――: |
では! インタビューをよろしくお願いします!! |
一同: |
よろしく〜。 |
――: |
ではでは、さっそく、今回のコンセプトを教えてください。 |
安田均(以下・安田): |
それを説明するには、まず去年からの流れを説明しないといけないね。 |
加藤ヒロノリ(以下、加藤): |
去年夏、モンスター・コレクションTCG(以下、モンコレ)が数年ぶりに復活し、生誕10周年として、アニバーサリーセットの第1弾が発売されたのは知ってるよね? |
――: |
はい。今年の2月には、アニバーサリーセットの第2弾が発売されたんですよね。確か、過去に人気だったカードを入れつつ、新しいカードを入れていこう、というコンセプトで? |
加藤: |
うん。これまでは基本的にアニバーサリー(10周年)ということで、「これまでのモンコレをやってきた人のためのセット」だったんだ。 |
安田: |
で、今年の夏からは、新たな人たちも入りやすくやっていこう、という流れになったというわけだよ。 |
――: |
あ、そういえば、今回の夏のセットのスターターとブースターは、二ヶ月にわたって発売されて、違う内容になってるんですよね? |
加藤: |
そう。まずは構築済みのスターター『鷹眼の行進歌』と『夢幻の輪舞曲』が発売されて、1ヶ月後にブースターの『英雄王の星誕』が出た。 |
杉浦武夫(以下、杉浦): |
スターターは構築済みという事で、すぐにそれだけで遊んでもらえるようになっていますよ。 |
――: |
初めての人でもですか? |
杉浦: |
はい。基本のカードが多く入っていますので、初めての人もすぐ遊べるはず。 |
――: |
『鷹眼の行進歌』と『夢幻の輪舞曲』、どちらの方が初心者向けですか? |
安田: |
『鷹眼の行進歌』やろうな。いやらしくないから。 |
――: |
『夢幻の輪舞曲』はいやらしいんですか? ……確かにこの女王様のイラストはやらしいかも……。 |
安田: |
意味ちゃう(笑)。 |
加藤: |
絵だけではなく、デック自体だよ。 |
杉浦: |
そっちは魔のアンデットとデーモンが中心で、重戦闘スペルなんです。それに、ちょこっと手札捨てが入ってます。 |
安田: |
コンボとかがいやらしい感じということや。 |
杉浦: |
『鷹眼の行進歌』は、バードマンを中心とした先攻型のアイテムデックなんですよ。わかりやすいカードが多くて、運用も比較的簡単になっているんです。 |
――: |
初心者には、風がメインの『鷹眼の行進曲』おすすめですね……ん? そういえば、構築済みは、前回、土と水をメインにしたものがそれぞれ発売され、今回は風と魔になってるんですが? |
杉浦: |
はい。 |
――: |
火と聖は? |
加藤: |
次の機会はそうなる可能性が高いですな(笑) |
――: |
なるほど。今は全部そろってないわけですよね? 現段階で戦闘スペルなどの数に、ばらつきはないんですか? |
加藤: |
少しはでてるけど、『千年皇国の栄光』とかでもカバーして、ユニットが構築済みに入っていたりするので、ほとんどないよ。 |
――: |
今回から入った「英雄」ユニット! 『英雄王の星誕』には、英雄のカードがたくさん入ってるんですよね!? |
加藤: |
各属性に3枚ずつ入っているよ。昔登場したカードも、英雄になって復活してるし。 |
――: |
英雄というからには、強いんですよね!? |
加藤: |
うん。 |
杉浦: |
コンセプトデックの要になるような、カードばかりですね。 |
安田: |
(ぼそっ)でも、使いにくいこともある。 |
――: |
え!? そうなんですか? 例えば? |
加藤: |
デックに3枚入れられるけど、1枚しか場にいられないとか。 |
杉浦: |
召喚する時に、山札を捨てないといけないとか。 |
――: |
で、でも、強いんですよね? |
杉浦: |
強いですよ。今並べたデメリットが気にならないほどには。 |
加藤: |
性能は高いし、個性的な能力持ってるし、インパクトも大きいしね。 |
安田: |
インパクトが大きいといえば……《エックスデイ・ドラゴン》が凄いよねぇ〜。 |
加藤: |
あれはうまいこと使うと、全ユニットに6000ダメージくらわせますからね。 |
――: |
6000!? でもそれって、自分も死ぬのでは……。 |
加藤: |
大丈夫、「耐性:火炎」があるから、自分だけが生き残る。 |
――: |
うわぁ……凶悪ですねぇ……。あの、それで、どうして6000ダメージなんですか? 数値に意味が? |
加藤: |
それは『ディメンション・ゼロ』さんとのコラボレーション・カードだから。 |
杉浦: |
『ディメンション・ゼロ』では数字の単位が4ケタがメインなんですよ。 |
――: |
だから6000なんて、信じられない数字なんですね、納得。 |
――: |
