今日も空は青く、海も青く、砂浜は白い。
楽園のような南の海で、大好きなトリトンとのんびりゆったり、陽気にすごすイルカたち。
……でも自然って、やさしくて奇麗なだけじゃないんだよねえ……。
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GM |
さて、ガープス・ドルフィンのセッションもついに三回目に突入だ。前回の話はかすかなりとも覚えているかね、イルカの諸君。 |
ホクト |
宇宙から帰ってきた男に、海を汚染された。 |
フーバー |
なんかそう表現されると別の話みたいですな。 |
ルシーネ |
宇宙からやっと地球に帰ってきた新しいお友達のお父さんに、海を地上げされたんだよね。 |
マリン |
そして我々は悪魔のような親父の所行に対抗するために、奴の息子に近づき、首尾よく人質に……。 |
ルシーネ |
とってないとってない! |
プレアデス |
そうそう。人質はともかく、鍛えればルシーネのつがいにできそうな若い人間のオスと知り合いになったんだよねえ。 |
GM |
片足の不自由な薄幸の美少年、クリスくんのことだね。そのお父さんが、悪い企業に雇われて近隣の海に悪質ないやがらせをしていたが、ピンチのところを君たちに救われて改心したわけだ。 |
ルシーネ |
よかったね、これでクリスくんもあたしたちといっしょに遊んでも怒られなくなったよ。 |
GM |
そう。そして今、彼の証言を得て、地上げの糸を引いていた悪い企業を本格的に告発するために、ジャックさんはルシーネのお父さんといっしょにアーコロジー……完全環境都市に出向いているわけだ。 |
ルシーネ |
……うん、お父さんがいなくてもさみしくなんかないやい。みんな頑張ってるんだもん。 |
マリン |
いっしょにテレビ中継見ます?(笑) |
GM |
うん、特別番組で「衝撃! これが悪徳企業の手口だ!」とかいう特集組まれたりして、それにお父さんがコメントしたりしているよ(笑)。 |
ホクト |
(ぼそ)……手口って、生ごみまかれただけのような気が……。 |
フーバー |
小さなことからコツコツと。チリも積もれば山となるというやつですな。ニョモニョモに操られていたとはいえ、努力は認めましょう。 |
ホクト |
認めるな。ちゅーか、ニョモニョモって一体何なんだってば。 |
GM |
クリスくんはやっぱり慣れない土地で独りぼっちなのはさみしいのか、ずっとルシーネにくっついて回ってるよ。 |
ルシーネ |
じゃあ、お姉さんぶっていろいろと鍛えてあげよう。泳ぎ方とか、魚のとり方とか。 |
ホクト |
ヒトデのひっくり返し方とか。 |
マリン |
新しい番組の見所とか。 |
フーバー |
ニョモニョモの電波のとらえ方とか。 |
プレアデス |
学んでも実生活に役に立たないことは覚えていなくてもいいからね、クリス。 |
GM |
というわけで、お父さんズが出かけている間、君たちは君たちなりに平和に暮らしている。そして、今日も今日とて、学校を適当にサボりながら、ルシーネはクリスくんをまじえて、イルカたちとのんきな午後をすごしているわけだ。 |
ルシーネ |
じゃあお昼に自分で釣った魚を食べよう。クリスくんはまだ生魚食べられないんだっけ? |
ホクト |
よく焼いて食べろよ。でないとオレたちみたいに腹が虫だらけになるぞ。 |
ルシーネ |
げ。 |
プレアデス |
大丈夫、虫がわいたらあたしが超能力でちゃんと《治療》してるからね。むいむい〜。 |
マリン |
海面は日差しが強いので苦手です。日の当たらないところでテレビを見ています。 |
フーバー |
あああ、またそんな危険なものを! ニョモニョモが飛ばしている電波だったらどうするつもりなんですか! |
マリン |
とりあえず楽しい(きっぱり)。 |
フーバー |
これだから、ニョモニョモの恐怖を知らない愚民は……! |
ホクト |
じゃあ、その恐ろしさとやらを一から十まで全部教えて、オレたちを納得させてみろ。 |
フーバー |
……ふ、まあいいでしょう。今日のところはこれで勘弁してあげますかな。 |
