さてさて、I Gotta iPad もいよいよ第六回となりました。
そろそろ書くネタがつきてきたかというと、ぜんぜんそんなことはなくて、ネット上では日々大量のアプリが発表されています。
言葉遊びとダンジョン潜りを組みあわせたものなど、趣向を凝らしたものも次々と登場している模様。
いろいろと新しいものをご紹介したい誘惑に駆られますが、今回は当初の予定どおり「伝統的トランプゲーム」についてお話ししたいと思います。
といいますのも、前回の記事は筆者自身の趣味趣向に走りすぎたかな、と少々反省中。
これではあかん、「iPadのゲームて、みんなそんなマニアックなんかいな」と思われたら、このコラムを書いてる意味がなくなる。
でも、トランプゲームなら、みなさん、よくご存じですよね
じっさい、本当にたくさんのアプリが出ています。
すでにインストール済みの方もいらっしゃるかと思いますが、たとえばハーツ(例:Hearts:http://itunes.apple.com/us/app/hearts-hd/id383313091?mt=8) 。
元々は4人で遊ぶトランプゲームですが、Windows PCにインストールされたことから、一気に認知度が上がったように思います。
上であげたアプリは無料で、AI対戦や複数対戦が可能です。他にもたくさん出ていますので、探してみてくださいね。
ソリティア(一人遊び)系のゲームがいくつかパックになっているものもあります。
たとえば、ソリティアシティライト
(http://itunes.apple.com/jp/app/soritiashitiraito/id289889741?mt=8)。
これはね。アニメーションも含めて、ほんと、よくできてます。けっこう好き。
ただね。アドオンが1ゲーム85円なんだよなあ……
もちろん安いのはわかってます。
ゲームという分野を守るためにも、またゲームデザイナーの生活を守るためにも、わたくし、いつも口癖のようにiPadに語りかけております。
「あんまり安売りしたらあかんよ? よう出来たアプリやったら800円までなら払うからね?」
これは本音。
ただ、なんかアドオン1個で85円は高い気がしてしまって、手が出ないんだよねえ?
とうとう私も安価すぎるアプリに毒されてきたかなあ……
己の矛盾に心を痛める今日この頃。
つづいてのお薦めは――冒頭に「こんなマニアックではあかん」と宣言した、その舌の根も乾かぬうちに恐縮ではありますが、「知ってる人が見たら狂喜乱舞する」であろう、マイナーな伝統トランプゲームを2点だけご紹介します。
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【Cribbage Lite】
価格:無料(iPad用有料版あり)
言語: 英語
販売業者 : Trivial Technology
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参考URL:http://itunes.apple.com/us/app/cribbage-lite/id301152770?mt=8 |
私は無料のiPhone版を使っていますが、iPad版 \250 も出ています。そちらはオンラインやwifi対戦も用意されています。
クリベッジ(Cribbage)はイギリスの伝統的パブゲーム。成立は17世紀ごろのようです。
1プレイの時間が短く、ふしぎな雰囲気のあるゲーム。
凝った得点ボードがたまらなくオシャレです。アプリでもそこは忠実に再現されています。
ルール自体は一度呑みこむと簡単。忘れがちな得点計算もAIにお任せ。
日本語でルールが紹介されているサイトもありますので、ぜひ挑戦してみてください。
ふらりと立ちよったロンドンのパブで、日本の旅行者がさりげなくクリベッジの卓にまじる――しびれるかっこよさですよね。
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【iBridge Baron】
価格:1700円
言語: 英語
販売 : Great Game Products, Inc.
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参考URL:http://itunes.apple.com/us/app/bridge-baron/id309217339?mt=8 |
むうう、ここでの注目は「価格」かも。
わたしが2010年、発売と同時にiPadを手に入れ、真っ先に探したのがこのアプリ。
そのときの価格は他に比べて破格の2300円。
それでも海外からCD版を取りよせることを思えばはるかに安いし、通勤途中でコントラクトブリッジ遊び放題とは夢のようです。
清水の舞台から飛び降りる思いで、2300円支払いましたとも。
それがいまや1700円まで値下がり。恐るべし、円高ですね。
歴史をさかのぼれば、16世紀初頭のホイスト系カードゲームにたどりつくという、トリックテイキングの王様「コントラクトブリッジ」。
チェスや囲碁と並ぶマインドスポーツの代表格です。
海外の小説では、よく題材に使われています(アガサ・クリスティ『ひらいたトランプ』など)。
日本ではそれほどメジャーではありませんが、世界中に多くの愛好者がいるとききます。
グループSNEでもボスを筆頭に一時期、毎日のように遊んでいました。
何度か休止期間はあるものの、スキーや水泳と同じで、一度身に染みついた「技能」は少し復習すればすぐに錆を落とせるもの。いまもSNEでは「社交」的に遊ばれています。
もともとPC版で定評のあるプログラムですから、iPadにおいてもそのクオリティは折り紙付き。
どんなゲームかというと、二人一組になって、まず取れるトリック数をビッド(賭け)し、その後トリックテイキングを行います。
――ああ、ほんま、知らない人には「なんのこっちゃら?」ですよね。
このわかりにくさがブリッジの難点でもあり、最大の魅力でもあります。
決してとっつきやすいゲームではありませんし、気軽に遊ぶわけにはいきませんが、ちょっとでもかじったことのある方には、このアプリは超お薦めです。
