|
日々つれづれ 13年01月
テーマ 「 みなみ 」 |
【13年02月28日 秋田みやび】 |
南。
一般的にすぐに考え付くのは方角しかなく、そして暖かいというイメージ。
でもって、前回秋田が書いたエッセイのお題も「熱帯」でして、同じようなネタが連続となってしまい、頭を抱えまくった次第です。
そうなると、前回のエッセイをそのまま貼り付けていいじゃないかとか、もんもんと考え抜いたり不毛な時間を過ごします。
ここまで悶絶したのは久しぶりです。
とりあえず、連想ゲームをしてみよう。別方向に突破口が開けるかもしれない。
南……。
暖かい……。
暖かい場所の動物……。
毎回何かにつけ動物をテーマにしたものをこじつけて書いているわけですが、引きこもり同然の生活をしている秋田に、そうそう動物との出会いがあるわけはなく。
とりあえず動物園に走るか……いや、お題イメージに反してまだ寒いからいやだ。閉じこもっていたい。
こんな風に思うのは、きっと何気なく見ていたTV番組の手相コーナーで言っていた、「お疲れ線」というのが、あり得ないほどにくっきりと3本も浮き上がっているからに違いない。
こんなコーナーで言っているいい運気の線なんてめったに自分にはないのに、こういう余計な刷り込みをするような手相ばっかりくっきりと刻まれている己の手のひらはどうかと思う。
いや、これはきっと、本当に疲れてのかもしれない。そうだ。そういうことにしてしまおう。
そうなると、一度ゆっくりと何もかも忘れてのんびりと休んでみるというのはどうだろう。
南の暖かい場所とかでのんびりと……あ、そうそう、よし、これで「南」っぽくなってきたぞ。
のんびりとする場所。
あったかくて、可愛い動物がいて……温泉とか。
九州とか沖縄あたりを旅してみようかな。まだろくに使ってないカメラの使い道も模索したい。エッセイのお題のたびに、こんなことを言ってる気がするけれど。
まあ、可愛い動物といっても、間違いなくうちにいる猫と文鳥ほどに可愛いイキモノがいるはずがないのですが。
あれ?
そうなると、可愛い動物にまみれてぬくぬく過ごすのなら、しっかりストーブをつけて電気ひざ掛けONにして、入浴剤を買ってきて……とりあえず、きゅうり(現在マイブーム)と米を買ってきて引きこもるでよくない?
そうか、究極の癒しライフは、青い鳥と一緒で自分の家にあったんだ!
……と。南というタイトルに対しての思考をダダ流しにして、こうやって書き連ねてみると。
やだなあ、微妙に病んでる気がしてきた。
病は気から。
本気でリフレッシュに旅に出る計画を立てようと思いました。
しかし、南という同じタイトルのエッセイがくることは、おそらくないはず……西か東か、それとも北かの三択で!
次は、北とか、さむいっぽいお題でお願いしたいと、切に願うのでした。 |
【13年01月28日 ゆうみん】 |
今年の恵方は南南東……ちょっと東にずれているので却下!
遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。
今さらですが昨年、白夜書房さまから『ふしぎの町のミステール』という本を出していただきました。小学生向けのパズル&クイズ・ストーリーブックです。
で、出したはいいのですが発売直後から「本屋さんで探したけどなかったよ。どこに置いてるの?」と友人に言われています。
出版社さま・著者ともに初めての児童書ゆえか、書店の過酷な棚争奪戦によるものか、ひっそり目立ない場所にあったり、そもそも入荷してなかったりしていたようです。
そんな! せっかくとても素敵な本にしていただいたのに、人目につかなきゃ手に取ってもらえないじゃないか!
というわけで発売から半年も経ってて今さらですが宣伝しておこうかな、とか。
たいへん可愛らしい公式サイトも作っていただいてまして、そこから試し読みもできますので、ぜひご覧いただければ嬉しいです。
→ 「ふしぎの町のミステール」公式サイト
→ SNEHP・著者インタビュー2012年7月号
と、宣伝はこのあたりにしまして、今月のエッセイです。
皆さまは「南」で何を連想するでしょうか?
