GM |
フクロウの言葉通りにどんどん西に進んでいくと、ずいぶん遠くからでも、ゴゴゴゴ、バリバリバリという音が聞こえてくるよ。 |
リーフ |
……私たち『大音響恐怖症』なんですけど。相当離れていても聞こえる音の音源になんて、近くに寄ろうにも、寄れませんよねえ。 |
ルー |
ルーは行けるよ、恐怖症ないから。偵察してこようか? |
ハービィ |
ひとりじゃあぶないよ。 |
GM |
音はしばらくすると止まった。意志判定に成功すれば近づいていいよ。 |
タイガー |
(ころころ)よし、今のうちに近づくのじゃ皆の衆! ダーッシュ! |
ローズ |
ひとりで残されるのは嫌なのぉ。ぐしぐし泣きながら、兄貴についてく。 |
ルー |
たふたふたふたふ。 |
ハービィ |
でも近寄ると、ちょっとくさいね。 |
GM |
うん、そうだね。そうやって一丸となって君たちが駆けてくると、突然! 背後からピカッとまぶしい光がふりそそぎ、ブルンブルン、ゴゴゴゴという大きな音が……さあ、怪物のおでましだぞ、礼儀として恐怖判定だ。 |
一同 |
きゃーーーっ! 出たーーーっ! |
リーフ |
こ、これが伝説のブルブルルー! |
GM |
本当に熊の3倍くらいある大きな体に、巨大な顎を上下させて君たちに迫ってくるのだ。ゴゴゴゴ……。 |
リーフ |
ちょ、ちょちょちょっと、やめてくださーい! と、この私の豊富な言語機能で説得してみようとします。虫語からはじめて、ハ虫類語、肉食語と9ヵ国語!(笑) |
GM |
すべての言葉を一通りためしてみたが、まったく通じた様子なーし! |
リーフ |
な、なんて礼儀知らずなんでしょう、ねずみ語までためしたというのに!(怒) |
ハービィ |
とにかく逃げよう。わたわた。 |
ルー |
賛成賛成。おたおた。 |
GM |
しばらくそのあたりを大きな顎で掻き回していたかと思うと、太い木に体当たりして、根元から押し倒してしまう。そのくらい力もちだよ。足はちいさな丸い足がたくさんついていて、それ全体を順繰りに回して進んでいるようにも見える。 |
ローズ |
怖いよぉ。いつも人間が乗ってる虫さんよりずーっと大きいよう(泣) |
タイガー |
ぬう。いつも見る虫がカナブンとすれば、まさにこいつはオオクワガタ! |
リーフ |
顎もありますしね。 |
タイガー |
しかし足があたくさんあるということは、ムカデの親戚でもあるようだ。よって、こいつは今からクワデ、あるいはムカガタと名付けることにする! |
ハービィ |
ブルブルルーじゃないの? |
ルー |
そんなこと言ってるヒマがあったら逃げるのー! |
GM |
君たちがそんなふうにパニックを起こしているあいだに、また……えーと、そのムカガタは静かになった。うさぎはともかく、プレイヤーには正体はわかっていると思うが。 |
タイガー |
わかってますよ。戦車でしょ(笑) |
GM |
ちがう。ともかく、ムカガタは動かなくなって、ふたつの目も光らなくなってしまった。そしてお腹から、人間が出てくるのが見える。 |
ルー |
え、人間が食べられてたの? |
ハービィ |
ちがうよ、さっき土と木を食べてたじゃない。大きな顎ですくって。 |
ローズ |
たくさん、食べてたよね。このままじゃ森がボロボロになっちゃう。 |
ルー |
このままじゃ巣の引越しはまちがいないね。 |
リーフ |
伝説のブルブルルー……おそるべし。 |
タイガー |
あの虫、人間に餌をもらってるのかな? |
GM |
人間はてくてく歩いて、離れたところにある、布でつくった人間の巣に入っていった。人間が本当の巣から離れた場所に行くとき、ときどき持ち運びしているものだよ。 |
ローズ |
ムカガタさん寝ちゃったのかな。 |
タイガー |
ぬう、チャンス。寝こみを襲えば、伝説のブルブルウーだろうがムカガタだろうが……。 |
ハービィ |
倒せないに一票。 |
ルー |
硬そうだしね。ムリなほうに賭ける。 |
