気づいてみれば、あっという間の最終日程。
ついにボードゲームの祭典、ドイツボードゲーム大会『SPIEL’05』の会場があるエッセンへと移動する日になってしまった。
ハイデルベルクもほとんど素泊まり状態。しかし真の目的がゲームにある以上、これはやむをえないことなのだ!
そんなわけで、一行は最終目的地目指し、ハイデルベルクを旅立つのであった。
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朝 |
エッセン行きの9時20分の電車に乗るため、それなりに早起きな今日の始まり。
朝食もさらりとすませ、駅までエスコートしてくれるガイドさんを待つ。が、北沢と同室の杉浦友野コンビが部屋に荷物を取りに行ったまま戻ってこない。
様子を見に行ってみると……部屋の鍵を開けられずに途方に暮れていた。
ううーん、さすが古都ハイデルベルク。ホテルの部屋の鍵すら開けるのに技能判定が必要とは(ちなみに北沢にはなぜか簡単に開けられる。ナゼ?)。
そんなささやかなトラブルを笑い飛ばしつつ、バスでハイデルベルク中央駅へ。今日はドイツ高速鉄道ICE(アイツェーエー)に乗っての移動だ。いわゆるドイツの新幹線であり、乗り換えを含めてもわずか3時間でエッセンへ我々を運んでくれる。
……しかしホテルから駅まで車で5分ほどの距離なのに、出迎えに来たチャーターバスはまたも50人乗りの大型観光バス。ドイツって不思議。
本職はオペラ歌手(ハイデルベルクの正規歌手)という異色のガイド、トヨタさんにICEへの乗りこみ手続きを手伝ってもらい、ついにホームへ向かう。
ちなみにドイツの鉄道には検札はあるものの改札がない。入り口をくぐるといきなりホームという不思議な感覚は、ちょっと新鮮だった。
ICEは10分ほど遅れたものの、大きなトラブルもなく乗車に成功。
ここでトヨタさんと別れ、我々は車上の人となったのであった。
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ICEでGO! |
日本の新幹線か特急車両のようなものを想像していたら、ICEの中身はずいぶんと違う。
まあ通常車両は似たようなものなんだけど、ガラス張りの個室があるのだ。そこはテーブルを囲むように対面座席になっていて、まるでなにかをせよと言わんばかりの作りなのである。
まあ、ぶっちゃけボス&三田夫妻がチャクチャクとブリッジを始めたわけだが。
途中1回乗り換えをし、一路エッセンを目指す。
ところが面白いことに、この個室。実は占有ではないのだ。乗り換えた先には、書類を広げて携帯電話でなにやら商談をしているビジネスマンのおにーさんが。
やや遠慮しつつ相席すると、電話を終えたおにーさんは気さくに英語で話しかけてきてくれる。ううーん、クリアな英語で聞き取りやすいなぁ。
軽く下手な英語で世間話をしつつ、「ボードゲーム大会に行くんだ」と言ったら「ボードゲームってなに?」って聞き返される。困惑する北沢&杉浦。
あとで気づいたけれど、ドイツ人にとってゲームといえばボードゲーム。だから単純に「ゲーム」と言えば通じたようだ。日本人に「ゲーム会社に勤めてます」って説明すると「ああ、任天堂とかソニーとか?」って聞かれるような感じだろうか。
実際、おにーさんも「子供の頃はラベンズバーガー(ボードゲームの名門メーカー)のゲームが大好きだったよ」と答えていたし。
そんなステキコミュニケーションを行っている間にもICEは走り、ついにエッセンへ! 我々はとうとう、戦場へとたどり着いたのであった。
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昼食、そして戦いの地へ |
まずはホテルにチェックインして、身軽に変身。
これから大量のボードゲームを買いに行くのに、重装備じゃ話にならないからねー。
そしてまずは腹ごしらえとホテルのレストランに入ったのが、ちょっとしたミス。当然長々と待たされてしまう。のんびりした南ドイツの空気にいささか長くさらされすぎたようだ。
もっともこのとき、それまで風邪ですっかり体調不良だった三田さんの表情が一転、超嬉しそうな顔になっていたのが印象的だった。やはりゲーマーにとっての特効薬は、ゲームそのものなんだなぁと妙に感心。
そんなわけで、出された料理を嵐のような勢いで平らげ、ウェイトレスのおねーさんの苦笑を背中に地下鉄に乗って目的地のメッセ・エッセンへと向かう。
地下鉄に乗ること3駅。地上に出た真正面は、いきなり大きなコンベンション・センター。チケットを買いこみ、最前線へと突入だ!
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メッセ・エッセン |
想像通り、会場内はかなり広い。
そこに一見東京ゲームショウ風のディスプレイや空間が広がる。
が。
そこに並んでいるのはゲーム! ゲーム! ゲーム!
徹底的にボードゲームの山である。
もちろんトレーディングカードゲームもそれなりにあるし、TVゲームもこっそりと存在はしているのだが、やはり詰み上がっているボードゲームの山と、それを遊ぶ人たちの姿を前にかすんでみえる。
それに話には聞いていたが、とにかく子供や家族連れ、女性グループの姿が目立つ。もちろんファットでビッグボディなゲームガイの姿も見うけられるが、GENCONに比べればはるかにさわやかフレーバー。初日である木曜日の午後ということもあって、通路もほどほどにすいていてなかなかいい感じだ。
あいにくと今日は会場に到着した時間が午後3時と遅く、まずはボードゲーム関係のブースをぐるりと回って新作のチェック。約1時間をかけて、偵察をする。
ブースには、本当にいろんなメーカーのいろんなボードゲームが並んでいる。見たことがあるもの、やったことがあるもの、まったく知らないもの……ああ、ドイツ語ができたらどんどん遊戯台に飛びこんで知らないゲームを遊ばせてもらうのに!