時代や場所、人により様々あると思いますがそれらの中からするっと「朱雀」とか出てきちゃったりするのは、たぶんわたしが中二病をこじらせたことがあるからです。
朱雀とは赤色の優美な姿をした中国神話の神鳥。世界の四方位を守る四神のお一方です。
東に青龍、西に白虎、南に朱雀、北に玄武。五行説だと中央に黄龍(もしくは麒麟)が加わり、方角だけでなく季節や色などさまざま司っています。
この四神にちなんだ事物はいろいろあるのですが、わたしがこういったマニアックな知識を大量に入手したのは、小学校後半にできた友人の影響でマンガやラノベにのめりこんだのがきっかけでした。
中でも最もはまっていた1990年代は、世紀末に恐怖の大王がやってきて世界滅びちゃうよ☆ という予言が大流行した時代。
神話や伝承、オカルト系のネタが若年層向けのマンガや小説、ゲームなどでたくさん使われるようになったのもちょうどその頃だったようで、そういうネタが盛り込まれた作品をたくさん読みまくり、興味をひかれたネタを片っ端から調べまくったのでした。
そうして学生時代最盛期に学校の勉強そっちのけで空想の世界に浸りきり、今では学校で習ったことはすこーんと頭から抜けてしまっているのに、マニアックな知識だけはしっかり覚えている、というなんともダメな大人がわたしです。
良識ある大人の立場からは「こんな大人になってはいけないよ子どもたち」と言いたいところですが、作家としては読者がそれくらいのめりこんでくれるような作品を書けるようになりたいなぁ、とも思います。
まだまだ拙くはありますが、いつかはそんな本を書くことを今後の目標にがんばりますので、応援をいただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。 |
【13年01月22日 北沢慶】 |
南。
いろいろ考えて思い至ったのが、「南半球」というキーワードです。
普段北半球に暮らす我々日本人にとって、南半球との違いについては、あまりよくわかりません。
せいぜい「季節が逆転している」ぐらいでしょうか。
北沢も1度だけオーストラリアへ行ったことがありますが、行ったのが3月だったので、季節は秋でした。季節は真逆ですが、気温に大差がないので、服の準備にそんなに困らなかったことを覚えています。
そして北半球と南半球の違いとして耳にしたのが、「南半球では渦が逆に巻く」という話。
洗面台とか、風呂桶の栓を抜いたときとか、水洗トイレで水を流したときとか、渦を巻く方向が、北半球と南半球では逆になる、という話ですね。
実はこの話を初めて知ったのは、『妖魔夜行』の「悪夢ふたたび(著:山本弘)」のエピソードからでした。
しかも、「『水洗トイレの渦は南半球では逆に巻く』というのは迷信」という、いきなり否定の話でした(笑)。
そのとき、そもそも「南半球では渦が逆に巻く」という話そのものを知らなかった僕は、「???」となったわけですが。
一応調べてみたら、地球の自転方向の関係で、北半球と南半球では、渦を巻く方向が逆になる……というもの。
一瞬、「なるほど」と思ったけれど、地球の自転の影響が、洗面台や水洗トイレみたいな小さいものにまで及ぶのかいな? 首を傾げたわけです。都市伝説にしても、根拠薄弱過ぎやしないかと。
で、さらに調べてみると、「コリオリの力」というものに行き当たりました。
地球は東向きに自転しているため、低緯度の地点から高緯度の地点へ向かって運動している物体は、東側へ(逆なら西側へ)力が働くというもの。
なので地球規模の運動、たとえば台風や海流などは、「地球の自転の影響を受け、北半球と南半球では逆に渦を巻く」というわけです。
なるほど、都市伝説の出所は、そのあたりにあったんですね。
結局、「南半球では、水洗トイレの渦は逆に巻く」というのは迷信でした。機材の形状や、そのとき流した水の方向で、渦は右にも左にも巻くわけです。残念ながら、そんな身近なところで、地球の自転は体感できないのでした。
ですが、1000mを超える狙撃では、なんとこの「コリオリの力」が影響し、弾道が曲がるそうです。北半球では、真北に撃った弾は、わずかに右(東)へずれるとか。
狙撃の世界記録は、オーストラリア軍のスナイパーが達成した、2815m。
これって、「コリオリの力」も計算に入れて狙撃したのか、長年のカンによるものなのか、ちょっと興味がありますね(東西へ向けて撃っていたら、あんまり関係なさそうですが)。