プレアデス |
(逃げた……) |
ホクト |
(……逃げたな) |
GM |
なんて楽しそうにやっていると、突然ゴゴゴゴゴ……とあしもとが大きく揺れ出した。 |
プレアデス |
おや、地震かね? |
GM |
かなり大きいよ。震度5くらい。 |
ホクト |
水の中も揺れてる? |
フーバー |
ニョモニョモの怒りですな。 |
マリン |
いやだなあ、電波の調子が悪くなっちゃう.。 |
GM |
お前ら少しは慌てろ。 |
プレアデス |
ルシーネ、のんきにしてないで、わたしたちの背中につかまって海に潜るんだよ。クリスくんはルカーのジョーに任せて。 |
ルシーネ |
うん、わかったよママ。海のほうが安全? |
プレアデス |
そうだね、まず間違いなく津波がくるからね。 |
フーバー |
ニョモニョモが攻めてくるんですな! |
GM |
貴様にとって脅威のすべてはニョモニョモがらみか。 |
ホクト |
その前に、島の人間たちがちゃんと避難しているかどうか確かめたほうがよくないか? |
マリン |
それはそうですね。こんな島に住んでる人たちだけに、地震の次は津波のことに気が回るでしょうけど、万が一ということもありますし。……というわけで頑張ってください、僕はここで地震情報をチェックするという大仕事がありますから。 |
ホクト |
この怠惰なテレビ中毒の尻尾をくわえて泳ぎながら、ルシーネを村に一番近い浜辺まで送っていこう。 |
プレアデス |
すぐに戻ってくるんだよ、津波は足が早いからね。 |
ルシーネ |
はーい。みんなクリスくんのことはよろしくね。 |
GM |
やはり海辺の村だけあって、津波のことにはすぐに気づいたらしく、すぐさま避難したようだ。ルシーネが村を見回しているうちに、なんだかすごい勢いで海岸線が遠くなっていくのが見えるぞ。 |
ホクト |
まずい。 |
プレアデス |
ルシーネ、いそいで戻っておいで! |
ルシーネ |
たったったった(走っている) |
GM |
水平線に白い波頭がうっすらと見えはじめた。 |
マリン |
津波って、見えはじめてからが早いんですよね。 |
ルシーネ |
ママー! |
プレアデス |
よしよし、ルシーネが来たら、ルカーのジョーに乗ったクリスと一緒に、安全なところまでダッシュで逃げるわさ。大丈夫、ちょっとぐらい波をかぶったって、海の中なら平気なはずだからね。 |
マリン |
どのくらいの規模の波なんですか? まさか、こないだ深夜放送でやってた『ディープ・インパクト』レベルとかいいます? |
フーバー |
そこまで大きいと、この島など壊滅状態なんじゃないですかな? |
GM |
うん、そこまでは大きくないけど、けっこう壊滅レベルに近い。でも、すぐさまルシーネを連れて逃げた君たちは、すっげえ高波を乗りこえるといった程度だね。 |
ルシーネ |
村は? みんなが避難していたところは大丈夫? |
GM |
大丈夫。村の人たちが避難していた高台までは届かなかったようだ。でも、君たちが暮らしていた村はきれいに波にさらわれてしまった。 |
ルシーネ |
ああ〜ひどい〜(悲)。 |
GM |
ただし、ルシーネとクリスくんの家は、村から少し離れた場所にあったから、何とか残ってる。 |
ルシーネ |
でもでも、村のみんなの生活が〜(泣) |
GM |
まあ大被害といっても、自然に根付いて生活している人々のことだからね、たくましいもんだ。家が壊れたら建て直せばいい。衣服はまた縫えばいい。食物は海から魚をとればいい。 |
フーバー |
たくましいですなあ。 |
ルシーネ |
うちから持ってこられる物があれば持ってこよう。それで炊きだしするの。 |
ホクト |
……なんかちょっと懐かしい光景だな(遠い目)。 |
マリン |
5年もたつと感慨深いものですねえ(遠い目2)。 |
フーバー |
頑張れ島、フェニックス・プロジェクトですな。 |
GM |
神戸の人間以外にはわかりにくいネタかもしれん。 |
プレアデス |
じゃあ、我々は海から生魚を提供するわさ。 |
