ライブRPGの顛末 |
今回のライブRPGは、ジャナストラ大陸の沖合いを周回する浮遊都市〈貝の国〉シェベルが舞台です。海底から浮上してきた、超巨大な岩塊がシェベルの底に激突。しかも、そのまま喰いこんで離れなくなってしまいました。ほうっておけばシェベルは海に沈み、10万の市民が故郷を失います。
そうはさせじと立ち上がった、シェベルの人々、というのが参加者のみなさんに演じていただいた役柄です。
この故郷の危機に際して、苦難を回避するのに最も力を尽くしたと市民たちが認めた神殿が、このシェベルを統治する、神殿評議会のトップになれます。
ガヤン&サリカ、ペローマ&ジェスタ、シャストア&アルリアナ、タマット&リャノの四つの派閥が、シェベルの命運をかけて争います。
ただし、参加したプレイヤーさんたちは、この派閥を超えたパーティを組んでいただきます。そして、時には巨大岩塊の秘密を探るためにさまざまなダンジョンに挑み、その探索の合間に「謎の老人が子供をいじめる」だの「新種の魚が出るんですが食べられますか?」といった市民からの苦情処理もこなします。
前者は、ボードゲームやミニチュアを利用したダンジョンにもぐってもらい、モンスターやワナをくぐり抜けて、最後の解決に必要な情報カードを集めてもらいます。後者ではミニセッションで、最終的な勝敗を決める「市民の支持」点をこつこつと集めてもらうのです。
ラストは、四派閥のうち二つが、それぞれ何者か(敵は2種類)に支配されていることが明らかになります。彼らは、人間を捨てて世界制覇に乗り出そうとしていたのです。かくてシェベルの、いえ大陸全体の命運をかけた決戦が行なわれることに……。
もちろん、このラスボスは、我らが安田ボス&ミスター・スティーブ・ジャクソン!
お二人には途中、PCに稽古をつける総神殿長も演じていただきましたが、もうノリノリで、終始ジョークをまじえての熱演で、たいへん盛り上げていただきました。
初日に勝利を飾ったのは「頭脳と筋肉のコンビネーション」こと、ペローマ&ジェスタ神殿。2日目には、神殿長が、謎の仮面おじさんとして司会に忙しくほったらかしていたにもかかわらず、神殿長代理の力もあってシャストア&アルリアナ神殿の勝利に終わりました。
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ガープス4thトークショーの顛末 |
トークショーのタイトルは、当日になって「ガープス4THがやってこなかった」に変更です。とほほ。
しかし、寛大なジャクソンさんは『拙速で出すよりも、じっくりとよいものを作ってほしい』とおっしゃってくださいました。
ジャクソンさんは『各国にはそれぞれの文化がある。翻訳とは言葉を置き換えることではなく、それぞれの文化にあわせた形態にするための新たな創造である』ともおっしゃってくださっています。
このジャクソンさんを迎えての、ガープスを語るイベントです。今回は「これまで」の思い出ではなく、「これから」の未来についての熱い思いを語っていただけました。
ジャクソンさんは、とてもお話のうまい方で、通訳の方々のみごとなフォローのおかげもあり、終始笑いの絶えないショーになりました。
客席のみなさんからの『ガープスは4THでどう変わったか』『どう遊んでほしいのか』『ゲームプレイで楽しいエピソードがあれば聞かせてほしい』といった質問に、ギャグをまじえて答えてゆかれました。
5版の予定は……? という質問には『きみきみ、一万ゴールドほどの賞金をかけられたいのかい』というお答えで、ジャクソンさんが、第四版のできにそれだけの大きな自負をお持ちなことがうかがえました。
また、どんなキャラクターでゲームをプレイされますか、という質問には『自キャラのことを語らせたら、一晩中でもかかるよ』と、やっぱり同じゲーマーなんだなと思える答えを返しておられました。
オススメの有利な特徴、やめといたほうがいい不利な特徴はなんですかという質問には「やめておいたほうがいいと思う不利な特徴は『正直』だね。ダンジョンでとんとんとノックをして、でてきたオークに『何をしてるんだ?』といわれた時に、この特徴を持ったキャラはなんと答えると思う?」(笑)
「それから『誠実』(第四版で訳語は『遵法精神』に)もやめておくほうがいいね。そういうキャラクターは、ダンジョンでモンスターを殺して宝物を奪うなんて冒険に出たりしないから」(笑)
というお答え。そして続けて有利な特徴について。
「で、そんな時に『常識』があれば、ゲームマスターに『本当にダンジョンに入るつもりかい?』と止めてもらえるだろう?」(爆笑)
でつい調子にのった友野は「あの、これまで日本のユーザーからもっとも多く受けた質問なのですが、『放火魔(4版では訳語変更の予定)』という特徴(チャンスがあればいつでも火をつけたがる)は、本当にたった−5CPでいいのでしょうか?」と訊ねてしまいました。
するとジャクソンさん。
「もちろん、それは背景の世界によるよ。昔の日本のように、家屋が木と紙で作られていればマイナス20CPでもいい。でも、そういう時も『常識』があれば……」
ほんとうに放火するのか止めてもらえる?
「そういう時も『常識』があれば、あっ、あれはなんだ! とあらぬ方を指差して、その隙に火をつけるくらいはするしね」
……。というわけで、長年の疑問に結論が出ました。
ホントに放火する特徴だそうです(爆)。
ユエルと百鬼とパワーアップ収録タイトルとコクーンなどのあ日本オリジナルの背景世界では「放火魔」は−20CPということにします(笑)。
さらに、ドラゴンマークとインフィニットワールドという、日米の平行宇宙ものについて語っているうちに、ジャクソンさんがトークショーの部屋をスキップで一周したり(なんでそうなったのかは、説明がはなはだ難しい)。
またブラジルのガープス事情(ブラジルでは、小学校の授業でガープスを使ってTRPGをしてるんだそうです!)を聞かせていただいたり。
参加者の方にも、楽しんでいただけただろうと思います。
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「シェアードワールド・トークショー」 |
執筆陣が勢ぞろいして、前半は、十五年に及ぶ〈妖魔夜行・百鬼夜翔〉の思い出を語り、中盤は新シリーズ〈リボーン・リバース〉の紹介です。
新シリーズ一巻の発売は十一月一日となりました。トークショーでは、イラストレーターの安達洋介先生や、この作品でデビューするうちの新人諸星崇などもまじえてたっぷり語ったのですが……詳しい設定は発売をお待ちください。
とりあえず、あらたなキーワードはユウレイとアート。ユウレイは、これまでのホラーものに登場する幽霊とは、全く別の存在です。アクセントも違いますしね(笑)。失われた記憶が、実体のある物語と化したもの……と、ここでは曖昧で意味ありげな言い回しで。妖魔・百鬼に劣らない、幅広いPC設定や物語を可能にすることをお約束します。
トークの後半は、恒例「読者のみなさんと我々が語り合う怪奇体験談」でした。これは、はじめて聞く! ……というタイプのお話には出会えませんでしたが(いや失礼)、友人の友人ではなく、友人や自分自身に起こった出来事を真夜中にうかがうのは格別の体験でしたね。
来年もまた、みなさんのお話を待っております。 |