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【12年09月04日 秋口ぎぐる】 |
SKE48の新曲のビデオクリップを観た。「女子高の日常」といったテーマで作られていた。その中に寮の一室で女子高生たちがたわむれる映像が出てきた。
おれは「こういうの、なんかええなぁ」と思った。こういう経験がしてみたいなぁ、してみたかったなぁ、と強く思った。
ちょうどこの日はJGCの二日日だった。会場はむせかえるほどの熱気に包まれていた。熱帯雨林のジャングルさながらだった。
秋口は一日の仕事を終え、エレベータでホテルの上層階へのぼった。扉が開いたとき、SNEメンバーである河野くん、大井くんらとすれちがった。
彼らは同じ部屋に泊まっているという。昨晩は遅くまで語りあっていたという。
この瞬間、おれは思った。「同じ部屋で寝起き……夜中まで語りあう……なんか寮っぽい! SKEっぽい!」
そこでさっそく彼らを呼びとめ、「ねえ。あとで君らの部屋へ行っていい?」と頼みこんだ。我ながらキモかった。
彼らは戸惑いながらも了承してくれた。
数十分後、彼らの部屋を訪ねた。
ベッドとベッドの間にサイドテーブルが置かれていた。灰皿の中でタバコの吸い殻が山盛りになっていた。落ちた灰がそこら中に散り、シーツには黒っぽい染みができていた。缶コーヒーの缶が林立していた。
大井くんはトランクスの上にTシャツ、というラフな姿だった。ズボンは履いていなかった。
あんまりSKEっぽくなかった。
だが秋口はあきらめなかった。なんとか彼らを玲奈(大井くん)と珠理奈(河野くん)と思いこもうとしてみた。「ここは女子寮、彼らはSKE48、彼らと同室にいるおれ、超幸せ」と強く念じた。
なかなか難しかった。
途中でメンバーの河端くんが加わった。彼にも経緯を伝え、愛用のMacBook AirでSKE48のビデオクリップを観せ、想いを共有してもらおうとしてみた。
なかなか難しかった。
だが一時間ほど経ったあるとき、河端くんが言った。
「なんか、だんだん大井さんのスネ毛が玲奈のニーソックスに見えてきました」
こいつ天才やな、とおれは思った。 |
【12年08月28日 秋田みやび】 |
文鳥はインドネシア原産の、熱帯の鳥です。
基本的には丈夫ですが、暑さ以上に寒さに気をつけてあげたほうがいいようです。
とはいえ、冬はゲージ用ヒーターを入れてぬくぬくとさせ、人間さまは足元コタツ一個で過ごすことも多く、猫と場所を取り合うことになるのですが。
さて、夏です。
ひたすら暑い夏です。
正直秋田は、冬よりも夏のほうが苦手です。寒さは、こもこもと部屋着を重ねれば何とでもやり過ごせますが、暑さはそうはいきません。
溶けます。
おもに、脳が。
あと、動かなくなりますね。極端に。
そうなると、効率のよいお仕事のためには、エアコンのスイッチを入れなければなりません。
が。此処で一つ問題が浮上します。
そう。我が家の室温コントロールにおいて、何よりも優先するのは文鳥さまです。
エアコンを入れるタイミングをうかがいます。
熱帯の鳥である文鳥さまに、万が一でもお寒い思いをさせてはいけません。
鳥というのは小さいので、体調を悪くすると、ゴートゥーあの世に一直線です。
なので、我が家の室温は、文鳥さまを優先して調整されます。
ぷわぷわに羽に空気を入れて止まり木にとまっていると、寒い。
逆に、すらっとスリムに、羽根を萎ませて流線型に近くなっていると、暑いという自己主張だと判断します。このとき、普通よりもものすごく細く見えます。写真を撮っていないのが残念です。
あ。あんまりずっとふわふわしていると、体調が悪いこともあるので注意です。その場合は即効で鳥医者さまに。
室温29度……平然としている。むしろ、羽根を膨らまして寝ておいでだ。
30度……まだ、ふくふくむちむちとしてお休みでいらっしゃる……暑くないのか。
31度……あ。なんとなく、普通の鳥っぽい。
32度……文鳥さまが、スリムに! っしゃー! スイッチオン!(リモコンぽち)
てなわけで、今年のエアコンを入れたのは7月半ばでございました。
しかし、一度入れてしまうとどうにも手放せないものでして。
室温設定28度で、時々寒いっぽい仕草をする文鳥さまがた。いや、29度でも暑そうな時があったから、気分や体調の問題もあるのかもしれないけれど。
しかし、人間は30度が暑いんだよ熱帯原産めー!
