Group SNE
News
About SNE

Products

User Contents
  ●著者インタビュー
●イベントレポート
●リーダーズサーカス
●エッセイ
●TRPGリプレイ
Link
indexに戻る
 
TOP > ユーザーコンテンツ > イベントレポート > JGC 05-3
←前のページ イベント目次 補足のページ→


JGC(Japan Game Convention)2005 レポート

○八月二十八日
 
新シェアードワールド・トークショー/00:00

猛者どもが集ったぜ 〈妖魔夜行〉〈百鬼夜翔〉と続いたグループSNEの現代ホラー・シェアードワールド・ノベルシリーズが十数年の歴史にとうとう幕を下ろす。その記念的なトークショーがこのイベントだった。司会役である友野さんのほか、清松さんや北沢さん、川人さん、柘植さんらシリーズの歴代執筆者がそれぞれの感慨を語った。おれも一応、一度だけ〈百鬼夜翔〉シリーズの短編を書かせていただいた身として簡単にコメントをさせていただいた。
 もちろんこれだけでは終わらない。SNEの現代ホラー・シェアードワールド・ノベルシリーズは新たな展開を見せるのだ。その発表が行われた。公式の場での発表は初めてかもしれない。
 これまで続いてきた「妖怪」に代わるキーワード、それは「ユウレイ」……。
 詳細は追々、語られていくことだろう。SNEの新戦力である諸星くんのデビューもこの新シェアードワールド・シリーズとなる。トークショーには諸星くんだけでなく、新シェアードワールド・シリーズの書き手(となる予定)の秋田さん、藤澤さんも同席していた。そして新シェアードワールド・シリーズのイラストレーターさんも(お名前はまだ秘密?)同席されていた!
 このイラストレーターさんはまだお若く、昔から友野さんのファンだったらしい。少し緊張した様子で挨拶をこなされていた。とても初々しい印象で、脇に居並ぶ(ふてぶてしい面構えの)SNEメンバーたちとは大違いだった。
 最後にJGC深夜イベント恒例、「参加者による心霊体験発表会」が行われた。晩夏の夜を彩る怖ろしいエピソードの数々。場が恐怖に凍るたびに「笑い」を起こそうとするSNEの面々は、本当に芸人志向なんだと思う……。
ドラゴンを倒せ!/10:30

 アメリカ産の傑作TRPG〈T&T〉。その戦闘システムは至って単純だ。ダイスをたくさん振れば振るほど、そして高い目を出せば出すほど強力な攻撃となる! より強大な敵を、多くの敵を倒すことができる!!!
 このイベントは基本的に〈T&T〉の戦闘システムに従い、「参加者全員が持てるかぎりのダイスを持ち寄り、いっせいに振り、主催者側の振る大量のダイス(ドラゴン側=900個!)と出目の大きさを競う」というイベントだ。
 単純なシステムにも関わらず、数十名の参加者が集まり、会場は非常に盛りあがった。これは参加者たちが〈T&T〉というゲームをよく知っており、「合わせて数千個のダイスが振られる」という状況の無茶苦茶さを――ゲーム世界ではどれぐらいの強さの冒険者が何人ぐら集まってどんな戦いを繰り広げているのか、ドラゴンのブレスがどれほどの規模なのか、といったイメージを――脳内に、明確に描けるからかもしれない。
 ちなみに今回、ドラゴン側のダイスを振ったのは北沢さん、おれ安田社長、清松さんの四名(プラス助っ人の参加者)。おもしろいことに、四人が四人とも、振ったダイス目が期待値を下まわっていた
 おかしいじゃないか! 合わせて三千六百個もダイスを振ったら、普通は出目が期待値に近づいていくものだろう。なのに、確率的にはあり得ないほど低い数値が出るというのは……。
 グループSNEは不幸な人間の集まりかもしれない
 
ひたすら出目をかぞえる参加者たち  目がちかちかするぅ〜!
安田均と遊ぼう/10:30

 安田社長が参加者を相手に〈パワーグリッド〉(電力会社)というボードゲームを遊ぶ、というただそれだけのイベント。実は安田社長、この前夜も午前三時まで同じゲームを(プライベートで!)目の色変えて遊んでいたのだが……。おれは思わず「好きすぎ!」と突っこんでしまった。
 横では「シャドー・オーバー・キャメロット」とかいろんなボードゲームがSNEの面々のガイドによって遊ばれていた。
 
