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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 『魂の戦争 第一部 墜ちた太陽の竜〈上〉』『ルーンロード1 大地の王の再来 〈上・下〉』(2005年2月)
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ルーンロード1 〈大地の王の再来>
富士見書房
デイヴィッド・ファーランド著『

3.まったく新しいファンタジー
 大地を傷つけてはならない……
 南方のインドーパル連邦より進軍する〈統合者〉たるアーテンに、新たな〈大地の王〉が立ち向かう! 北のミスタリア国の王子グボーンに、世界は救えるのか?

ルーンロード』は、この春に第1巻が発売される新しい英雄ファンタジー戦記です。詳しい設定や登場人物については、富士見書房さんのホームページでも紹介されています。ぜひご覧ください。
柘植: では、この『ルーンロード』を手がけることになったいきさつを教えてください。
安田: 壮大なファンタジーはいろいろ出ているけれど、まだまだこういうおもしろくて変わった話もあるんだよ、といろいろ探したんだ。映画化も予定されていて、ポスト・ロード・オブ・ザ・リングとして興味もあるしね。
柘植: どういうところが普通と違うのでしょう?
安田: ファンタジーには叙事詩的なものにもハイ・ファンタジー、つまりどこか彼方の理想的な世界を中心にピュアなファンタジータイプというのがあるけれど、こちらはチャンチャンバラバラの雄壮なファンタジー、と同時に、新しい "ロジカル・ファンタジー"だと思う。
笠井: ロジカル・ファンタジー、ですか?
安田: つまり、魔法を現代の理論で考えるならこうなるだろう、と置きかえるようなファンタジー。ぼくはずっとSFファンだったから、そういうのも好きなんだ。『ルーンロード』は、 "賦与"といって、能力値を奪い合う世界なんだよね。すごい発想だなあ、と思った。それって恐ろしい世界でもあるよね。そこに、通常の戦乱絵巻だけじゃないおもしろさがある。訳者の笠井さんは、最初はどういう印象?
笠井: わたしもはじめて読んだとき、SFっぽいな、と感じました。
安田: もともとこのデイヴィッド・ファーランドという作家はSFも書いていて、短編ヒューゴー賞ネビュラ賞の候補にもなってるんだ。
笠井: だからかな、あまりベタベタしていないんですよね。ファンタジーにひたりこんでいないというか。それから、アメリカン・ファンタジーって、女性の主人公が強いじゃないですか。でも『ルーンロード』は、ヒロインはいるけどそういう強さじゃなかった。
安田: わりと日本的な、たおやかな感じのする女性が多いかな。主人公が恋をするイオーメ王女とか。
笠井: ええ、そうなんです。あと、「ドラゴンランス」などTRPG小説というのは、元にあるゲームをうまく小説で表現する、という感じがしますよね。でもこの作品はファンタジーの作品構造が先にあって、そこにゲーム的なおもしろさが直接からむ、という感じ。ストレートに能力値をやりとりしたり。ちょっとエグいかもしれませんけど、なじみやすいというか、理解しやすかった。たとえば、3人から美貌をもらえば3倍美しくなりますからね。
安田: コンピュータ・ゲームの世代ならピンとくるだろう。従来のハイ・ファンタジーが好きな人には、ちょっと異質なおもしろさ、かも。でもストーリーのアイディアも斬新だよ。覇王アーテンに挑むため、主人公グボーンの父親であるオーデン王が切り札として使う作戦なんか、うわっ、とびっくりする。出てくる魔法使いも、ガンダルフの系統を継いでるんだけど、どこか違うし。
笠井: 魔術師ビネスマンですね。かっこよさそうだけど、いや、なんか違う、でもやっぱりすごい。
安田: 〈七列石〉のシーンでは……あ、これは読んでのお楽しみだね。簡単に言うと、この人物ってすごいなあ、と思わせかけておいて、あれ? という感じ。
笠井: この作者って、すごく盛り下げ方がうまいですよね(苦笑)。
安田: というか、はずし方がうまいんだよ。予想をうまく裏切って、それがきちんと伏線になってあとにつながっている。おもしろい書き方だよね。
笠井: 能力値の話ですけど、〈代謝〉(動きのすばやさ)たくさんもらいすぎると早死にする、というのもおもしろいですよね。わたしはD&Dのヘイスト(加速)の呪文を思い出しました。
安田: SFにも、時間差の問題があったりするよね。恋人が宇宙船に乗って行ってしまって、自分は普通に歳をとるけど、恋人は若いままで帰ってくる……とか。そういうロジカルなアイディアの使い方がよくわかってる作家だよね。それをうまくファンタジーに転換しようとしている。
笠井: あまりに〈代謝〉が速いと、骨を折ったときに歪んだまま治ってしまう(苦笑)。
安田: 慣性の法則があるから十倍の速さで走るのは難しい、と書いてあったり、妙にリアリティがあったりするしね。

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