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TOP > ユーザーコンテンツ > エッセイ > 安田均の「ゲーム日記」第8回
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安田均の「ゲーム日記」 第8回 (2001年6月版)
最新ゲーム50点!〜TRPG・TCGからボードゲームまでを一挙紹介!!〜

 このページに掲載されているゲーム
  ++ アッティラ + バベル + 指輪の王 + カルカソンヌ ++
  ++ ジャワ + 豆カポネ + カタンブック + ドージェ ++
  ++ カルタヘナ + ドリームファクトリー + ドラゴンデルタ + エム ++



アッティラ
  ATTILA
カール=ハインツ・シュミール作
ハンス・イン・グリュック社
評価


 題名どおり、フン族侵入の頃の古代ヨーロッパを舞台にした陣取りゲーム。戦争ゲームくさいタイトルだが、むしろアクワイアのような経済ゲームに似ている。

 プレイ時間は短いが、そこそこ頭を使う。とはいえ、ルールは簡単なので、それほど疲れるということはない。

 作者はこれまで、メタゲームと呼んでいい斬新な作品を数多く作ってきただけに、このシンプルさは新鮮だ。でもコマ置き1位2位争いというのは、ドイツゲームではありふれているので、ちょっとマイナス。

++ ゲームカタログ目次 ++




 バベル
  BABEL
U・ローゼンベルク&H・ドルガテン作
コスモス社
評価


 2人用ゲームの快作。ボードをはさんでバベルの塔の作りあい、というゲームだが、いちばんの特徴は、攻撃優勢なゲームという点だ。普通は防御側を若干有利にするのがゲームデザインのセオリーだが、ここではむしろコンボを中心に自分の手番にどれだけ好きなことをしまくるかというのがおもしろさの中心にある。もちろん、相手にいったん手番が移ると、好き勝手されるので、そうならないように自分の手番のうちに考えないといけない。相手の攻撃をぎりぎりのところでしのいで、反撃で圧倒、というのが起こりやすい展開だろう。

 ただ損なのは、対立タイプの2人用ゲームは、どうしてもTCGが目立っているので、目を引きにくい点。そうした部分抜きで考えるなら、秀作といっていい。

バベル BABEL

++ ゲームカタログ目次 ++




 指輪の王
  DER HERR DER RINGE
ライナー・クニツィーア作
コスモス社
評価

 ファンタジーの古典『指輪物語』を原作とするボードゲーム。しかし、天才クニツィーアの手にかかると、なんとも独特な作品となった。ストーリーゲームを多人数協力ゲーム、あるいは、集団ソロゲームという形で処理し、その雰囲気を生かすことに成功している。もちろんストーリーゲームには、RPGというすでに発展したゲーム分野があるが、それともまったくちがう形をボードゲームで作った点が称賛に値する。

 さすがに、立て続けに遊ぶと飽きる(内容がわかってしまう)というストーリーゲームの宿命からは逃れていないが、それは無理というべきだろう。

 勝ち負けにこだわるゲーマーには、異質な感覚を与えるかもしれないが、ぼくのようなストーリーゲームが好きな者にとっては最高の贈り物。また、協力ゲームというこれまで目立たなかった分野を発展させたのもすばらしい。個人的には絶賛するが、まったくあわないという人もいるだろう。

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 カルカソンヌ
  CARCASSONNE
クラウス=ユーゲン・ヴレーデ作
ハンス・イン・グリュック社
評価

カルカソンヌ CARCASSONNE 隠れた佳作。タイルを置いて、その道筋が伸びるのを楽しむゲームというのはこれまでにも多かった。この作品は、そこに領地争いという要素を含ませ、巧みにバランスをとって、いつ遊んでも楽しめるゲームにした。誰もが思いつくタイプだが、実際におもしろく完成させるのは難しい。

 その点で、この作者はかなりゲームバランスの感覚がすぐれているようで、次作にも期待がかかる。願わくば、複雑になりすぎないよう−−この種のゲームを複雑にするのは誰にでもできる。簡単すぎず、複雑すぎず、そのバランスがすべてといってよいだろう。