リーフ |
しかし、この私の完璧な話術も通じませんでしたからね……発音がなまってたのかなあ。 |
ルー |
近づいて、もう一度お話ししてみたら? 今度は人間が一緒じゃないから、お話ししてくれるかも。 |
ローズ |
そうだね、きっとムカガタは人間に叱られるから、あたしたちとお話しできなかったんだよ。 |
リーフ |
なるほど。ではもう一度。眠っているブルブルルーことムカガタにそっと近づいて……あなたたちで説得を試みるのです! |
タイガー |
お前が一番、言語を知ってるんだ! |
リーフ |
うう、しょうがないですね。 |
タイガー |
オレは不意の事態にそなえて、ムカガタの腹の下に潜りこんでおこう。何かあれば、ここから必殺の一撃を加える!(笑) |
ハービィ |
がんばれ、兄貴。あんまり期待してないけど。 |
GM |
ではそうやってシンキングリーフくんが、知りうるかぎりの多彩な言語とたくみな話術を使って、ムカガタを説得しはじめた。すると、やがてどこからか、くすくすという小さな笑い声が聞こえだすのだ。 |
ルー |
え? きょときょと(首を回している) |
GM |
見ると、ムカガタの背中の上から、野ねずみがたくさん顔を出している。「くすくすくす、ばーか」 |
リーフ |
むか。無知で無学な野ねずみごときに、バカなんて言われる覚えはありませんよ。 |
GM |
「キーッ! なんてムカつくうさぎなの、なにしにきたのよ、あんたたち」 |
ハービィ |
交渉役が野ねずみ嫌いだから、わたしがげっ歯類語で話すね。このムカガタ、あなたたちのお友達? |
GM |
「これ? そんなわけないじゃん」そう言いつつ、一匹の大きな雌ねずみが出てきて、ガンガンと足でムカガタを蹴りつけよう。 |
ローズ |
ああ、だめぇ! 起きちゃうよ! |
GM |
「起きやしないわよ。これは生き物じゃないの。人間のつくった道具だもの」 |
ルー |
どうぐ? じゃあ、なんで動くの? (興味津々) |
リーフ |
また嘘ばっかり。ま、所詮はねずみですしねー、ふふん。 |
GM |
「いちいち腹の立つうさぎね、これはブルジョジャとかいうものなの。人間はこれをこのあたりで暴れさせてるのよ。そうすれば、アナグマもフクロウも逃げちゃうから、ここらへん一帯はあたしたちのパラダイスって訳」 |
ローズ |
何で? こんなに荒されてるのに? |
ハービィ |
ねずみは薬草をつくったりできないから、いくら荒されても平気なの。きっと。 |
GM |
「ふん、クスリなんていらないわよ。あたしたちは丈夫だし、それに、これは人間がかってに動かしてるのよ!」 |
ルー |
どうやって動かしてるの? (わくわく) |
GM |
「そこの、お腹の中に自分から飲みこまれて……あとは知らない」 |
ルー |
はいってみようかな(うずうず) |
ローズ |
本当に起きたりしない? |
GM |
「平気よ、でも変にちょっかいかけるんじゃないわよ」 |
タイガー |
ふ、トリックスターの血が騒ぐぜ。 |
リーフ |
う、私もちょっと好奇心が。 |
ルー |
のぼっちゃえー! |
GM |
「あー、こらこら! 手を出すんじゃなーい!」野ねずみは慌てて止めにくるよ。 |
タイガー |
大丈夫、絶対に手は出さん。おや、ここに生えた鉄の棒は何かな? それキックキーック! |
ルー |
蹴っちゃえ、蹴っちゃえ! |
GM |
「ああ、足も出すなぁ!」ルーちゃん、《機械工》で判定してみて。 |
ルー |
はーい。(ころころ)成功。 |
GM |
ムカガタの腹の中には、鉄でできた棒が何本か生えている。もしかして、それをどうにかして動かせば、ムカガタも目が覚めて、動き出すかもしれないと思った。 |
ルー |
わくわく、面白そう! |
タイガー |
にやり。(ころころ)よし、トリックスター発動! がしがしと鉄の棒を蹴りつけるぞ。(『トリックスター』面白ければ、あとは野となれ山となれ、というじつに厄介な精神的特徴である。愉快犯なだけに、好奇心よりもタチが悪い) |
