リーフ |
一番近いところからいってみましょうか。 |
GM |
では、ネズミたちの案内について、穴をさかのぼっていくと、きゅうにぽこんと広い場所に出ることができた。ここは周囲がコンクリートじゃないね。硬いような、柔らかいような、つるつるとした変なもので出来ている。 |
ハービィ |
コンクリでなければ何でもいい。はあ、やっと落ち着いた。一服一服。 |
タイガー |
……て、ことあるごとにクスリをやるなとゆうとるやろが、このボケェ! |
GM |
まあ、クスリじゃなくても、一休みはしたい気分にはなるだろう。下水道ではばたばたしてたし。 |
ローズ |
休めそうなとこあるの? |
GM |
うん、この場所。いろいろおいしそうな匂いのするものがあるよ。見たことのない野菜くずが青い色のカゴのなかにたくさん落ちてたり、よく人間の食べるパンとかいう食べ物とかがちょっと高い場所に置いてあったり……。 |
ルー |
わーい、おもしろーい、めずらしーい、おいしーい、これまずーい! |
GM |
ネズミたちにとっても食料調達場所だったみたいだね。ありったけの食料をかっこんで、「じゃ、ボクたちは穴の場所で待ってますから。ここから先は行ったことないんです」 |
ルー |
はいはーい、ありがとー(めずらしい食べ物に夢中)。 |
リーフ |
お腹がくちくなったら、本格的に探索にでかけましょう。 |
GM |
すでに君たちはいくつかの冒険の末、人間の巣の出入口。すなわちドアというものは見分けがつくようになっている。あたりを見回すと、ドアが半分だけ開いてるよ。この部屋の唯一のドアだ。 |
リーフ |
向こう側に人間がいると困るので、そっとのぞきこんでみます。 |
GM |
ドアの向こうは真っ暗で静かだ。人間の作った道具らしい大きな物がいっぱい置いてあるね。えーと、中身のぬけた切り株みたいなものがたくさんだ。高いのや低いの。面積の広いの、狭いの……。それからー……。 |
ハービィ |
(ピンときて)みんな木と鉄ででできてて、四本足だったりするのね。 |
GM |
そうそう! |
ルー |
うにゃ? |
GM |
薬草使いのハービィにはわかるけど、高い切り株の上からは、マスタードとケチャップの匂いがするね。 |
タイガー |
……(ようするに、テーブルと椅子か)。 |
ローズ |
……(厨房から食堂に移動したってことだね)。 |
リーフ |
ここには薬も人間の気配もないようですし、先に進んでみましょう。 |
GM |
その切り株の群れの部屋の奥には、四角く切り取られた出入口のような場所がある。そこは明るくて、道が通じているのがわかるよ。 |
タイガー |
じゃあ、ぱたぱた走って近づいてみるぞ。 |
GM |
ごん。タイガーリリイは何か透明なものにぶつかった。 |
タイガー |
ぬおおおおっ! 何だ、一体何者がオレ様の行く手を阻むのだああっ! |
リーフ |
(ぴたぴたと壁を叩く仕草をして)おやおや、こんなところに冷たくない氷が張ってる。 |
GM |
う、うむ。御察しのとおり、明るい道とこの部屋の境目には透明な壁がそそり立っているぞ。割れ目も取っ手も見当たらない、透明な壁だ。 |
ローズ |
変だよう、通れないよう(泣)。 |
ハービィ |
大丈夫。氷なら温めれば溶けてなくなるはずだから、みんなで力を合わせて温めようね。 |
ルー |
じゃあ、ごしごしこすろう(真剣)。 |
リーフ |
みんなで氷にぴったりくっつけば、体温で溶かすことができませんかね?(まじ) |
GM |
……うーん。君ら全員、ナイスうさぎ頭脳って感じだな。当然だが、そんなことをしていても、氷はなくならない。 |
ローズ |
くすん。この氷、変だよう(泣)。 |
タイガー |
ぬうう、溶かすことができないなら、割るまでよ! 助走をつけて、飛び蹴りかますぞ。 |
GM |
あ、そう。じゃあ、タイガーリリィがどたばた走って飛び蹴ろうと踏み切った瞬間、ガーッと音をたてて壁が開いたぞ。 |
タイガー |
うおおお! すかーっ。 |
リーフ |
おお、いきおいがつきすぎて、向こう側の壁に激突している。 |
ハービィ |
さすが兄貴。正体不明の氷の壁すらその破壊力におののいて道を譲るとは。 |
ルー |
う、うん。でもとりあえずご褒美に、怪我を治してあげるっていうのはどうかな? |
タイガー |
……(前回はハイジなアルプスが舞台で、前々回は禁酒法時代のアメリカ。で、今回はガラス製の自動ドアが登場か)。 |
