マフィン……」
召喚士は赤く腫らしたまぶたを袖でこすり、美しきハイエルフの錬金術師を見つめます。
「それがね、大会に最強の対抗不可デックで挑んだはずが、1勝もできなかったんだ」
「ほう、それはそれは。ときに河端殿、貴公は“錬金銃”という言葉をご存知ですかな?」
「え?」
ちゃらららららららら〜 (ゴッドファーザー「愛のテーマ」)
「ふははははははは!! スケグルよ、私は帰ってきた!」
――皆さん、お久しぶりです。「SNEの黒い弾丸」、河端潤一です。
縁ございまして、この度もモンコレ風雲録を書かせていただきます。
今宵の戦場は、大阪浪速区なんばに位置する、某カードゲームショップRさん。当日は平日のゴールデンタイムにもかかわらず、私を含めて6名ものモンコレイヤーたちが集結しました。う〜ん、マンダム!
なお、当日はスピーディな試合が多かったので、細かな内容にはあまり触れず、デック紹介に字数をかけさせていただこうかなと思っております。なにとぞお付き合いくださいませ。
私が使用したのは、前回の対抗不可デックからダイナソアを抜き、錬金銃シリーズを加えた「新・対抗不可デック」!
それでは、まず第一戦目から。
|
◆第1戦目 vs Aさん「バードマン錬金銃」 |
↑
ってうぉおい!
でましたよ。初戦からまさかのミラーマッチです。ちょうどよいので説明させていただきます。
私とAさんが使用した「バードマン錬金銃」というのは、文字通り、従来のバードマンデックに、先の「星剣姫の烙印」で登場した「タイプ:錬金銃」を加えたデックタイプです。
「タイプ:錬金銃」とは、「タイプ:銃弾」の消耗品を、より強力に使えるユニットのこと。「タイプ:銃弾」とは、「タイプ:錬金銃」を持つユニットが使ったときのみ、通常よりも強力な効果を発揮できる消耗品のこと。
つまり、「錬金銃」と「銃弾」はふたつでひとつ!
その華麗なコンビネーションはさながら熱愛カップル! かけおち逃避行! 私とデスブリンガー(前回参照)!!
この2つを駆使すれば、敵のすべての行動に対抗でき、なおかつ対抗するたび相手ユニットにダメージや致死効果を与えられます。残虐非道・オーバーキルな重対抗をご堪能ください。 |
Aさん「《バードマン竜巻隊》《ナイト・シェイド》《バードマン龍銃兵》召喚」
河端「《バードマン竜巻隊》《攻撃隊長ブラックホーク》《バードマン龍銃兵》召喚」
Aさん&河端「……」
ところで、「対抗不可デック」好きの私がなぜ、「錬金銃」を選んだのか? 答えはひとつ。
《ダムダムの錬金弾》。
これに尽きます。
対抗不可でパーティ1つに【2】ダメージ。これだけでもかなり強力ですが、《バードマン龍銃狙撃兵》が「□狙撃支援」を発動した後に使うと、なんとパーティ1つに対抗不可【4】ダメージ! 「□狙撃支援」は、対抗を誘うブラフとしても使えるのでオススメです。う〜ん、ダムダム!
興味がわいた方は、「タイプ:錬金銃」、ぜひ使ってみてくださいね!
Aさん「《バードマン竜巻隊》《バードマン龍銃兵》本陣へ進軍。即時で《バードマン攻撃隊長》《バードマン疾風隊》《バードマン偵察隊》召喚」
河端「こちらは《攻撃隊長ブラックホーク》に、即時で《バードマン飛行船団》《プラズマ・ボール》召喚……」
あ、ちなみに試合はイニシアチブをとられ続け電車道で負けました☆ キラッ!
|
◆第2戦目 vs Kさん「指輪スケグル」 |
しゃーおらー!! 気分を変えて、今度こそ勝ちに行きますよー!
Kさん「《聖炎の女神スケグル》《ワルキュリア黒槍騎兵隊》召喚」
おおっと!? 本陣には、宿敵・スケスケ女神スケグルさまの登場です(指輪スケグルについては前回参照)。
アノウラミハラサデオクベキカ!
