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北沢慶のドイツ旅行記
10月8日

 ほどほどよい時間を眠り、迎えた第2日。
 東向きの窓から差しこむ朝日とそこからの景色を堪能しつつ、朝食へ向かう。こんな規則正しい生活は実に珍しい(苦笑)。
 ホテルでの朝食は、おなじみバフェスタイル(日本でいうバイキング)なのだけど、これまでどこで見たものよりも豪華で品揃えも豊富。みんなここぞとばかりに食べまくる。味も上々でいきなり食事に関しては好印象だ。
 お腹も膨れたところで、今日の最初の予定はプラハ城観光。まさにプラハのメインイベントである。




プラハ城

 現地のガイドさんに連れられて、バスに乗ってプラハ城へGO! いきなり上着を忘れた半袖の北沢は、寒さに怯えるも好天に恵まれて案外快適。
 車を降りて案内されたプラハ城周辺は、いきなり映画セットの世界まるっきりファンタジーの町並みである。
 早速デジカメで写真を撮りまくっていると、予想通りあっけなく電池が切れる。まあこんなこともあろうかと、予備の一眼レフを用意していたのでそっちへチェンジ。やはり最後に頼りになるのはアナログだなぁ。
 映画アマデウスの撮影にも使われたお屋敷などを横目に、目指すは本丸、プラハ大聖堂である。

大聖堂

 もうなにもかもデカくて豪華で壮麗な建造物に圧倒されつつ、数々の門や回廊をくぐる。名物直立不動の衛兵さんも大変だ。
 まずは大聖堂の正面だが、いきなりカメラのファインダーに入りきらない巨大さに圧倒される。続いて中の空間の異常な広さと豪華さに呆然。ステンドグラス、モザイク、彫刻、建造物、なにもかもがもう強烈なインパクトを与えてくれる。
 ガイドさんの指示に従いつつ、いろいろと大聖堂にまつわるエピソードを聞く。一時は神聖ローマ帝国の中心地だけあって、ここから発祥した文化や芸術は、画集や写真集、本で知る知識では計り知れない衝撃と感動を、見るものに与えてくれた。
錬金術通り

 名前だけを聞くと魔術師か金髪の兄弟でも住んでいるような場所だが、プラハ城の金細工などをしていた職人が小さな家々を建てて住みついた一角で、プラハで一番小さな家が並んでいる狭い通り。いまはさまざまな土産物屋が並んでいる。
 ここをわずか5分で通過しろという無体なガイドさんの言葉だったものの、北沢と杉浦は一目散に武器屋へと走る!
 そこはもうひたすら鎧と武器が並ぶ非現実な世界。さらに先へと進むと、そこは本当に武器屋になっていた。ぴかぴかの剣や鎧が所狭しと展示されている。値段は日本円にして2〜10万円といい値段だが……まあどっちにしろ日本に持って帰れるわけもないので後ろ髪を引かれるようにしながら集合場所へと走る。
 ……この話をしたら、ボスと友野さんが集合時間を無視して走っていったのも、やむをえない……ことにしておこう(笑)。
 ガイドさんの困った顔が印象的だったなぁ。
カレル橋

 続いて向かったのは、時の皇帝カレル四世が建てたという500メートルもある巨大な石橋。ここには30体ものキリスト教に関わった聖人の像が並べられ、なんとも壮大な景色が楽しめる名所の一つだ。
 ここではプラハ城をパノラマで楽しめる景色のほか、触ると幸運になれるという聖人のレリーフを並んでまで触りにいったり、かの歴史の教科書でもおなじみのフランシスコ・ザビエル像を見に行ったり(下で像を支えてるの、チョンマゲの侍……?)となかなか見所満載だ。音楽の授業でおなじみのモルダウ川を渡りながら、生演奏の「モルダウ」を聞けるのも感慨深い。
 一行はそのまま足を伸ばし、市街へと戻ってゆく。

市街

 旧修道院(いまはオフィステナント)を抜け、市民広場へ。このあたりから、ずっと気になっていたオレンジ色のシャツの連中が猛烈に増え始める。
 実はこの連中、サッカー・ワールドカップ予選チェコVSオランダ戦の応援に集まったオランダ人サポーターたちだったのだ。
 もうここはどこやねん、というぐらいの勢いで騒ぎまくっているオレンジ軍団。正直巨漢揃いのオランダ人が一丸となって騒ぐ姿はかなり怖い。
 なるべく見なかったことにしつつ、広場近くのレストランで昼食。周辺にはオレンジが点々と群れていたが、そこはそれなりに高い店のせいか日本人ばかり(苦笑)。ここで北沢はフライド・ポーク・シュニッツェルを頼んでみると、なんだか見事なまでにトンカツ(笑)。しかもこれがウマイ! 食事後にデザートとしてチョコケーキやチョコサンデーを頼んでみると、これまた日本人にちょうどいいほどよい甘さの絶品スイーツであった。いい国だ、チェコ!
 ……ちなみに日本を離れる前日、最後の日本食に……と北沢が食べたのは、カツ丼だったのはご愛敬(笑)。

