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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 三田誠(2004年12月)
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三田誠特集
「レンタルマギカ 〜魔法使い、貸します!」
「烙印よ、刃に囁け。 SCAR/EDGE」
「アガルタ・フィエスタ! てのひらに女王を!」

設定、心理描写、戦闘。がっつり読みたいアナタにおススメ。
「烙印よ、刃に囁け SCAR/EDGE」
篠谷: それでは、次に参りたいと思います。11月に富士見ファンタジア文庫さんより、「烙印よ、刃に囁け。 SCAR/EDGE」が発売されました。こちらは、富士見書房さんの「にゅうっとグランプリ!」にエントリーされている作品ですよね。
三田: 榊(さかき)一郎さんが、帯ですごい褒め方をしてくださって。いいんだろうかと。
篠谷: いいんだろうかって(笑)。いいんですよねっ? ぜひ読者の皆さんも書店で確認してください。
簡単なあらすじ
世界はほんのちょっと未来。魂の存在証明がなされ、究極の個人証明〈烙印〉としてあらゆる人に刻まれている。女子高生の緋原(あけはら)・ちひろ・ランカスターは、烙印局で「化物」と呼ばれる少年キズナと出会う。心の一部を喪失したことで、〈烙印〉から人知を超えた力を得ることができる「傷持ち(スカード)」であるキズナ。ちひろとキズナは、未冬という女の子の行方を追って、共に行動することとなる――。
三田: 他の2つに比べると、見かけからして重い話ですよね。そういうのも一本ぐらいはあってもいいかな、と書きました。
篠谷: 「心の傷(スカー)が力になる」っていう設定がすごく好きなんですけど、傷持ち(スカード)たちは、傷がただ単に力になるだけじゃ、ないんですよね。その傷によって力を得るけれども、同時に心の何かを喪失している。なんとも哀しくて切なかったです。
三田: これは他の作品でもそうなんですけど、あとがきに毎回1つずつ、本とかゲームとか書いているんですよ。書く動機やヒントになったやつを。で、SCAR/EDGEは、梨木香歩さんの「裏庭」っていう話なんです。ある洋館に秘密の「裏庭」があって、おかしな世界へつながっている。その世界には、心に傷を負って3つに分かれた国が……という話で、それぞれの国民が自分の傷をどう扱うかっていうところが面白くって。そこから、傷をテーマにした話を書きたいなと思ったんです。
篠谷: 骨太な話を、がっつり読ませていただきました。
三田: 書くのも体力を消費します(笑)。とにかく苦労した話で、レンタルマギカやアガルタ・フィエスタ! は1ヶ月半から2ヶ月ぐらいで書いたんだけど、SCAR/EDGEだけ書くのに4ヶ月かかった。2ヶ月ぐらい遅れちゃって、担当さんに「どうしたんですか? 三田さん」「いや、その、なんだか進まないんです。うわ〜ん」っていうやりとりが(涙)。
篠谷: 〈烙印〉とか、"傷(スカー)"とか、「魂成学(ソウルトロジー)」とか、設定をいろいろと散りばめているからじゃないんですか?(笑) 
三田: えーっと、好きな物を散りばめた話ではありますね。武術とか近未来とか。あと、この数年思っていることを混ぜました。携帯電話とかノートパソコンとか、どこでもインターネットができるって、すでに現代がサイバーパンクだなあって(笑)。
篠谷: 確かに。ネットもそうですけど、虹彩とか指紋とか静脈とかのシステムが片っ端からできてきて、まさにサイバーな世界ですよね。
三田: そうそう。そこで、魂の存在が証明されたなら、人はそれをどう使うかと。きっと管理とかの方向で使われるだろうなって。究極の個人認証がある世界は、究極の管理社会になりえるだろうと。そのへんの怖さも出していけたらいいな、と思っています。
篠谷: はい。誤魔化しようのない個人認証を握られている世界っていうのは、なんだか不気味な怖さを感じました。
三田: 時間がかかったといえば、SCAR/EDGEっていう名前を決めるのにも、すごく時間がかかったんですよー(苦笑)。ぶった斬るイメージが強いから、スラッシュを入れてみよう、とか(笑)。ああ、副題の「烙印よ、刃に囁け。」も決まるまで時間がかかったなあ。
篠谷: キズナが刀使いですからね。そういえば、ちひろが使うエアライフルって珍しい気がしました。あんまり小説で見かけませんよね。
三田: あれは、ちひろの設定を煮詰めているうちに決まっていって。あんまり立ち回りができないのも辛いから、スポーツ特待生にしようキズナが刀だから、じゃあ銃にしようって。とは言っても、管理社会で拳銃を持たせるのもなんだし、それは学生じゃないし。それでエアライフルになった。まあ、それを人に向けちゃダメなんですが(苦笑)。実際、危機的状況でも、ちひろはすぐにエアライフルを人に向かって撃つことはできません。それが人を切れてしまうキズナとの差異にもなってます。
篠谷: う〜ん、彼が斬るには理由がありますから。いや、理由があるからって殺していいわけじゃないんですけど。でも、共感してしまう部分があるので、ちょっと困る(苦笑)。
三田: まあ、そのへんは(笑)。僕も、そういう風にテンションを高める(4)のは結構苦労してます。
篠谷: これ以上伺うと、突っ込んだところまで聞いてしまいそうなので、そろそろ今後の展開などを教えてください。
三田: 次が2巻で、……どこまで言っていいかな。さっき話した〈烙印〉による管理社会というテーマをよりからめていく方向になると思います。2巻はそのモデルケースとなる特殊都市を舞台にしようかと。
篠谷: え? ということは、ちひろは出てこないんですか?
三田: いや、もちろん出てきます。また無口なキズナ相手にがんばる予定(笑)。
篠谷: お人よしも大変ですね(苦笑)。がんばれ、ちひろ!

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