AI相手だとペアに迷惑をかけるという気遣いも不要ですから、練習にはもってこいですよ。
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さらに楽しいソリティア(一人遊び) |
前回、前々回のこのコラムでご紹介したとおり、アイテム探し、まちがい探しでもストーリーや地図と結びつけた楽しいパズルがたくさん出ています。
そして、その「波」はソリティア系のトランプゲームにも及んでいるのですね。
代表格と思われるものを一つご紹介。
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【フェアウェイ ソリティア HD 】
価格:無料
言語: 日本語, 英語, フランス語, ドイツ語など
販売:Big Fish Games, Inc
PC用ダウンロード版:あり(『フェアウェイ ソリティア』) |
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参考URL
:http://itunes.apple.com/jp/app/feau-ei-soritia-hd-big-fish/id428393840?mt=8 |
こちらはなぜか「ゴルフ」にソリティアを組みこんだもの。
どこがどう「ゴルフ」なのかという説明は大変難しいのですが、ソリティアってたいてい、全部のカードを場から取り除く、あるいは、つなぎきるとクリアですよね。
このゲームの場合、一定の数までカードを取り除けば「パー」、それ以前に手詰まりになってしまったら「(ダブル)ボギー」、完全にクリアできたら「イーグル」以上の成績がもらえます。
コースはなんと186用意されていて、かつそれぞれのコースが3〜9ホールにわかれていますから、遊びごたえは充分。
しかも、コースによってOBあり、バンカーあり、池ありで難度もさまざま。
これで無料はすごいです。
リアルマネーを利用すれば強力アイテムを購入できるのですが、ゆっくりまったり遊ぶなら特に不要だと思います。
というのも、良い成績でコースを終了すればゲーム内貨幣で賞金を獲得でき、それを使っていろいろ便利アイテムを買えるからです。
筆者もリアルマネーは使いませんでしたが、上図のとおり、☆三つで全クリアしました(成績によって☆が1個〜3個もらえます)。
そして、なんと言っても楽しいのが、↓こいつ(笑)。
「ジリス」と言って、あの手この手でプレイヤーの邪魔をしてきます(ジリスという怪しい生き物かと思っていたのですが、どうやら「地栗鼠」の意味らしい……)。
我々がプレイしているあいだ、ゴルフ場の地下室で悪だくみ。
そして、そのことごとくに失敗する。
なにやってんだ、ジリス?
こうした幕間の寸劇って、すっとばすこと多くないですか?
でも、このアプリに関してはジリスの存在こそがゲームを格段にアップしていると思います。
それというのも、短い文章ながら、ときおりはさまれる日本語のセンスがぴっかぴかに光ってる。
言葉って大事だな、と認識を新たにした次第です。
ゲームとしては単純といえば単純。
そして前述したとおり、ソリティア系アプリは星の数ほど出ています。
けれど、ボリューム、遊びやすさ、バランス、ユーモア、センスと、多くの点において他と一線を画しているのではなかろうかと思います。
……べた褒めになってしまいましたが、これと同等クラスのアプリを求めて数か月、いまだ見つかっていないので、なにとぞお許しを。
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本日のオマケ |
【ドリーム・オブ・ゲイシャ(Dreams of a GEISHA 】
価格:無料(有料版:450円)
言語:日本語, 英語, フランス語, ドイツ語など
販売:Big Fish Games, Inc
PC用ダウンロード版:あり(『ドリーム・オブ・ゲイシャ』)
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参考サイト:
http://itunes.apple.com/jp/app/dorimu-obu-geisha-hd/id459801505?mt=8 |
フレイバーの馬鹿馬鹿しさゆえ、栄えある「オマケ」ゲームに選ばれた、本格的なマッチスリーパズル。
どう馬鹿馬鹿しいかというと、テーマが芸者。
西洋人、好きだよねえ、こういうの。
そして、必ずある楽しい勘違い。
案内役の芸者の名前が「イチスミ」なのは、まあいいとして、どうやら、このゲームではGeishaはみんな、Templeに住んでるらしいです。
どこでどう間違えたら、そんなことになるんやろ?
あと、マッチ(組)を作るアイテムが――
下駄とか盆栽とか、よくわからないものが選ばれています。
(しかし、鳥居はあかんやろ、罰当たりやろ?)
ゲーム自体は本格的でよくできています。
パズルの種類は4種類。
隣り合う2つを交換して3つ以上のマッチを作る、すでにできている3つ以上のマッチをタップする、3つ以上の連続するタイルを指でなぞる、自分の所持しているタイルと場のタイルを交換して3つ以上のマッチを作る、です。
パズル自体にもいろいろな工夫がされていますし(特殊能力が使えるなど)、何面かクリアすると、ミニパズルにも挑戦できます。
はい、すごく、よくできています。
楽しくて、筆者は延々遊んでいます。
ただ――それほどは「熱中」しないんですよね。
なんだろう? なにが足りないんだろう。
どうしたわけか、微妙な「まあまあ」感が拭えません。
とはいえ、フルバージョンの有料版450円は、ボリュームを考えると決してお高くはありません。
「長く遊べるマッチスリー」アプリをお探しの方にはお薦めです。
というわけで、本日はこれにて終了。
第七回は5月中旬掲載。筆者が個人的に遊び倒した大好きゲームをご紹介する予定です。
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