……というわけで。
文鳥さまの羽根の様子を見て、時々エアコンをかけながらゲージ用のヒーターをゆるーく稼動させるという、全然エコじゃないことをしていました。
エアコンないと、お仕事になりません。すいません。
そんな、相変わらずけものたちとのゆるーい毎日です。 |
【12年08月27日 藤澤さなえ】 |
熱帯――というと、熱帯魚を思い出します。
小学生の頃、家で熱帯魚を飼っていました。
玄関の靴箱の上に横幅1mもある巨大な水槽が置かれていて、その中に色鮮やかなネオンテトラやグッピーがたくさんたくさん泳いでいたのです。
いつから置かれるようになったのかは覚えていないのですが、ある日突然家の玄関に登場したその水槽にとてもはしゃいだ記憶があります。
特に青くきらめくネオンテトラはたくさん泳いでいて、水草の間を行き交う様子はまさに水族館。妄想ばくはつ乙女脳小学生女子だったわたしにとっては、夢のような玄関だったのです。
話は変わりますが、例えば欲しい商品Aが1個100円で売られていたとします。でもそれは、3つ買えば260円になると書かれています。
自分が今必要としているのは1個だけです。あなたなら1個だけ買いますか? それとも3個買っちゃいますか?
情けない話ですが(?)、わたしは明らかに後者です。「あと2個はストックに置いておこう!」とか「何かで使うだろう」と自分に言い訳をして、単価が安い方を買ってしまいます。
それどころか、大して必要にしていない物でも大安売りしていたらつい買ってしまうこともよくあります。商品Bはそれほど必要じゃないんだけれど、あっても困らない。しかも普通1個100円のところが今なら5個250円! ……なんてかんじだと「安い!」「買っておかないと損かも!」と、買わずにはいられないのです。
そして余分な購入分を消費するまで、すごーくながーく時間がかかったり、結局誰かにプレゼントしたり、ひどいと捨てる……みたいなことがままあります。
本当によくない浪費癖だと承知しているのですが、「安い」の単語の魔力にどうしてもあらがえない……! まるで夏祭りの焼きトウモロコシ屋台の香ばしいにおいや、マ○ドナ○ド前を通りかかった時に漂ってくるポテトの香りのように、ついつい「あー、お腹すいてないけど食べよ!」みたいな気持ちにさせる強烈な力があるんですよ! だからつい買っちゃうんですよ……! 仕方がないじゃない!
――で、話は戻って熱帯魚。
今回のテーマで何か書くに当たって母親に「そう言えば、昔ネオンテトラをたくさん飼ってたよね〜」って話題をふったところ、母は重いため息をつきました。
「お父さんが。1匹だと高いけれど、まとめて買うとずいぶん安くなるからって一気に100匹買ってきたのよね……」
……え?