ローズ |
……(次回くらいには宇宙に行けそうだよね)。 |
GM |
言いたいことがあれば、はっきり言いたまえと言うておるだろうが、君たち。 |
タイガー |
じゃあ言うぞ、克明に。 |
GM |
(目を逸らしつつ)えーと、まあそれはともかくとして、だ。冷たくない氷の壁の試練をくぐりぬけた君たちの前には、こんな風に道が続いているのが見える。(地図をかきかき) |
ルー |
ふむふむ。 |
GM |
人間の巣は、真っ直ぐで広い道がずっと広がっている。一方には、取っ手のある扉がいくつかついていて、天井にはところどころ明かりがついている。それのおかげで、外は夜のはずなのにここはくっきりと明るいよ。 |
ローズ |
かたちの変なお月さまー、細長くって二つずつくっついてる。 |
ハービィ |
何であんなにいっぱい月が出てるんだろう。ひとつで十分なのに。 |
GM |
人間は夜目がきかないからね。で、もう片一方の端には、さっきと同じような冷たくない氷が張っていて、そこから外が見える。 |
リーフ |
そっちは外ですか。外に出るのは意味がないので、取っ手の付いたトビラがたくさんある方に行ってみましょうか。 |
ルー |
ぱたぱたぱた。 |
GM |
じゃあ、嗅覚判定してみよう。 |
タイガー |
(ころころ)むう、オレ様の鼻はつまっているようだ。 |
ハービィ |
(さらりと)マイナス9成功。 |
リーフ |
ふ。さすがにハービィの鋭敏嗅覚の前には、いくらマスターといえども隠しごとはできないようですね。 |
GM |
……そのようである。えーと、そちらの方には扉がいくつか並んでるんだが、そのうちのひとつから、たくさんのうさぎの匂いがしてくるよ。 |
ローズ |
お友だちの匂い? 人間の巣に、うさぎが住んでるの? |
リーフ |
人間に捕まったのかもしれませんね、いつぞやの薬草師のおじさんのように。 |
ルー |
だったら助けてあげなきゃ。 |
GM |
匂いは一番近くの扉からしてるよ。 |
タイガー |
よーし、今いくぞ仲間ーっ!(力一杯扉にむかってダッシュ) |
GM |
……扉はもちろん開いてない。 |
タイガー |
ごんっ! うおおお、顔面が痛い。 |
リーフ |
正面衝突してないで、ちょっと落ち着きなさい。エンジニアのルー、出番ですよ。 |
ルー |
はーい。でも人間のトビラを開ける知識はあるけど、取っ手まで手が届かないよ。 |
ハービィ |
《組体操》技能のある筋肉がそこでのたうち回ってるから、あれを踏み台にすればいいの。 |
GM |
(ひどい言いかただな)それでもちょっと高さが足りない。 |
ハービィ |
ちなみに私は高いところから落ちたら、耳の後ろの薬草が外れちゃう可能性があるから。 |
ローズ |
あたし、《軽業》技能すら持ってないもんっ。敏捷力9なんだもんっ。(《軽業》は《組体操》の前提条件なのだ) |
リーフ |
いくらなんでも、あなたに期待するほど私も追い詰められてはいませんよ。めんどくさいですが、私が二段目になりましょう。 |
タイガー |
当然のごとく、オレ様が下段なわけだな。 |
ルー |
よいしょ、よいしょ。なんとかよじのぼり成功。取っ手を回してみよう。ずにゅ。 |
GM |
回らない。 |
ルー |
え? 変だなあ。 |
GM |
力をこめても、ガチガチ音がするだけで、回せそうにないよ。すごく固い。《人間知識》で判定してみそ。 |
ルー |
(ころころ)マイナス3成功。 |
GM |
人間は時々、扉に鍵というものをかけるでしょ? それのせいだと思った。 |
ルー |
まかせて、ルーは《鍵開け》技能ある。 |
リーフ |
じゃあ、そのまま開けちゃってくださいな。 |
ルー |
まかせて。あ……しまった! 道具持ってきてない! |
一同 |
……(一瞬凍りつく、ちなみにマスターを含む)。 |
タイガー |
こ、この馬鹿たれー! キサマの唯一の取柄のはずだろうがー! |
ルー |
あうう、だってうさぎ袋に入れてくるの忘れちゃったんだよう。前回山登りだったし、そのまま巣に帰らずに、そのままここにきちゃったから(あせあせ)。 |
ハービィ |
うーん、こまったなあ。街ネズミくんたち、似たような道具、持ってないかな。 |
GM |
……(……困ったのはあんたらだけじゃないんですが)。 |
ローズ |
