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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > 祝復刊! ゴーストハンターノベル『ラプラスの魔』『パラケルススの魔剣』シリーズ20年ぶりの新作『アルケリンガの魔海』インタビュー(2014年08月)
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祝復刊! ゴーストハンターノベル『ラプラスの魔』『パラケルススの魔剣』
シリーズ20年ぶりの新作『アルケリンガの魔海』インタビュー

 刊行から26年経てもなおファンに愛され続けている
小説版『ラプラスの魔』9月に、その続編『パラケルススの魔剣』11月(予定)に富士見書房から順次復刊されます。
 今回はシリーズ2度目の復刊と、ファン待望のゴーストハンターノベル最新作
『アルケリンガの魔海』について、原案者である安田均にお聞きしました。
 インタビュアーはグループSNE最年少の西岡拓哉が務めます!



  
2014年08月 発行
記事作成 西岡拓哉

 
―― それでは「ゴーストハンター」シリーズの復刊と新情報についてインタビューを始めます。よろしくお願いします!
安田 はい、よろしく。


◆祝復刊!
―― 『ラプラスの魔』『パラケルススの魔剣』の復刊、おめでとうございます。
安田 ありがとうございます。2度目の復刊ということで実にありがたいことですよ。ええっと前回は……
―― 2002年角川スニーカー文庫での復刊から12年ぶりですね。
安田 そうそう。昔のSFでも、たとえば『逆転世界』(クリストファー・プリースト著)や「ドラゴンランス」シリーズ(M.ワイス&T.ヒックマン著)など、僕が翻訳した作品はいくつか復刊されていて、今回も嬉しい(笑)。
―― それだけ根強くファンの方々に愛されているということですね。
安田 いやぁ本当にありがたいことです。もちろん『ラプラスの魔』は当時、グループSNEの一員であった山本弘さんのデビュー小説ですし、彼が力を込めて書いた作品という理由もあります。今回の復刊でまた新たな多くの読者に愛していただきたいですね。


◆『ラプラスの魔』初刊行当時から現在までをふりかえって
―― では当時をふりかえりつつ、現在の復刊への心境などお聞かせいただけますか?
安田 それではまず……面白いことに、このシリーズ、復刊されるたびにそれに関係する異なるゲームが登場していることは、西岡くんはご存知かな?
―― えっ、えー……っと(汗)
安田 はっはっは! 最初は87年コンピュータゲーム版からやね。ゲームブックというのもあったけど。西岡はそのとき年齢はいくつや?
―― マイナス6歳です!
安田 なんやと!? そりゃあ馴染みがないやろなぁ(笑) まっ、それはおいといて。94年『パラケルススの魔剣』刊行時にはゴーストハンターTRPG版が、そして2002年1度目の復刊にはTRPG版の改訂版を出しました。
―― 『ゴーストハンターRPG02』ですね。
安田 そうそう。さらに今回は「ゴーストハンター13 タイルゲーム」とその拡張セット第一弾『7つの大罪』7月に出ました。僕としては、常にゲームと関係したところで小説作品も登場しているというのが嬉しいですね。
―― ゲームとともに小説があることで、ファンの方々によりタイトルの印象を深めているのですね。
安田 はい。僕は昔から小説とゲームをつなぐものとして、ゲーム性のあるストーリーを意識していて、そういった作品を作りたいと考えていたんです。
 ゲームの方はほぼ僕が担当していて、そういった小説も出したいと思ったときに、山本弘という素晴らしい書き手がいたというのもあります。僕自身、彼のデビューに関わることができて嬉しかったし、大きな意味をもちつづけている作品だと思います。
―― それが小説『ラプラスの魔』誕生に繋がるのですね。
安田 そうです。ちょうどその当時、ライトノベル自体が新しいレーベル「角川スニーカー文庫」が創刊されて広がろうとしていました。『ラプラスの魔』は新しい内容の作品だから、ぜひそうした新しいレーベル、分野で出してみたいと思っていました。で、いざ出してみると、これがありがたいことに大成功。その次に「ロードス島戦記」シリーズでさらに加速したので、またびっくりしたんですが(笑)。とても思い出深い作品が生まれた時代でしたね。今回どちらも復刊されたことで、改めてそう感じます。