ゲヘナ2nd体験セッション&トークショー/11:00〜15:30、15:30〜16:30
空気を読むGM
 ご存じの方も多いだろう。アラビアン・ダーク・ファンタジーRPG〈ゲヘナ〉今年の末にセカンド・エディションが発売される。その開発段階バージョンを使ったセッションが行われた。GMは〈ゲヘナ2nd〉のゲームデザイナーである田中公侍さん、そして〈ゲヘナ〉リプレイ第一巻、第二巻の執筆者である三田くん。
 いちおうおれも〈ゲヘナ〉の小説版やリプレイ第三巻の執筆を行ったりしているのだが、GM担当にはならなかった。この日のセッションで使われたシナリオはおれの作だったりするのだが……。
 おれは田中さん、三田くんのセッションをざっと見てまわった。卓は盛りあがっているようだった。一安心だ。セッション後に田中さんや三田くんに首尾を訊いてみたところ、それなりに手ごたえが得られたとのこと。少なくとも〈ゲヘナ2nd〉が志向する「システム的には進化しているがプレイ感覚自体はファースト・エディションと変わらない」という点は実現できていたらしい。
 体験セッションのあとはトークショーだった。田中さん、三田くんに加え、〈ゲヘナ〉シリーズの制作総指揮者である友野詳さんもゲストとして前に並んだ。おれもいちおう小説とリプレイの執筆者として同席させていただいた。
 トークの内容は〈ゲヘナ〉セカンド・エディションについてだ。ファーストとのちがいはどこか? 売りは? 作業の進行状況は?――そんなことが語られた。
 ちなみに〈ゲヘナ〉リプレイの第三巻は物販コーナーで先行発売が行われていた。友野さんとおれが実物を目にしたのはこの日が初めて! 監修者や著者よりもお客さんのほうが先に商品を目にしているという……。このような逆転現象が起こるのもJGCならではと言えるだろう。
 
日米ゲーム首脳会談/14:30
ゲーム界のビッグ2
 スティーブ・ジャクソンさんとグループSNEの安田社長が対談を行うビッグ・イベント。安田社長がいかにしてTRPGと出会ったか、ジャクソンさんと出会うことになったか、といった話も興味深かったが、おれが特に興味を惹かれたのは「ジャクソンさんの考えるコンピュータ・ゲーム(デジタルゲーム)とアナログ・ゲームのちがい」についての話だった。それは会場に来ていた多くの参加者たちも感じたことだろう。
 ジャクソンさんは「コンピュータゲームはたしかにすばらしい。美麗なCGやプロの演奏による音楽などは、アナログゲームにはないものだ。しかしそうしたコンピュータ・ゲームの開発には膨大な時間と人間とカネがかかる。それゆえ大企業だけが開発できるものとなり、また挑戦的な作品は生みだしにくくなっている。つまり本当に新しいものを作りにくい状況になっている。一方、アナログゲームのほうは、いまだに個人で制作することができる。DTPなどの普及もあり、個人でプロレベルの作品を発表することもできるし、小さな規模の会社が作品を発表していくこともできる。それゆえより挑戦的なもの、新しいものを生みだしていくことができる」というようなことを話されていたと思う。
 目が覚めたような感じだった。
 そうだ、そうなのだ――アナログゲームの作り手が小さくまとまっていてどうする。失敗したところで時間的・金銭的なロスは、コンピュータゲームに比べればあまりにも少ない。どんどん新しいことに挑戦していけばいいのだ。どこかで見たことがあるような世界観やシステムなんてくそくらえだ。まったく新しい世界、遊びを考えていけばいい。
 ジャクソンさんありがとう。さすがだぜ!――と、おれは心の中で言った。
 これまたどうでもいい話だが、ゲストや参加者の会話に耳を傾けてみたところ、彼らはジャクソンさんのことを必ずと言っていいほど「スティーブ」と呼称していた。
 友だちかよ!!!
 
閉会式/17:00
 
 おれはすべてのイベントを紹介したわけじゃない。基本的にグループSNE関連のイベントにしか触れていないし、SNE関連のイベントにしても、「SNEコンベンション」「マグナいろいろばとる」「富士見カードのお部屋」といったイベントはおれが紹介した以上に何度も行われているのだ。それほどJGCはもりだくさんなイベントだということ。
 そのイベントもとうとう終わりのときを迎えた。
 閉会式は開会式と同様の形式で行われた。壇上にゲストの方々が並び、会場に並べられた椅子に参加者たちが着席していく。ゲストの方々による終わりの挨拶が行われていく。もちろんジャクソンさんもウィットに満ちたトークを展開してくださった。
 運営事務局の発表によると、今回のイベントには宿泊参加者だけで八百名以上が参加したらしい。最終日などは千六百名がこのイベントに関わったらしい。これは驚くべき数字だろう。JGCは決して敷居の低いイベントじゃない。二泊三日ぶんの時間を作るのは大変だろう。ホテルを借り切るということで、参加費だって安くはない。にもかかわらず八百名以上の人間が三日間を通して参加したというのだ!
 アナログゲーム人気は増しつつあるのかもしれない。それはすばらしいことだなぁ。来年は倍ぐらいのお客さんが押しかければいいなぁ。でもそうなったら我々の仕事が大変になるなぁ。それは正直ごにょごにょ――などと考える晩夏の午後であった。
吠える!


 これを読んでいる「JGCなんて行ったことねーや」という皆さん、来年はぜひ横浜プリンスホテルでお会いしましょう!


←前のページ イベント目次 補足のページ→


TOP