ねえねえ、人間の道具でこのトビラが開かなくなったんなら、人間の道具でなんとかならないかな? |
リーフ |
そうですね。人間はそのカギとかいうものに使う道具をどこに隠したりしてるんでしょう。 |
GM |
え、ああ《人間知識》で判定してみて(ふう、よかった。まだ手はあるようだ)。 |
リーフ |
(ころころ)たくさん成功です。 |
GM |
じゃあ、シンキングリーフにはわかった。人間という生き物は、そういう鍵という道具をどこかにまとめて隠していることがある。その鍵で閉める場所に、大事なものをたくさんしまっておいたりするんだけど、そのわりに鍵自体はけっこういいかげんに放ってあることが多いぞ(笑)。 |
リーフ |
その上、どこに置いたのか忘れてたりする!(笑) |
タイガー |
あるいは中にカギを入れたまま閉めてしまうこともある!(笑) |
ハービィ |
それ、とくに鉄の虫さん関係に多いよね。 |
GM |
そのとおり。やたらと詳しいな、うさぎのくせに。 |
リーフ |
なんだかちょっと胸がせつないです(笑)。とにかく、それは人間のいるところに置いてある可能性が高いですから、いろいろと探してみましょう。 |
タイガー |
待ってろよ、仲間たち。すぐに助けてやるからなー! |
リーフ |
人間のカギというのは、銀色の小さな金属のかけらみたいなものですからね。 |
ハービィ |
じゃあ、それに気をつけながら、先に進んでみましょうか。 |
GM |
じゃあ、廊下の先はやっぱりいくつかの扉がついている。そして、そのうちのひとつから、やたらと明るい光が洩れているのが見えるよ。 |
ルー |
じゃあ、近づいてみよう。 |
GM |
廊下の突き当たりには、ひときわ大きなガラス……じゃなくて、氷がはめこまれていて、外とつながっている。その近くの少し高い場所に、四角くくりぬかれて、やっぱり氷の張っている場所があるんだな。 |
リーフ |
その切れ込みが明るいんですよね? |
GM |
うん。その上の方にはなにか人間の文字が書いてあるのが見えるけど、もちろん君たちには意味はわからない。 |
ハービィ |
じゃあ、そっと覗いてみよう。 |
GM |
奥に人間が一人いるよ。視覚判定してみて、それが成功したら、《人間知識》の判定してみよう。 |
ルー |
(ころころのころ)はーい、成功。 |
GM |
じゃあ、その人間の腰に引っかかっているじゃらじゃらした銀色のもの。あれが鍵というものではないかな、と思った。 |
リーフ |
人間はなにをしているんです? |
GM |
えーと、白い大きな紙の束を熱心に見ている。紙の上には細かい文字がいっぱい、びっしりと書いてあるな。 |
ローズ |
あ、あれね、前足で押さえて、びーってひっぱると楽しいんだよ(笑)。 |
リーフ |
細かくして、巣をつくるのにも最適ですよね(笑)。 |
GM |
あと人間の好きな、刺激臭のする黒い液体の匂いもする。その温かい液体を飲みながら、四角くて白い紙の束を順番にめくったりしてるね。 |
タイガー |
さてどうするか。まさか戦うわけにもいかんしな。 |
リーフ |
人間は走るの速かったですよね? |
GM |
うーん、うさぎのなかでも一際トロくさいブルーローズよりは速いかもしれないけどね。 |
ハービィ |
とりあえず、超能力で操ってみるっていうのはどう? |
ローズ |
え、でも人間ってかしこいうえに生命力もたくさんあるから、薬草とか超能力が効きにくい種族なんだよ? |
リーフ |
まあ、やるだけやってみてください。次の手はその後で考えますから。 |
ルー |
次の手……一番、兄貴がケンカをふっかける。二番、兄貴がケンカをふっかける。三番、兄貴がケンカをふっかける……。 |
タイガー |
あー腕が鳴る(なげやりに指の関節をぽきぽき鳴らしている)。 |
ローズ |
わかった。じゃあ、ちょっと前向きに善処するね。こっそり近寄って……まずは《思考感知》。(ころころ)うん、成功。 |
GM |
うんうん、そこまでは問題なしだよな。 |
ローズ |
続いて《精神操作》……(ころころ)あ、クリティカル。 |
GM |
は? |
リーフ |
おや、なんだかいきなり全ての問題が解決してしまったようですね(笑)。 |
ハービィ |
えらいよ、ブルーローズ。 |
GM |
うおー! 知力判定には成功しているから、電波がきているのはわかるのに、その電波の成すがままだよー。クリティカルじゃ抵抗もできーん! 理不尽じゃー! |