GM |
それより、波にさらわれた預金通帳とかを拾ってくれるほうが村人たちはありがたいと思うぞ。 |
ホクト |
たしかに。 |
GM |
この島では家屋が流されたくらいでたいしたことなかったけど、ほかの島ではやはり人への被害も出たらしい。そこでもやはりイルカたちが活躍して救援活動を行っているよ。君たちの長であるポセイドンさまなんかも率先して指揮をとっていて、寝る間がないほど忙しいようだ。 |
ルシーネ |
早く日常に戻れればいいね。でも、しばらく村のお手伝いをしなきゃいけないから、みんなと遊べないや。 |
ホクト |
てゆーか、オレらも復興作業を手伝ってるし。 |
ルシーネ |
そうなの? わーい、みんなありがとう(感涙)。 |
プレアデス |
流された家財用具を引きあげたり。 |
マリン |
テレビで行方不明者名簿や救援物資の配給所をチェックしたり。 |
フーバー |
ニョモニョモの電波から、人々を守るのも大切な仕事ですな。 |
ホクト |
それは具体的にどう役に立ってるんだ、フーバー。 |
フーバー |
くくく……説明が必要ですかな? |
ホクト |
いや、いらんわっ(きっぱり) |
GM |
……まあ、それはともかく。ルシーネには夜になるとアーコロジーに行ってしまったお父さんから連絡が入るぞ。「テレビを見たぞ、大丈夫か、ルシーネ」 |
ルシーネ |
あ、お父さんだお父さんだ。あのね、すっごく恐かったのー。でもね、みんなが助けてくれたんだよ(泣)。 |
GM |
「そうか、そうか。お父さんたちももうじき前回の事件を操っていた黒幕を追いつめられそうなんだ。そうすればすぐに島に戻れると思う。それまでみんなの言うことをよく聞いていい子にしてるんだぞ」 |
ルシーネ |
はーい、お父さん。ああ、なんか声を聞いたら安心しちゃった。 |
GM |
被害者が出ていないせいか、村の人たちも思ったほど気落ちはしてない。この分だと復興は早いだろうね。2、3日もすると、もとの場所に新しい丸木の家が立ちならび始めてる。 |
ホクト |
うんうん、元気が何よりだ。 |
プレアデス |
もし怪我人とかがいたら浜辺に並ばせとくれ、ルシーネ。あたしが《治療》してやるからね。 |
マリン |
あ、テレビの情報では、どこそこの島で粉ミルクが余ってるそうですよーとりにいきましょうかー? |
フーバー |
ニョモニョモの襲撃からは私が防ぎますから安心していただきたいものですな。 |
ホクト |
……フーバー、オレは心の底から不思議なんだが、お前は一体日々何をやってるんだ? マリン・スノーでさえ趣味をいかしつつ役に立っているように見えなくもないのに。 |
マリン |
それは遠回しな皮肉ですか? |
GM |
とかイルカたちも甲斐甲斐しくお手伝いをしていると、やはり近辺の島に救援物資を届けたりしている仲間のイルカたちが通りかかる。「よー、元気にしてるか?」君たちも見覚えのある、同じ群れ出身のイルカでアンタレスくんだ。 |
フーバー |
元気にしてますよ、わたしが見張っているおかげで、ニョモニョモは恐れて近寄ってきませんからな。 |
ホクト |
……だから毎日何をやっているのかと……(泣)。 |
プレアデス |
はいはい、それはともかく。そっちも頑張ってるかい? |
GM |
「もちろん、オレさまの島はもうあらかた片付いたぜ」 |
ホクト |
それは早いなあ。 |
GM |
アンタレスくんはきょろきょろ君たちを見回して「あれ? お前たちといつも一緒にいるトリトン娘は?」 |
その頃のルシーネ |
はーい、みんな並んでねー、炊きだしが届いたよー(笑)。 |
プレアデス |
……というわけで、村の復興に力を注いでいるのだわさ。 |
GM |
「なるほどなるほど。で、おまえたち知ってるか? 今回の地震の原因」 |
フーバー |
そんなもの、ニョモニョモの陰謀に決まってるではないですか。 |
ホクト |
決まるかい! |
マリン |
てゆーか、そもそもニョモニョモって一体なんなんですか? テレビではそんな情報全然流れてきませんよ。 |
フーバー |