私は自宅で何度もシミュレーションした「対スケグル戦略」を脳内でリピート再生します。
河端「《攻撃隊長ブラックホーク》《トルネード・ホーク》《バードマン龍銃兵》召喚」
初手はそこそこ。自軍本陣前の《トルネード・ホーク》が敵軍本陣にリーチをかけ注意をそらし、本命・ブラックホークが脇道から飛行で攻めあがります。《プラズマ・ボール》《バードマン疾風隊》など、手札にある不要なものは残らず切り、キーカードを引くことに神経を集中。
運命の4ターン目。自軍本陣前の《トルネード・ホーク》が落とされ、危機一髪といったところですが、こちらが一手だけ早く相手本陣に侵攻。ブラックホークに加え、《遊撃隊長グレイホーク》《バードマン攻撃隊長》《黒曜蟲》を召喚。
できすぎなくらいカードが回り、《封印の札》や《魔力のスクロール》も手札に。
相手スケグルを「レベル:5以下死亡、対抗不可」
で落とし、本陣陥落勝ちです。
これをしたいがために組んだデックでしたが……本当に運が良かったです。
|
◆第3戦目 vs Oさん「指輪スケグル・アンゴルボダ風味」 |
河端「またスケグル!? この大会はスケグルとバードマンしかいないのか!」
これは困りました。さっきのような半ば飛び込み、そうそうできるものではありません。
河端「だがやるしかねぇ! お願いします!」
Oさん「……お願いします」
河端「? 大丈夫ですか? 顔色悪いですけど」
Oさん「……さっきKさんとやったんですよ」
河端「あ、第2戦(↑上記)のスケグルの方ですよね?」
Oさん「私のスケグルが全部同時で死にました……(遠くを見る)」
河端「う……(笑)」
なんというミスフォーチュン。しかしそこも含めてモンコレ。拙僧も期待せざるをえませんな。まぁ、バードマンたちがスケグル相手にナチュるはずもありませんが。
Oさん「では早速、スケグルと《ワルキュリア蒼天近衛隊》進軍」
河端「げ、《トルネード・ホーク》しかいない。じゃあ即時は《バードマン竜巻隊》でいいや」
Oさん「6」
河端「4」
O&河端「!!」
キタ――――――!!
幸運にもスケグル1体を同時で落とします。続いてもう1体を、先ほどと同じくグレイホークの「□モズ落とし」で対抗不可。Oさんはここで、手札にある最後のスケグルをあえて捨て、《氷晶妃アンゴルボダ》で本陣を守ります。
お互いに本陣をリーチしあった拮抗状態で、時間切れのアラームが鳴ります。Oさんの《アーク・エンジェル》は変わらず私の領土内に。
しかし、ラストは私のターン。私の領土には《トルネード・ホーク》、《バードマン疾風隊》の2体が既に存在しています。
ここで2ヶ所の誰もいない敵軍領土に進軍すれば、私の勝ち――。
……けど?
河端「行かいでかぁああ! 《トルネード・ホーク》が、長距離飛行で敵本陣に進軍!」
Oさん「うそぉ!? 来るの!?」
だって、どうせなら最後まで戦いたいジャン?
この日のために練り上げた私のデック。コンセプト決めから、ユニットと他カードのバランス、ピックする「タイプ:銃弾」の種類、《黒曜蟲》など対策カードの枚数、ありとあらゆる要素をヘトヘトになりながら思索することウン十時間、やっとのこさでうんぬんかんぬん……
というわけで本陣は落としきれずに引き分けました☆ キララッ!
|
◆最後に |
ということで、結果は1勝1敗1分け。
なんとも無難ですな。マカーブ・レ無難トですな。
あまりに無難すぎるのもどうかと思いましたので、余った字数で、間のフリーファイト中に拝見したデックの概要をそれぞれ一言ずつ書かせていただきます。
- 「みどりの地底行進曲」
対抗は土スペルを中心に《大地の守護門》や《踏みしめる音》、さらに「○地中移動」など、10枚前後ある進軍補助カードで歩行ユニットの弱みを克服。《豊穣姫グリングル》《ジュラシック・レックス》などが、斜向かいの地形にこんにちは!
- 「高機動魔装! ガンパレードマジック」
従来の《虹を受ける聖杯》と《ニューク・ゴーレム》の魔法生物デックに、《アルカナ・センチネル》や《アルカナ・スナッチャー》などが新たに参入。行くぜ、魔・装・合・体!
- 「鳥豚鬼ぎり弁当」
《レッド・ソニア》《遊撃隊長グレイホーク》《欲深き皇帝》《紅焔姫ルビー》が鍵ユニット。「先攻デックに強い先攻デック」を体現した、今大会優勝者さんのメインデック。
- 「北国・蟹の美味しい食べ方レシピ」
《氷晶妃アンゴルボダ》《黒曜蟹キャリスタ》を中心とした水魔デック。《フルムーン・タイド》《ブラッディ・ブランド》《タイダル・ウェイブ》、あとサルガタが入っています。
- 「THE 飛び込み!」
敵本陣前を《吹き抜ける風》→《蒼天の守護門》へと張替え。ライカやアンゴルボダが飛び込みます。《トルネード・ホーク》《銀狼カリスト》《テンペスト・クイーン》など、風の顔役が揃い踏み。
- 「奈良公園? いいえ、奈落応援です」
相手が本陣前に代理を張れば《奈落》に張り替え、《妖精の輪》なら張り替える必要すらない。小型ユニットが進軍能力で相手本陣前に攻め入り、《アビス・ガルム》を即時召喚。癒しの子鹿、《ホーリー・ディアー》が《奈落》を応援してくれます。戦闘では《テラー・ハンド》《フレイム・タイド》で攻撃を防ぎ、《ブラッディ・ブランド》《クラウド・キル》で肉を切らせて骨を絶つ。地形には1体さえ残れば、また《アビス・ガルム》や《ガルム》を呼べるので回転率が良い。
|
以上! 全6デックを拝見しました。
こうして見てみると、本当にいろいろなデックがあるんですねぇ〜。
次の全国大会では、一体どんなデックが優勝するのでしょうか? 皆さんも、自分に合った新しいデックを考えて、ぜひぜひ大会に参加してみてくださいね!
それでは、今回はこの辺で。
また会う日まで〜! |