ローズ |
……えーと、どうしよう? |
リーフ |
とりあえず、そこまで完璧な手ごたえがあったのなら、この人間をそのまま連れてきて鍵を開けてもらいましょう。 |
ルー |
みんなで《組体操》しなくてすむから便利だよね。 |
ローズ |
じゃ、人間さん、カギ持ってついてきてね。 |
GM |
はーい……って、しくしく電波がおれに命令しているー。情けないぞ、ホモサピエンスー(泣)。 |
タイガー |
まずはそこのトビラのカギを開けてもらおうか。 |
GM |
がちゃがちゃ。どうぞ、うさぎ様。 |
ルー |
中はどうなってるの? |
GM |
えーと、人間の使う檻は見たことあるよな。以前に薬草使いのお師匠さまがとじこめられてたのより、ずっと丈夫な金属のゲージの中に、顔色の悪いうさぎがたくさんいるよ。目の赤い、白いうさぎたちだ。 |
ローズ |
病気? 病気? かわいそう。 |
リーフ |
ピョン太くんの親戚ですね。 |
GM |
「あれ? きみたちはどうして檻の外にいるの?」君たちの姿を見て、ゲージのうさぎたちがびっくりしている。 |
タイガー |
おお、すぐに助けてやるからな! |
GM |
「たすける? ボクたち、ずっとここで生活してるんだよ。生まれたときから」 |
ハービィ |
え、こんな狭い場所で? |
GM |
「うん、ここの外にも世界はあるの?」 |
ルー |
あるよう。もっともっと広い場所がたくさんたくさんあるんだよう。 |
GM |
「時々この外に出ていって、戻ってこなかった仲間はいるんだけど……外って、怖いところじゃないの?」 |
ローズ |
うーん、時々は怖いけど……人間さん、この檻を開けてあげて。 |
GM |
がちゃ、がちゃ、がちゃ。うさぎは20匹くらいいる。ぞろぞろとおっかなびっくり出てくるかな。「わー、外だ外だ。はじめてだー」 |
ローズ |
どうでもいいけどこの人間さん、きっとクビになるね(笑) |
タイガー |
しかし、こんなところで一体なにやってるんだ? |
GM |
「わかんない。時々人間がきて、ボクたちを見てぶつぶつ言ったりしてるけど……」 |
リーフ |
何て言ってるんです? ……ってわかりませんよね、人間って言葉しゃべんないから(笑)。 |
ハービィ |
一緒においでよ。こんなところより、きっとずっと楽しいよ。 |
GM |
「うん、いく。ボクたちの両親は外から人間につれて来られて、お外はずっと広い場所で、気持ちよさそうだったってよく言ってたから」 |
タイガー |
よし、オレたちが連れていってやるからな。その前に、勇者の薬を失敬していかきゃならんけど。 |
リーフ |
そうでしたね。君たち何か知りませんか? |
GM |
「うーん、よくわかんない。人間はボクたちで、病気のことを調べてたみたい。ボクたち隣の部屋で人間に、ちくっとした痛い針のようなものを刺されたりするんだ。その後、しばらくしたら病気になって死んじゃう仲間がたくさんいたよ」 |
タイガー |
それは身体が弱かったんだな。針で刺されたくらいで病気になるなんて(笑)。 |
リーフ |
ちがうと思いますよ、なんとなく。で、その病気になった仲間は、目から怪光線をバリバリ飛ばしたり、七色に光って電波を放ったりということはしませんでしたか? |
GM |
「なに、それ?」 |
ローズ |
あ、病気になってるコがいるなら、あたし治せるよ。……人間の《精神操作》きれちゃうけど。 |
ルー |
ここを離れてから治してあげればいいよ。 |
ハービィ |
隣の部屋に薬があるかも念のため調べていこうね。 |
GM |
毒薬系と、病気の素。あとはよくわからないものがたくさん置いてあるのがハービィ姉さんにはわかった。 |
ハービィ |
くんくん、ここにはないみたい。 |
リーフ |
じゃあ、別の人間の巣にあるのかもしれませんね。 |
タイガー |
移動するのはいいが、この人間はどうする? |
リーフ |
途中までは動けないくらい弱ってるうさぎたちを運んでもらって、あとはもといた場所に放りこんで……。 |
ローズ |
しらんぷり? |
リーフ |
そんなとこです。ああ、わたしって平和主義だなあ。 |
GM |
どのへんがだか訊いていいか? |
リーフ |
タイガーリリイに手を下すように言わなかったじゃないですか。 |
タイガー |
……(指をぱきぱき)。 |
GM |
……さいですか。 |