ふ、それこそがニョモニョモの狡猾なところなんですな。 |
プレアデス |
まあ、それはそれとして地震の原因? なんだい、それ。 |
GM |
「ああ、ここから100キロくらい先に、島が一個出来たらしいよ」 |
ホクト |
へー、新しい島? ってことは、火山の島で、それが噴火か何かで隆起して来たのが原因? |
マリン |
でも全然気がつきませんでしたね。ここから100キロなら噴煙くらいは見えてもいいと思うんですけど。そんなの、ニュースでやってたかな? |
GM |
「いや、まだやってないよ」 |
マリン |
じゃあ、これからですか。楽しみだなあ、このへんにテレビの取材とかがくるかもしれませんね(わくわく)。 |
プレアデス |
……島かあ。珍しいねえ、それは。 |
フーバー |
ふむ、それはニョモニョモの新しい基地に違いありませんな! 早速やつらを退治しに行かなければ! |
ホクト |
できたてホヤホヤってことは、まだ熱いな、きっと(聞いちゃいねえ)。 |
GM |
「そう、出来たばっかりなのに、もう人間の建物が建ってるんだ。最近の人間はすばやいねえ」 |
プレアデス |
あっはっは、本当だねえ……って、おい!(裏拳) |
ホクト |
それはいくらなんでも早すぎるだろう! |
GM |
「本当なんだって。津波のあった日の夕方、何か流されたものはないかとか周回してたら、新しい島に大きな柱とかが建ってたのが見えたんだって」 |
プレアデス |
火山島のくせに、すでに人間の施設……あやしすぎるんじゃないかい、それは。 |
GM |
「忙しかったから、まだ誰も近寄ってないけどな。そろそろ手が空いたら探検にでも行こうかって、イルカのみんなで話してたところさ」 |
マリン |
なるほど、それは面白そうですね、では何か新発見があったらぜひニュースで流してください。僕はそれを期待してテレビの前にいますから。 |
ホクト |
ちょっと待て、なんでお前のテレビ一式、新しいものに代わってるんだ? |
マリン |
はっはっは、気のせいですよ。津波で流れてきたものととり変えたりなんかしてませんからね。 |
フーバー |
……新しいくせに、なんで角のところにひび割れがあるんですかな? |
マリン |
搬入のときにぶつけちゃったのかなあ(しらじら)。 |
GM |
「じゃーなー、お前たちも機会があったら行ってみろよ」そしてアンタレスくんはひとしきり噂話に興じて帰っていく。 |
ホクト |
おう、面白い話をありがとうなー。 |
プレアデス |
面白いというか、変というか……奇妙な話だねえ。ニュースでもそんな新しい島の話はしてなかったんだろ? |
マリン |
ずっと見てましたけど、全然そんな話題はありませんでしたとも! ええ、24時間ずっとテレビを見ていた僕が言うんだから間違いありません。 |
ホクト |
働け! |
フーバー |
……ニョモニョモは情報操作が……。 |
プレアデス |
(無視)これはちょっと様子を見に行くべきかもしれないねえ。 |
ホクト |
怪しすぎる島だよな。でも。こないだの地震は、自然のものとして記録されてるんじゃないのか? |
GM |
いや、この時代のこのあたり、気象庁とかもないからね。そもそも調べようがない。どっかに百葉箱くらいは置いてあるかもしれないけど。それに、地震なんて滅多におきることはなかったし。 |
プレアデス |
このへんは火山帯じゃないの? そんなに島が隆起するのは変じゃないかい? 行ってみようか、島を見に。 |
マリン |
行くんですか? |
ホクト |
基本的にオレら暇だし。 |
フーバー |
ニョモニョモが隠れすんでいるとしたら放って置けませんからな。 |
ホクト |
……いや、それは心からそっとしておきたいような気がする。ルシーネはどうする? |
その頃のルシーネ |
う〜ん、今日もよく働いたなあ。眠くなっちゃった……あ、この頃みんなと遊んでないから、明日は会いに行こう……ぐー。 |
マリン |
……だそうです。 |
プレアデス |
じゃあ、明日一番にルシーネを誘っていこうか。 |