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TOP > ユーザーコンテンツ > エッセイ > 安田均の「ゲーム日記」第7回
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安田均の「ゲーム日記」 第7回 エッセン2000版 (2000年11月版)


 クニツィーア、トイバーとくれば、ご三家の一角クラマーが登場するな、とちょっとドイツゲームに詳しい人はお思いでしょう。
 その通り、『ジャワ』(ラベンスバーガー社)Javaは、ここ2年、ドイツゲーム大賞を連続して受賞した、彼とキースリング黄金コンビの作品です。
 しかし、わたしはこの作品にはあまり高い評価を与えられません。
 おそらく、‘ゲーム’としては最高です。これまでの受賞作を越えて、おもしろいものですから。でも、その理由が、受賞作の『トレス』を、これまた受賞作の『ティカル』の雰囲気で遊ぶものだとわかったなら……やっぱり、素直に喜べないですね。
 もちろん、ゲーム自体は新しいですし、発展したおもしろさはあるんですが、なにかこう遊んでる感覚が‘行動ポイント’みたいな点で一致していて、いま書いたような気分になるんですね。
 そりゃ、おもしろくなるはずだけど、ずるいよ。
 ということで、これまでの受賞2作品を遊んだ人はパスしても結構でしょう。
 ただ、はじめてこの手の作品を遊ぶという人は、ぜひ試してみてください
 これまでの2年を経て、いちばん完成されたティカル=トレス=ジャワという傑作が姿を現わすでしょうから。


JAVA




実物のマップはもっときれい。
@つぎの『ドージェ』(ゴルトジーバー社)Dogeは、いかにもドイツゲームだなあ、と感慨にふけってしまった良作。
 これを作ったコロヴィーニという人は、去年『カール大帝』で、2、3、4人どれでも楽しめ、領土がくっついたり離れたりするおもしろいゲームを考案した人です。
 でも、これまでにもあの大ベテラン、ランドルフと組んで『イースター島』とか『インコグニト』を作ってきたとなると、ああ、あのおもろいゲームを作る人だなと納得がいきます。
 ここでも、お得意のヴェニスを背景に、同時入札の競りで家建て競争をするという、ある意味、いかにものドイツゲーで、しかもそれがうまく決まっている、まさに予定調和のような作品。
@でも、とっても楽しいです。
 なぜか。
 それは、ゲームに付属する小物が最高だからです。
 まずマップが美しい。ヴェニスという街を見事に写し取って、盤を見ただけで、‘遊びたい!’という誘惑に駆られます。それから、ゲーム中にボーナス得点として付いてくる役人に、誰のものかという印の帽子をかぶせます。これがシャンプーハットみたいで実にユーモラス。別にそこまでしなくてもゲームは進むのですが、これを被せなければ、なんとなくゲームをしていないという気にさせてくれます。
これが噂のシャンプーハットです。


 ゲームに絶対必要ではないが、ゲームの雰囲気を考えると、すばらしい効果を生み出してくれるという、この細工がドイツゲームはすばらしいのです。『スコットランドヤード』のバイザーであり、『砂漠を超えて』のライダーラクダ駒であるといえば、おわかりになるでしょう。
 これがなければ、実は『ドージェ』は考え出すときりがないゲームになりがちです。論理的には切れのいいゲームなのですが、お利口さんが長考して勝ちがちという。このシャンプーハットによって、それが和らげられる、というのがすばらしい。このゲームを遊ぶときは、そのユーモアがわかる人たちと遊びたいですね。




 そして、久々のカール=ハインツ・シュミールの新作『アッティラ』(ハンス・イン・グリュク社)Attilaも発表されていました。
 シュミールは異色のデザイナーで、ルールを作るゲームとか、手札のカードを自分で決めるトリックテイキングとか、いわゆるメタゲーム風のあやしげなものを作るので有名な人ですが(わたしは大好き。でも万人向けではない)、この作品は意外とあっさり味でした。
 アッチラはフン族の王ということで、歴史風のゲームと思いきや、じつはアクワイアに似た駒置き1位2位ゲームです。
 決算が4回あるのですが、いかにそのときに向けて自分の駒を有利に配置するかというゲーム。悩ましい決断を経て、45分くらいで終わるいかにものドイツゲームですが、タイミングを見計らわないと、誰かがかなり優位になったりします。
 その意味では、結構メンバーを選ぶ感じもありますが、すぐに‘もう1回’といえるのがいいところ。ばかばかしい楽しさまで考慮に入れると、『ヴィンチ』の方に軍配が上がるでしょうが、わたしはすぐに遊べるアクワイア風味のこっちも好きです(ただし、これ4〜5人ではいいのですが、2〜3人で遊ぶときは勝利条件を一部変更しないと、ゲームがすぐに終わってしまいます)。いずれにせよ、シュミールが元気で、軽いものもこれから作っていきそうというのは期待したいところです。
Attila



豆カボネ

 もちろん、ほかにもボナンザシリーズの新作『豆カポネ』とか、隆盛をきわめる2人用ゲームとか、見た目はいまひとつながら実におもしろそうな同人風ゲームとか、山ほどありますが、さすがにちょっと遊ぶのはペースダウン。
 まあ、ここに取り上げた6点だけでも、すでにかなりのレベルに達しているわけです。さらにいえば、来年2月のニュルンベルクでは、これを超える量のドイツゲームがまた発表されるわけですから、依然として宝の山は健在なのでしょう(今回なかったシュタウペ期待してるぜ!)。
 ここに書いたゲームはこれから日本に輸入されてくるはずですから、ぜひ一度遊んでみてください。アイデアという意味では、ゲームの最前線が実感できますよ。


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