そういえば、『鷹眼の行進歌』と『夢幻の輪舞曲』の発売を記念して、大会が行われたんですよね。 |
杉浦: |
「スタート・カップ」ですね。参加していただいた皆様、ありがとうございました。 |
安田: |
あれ、参加賞とかもらえたよね? |
加藤: |
参加賞として、《妖精の輪》、上位賞として《豊穣姫グリングル》の「ビジュアルフレームPRカード」を配ってましたね。 |
――: |
どちらとも、すごくかわいい絵でしたよね。 |
加藤: |
女の子には、人気やろうな。 |
――: |
えぇ。あれだけ目当てに参加したくなりました(笑)。あ、そういえば『英雄王の星誕』の発売後にも、「ブースタードラフト大会」が開催されるんですよね。 |
杉浦: |
「英雄王の星誕発売記念ブースタードラフト大会」ですね。で、9月からは12回目の「全日本選手権」予選が始まります。 |
加藤: |
大会が続くねえ。 |
安田: |
そういえば、前回の「モンスター・コレクションTCGアニバーサリーカップ」は、色んなデックが見られたな。 |
杉浦: |
7月に決勝戦が行われた大会ですね。 |
――: |
『神霊獣の咆哮』から始まったアニバーサリー・シリーズの頂点を決める大会、でしたよね。 |
安田: |
そう。それ。地形がいっぱい入ったデックと、水対抗のデックの決勝戦は見ておもしろかったよ。 |
加藤: |
アニバーサリーになってから、今はまだ枚数も少ないですし、おもしろいデックが多かったですね。 |
杉浦: |
この前が約350、でこの夏で約170と考えて、大体500枚。 |
加藤: |
ちょうどいいバランスで500枚あるので、色々なデックが組めるんですよ。 |
安田: |
全国大会も、どんなデックが見られるか楽しみだ。 |
加藤: |
他には何か聞くことはない? |
――: |
あ、なら毎回インタビューで聞いている、苦労話をお願いします! |
加藤&杉浦: |
英雄。 |
――: |
英雄、ですか? |
加藤: |
英雄の立ち位置が、最後の最後まで決まらなかったんだ。体験会とかでも、意見を聞きまくって、やっぱり皆、持っている、英雄のカードのイメージが違うからね。 |
杉浦: |
あと、英雄が強すぎて英雄ゲームになっても面白くない。 |
加藤: |
かといって、英雄が目立たなかったら意味がない。 |
安田: |
一番楽なのは、一見、派手だけど、使いにくいカードにする方法なんだけどね。それでは安直。 |
――: |
む、難しいですね。 |
加藤: |
なんとか実戦的にしたよ。最終的に納まるところに納まったんじゃないかな。 |
杉浦: |
英雄だけが使われても仕方がないので、「攻撃面に寄せる」とか、そういう調整をしましたね。 |
加藤: |
最後の調整で、防御的なものも、全て攻撃の方に寄せたりね。 |
――: |
それはどうしてですか? |
加藤: |
便利で器用な英雄がずっと生き残って守備に徹すると、ゲームが長引いちゃうから。うっとおしかった(笑)
あと、『英雄王の星誕』で、ちょっと魔法(戦闘スペル)が変わったのが困ったな。 |
――: |
変わったんですか? |
安田: |
うん。各系統の名前も変わるしね。内容とかは大きくは変わらないんだけどね。これは世界観の都合だね。火が物理魔法という事で破壊系とか。 |
加藤: |
火は楽でしたね。基本、やってる事は変わらないので。 |
安田: |
じゃあ苦労したのって、土か? |
加藤: |
それも楽でした。錬金術なんで、物質つかってなにかやれば、おおむね元の土をこじつけやすいですからね。 |
安田: |
じゃあ、水か。あの変質魔法。 |
加藤: |
それです。
変質魔法ということで、「自身を変化させる魔法体系」に水はなったんですが、そこがめっちゃ苦労しました。どうしても、世界観のイメージでやると術者しか変身できないので「自軍しか効かない」とかなるんですよ。
初めは忠実にやろうとして苦労しました。わざわざ「種族:ドラゴン」に変更して、敵軍パーティに【火炎:1D】ダメージとか。
でもそういう風にやっていくと、水ならではの効果というものではなく、なにかしらの「モンスターの特殊能力」って感じになっちゃうので、あるとき開き直って「変化っぽかったらいいや」ということにしました。世界観に縛られすぎてゲームとしてしんどくなるのもアレですしね。 |
安田: |
聖の幻術は? |
加藤: |
苦労しなかったですね。生き返っても幻術だったですみますから(笑) |
安田: |
風の精神魔法はどうだった? |
加藤: |
それも大丈夫でした。基本は「超能力っぽいもの」なので、元の風とイメージが近かったので。それよりも烙印の「魔」ですね。烙印魔法とは「身体に烙印を描くことで呪い風の効果を発揮する魔法体系」なんですが、これも世界観を忠実に再現しようとすると、戦闘スペルより装備品が似合うとかになっちゃうんですよ。 |