 弱点としては、ゲームの見ばえがもう一つなところ。ゲーム自体がストレートなのに、コンポーネントもこうダサくては、手にとってもらいにくいし、人を遊ぼうと誘いにくい。それらを含め、あと一つ、なにかしゃれたセンスがあれば傑作といえただろう。

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ジャワ
  JAVA
W・クラマー&M・キースリング作
ラベンスバーガー社
評価


 こちらはコンポーネントが豪華だ。ティカル』『トレス2年連続ゲーム大賞を受けた黄金コンビの新作。

 秘境を探検するというテーマは『ティカル』に似ているが、もっと陣取りや建設に力点が置かれ、駒を立体に配置するという部分では『トレス』に近い。つまり、抽象ゲーム風だった『トレス』に、『ティカル』みたいな異境の雰囲気を与えたという感じだ。

 要は、高い評価を得た前二作の折衷形であり、そのためぼくなどはさして新鮮な印象を受けず、相対的に低い評価となる。ただし、ゲームのメカニズムはますます洗練されてきているし、はじめて遊んだらきっと‘おもしろい!’となるだろう。

 やっぱり、いかに優れていても、三番せんじは高く評価できませんね。

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豆カポネ
  AL CABOHNE
ウーベ・ローゼンベルク作
アミーゴ社
評価


豆カポネ AL CABOHNE カードゲームの名作ボ−ナンザ』を2人用に遊べるようにしたもの。でも、一筋縄でいかない作者だけあって、そのアイデアには意表をつかれる。つまり、プレイヤー2人以外の第3者がゲームシステムとして登場するのだ。このアル・カボーネドン・コルレボーネ(どちらも豆のもじり)が加わって競ってくることで、プレイヤーの対処は微妙に変化する。2人用ゲームなのに、プレイヤーは対立ばかりでなく、ときには協力もしなくてはならない

 実際のゲームは2度ほどしか遊んでいないが、ゲーム上のキャラクターとも相手プレイヤーとも、なかなかきわどい競りあいとなった。慣れてくると対処しやすくなって、このシステムが働かなくなるのかもしれないが、しばらくはおもしろく楽しめるはずだ。問題は『ボ−ナンザ』を知っていないと辛い点。

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カタン・ブック
  DAS BUCH
クラウス・トイバー編
コスモス社
評価

カタンブック DAS BUCHカタンの開拓者たち新しいシナリオ15本と、これまでのゲームのバリエーション、そして、ゲームの戦略など、カタンの紹介を兼ねた‘ゲームの本’

 普通のファンブックと異なるのは、ほとんどのシナリオが1個のゲームとして独立して遊べるくらいのレベルに達している点。特にカタン特急などは、カタンを鉄道ゲームにしても、それらしい雰囲気で大いに楽しめることを証明している。ちゃんと各ゲーム専用のコマも付属していて、全体は本よりもゲームと呼ぶべきだ。

 言葉を変えるなら、ゲームアンソロジーというべきか。この手で有名なものにクニツィーアの『古代ローマの新しいゲーム(ミニゲーム14個でローマ史を形作るという離れ技)があるが、この作品も出来ばえとしては決して劣らない。あちらがクニツィーアの才能を遺憾なく発揮しているとしたら、こちらはカタンというゲームのすばらしいポテンシャルをまちがいなく示している。

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ドージェ
  DOGE
レオ・コロヴィーニ作
ゴルトジーバー社
評価

 ヴェニスの街の支配力を争う、という見慣れたタイプの多人数ゲームだが、簡潔なルールといかにもドイツのボードゲームらしい備品が魅力的だ(シャンプーハットみたいな帽子をかぶった木のコマ。ヴェニスの総督にちなんでいるらしい)。

 考える部分がわりと整理されているので、すぐに慣れて遊べる。今年は他にもヴェニスの街を扱ったゲームが多かったが、ぼくはその中で、美しいボードや備品といい、ルールの適度なおもしろさといい、プレイ時間といい、これまでのドイツゲームの伝統を受け継いでいると思えるこの作品を推す(『ヴェニス』も好きだが)。