◆読むたびに変わる作品の印象
―― ところで作品が復刊されると、作品の印象というのは変わりますか?
安田 おっ、鋭い! そのことは『ラプラスの魔』の解説にも書いたんだけど……まさか、きみ、それ読んだんじゃないか(笑)?
―― ……じつはこっそり読ませていただきました。
安田 なんだ、鋭い質問と感心したのにもうオチがついた(笑)。でもまあ、その通りで、この作品は読むたびに変わる。いやぁ……もうこれ名作なんじゃないか、と(笑)。
―― もちろん素晴らしい作品です!
安田 自分の作品をそう言うのも変な話やけど、僕はいいと思う作品を何度も読むのが好きなんです。で、そうした作品は読むたびに印象が変わる
―― 毎回、新たな発見があるということですね。
安田 そうなんだよ。こうして解説を書く際に改めて読んでみると、昔書いた解説とは注目している点がまた異なっていることに気がつく。今回は元のパソコンゲームの再現の細かさに気づいて、改めて山本弘のすごさに驚かされたね。これは当時、原案者だったから、再現されていて当たり前と思っていたからかな。
―― 原案者でも驚くんですか?
安田 草壁健一郎とか主な話の流れとか全体像は僕が作ってて、話の整合性やリアリティ、他のキャラクターを作ったのが山本弘。それが見事に融合していて、いま思えば不思議な感じやね。最初は気づかなかったけど後になってわかった。でもやっぱり考えが共通している部分もあって。そうした理由もあるでしょうね。


◆キャラクターと舞台
―― 原案部分についてお話を伺いたいのですが。
安田 まず草壁健一郎ラプラス城に現れる人物たち(ラプラス、カサンドラほか)、そして化物など、作品の肝に関わってくるところを僕が考えて、アレックスモーガンヴィンセントといったキャラクターや、当時のアメリカの風俗・状況などは山本さんが考えました。クトゥルフ部分を深めたのも彼です。
―― キャラクターの造形についてはお二人でご相談を?
安田 全っ然(笑)。 「草壁健一郎は気に入らない!」なんて言われたこともあったね。僕は作った以上大好きなキャラクターなんですけど。
―― 健一郎は皮肉屋なところがありますね。
安田 皮肉屋というより健一郎の場合は万能な優等生キャラになりがち。つまりヒーローキャラが必要と考えて、さらに日本的なものも取り入れたかった。その万能性が山本さんは好きじゃなかったようですが、それでも魅力的には書いていただきました、さすが。
―― 舞台となる街については?
安田 20年代アメリカの架空の街ニューカムについては、まさしく当時を再現したかった。それが彼の文章となったときには、もうわくわくしましたね。当時の武器、自動車、街の様子、これが実にイメージ豊かに描かれている。
―― これまで作品を読んできて社長がこのキャラクターが気に入っているというのはありますか?
安田 やっぱりアレックス、モーガン、ヴィンセントなど主要人物の関係作りが上手い。そしてもうひとり、僕が好きなのは偽霊媒師オーガスト。手品師と超能力者という関係は元からおもしろいんですが、絶妙な立ち位置。そこはぜひ本編を読んでじっくり楽しんでほしいです。


◆今回の復刊では未収録の短篇つき!
―― 今回の復刊『ラプラスの魔』では93年雑誌『ログアウトスペシャル』に掲載された、本編の前日譚的な短篇「死のゲーム」が収録されているとのことですが。
安田 そうなんです。この短編は単体で読むにはもったいない作品です。
―― たしかに本編でも語られる事件なので見逃せませんね。
安田 それよりも、この短編がゴシックホラーで、導入がサイコホラー、それが進むにつれパルプホラー(大衆恐怖小説)の要素が目立ってきます。順に雰囲気の違いが楽しめますよ。巻末に収録されていますが、時系列的には、これを冒頭に差しこんで読んでみてください
―― ちなみに第二弾の『パラケルススの魔剣』にもそういった短篇は収録されるのでしょうか?
安田 はい。未発表の短篇が収録されます。これもおもしろいですが、まずはこの完全版という形となった『ラプラスの魔』をお楽しみください! 後は第2作、そして書き下ろしの第3作目をお待ちください。