さらには、世界最大口径、最長の射程を持っていた旧帝国海軍の戦艦、大和の主砲である46cm砲は、40km超もの射程を持っていました。そりゃあ、命中させるのも大変ですよね。
まあ、「コリオリの力」以前に、船だから揺れてるし、動いてるしで、さらに大変でしょうけど(笑)。そもそも目視に頼った射撃だったから、30kmより先は見えてなかったって話だし……
しかし、狙撃にも「コリオリの力」が働いているならば、北半球で活躍していたスナイパーは、南半球へ配置換えになったら、しばらく混乱することになりそうです。
地球の自転、恐るべし。 |
【13年01月17日 友野詳】 |
生粋の大阪人なので、ストレートに難波の話。
大阪の繁華街というと、まあだいたいキタかミナミか、という話になる。
通称であって、こういう地名があるわけではない。
キタは、大阪市の北側。JR大阪駅のあるあたり。大阪の玄関口であるな。大阪市民は、現地の地名で「梅田」と呼ぶ。私鉄や市営地下鉄の駅名も梅田なので、よそからおいでの方は、ときおり混乱される。
ミナミは、大阪の南というより中央。地名でいうと難波一帯。ビジュアルイメージである、道頓堀川にグリコの看板が映ってる、あれがミナミの情景。
大阪の盛り場、ほかにもあるっちゃーある。戦前は新世界あたりが盛り場の頂点だったと聞くし、近年は阿倍野天王寺も再開発が進んでいる。
なんだけども、ほとんどの人は、繁華街に遊びに行くというと、ミナミかキタを思い浮かべるんじゃなかろうか。
ちなみに例にあげた新世界天王寺阿倍野、すべてミナミのさらに南にある。難波がミナミと呼ばれだしたのは、もしかすると、大阪駅が発展して、あっちがキタと呼ばれだしてからなんやろか。梅田のステンショ、と呼ばれる国鉄の駅ができたのは明治。でも道頓堀界隈は、江戸時代から盛り場だったはず。そのへん、調べてみんとわからんのやが。ちょぼちょぼ、資料とか探して、大阪の時代もんとかやれたらおもろいなーと思う。まだスタートもきってへんけど。
閑話休題。
ミナミとキタ。盛り場というても、それなりに色あいが違う。なので、休みの日に出るというたらキタとミナミのどっちやねん、という点で、大阪人にも微妙な派閥があるねんな、これが。
前にこれ言うたら、阪神梅田店地下のいか焼きと、道頓堀の大ダコの違いですな、と聞いたふうなこと言うた若いのがおったんで、ボケが、イカヤキとタコヤキは地元の店で食うか、夜店の屋台に決まっとんじゃ! とおどしつけておいた。大阪の人ガラ悪いデスネ。
いや、だからキタとミナミの話ですけど。
生活圏やら通勤通学ルートやらで、頻繁に立ち寄るほうと、よし遊ぶぞ、と出て行くのとで、ちょっと違ったりもする。
私は、神戸のSNE事務所に行く途中、梅田を通るので、用事なんかはキタですますことが多いのだけど、遊びに出るか、となるとミナミになるなあ。
キタのほうは、やっぱり表玄関なので、きっちり片付いてる感じがする(まあ阪急東通り商店街とか、御堂筋渡って太融寺さんあたりまで行くと雑然としますがね)。なんか、ビジネスマンとかマダムが買い物するとこ。ちょっといきってる(気取ってるみたいなニュアンスの大阪弁)感じ。
ミナミのほうが、気が楽で、だらんとしてた。まあ、だらんとしすぎていると、カツアゲにかかったりしますがな。二回ともミナミで喰らったのう。ダッシュで逃げるのに成功してことなきを得ましたが。
でも、そんなこと言ってたのも、なんか昔の話やなあという感じになってきた。実際、カツアゲされたんは学生時代やから四半世紀前なんやけど。
通ってた店も代替わりしてしもて、うさんくさいところには蓋がされ、街は安全になった。ミナミもキタも同じようになって、酔っ払ったおっさんも寝てへんし、カツアゲもされへんようになった。
ええことなんやろうけども。
去る93年(20年前である!)、ザ・スニーカーで「友野詳特集」を組んでいただいた時、ミナミのど真ん中で花売り娘やら、酔っ払いやらの格好して、グラビア写真を撮った。「どんなグラビアや!」
と当時の担当と自分にはげしくツッコみたいが、あれは、やっぱりあの頃までのミナミやからできたんやなあ、と思う。
ロケット広場もなくなり(そういう待ち合わせスポットがあったの!)、足しげく通った名画座もなくなり、古本屋街は移転縮小。
少しさびしい。たまに、もっと雑然として、ガラも悪かったミナミが懐かしくなる。
だからといって、また花売り娘の格好で写真を撮られたいわけではありません。 |
|