 まあ、同種3つのうちで、いちばん出たのが早かったというメリットもあるだろう。でも、ルールの見通しがよくて、簡潔に遊べるゲームを創れる才能というのは、ややコアゲーマー化しつつある最近のドイツゲーム界では貴重なことだと思う。

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カルタヘナ
  CARTAGENA
レオ・コロヴィーニ作
ウィニング・ムーブズ社
評価


カルタヘナ CARTAGENAドージェと同じ作者だが、こちらの設定は海賊風で、内容は‘ゆっくりレース’という感じの作品。入門ルールで遊ぶと、相手に‘お先にどうぞ’と進ませる部分がおもしろい。短時間で終わり、軽くてなかなかいい出来だが、ちょっと単純すぎる嫌いはある。かといって、本ルールで遊ぼうとすると、今度は急に考え込まねばならず、かなり重くなる。その辺りのバランスが極端で、少しいただけない。

 入門ルールだけで満足できる人にはお薦めだけど、買ったからには本ルールまで遊びたいというのが、普通の人の気持ちだろう。そこまで遊ぶなら、かなり考えるのが好きな人向けのゲームだ。

 コロヴィーニの作品は、根本が‘考えゲー’だと思う。いかにそれをおもしろい角度で見せたり、適度に軽く作れるかで、出来不出来がわかれるのじゃないだろうか。

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ドリーム・ファクトリー
  TRAUMFABRIK
ライナー・クニツィーア作
ハスブロ社
評価

 ハリウッドの黄金時代の映画を製作しようというゲーム。監督俳優カメラ音楽特殊効果などを担当するタレントをせりで獲得し、名作を作らせる。当然、これまでとはちがう配役で、そうした作品が作られていくのを楽しみ、最後はどれがオスカーをとるかで勝敗が決まる。

 こうした時代の映画が好きな者にとっては、こたえられないテーマだ。ゲームシステムはクニツィーアらしく相変わらず切れがいいものの、いつも以上ではないし、以下でもない。これは素直にテーマを楽しむゲームだろう。

 じゃあ、それに興味がない人はどうするかといえば、自分の好きな題材で作り替えればいいのだ(アニメとか新しい映画とか)。こうしたことがすぐそうできそうな気分になる、のは、やはり出来のいいゲームの証拠だろう。箱の中には、かつての映画音楽の名曲がCDで収録されているという凝りよう。持っていて損はない。

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ドラゴンデルタ
  DRACHENDELTA
ロベール・フラーガ作
ユーロゲームズ社
評価
ドラゴンデルタ DRACHENDELTA
 が点在し、その間に橋をかけていかに自分のコマを先に向こう岸に渡れるようにするか

 この種のゲームは、昔から抽象ゲーム系に多かった。この作品も多人数で遊ぶけれど、そのタイプ。

 しかし、とってもおもしろいアイデアが一つある。

 は、途中の島に届かなければかけられず、それを目分量ではからないといけない場合もあるのだ。

 基本はいかに相手の橋を利用しつつ、途中まで進んできた相手のコマを追い返すか。そんなに凝ったゲームではないのに、なぜかおもしろい。

 ベトナムを思わせる雰囲気もよく出ている。思わぬ収穫といってよいだろう。

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エム
  M
マルティン・シュレーゲル作
アバクス社
評価

エム M 題名の妙さに、まず気をひかれる。Mって、何だ?

 で、よくよく見ると、抽象風のパズルゲーム。ここでちょっとガクッ。

 でも、実際に遊んでみるとおもしろかった。以前にカラットというタイルの端の記号をつなぎあわせていくゲームがあったが、それよりも自由度が大きくて遊びやすい。

 基本の構造は、タイルのマークと端の点の一致を見つけていくこと。遊び方自体は簡単だ。

 もちろん、パズル風なのでときどき頭をひねらねばならないが、そんなに苦しむということもなくゲームは進んでいく。

 ぼくは2人用の抽象ゲームというのはどうも苦手だが、このように多人数用になると、急におもしろく見えてくるから不思議だ。

 もっとも、題名のエムの意味は最後まで不明だったけどね(メガファンの略語だそうだが、そこまでおもしろくはないぜ)。

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