杉浦: |
さすがにやりすぎだろうという事で、何回か試行錯誤して、ふつうの魔法っぽくしました(笑) |
――: |
うわぁ、凄く大変そうですね……ん? 今更ですが、どうして魔法が変わったんですか? |
加藤: |
世界が変わったから。 |
――: |
え? |
安田: |
六門世界から六芒世界になったの。 |
――: |
えぇ!? |
安田: |
サザンに始まる魔法帝国。千年皇国の栄光の時代を経て、ある事件が起こる。 |
――: |
なにが起こったんですか? |
安田: |
「種族:精霊王」というユニットが荒れ狂って、「エレメンタルストーム」が起きたんだ。世界が滅茶苦茶に荒れる。その時に、「英雄」カードの元である連中が、立ち向かっていった。 |
加藤: |
リコルから150年後に「百年戦争」、でさらに150年が経って、「エレメンタルストーム」が起こり、そこから文明を再構築して、数百年が経ち、六門世界は六芒世界になったんだ。 |
――: |
あ、それが今回の、『英雄王の星誕』の時代なんですね。 |
安田: |
魔法系統まで変わっちゃって、みんな大変だったと、さっきの苦労話に戻る(笑) |
杉浦: |
地形から何から、無茶苦茶になりましたよね。 |
安田: |
「暗黒領域」というのもできたね。精霊王が荒れ狂うと、そこだけ閉ざされた世界になっちゃうの。 |
――: |
その中は滅茶苦茶になっているんですか? |
安田: |
いや、全部が無茶苦茶になってるわけじゃない。ちゃんとそこから進化している所もあるんだけど、中に入りにくいから、わからない。 |
加藤: |
そういうのが、世界各地に散らばっているんですね。 |
安田: |
そこを取り返そうとして頑張っている、というような世界をぼくと創ったのが、大井君です。 |
大井雄紀(以下、大井): |
はい? 呼びました? |
加藤: |
来たで、来たで、期待の新星が(笑)。 |
――: |
という事で、六門世界から六芒世界に変わるサプリメントを執筆中の大井雄紀さん、一言お願いします。 |
大井: |
うぇ。インタビュー中……ゴホン、『六門世界RPGセカンドエディション、サプリメント5、エレメンタルストーム』を担当させて頂きました、大井です。よろしくお願いします。 |
――: |
今回のサプリは、シナリオ集なんですよね? |
大井: |
はい。7話構成になっておりまして、皆様に六門世界に起こる大きな事件を追っていだだこう、というボスの指示にそって、ぼくが書かせてもらったシナリオ集になっています。「Role&Roll」に、リプレイも掲載されています。 |
安田: |
いや、あのサプリは自分で言うのも何だが、すごい。リプレイはそれに輪をかけ、スゴイ! |
――: |
どうしたんですか? |
安田: |
R&Rの担当の人から、「これは3回も載ったら世界が滅茶苦茶になりますよ」と言われたんだ。「いや、めちゃくちゃになるんです」と答えた(笑)。 |
――: |
GMである大井さんが無茶苦茶したんですか? |
大井: |
違います。ボクはひたすら、「ええぇっ」と言っていました。だって、事件もでかいけどすごいキャラだらけで、なかなかストーリーを進めてくれないんだもん(涙)。 |
杉浦: |
プレイヤーたちも途中で、これでいいのか? と不安になったらしいですよ(笑)。 |
――: |
プレイヤー自身も不安になるなんて、どれだけ濃いキャラクターが(笑) |
安田: |
R&Rのこれからに期待してください。単行本となって年末には登場します。それと、リプレイもだけど、大井は小説も書いているんだよ。 |
大井: |
はい。六芒世界を舞台にした、新しいモンスターコレクションノベルを書かせていただいています。モンコレ・ノベルの流れを継いで……。 |
安田: |
(じろっ) |
大井: |
(はっ)あ、「六門世界」の流れを継いでです(焦)。 |
安田: |
まあ、ぼくも世界観の指示は出してるが、きみのは、モンコレ・ノベルの流れだと確かに思うな。 |
大井: |
はい「六芒世界」シリーズと呼ばれるようがんばります(汗)。 |
――: |
まあまあ(笑)。では、気を取り直して、小説について教えてください。 |
大井: |
今回は魔法学園があって、そこでの学園生活も描かれています。「暗黒領域」も探索しますよ。 |
――: |
へぇ〜。どんな主人公なんですか? |
大井: |
烙印魔法を使えない、烙印魔導士です。 |
――: |
え? 使えないんですか? じゃあ、どうやって戦うんです? |
大井: |
魔術師なのに大きな剣を持っていて、それで戦ったりもしますよ。 |
――: |
なにか秘密がありそうですね。小説を楽しみに、という事ですね。 |
大井: |
はい。社長に色々教わりつつ、執筆中なので、よろしくお願いします(ごりごり)。 |