「小さな水槽で飼う予定だったのが、突然大きな水槽になってねー。靴箱の上に他に物が置けなくなって文句言った覚えがあるわー」
……そうだったのか……そうだったのか。
あの水族館のような夢の玄関の裏にはそんな話があったのか……。
ちなみにその後、父が突然ベコニアを100株買ってきた話や、小さな鉢植えを数十個買ってきた話(もちろん両方ともまとめ買いが安いから)も聞かせてもらえました。
容姿も癖も何から何まで母親似……と言われるわたしですが、父の遺伝子は買い物関係で受け継いじゃってたようです。 |
【12年08月17日 友野詳】 |
大学時代に、一般教養で「文化人類学」の講座をとったら、レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』を読んで発表をしてゆく授業だったのですが、いまとなっては、ほとんど記憶からぬぐいさられております友野です。まいど。
大半忘れたとはいうものの、呪術(魔術)についての記述のいくつかは覚えておりますけどね。いま、読み返してみると、新たな発見もあるんでしょうな。
しかし、学術的な名著ゆえではなく、むしろ往年の俗悪(なんという心惹かれる魅惑的な言葉。ああ……俗悪でありたい……)フィクションの影響下で、熱帯という言葉から原始魔術とか呪いの儀式とか、そういったイメージを呼び覚まされてしまいます。まことにもって政治的には正しくないのですが、大丈夫、フィクションと現実の区別はきちんとできる健全な人間ですので、わたくし。放射能を浴びて、ふつうの生き物が怪獣になったりすることが現実には決してありえないと知っております。
ゴジラは放射能を浴びて怪獣になりましたが、モスラは水爆実験の放射能から、自分が住む島の生態系を守りましたな。南海の孤島インファントです。島の人々は、危機におちいるとモスラに祈りを捧げます。シンプルに血を騒がせる音楽と共に、舞う、踊る。
正直にもうしあげて、子どもの時にすりこまれたあれが、私の熱帯のイメージそのものでして。モスラでなければキングコング。もちろん、東宝映画『キングコング対ゴジラ』のファロ島の住人たちがキングコングをなだめるダンスや、太平洋の底にあるムウ帝国(ちゃんと皇帝陛下のアクセントで読むこと)の民がマンダをなだめるためのダンスも焼きついていますが。
怪獣をおとなしくさせたり、めざめさせたりする、あれはまあ日本人にとっては、あらぶる神に捧げるお神楽って感覚で理解すりゃいいんじゃないかと思うのですが、つまりは宗教儀式であり、広義の召喚魔法(封印や退去の魔法は、召喚の裏返しでしょ?)と理解すると、はいファンタジーにも通じますね。
熱帯と魔術っていうのは、欧米ホラーの分野では不可分なものです。文化偏見という視点でも読み解けますが、それだけで切り捨てては、南方幻想とかエキゾシズムへの憧れが失われてもったいないと思うのです。
央華の時に拾いきれなかった(資料がなかったんですよね)中国南方呪術ネタとか、面白いんですけどね。こう申しあげてもピンとこない方が大半でしょうが、香港映画のホラーに南方呪術ものというジャンルがあったりするくらいで。東南アジア圏の、恐怖伝承と絡めて、底は浅いが奥の深い、Z級ホラーの世界が広がっているのです。
Z級ホラーといえば……。
熱帯の呪術のなかで、最もホラー文化に寄与したのは、なんといってもカリブの「ゾンビ」という概念でしょう。
はじめは呪術によって動かされ、労働力として使役されるにすぎなかったものが、さまざまな語りなおしによって、幾多のバリエーションを生じて、ついには年間十数本(もっとか?)の映画が作られる人気の素材になったわけですから。まあ、その九割五分までが、箸にも棒にもかかりませんが。それでもDVDスルーで輸入されたりしますけど。あ、もうちょっと邦題はお考えになっていだけませんか。『おっぱいゾンビ』とか『ハゲタカゾンビ』とか『レイダース 失われたゾンビ』とか、いくらなんでも。
さておいて。
ゾンビに関しては、ちょっと語るだけで気がつけば本が一冊ぶんになってしまうので、ここではこのへんにして、書いてしまった本を読んでいただければ、と思います。
はい。
書きました。
先日、カードゲーム『テキサスゾンビーズ』が発売され、R&Rさんでその世界を使った短編ゲームノベルを書かせていただきましたが。
それをプロローグとして、一冊ぶん、やっちゃいましたのよ。
詳しくは、まもなく新刊案内で……!
というわけで、薀蓄に見せかけて今回は宣伝だったのでした……! |
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