戦いはいよいよ終盤戦、残りは3ラウンド。
第8ラウンドの第1セグメント。パラサイトブラッドチームは両機ともに移動を選択。遠距離攻撃担当の北沢機は相手から距離を取り、接近戦担当の力造機が西から回り込む作戦を取る。北沢機の移動を予想していなかったゲヘナAnチームの射撃攻撃は、両方ともキャンセルとなった。
第2セグメントでは力造機とゲヘナAnチームの2機が移動。西では友野機と力造機が、東では北沢機と田中機が接近し、緊張が高まる。北沢機は友野機に射撃攻撃をプロッティングしていたが、スナイパーライフルをもってしても距離が遠すぎるため、ここはキャンセル。
続く第9ラウンド。第1セグメントでは友野機と北沢機が移動。両者とも壁の上に登り、南北でまっすぐにらみ合う形になった。力造機は友野機に短距離ミサイルを撃ち込むが、距離が開いてしまったために失敗。残る田中機は、突撃による移動で北沢機から距離を取った。
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力造: |
第2セグメントですね。俺は移動して、友野機から離れますよ。反撃が恐い。 |
田中: |
僕は射撃攻撃をするつもりでしたが、標的にしている力造機が遠すぎるのでキャンセル。最終局面で弾薬を無駄にはできない。 |
友野: |
俺は最適射程に捉えている北沢機に射撃攻撃。(ころころ)よし、命中した。14点のダメージで、胴に当てたぞ。 |
北沢: |
破損はしないけど、ここに来てダメージを受けるのはつらいな。 |
力造: |
1機も落ちずに10ラウンドを終えた場合、与えたダメージの合計が多いチームの勝ちですからね。 |
北沢: |
まあ、嘆いてもしかたない。こっちも撃ち返すぞ。友野機にスナイパーライフルで射撃攻撃だ。 |
田中: |
真っ向からの撃ち合いですね。 |
友野: |
俺は向こうの最適射程からは外れてるけどな。命中する出目は12以上。 |
北沢: |
(ころころ)……11。11かよ! この期に及んでまた1足りないのか!?(悲鳴) |
田中: |
お。こちらに風が吹いてきた気がするなぁ(笑)。 |
とうとう大詰め、第10ラウンド。泣いても笑っても、このラウンドで決着だ。
第1セグメント。友野・田中機のゲヘナAnチームはそろって移動。両者ともに北側の壁の後ろに隠れるように展開した。
パラサイトブラッドチームは力造機が北へ向かい、最後の一撃を叩き込む機会をうかがう。一方の北沢機は友野機に射撃を試みるが、ここでも壁に阻まれてキャンセルとなった。
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北沢: |
だめだ、ここで遮蔽を取られるとは。第2セグメントも同じアクションをプロッティングしていたから、キャンセルする。最後のセグメントなのに……! |
友野: |
よしよし、最後の最後でいい位置に移動したな。こっちはミドルレーザーで力造機を撃つぞ。 |
力造: |
こ、来いぃ! |
友野: |
(ころころ)命中! ダメージは12点だけだが。 |
力造: |
反撃させていただきます。俺の最後の行動は、友野機のいる北に向けての突撃! |
友野: |
なに!? ――おのれ、最後は自分の身を投げ出してきおったか! |
力造: |
うおお! タマぁ取ったらあっ!! |
田中: |
ん? 力さん、移動力は? |
力造: |
4ですけど、ホイールを使ってるので6になってます! |
田中: |
それだと、1だけ足りませんよ。 |
力造: |
え? ……あ、そうか! 森に突っ込むから、移動力が余分に必要なのを忘れてた! |
友野: |
おお、危なーっ! ふっ、リキよ。惜しかったのう。文字通り、あと一歩のところじゃったわ。 |
力造: |
くっ……! む、無念……。バタリ。 |
北沢: |
ということは、これで10ラウンド目が終わって……? |
田中: |
(各機体の被ダメージを比較、計算する)与えたダメージの差で、僕たちの勝ちになりますね。 |
友野: |
よし、勝利だ! |
力造: |
す、すまねぇっス、兄ィ。俺が最後の突撃を当てていれば……! |
北沢: |
いや、それを言うなら、俺が射撃をもうちょっと成功させてれば勝てたかもしれない。お前はよくやったぜ。 |
力造: |
あ、兄ィ……! |
友野: |
確かに、今回は北沢のダイス目に助けられたことも否定できんな(苦笑)。 |
田中: |
だから高い回避値は信用できるんですってば(笑)。これも立派な作戦勝ちですよ。 |
準決勝第1試合、壮絶なデザイナー対決に勝利したのはゲヘナAnチームだった。
この試合で注目すべき点は、やはり命中判定の成否だろう。プロッティングと読み合いが肝となる『エムブリオマシンRPG』だが、決してそれだけでは勝てない。時にはダイス運も必要となるのだ。
さあ、決勝戦の一方のイスは埋まった。栄えある『優勝』をかけてゲヘナAnチームと争うのは、果たしてどのチームなのか!? |