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北沢慶のドイツ旅行記
10月10日

 さすがに今朝は起きるのが辛かった。夕べもレポを書いている途中で観念して寝たけれど、朝が辛いことには変わりなく。
 でもレポの続きを書き、行動開始。
 今日は朝から猛烈な霧窓の外は乳白色である。今日観光する予定は、ノイシュヴァンシュタイン城。霧で見えないのは悲しすぎる。もっとも天気予報ではフランスを除くヨーロッパ全域が晴れなので、大丈夫だろうと高をくくってみた。
 ホテルのレストランでビュッフェをモリモリ食べ、ロビーに集合。ガイドのヨリコさんがもう待っている。
 今日はバスでフュッセンまで行き、ドイツ最大の観光名所と言われるノイシュヴァンシュタイン城を目指す……のだが、昨日チャーターしていたバスが使えなかったとのことで、登場したのは50人乗りの大型バス! こちらはガイドさん入れても8人。猛烈に空間の無駄である(笑)。
 ともあれ、そんな大型バスに乗って、今日の旅は始まった。

 ……どうでもいいことだけど、初日の運転手さんがラインハルトさんで、今日がウォルフガングさんだった。ジークフリードさんだったら面白かったのに(初日がオスカーさんでも可)。

ノイシュヴァンシュタイン城へ

 途中ガソリンスタンドで飲み物を買いこんだりしつつ、一路フュッセンへ。ドイツでも飲酒運転は非常に高額な罰金が課せられるそうだが、ガソリンスタンドには目いっぱい酒が並んでいる個人主義で自己責任の国だから、どこでもそんなものだそうな。
 ついでにいうと、ドイツにはコンビニがない深夜営業に関する規制が厳しいそうだが、夜や休日は家族とキッチリすごすドイツ人には不要なのだそうだ。それでもどうしても休日などに物が入り用になるとガソリンスタンドで買い物をするらしい。
 理にかなっているような、かなってないような。
 余談だが、キリスト教会の影響が強いドイツでは、日曜日の営業にも規制がかけられている。休みの日に働くなってことだそうだ。だから昨日(日曜日)は街はシーンとしていた。ルールで決めたらそれを徹底して守るあたり、ドイツ人っぽいなぁと思った北沢である。

城を臨む

 寝不足で爆睡していたら、いつのまにやらフュッセン近郊。周囲はバイエルン地方特有の田園&牧畜地帯が広がっている。
 しかもドイツでは、朝霧が出るとその日は晴れると言われていて、その通り空は雲のほとんどない快晴。のどかな風景とあいまって、まるっきり現実感が薄い。
 そうこうしているうちに、山間にノイシュヴァンシュタイン城が見えてくる! 我々はふもとでバスを降り、お城近くまで現地のバスで上る。
 まずはノイシュヴァンシュタイン城を作ったルードヴィッヒ2世お母さんが作らせたという100メートルの高さの鉄橋マリエン橋へ。ルードヴィッヒ2世もここからの景色に感動して城を作ったのだろうか、見事な絶景。そして見事にその景色に映えるノイシュヴァンシュタイン城。
 板張りのたわむ橋にビビリつつ、いよいよ一行は城へと向かうのであった。
いざ入城!

 お城は観光客があまりに多いため、整理券による入れ替え制。自動解説機を借りて、いざ城内へ入る。
 残念ながら撮影禁止だったため城内の様子はお見せできないものの、なんとも贅沢な作り。
 ただ結構意外だったのは、このお城がバイエルン王国末期であるところの19世紀に作られているため、白い城壁や石垣にはコンクリートっぽい素材(石灰岩らしい)が使われていたことだ。近づいて見てみると、想像以上に近代建築なのである。
 そうした若い城だけに、中の装飾や絵画も当時の雰囲気をそのまま残していて面白い。まさにルードヴィッヒ王が自分の幻想と妄想を具現化するためだけに作らせた城。それだけにファンタジー感満載だ。
 尊敬する作曲家ワグナーのために、その世界観を表現するために作っただけあって、絵画は見事な絵巻、城内に小さいながらも自然洞窟のレプリカまで作らせてしまうのだから本物中の本物だ。
 いいもの作らせたなぁ、ルードヴィッヒ王。