GM |
「うわあああ、やめなさーい!」ねずみたちは一斉に襲いかかってくるぞ? |
タイガー |
ふ、このオレ様に勝てるつもりか、ねずみ風情が。フクロウを喰いそこねたぶん、お前らを喰ってやるわ! |
リーフ |
まちなさい。いくら馬鹿なねずみ相手とはいえ、戦いはなるべく避けるべきです。ここは私が説得しましょう。 |
GM |
ほう、なんて言って? |
リーフ |
ふ。お前たち無知蒙昧な野ねずみ相手にこんなことを言ってやるのは業腹ですが。 |
ローズ |
……もしかしてケンカ売ってるの? |
リーフ |
今のは枕言葉です。気にしないように。あなたたち、私たちに手を出すのは止めたほうがいいですよ。 |
ハービィ |
そ、それ説得? |
リーフ |
ここからが本番ですよ。「ここにいるのは、犬にタイマンを挑み、毒ヘビすらズタズタにして喰ってしまう、ピョンフー使いのタイガーリリイ。そして、一声叫べば、人間の子供さえ泣いて走り去るという、妖術使いのブルーローズ! 普段はけたけた笑ってる無害なジャンキーでありながら、他人まで巻きこんでけたけた笑わせてしまう、恐怖の薬草使いハービィ! これだけそろっている私たちに手を出せばどうなるか、あなたたちも想像がつくでしょう?!」……脅してるだけですね、やっぱり。 |
GM |
他のなんだと言うんだ。まあ、一応知力で抵抗させてもらおう。(ころころ)非常に疑わしげだよ。「証拠を見せてごらんよ! 証拠を!」 |
ハービィ |
はい、証拠。生意気な野ねずみの頭の上に、くしゃみ薬を振りかける。 |
GM |
いきなりかい! 「くしゅん、くしゅん、くしゃみが止まらないわあ、くしゅん! わかったから止めてぇ、くしゅん!」 |
ローズ |
おいでおいで。治してあげる。《解毒》の能力使うね。(ころころ)成功だよ。 |
ハービィ |
ブルーローズ優しいね。 |
ローズ |
ううん。夏毛に戻りたいだけ(笑) |
GM |
「治った、すごいじゃない。でも、この道具を壊されるのは困るわ。これがあれば、アナグマもキツネも寄ってこないんだから」 |
ハービィ |
うん。でも、わたしたち、すごく困ってる。巣穴、引っ越す、とても大変。(げっ歯類語で話しているので片言らしい) |
GM |
「……まあ、あたしたちも、森全部を削られちゃうのは、さすがに困るなって思っているんだけど……」 |
タイガー |
だから、今のうちに退治してしまうのだ。 |
GM |
「どうやって?」 |
リーフ |
うーん。(ふと気づいて)あ、伝説のブルブルルーが退治されたとかいう話は伝わってないのでしょうか? |
GM |
もう一度、《吟遊詩人》で判定しよう。 |
リーフ |
(ころころ)マイナス6成功。 |
GM |
じゃあ、思いだした。あるうさぎがお腹の中に入って思いきり暴れたら、ブルブルルーは苦しみだして、走り回った揚げ句に崖から落ちて死んだそうだよ。うさぎはギリギリで飛び降りてるけど。 |
リーフ |
なるほど。そういうわけですので、がんばって暴れてくださいね(にっこり) |
タイガー |
ハービィ、期待されてるぞ。 |
ハービィ |
え、恐怖心を消す薬が欲しいの? |
ルー |
とにかく、ルーは機械に興味あるから、お腹の中を観察して、兄貴に暴れるポイントを教えよう。 |
タイガー |
うぬう。やはりオレ様の出番か。 |
ローズ |
あたし、お外で待ってるね。トロいから、飛び降りるの苦手だし。でも寂しいから、誰か一緒にいて。 |
ハービィ |
じゃあ、一緒にいてあげる。兄貴には体力増強剤をわたしておくね。 |
リーフ |
しかたありません、どうしてもというのなら、私も一緒にいてあげますよ。私はここで一部始終を見て、話を創りださねばならないという、語りべとしての崇高な使命がありますからね。 |
ハービィ |
はいはい(苦笑) |