そのほか、日本からも冒険企画局さんが『迷宮キングダム』でブースを出していたり、その他日本人のブースもいくつかあった。ハングル文字が踊る韓国ブースなどもあり、まさにボードゲームの国際展示即売会。いろいろやってみてーっ!
が、まあ、なんというか今日は時間がないので、ぐるぐる回るだけで手いっぱい。男衆が目をギラギラさせながらうろついている間に、ボスの奥さんは囲碁でドイツ人たちをキュキュッとシメあげていた。日本人の囲碁プレイヤーになど滅多に出会わないだろうドイツの囲碁メンたちに、引っ張りダコの様子だ。挙句「彼女はプロなのか!?」とか聞かれるし(笑)。でも楽しそうだなぁ。
そんな光景を横目に見つつ、とりあえず足を止めて小休止。
最初は「ああ、今日は偵察だけしてさらりと帰るのかなぁ」とか思ったら、ところがどっこい。
ひと段落したと思ったら、ボスの「さあ、買いにいくで」の一声で再び行動開始。すごい速度でドイツ人客の間を縫い、モリモリと容赦なく大人買い。あっという間に荷運び係である友野北沢杉浦のかばんや袋、両手がボードゲームで埋まってゆく。
そこから30〜40分ぐらいもしたころだろうか。我々の両手や背中には、相当な数のボードゲームが。このときの我らの姿を写真に収められなかったのは残念だ(なにせ全員両手が塞がっていたので)。
この日どんなボードゲームが出ていて、どんなものを買いこんだかは……きっとボス自ら詳しく解説してくださるだろうからそちらに譲ろうっと。
……手抜きじゃないよ?
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帰還、そしてプレイ |
荷物がいっぱいになったので、閉会時間である6時よりもやや早めにタクシーでホテルへ。ここでまだRPGやコミック関係を回りたいと友野さんが会場に残る。
しかし荷物がいっぱいになると帰るって……昔のRPGのダンジョンアタックみたいだなぁ。
帰ってきたボス、三田さん、杉浦、北沢の4人で、まずは荷ばらし。なにを買ってなにを買ってないかチェックチェック!
その後、せっかくだからなにか遊ぼうってことで、10周年記念版として発売されていた『カタン』をプレイすることに。
昔カタンは死ぬほどやりまくったが、久しぶりにやってみるとやっぱり面白い。このゲームはよく出来てるなぁ。
ちなみに新版では駒がリアルになった代わりに素材が木からプラスチックになっていたのが、ちょっと残念だった。
それはともかく遊んだ結果……序盤に目立ちすぎた北沢が袋叩きにあい、巧みな話術とプレイングでクレバーにゲームを進めたボスが勝利。
……負けたときに悔しいゲームは、いいゲームの証拠だよね?
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晩ご飯はトルキーに。 |
約束の時間に全員合流し、晩ご飯へと出発。
もう何度もエッセンに来ているボスの案内に従い、鶏肉がおいしいというイタリア料理店を目指す。
が、なにやら店の雰囲気が変わっている様子。どうしようかと迷っているスキに、なんと北沢はトルコ料理店を発見していた。
ローテンブルグで食べようとして食べられなかったトルコ料理の店。意外にもエッセンのホテル近くで見つかり、ノータイムでそちらの入り口をくぐる。
若向けのカジュアルな店内のわりに、ウェイターさんの雰囲気や料理の感じも悪くない。ここぞとばかりにボスが次々と料理を選び、食事を堪能する。
今日のメニューはラタトゥユ&ポテトのスープ。メインはトルコ風カレーライス、ラムチョップ、フェレステーキ、肉とナスのグリル、トルコ風ハンバーグ・チーズ入りといったラインナップ。スープを3皿と4皿欲しいと言ったら、ウェイターさんがどっちがどっちだったかこんがらがるというアクシデントはあったけれど、料理の味は想像以上にGOOD。最後のトルコ・コーヒーも超苦くて眠気も覚める。
思いがけずぶらりと入ったお店のご飯がおいしいと、幸せ感覚も倍増されるからうれしいなぁ。
嬉しすぎて、写真を取り損じてガックリ。ホテルからも近いから、この際秘密の場所にしておこうっと。
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帰ってゲーム……そして最終日へ |
食事から戻ると、途中だったゲームを終わらせて解散。
北沢も部屋に戻って風呂に入り、本日のレポート執筆に。
その間も隣の部屋ではボスたちがブリッジに興じている様子。タフな人たちだなぁ。
いよいよ明日は、全日ゲーム大会。
ついに迎えた最終ラウンド――果たして荷物の過重に耐えられるのか!? 財布は大丈夫なのか!? ちゃんと日本へ発送できるのか!?
期待と不安を交えつつ、明日へ備えて今日は眠りにつくのであった。
本日の豆知識 |
トルコ・コーヒー(トルキッシュカフェ)は元祖コーヒー文化の地トルコのとっても濃いコーヒー。飲み終えると、小さなカップの底には泥のようなコーヒーが残る。
ところがギリシャ人はこれを混ぜて飲むそうな。そりゃまさに泥を飲んでいるような感覚なんじゃないだろーか……。
ちなみに我々は普通にトルコ人と同じくうわずみだけを飲んだわけだけども……それにしたって苦い。ところが冷たい水と合わせて飲むとこれが美味なのだ。コーヒー好きな人は、ぜひトライしてみよう! |
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