自由行動

 食事の後は、各自バラバラに行動することに。
 といっても、友野杉浦北沢のトリオは、ボスと三田パパの依頼を完遂するべく再びプラハ城へ。
 目的は、みやげ物の武器や兜型のキーホルダーをゲットすること。人の流れに逆らいつつ、なんとか目的の露天へたどり着く。ここで店番のニーチャンに笑われつつ、大量に武器防具を購入。戻りの時間を短縮すべく、地下鉄で市街中心部へと向かった。
 プラハの公共交通機関の面白いところは、チケットが時間制なこと。20分と1時間の2種類があり、その間なら乗り放題。20分のチケットだと日本円で70円ぐらいと大変お手軽だ。改札らしい改札もなく、その気になればタダ乗りも楽勝だが……検札に無賃乗車が見つかると、結構な額の罰金を払わされるらしいからちゃんとチケットを買おう。

 続いての目的地は、日本でもファンが多いだろうアール・ヌーヴォーの旗手アルフォンス・ミュシャの博物館。
 地下鉄を使ったのがよかったのか、意外なほど早く到着でき、さほど広くはないミュシャ博物館(こちらではムハ博物館という)をじっくりと堪能。日本でも画集や美術展で何度か見ていたものの、本人の出身地で見る原画の数々には感動だ。
 お土産などを買い物していると、もう夕食の時間。次なる集合地点へと急ぐ。

夕食

 途中少し道に迷ったり、そのおかげでいかつい武器屋や怪しげなセックスマシン博物館などを見つけつつ、集合地点であるレストラン前へ。
 今日の夕食も、チェコの郷土料理。これまたファンタジーものに出てくる酒場のような石造りで大きな木の長テーブルが並ぶ地下食堂だ。
 ガイドさんにメニューにあるグラム数は200gが一人前の限界と言われたことにビビリながらオーダー。なんせ200g以下のメニューがほとんどないからだ(なかには1600gなんてものまで!)。
 しかし予想外に出てきたものは普通サイズ(よりやや大きかったけど……)で、しかも味付けもグッド。それでいてビールを2杯ずつぐらい飲んでも一人当たり2000円程度というリーズナブルな価格も魅力的だ(ホテルの食事はこれに対し驚くほど高い)。
 やっぱプラハの食事はよい。凝った料理を作る国の食事は、基本的においしいのだなぁと改めて思うのであった。

夜の寄り道

 食事のあとに軽くみやげ物を見てまわり、その後友野杉浦北沢の独身トリオは、好奇心にまかせてセックスマシーン博物館へ突入。もちろん18禁だ。
 ここはシャレ抜きで古今東西の夜の秘めごと用アイテムが集められている。それらが作られた時代や用途なども解説されていて、昔から人間ってのはろくでもないことを一生懸命やってたんだなぁと妙に感慨深い。
 中でも驚いたのやら笑ったのやら、博物館内で上映されていた世界最古(最初?)のポルノ映画。北沢のつたない英語力で解説を読解したところ、1920年にスペインの国王が個人的に要請して作らせたという代物らしい。
 無声映画の時代に、なんつーもん撮らせてるんだスペイン国王!(笑)。
 ちなみに2本作られたうちの1本は医者の妻が従者とメイドに復讐するという話(浮気でもしたのか……そのあたりは読解できず)らしい。
 こんな時代からメイド萌えかよ!と思ったものの……あまりに萌えからは程遠いメイドさんの姿にややヘコみつつ、ようやく帰路につく3人組であった。

そして、夜は悲しいトラブルとともに

 あれほど騒がしかったオレンジ軍団はみなスタジアムに集合しており、街は落ちつきを取り戻していた。
 しかし22時30分から試合開始って……試合終了したら日付変わっちゃうけどどうやって帰宅するんだろう……? やっぱみんなプラハに泊まるんだろうなぁ……。
 ホテルに戻った北沢は、まずフロントで変圧機を借りてさまざまな電子機器の充電を試みるも……なにやら反応せず。しかもノーパソは突然電源が落ちたまま立ちあがらなくなり(電源ユニットが過剰電力で死んだ……?(汗))、すっかりどん底までヘコむ。
 明日は朝一番にドイツはミュンヘンへ旅立つため、朝はとにかく早い。もうなにもかも忘れて風呂入って寝よう……と思ったら、勝ったオランダのサポーターたちが再び大騒ぎ再開の模様。
 うるせーよコンチクショウ(涙)。
 ドイツでは、ノーパソが無事に動きますように……(祈)。


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