◆大注目の最新作について迫る!
―― 第3作目というフレーズが飛び出したところで、ここからはシリーズ最新作『アルケリンガの魔海』についてお聞きしたいと思います。
安田 あぁ~ついにこの時が来たかぁ。
―― ファンの方々が待ち焦がれたタイトルですね。安田社長と秋口ぎぐるさんの共著の形で2015年1月に刊行予定とのことですが。
安田 本来は2002年の復刊に合わせて刊行を予定していた作品でした。実はその年にはプロットも冒頭も書いてたのですが、様々な仕事に追われ気づけば12年も経ってしまった……
―― では今回刊行となった経緯は?
安田 もう12年も経った。『ゴーストハンター13 タイルゲーム』も出て、小説も復刊される。これ以上遅れてはいけない。しかしいま取りかかっている『GH13 タイルゲーム』の大作も忙しい……どうしようというところに秋口くんがやってきまして。「社長、ゴーストハンターの小説書かせてください」と言ってきたんです。
―― おおっ、秋口さんみずから!
安田 それで、どうしたん? って聞くと、実は秋口くんはSNEに入社(2004年)して初めてやった仕事「ゴーストハンター02」のシナリオサプリメントだったらしく、どうやら相当の思い入れがあった。そこで彼にそれまでの完成プロットと冒頭の原稿、そして資料を渡しました。資料がほとんど全部英語だったもんで彼に「えぇ……(困惑)」って顔されたけど(笑)。
―― 資料に関してですが、秋口さんに渡されたそうした資料は膨大な量だと仰っていましたが。
安田 そうそう。書いていた当時の分と、さらに12年分の資料が山ほどあるからね。時が経つほどどんどん増えてます。現地のオーストラリアへ実際に行って取材したり、現地にしかない資料の購入などしました。現在、秋口くんと協力して鋭意執筆中です。
―― 今回の舞台はオーストラリアなのですね!
安田 あっ、さらっと言ってしまった(笑)。そうです。オーストラリアです。
―― 1作目アメリカ2作目ヨーロッパと続いてオーストラリアというのは?
安田 日本じゃありきたりだから、テラ・インコグニタ(未知世界)的な意味でのオーストラリア、そして小説のアイデアとして進化論的な部分もあります。
―― では今作のあらすじをちょこっとだけでも教えていただけますか。
安田 時系列では『パラケルススの魔剣』より前になります。オーストラリアで何が起きるのかはどれも面白い部分なので、読んでからのお楽しみにしてください。今作は「進化」も関わる一風変わったホラー。それと同時にシリーズ特有のSF的要素と、ドリームタイムという、オーストラリア独特の素晴らしい神話概念をからめたいなと思っております。
―― 社長から秋口さんへはそのような要望があったわけですね。
安田 まあ当初からの考えでしたから。でも、秋口くんが自由に書いている部分も多いので、秋口ぎぐるの作風も充分味わっていただけるはずです。
―― それでは今回初めてシリーズを読む方と、この時を待っていたファンの方々へ一言いただけますでしょうか。
安田 すみません、ずいぶんとお待たせしました。3作ともカラーの違うホラー作品となっておりますので、これからはじめて読まれる方にもきっと楽しんでいただけると思います! さきほど申し上げたゲームとの関わりについては、今回はボードゲームで大いに注力しております(ボードゲームといっても、RPG要素も大きいですよ)。まずはこの3部作から興味を持っていただけるとありがたいです。グループSNE創設からともに歩み続けた作品ですので、これからも何かの形でいろいろ出していけたらと思っています。
―― ありがとうございます。


◆ビッグニュース、もうひとつあります!
―― ところで、この西岡、とある大きな情報を入手したのですが……
安田 はいはい、なんでしょう。
―― それについて触れる前に、まずは現在好評発売中の「ゴーストハンター13タイルゲーム」基本セット&拡張セット1『7つの大罪』についてお聞きしたいのですが。
安田 はい。みなさまには楽しく遊んでいただいているようで幸いです。このシリーズは迷路構造の幽霊屋敷ステージでキャラクターを駆使し、ちょっと変わったストーリーを攻略するゲームとなっております。去年10月に出た基本セットが好調で、今年7月には拡張版『7つの大罪』も出せて、面白さがより深まっているので、ぜひどちらとも手に取っていただきければと。
―― 『7つの大罪』のキャンペーンをプレイした感想をうかがうと、どうやら長く苦しい戦いが繰り広げられているようですね。
安田 はっはっは! でも僕のシナリオはなんとかなるバランスにはなっているはずです。
―― ええ、まあ(笑)。さて、その『7つの大罪』のキャンペーンを終えたあとは……
安田 再び例のあの場所へと行くわけです。拡張セット第二弾ですね……
―― そうです! 私がキャッチしたビッグニュースとは、まさにその拡張セット第二弾のことだったのですが、この場で正式タイトルを発表なんかしていただけたり……?
安田 では、タイトルだけ。その名は『ディアブロ・ドゥ・ラプラス』! おっとこの話はここでストップ!
―― 詳細は続報を待てっ、ですね!
安田 JGC2014では発表できます。お楽しみに!


◆最後に今後のイベントなど
―― それでは最後に今後のイベントなどについてお知らせしていただけたらと思います。
安田 拡張セット、復刊、新作とシリーズ作品が続くということで、せっかくなので今年のJGCではゴーストハンターのミニライブを行います。トークショーでは山本さん、そしてイラストレーターの弘司先生にもご参加いただいて、当時のことや新作についてお話してみたいと思っています。
―― ニコニコ動画の「グループSNEチャンネル」でも動きがあるようですが。
安田 もちろん最近では「ソード・ワールド2.0」のセッションの様子を放送したりと気合いが入っていますね。近々ボード/カードゲームのプレイ動画が公開されるかもしれません。どうぞご期待ください。
―― 今後も様々なコンテンツに目が離せませんね。本日はありがとうございました!


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