ヴィース教会へ

 城を出たその足でバスを走らせ、ヴィース教会へと立ち寄る。


 ここは張りつけになったキリストではなく、鎖につながれて鞭で打たれているキリスト像がある珍しい教会。その昔あまりにその像がリアルで気味悪いと思った当時の人がこの像を倉庫奥深くに放り込んでいたものを、農家の人があまりに不憫に思って祭ったところ、涙を流したという由来がある。
 以来そのエピソードによって注目が集まり、今日の立派な教会が建てられたという。
 その外観は美しいが質素な印象。しかし中に入ってみてビックリ!
 天井を中心に壮麗な絵画が描かれ、金色をふんだんに使った装飾がその周辺を豪華に彩っている。これは天国はすばらしい世界だということを知らしめるためで、逆に床に近くなるほど装飾は少ない。なるほど、ついつい天を見上げたくなるわけだ。
 ご本尊(?)である鎖につながれたキリスト像も間近で見上げ、少し神妙な気分に浸る。神の存在を信じる気持ちも、結構わかるなぁ。
 一通り見てまわり、みやげ物屋をぶらり。ノイシュヴァンシュタイン城の絵葉書なども売られているのだけれど……なんで半額(60セント→30セント)なのさ?
 お城の中でいっぱい買ったから、もういらねぇよ! ウワァァァン(涙)。
 
ミュンヘンのおもちゃ屋

 またもぐったりと寝ている間に、一行はミュンヘン市街へ帰還。
 奥さま陣がブランドショップ巡りへ出かける一方で、男衆はおもちゃ屋へ向かう。
 わかりやすい構図だ(笑)。
 時間が短かったので足早に2軒のおもちゃ屋を回ったわけだが……あるわあるわ、ドイツの名作ボードゲームがわんさかわんさか並んでる! さすがボードゲームの本場、猛烈な充実ぶりである。どうせエッセンにいけば山盛り買うのは間違いないのに、ボスはさっそくいくつかゲームを買いこんでいた。それでもかなり我慢しているんだとは、本人の談。我慢しなかったらどうなってたんだろう……?

国王のビール

 今日の夕食は、かのヒトラーが旗揚げ演説をしたというビアホールの1階。ここはかつて庶民のものとされていたビールを、王様も飲んでみたいからと作らせた元ビール工場。つまり国王御用達のロヒヤルなビアホールなのだ。
 といっても、集まるのは陽気でビール好きのドイツオヤジたち。生演奏のブラスバンドが軽快かつ豪快な音楽(まるで運動会!)を奏で、オヤジたちは大声で歌い、実ににぎやか。
 そしてここで、我々はドイツ名物のアイスヴァインをいただく。
 最初この名前を聞いたとき、カナダで飲んだアイスワインのことかと思ったら大間違い。豚のモモ肉の丸焼きだった。これをナイフとフォークで豪快にバラし、モリモリ食べる。
 ほかにもソーセージ(本物のバイエルンソーセージだ!)や鳥の煮込みなどをひたすら食べる。王様のビール1リットルジョッキ限定なので、すごい量だ。
 さすがにお腹いっぱいになって、タクシーでホテルに戻る。
 今日はみんなよほど疲れているのだろう。誰もボードゲームしよう、とかブリッジしよう、とか言わずに部屋へと戻っていった。
 ただまあ、独身トリオの部屋にはなぜかタオルが補充されておらず、お風呂に入れないという罠が待っていたわけなんだが……。
 もちろんフロントに文句を言って、補充してもらったけどね!
 ……英語で交渉するの疲れるんだよなぁ。とほほ。
 それから変圧機による充電をあきらめ、半ばヤケクソ気味にデジカメのバッテリー充電器をプラグだけ交換して直接コンセントにぶっ刺す
 いま現在、加熱もせずに順調に充電されているけど……やっぱドイツ人フロントが言ってたように、110v必要な日本製品なら、ドイツは220vだから大丈夫だよ!ってこと……? マジで?
 ……考えてるこっちの頭が煙を吹きそうなので、今日はもう寝ます。
 夜中に充電器が火を吹きませんよーに。

本日の豆知識

 城の中に、自分の大好きな物語すべてを込めようとしたルードヴィッヒ2世。そのためお城の中に突然天然の洞窟を模した回廊が現れる。
 この奇妙な趣味を見た人が、城内に洞窟(ドイツ語でグロット)を作るなんて、変な人だと言ったところから、グロテスク(奇妙、気味の悪い)という言葉は生まれたのだそうな。


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