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TOP > ユーザーコンテンツ > エッセイ > 安田均の「ゲーム日記」第回
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安田均の「ゲーム日記」 第8回 (2001年6月版)
最新ゲーム50点!〜TRPG・TCGからボードゲームまでを一挙紹介!!〜


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最新ボードゲーム紹介から読む↓

 
最新ボードゲーム紹介
(2ページ目〜)

下記の目次は、五十音(訳題)になっています(各ページは五十音順ではありませんん)。
ゲームのタイトルをクリックすると、直接その作品の紹介へとびます。
各ゲームの、画像に貼ってあるリンク色の枠がある写真)をクリックすると、備品等の拡大写真を見ることが出来ます。
 (画像から本文へ戻る時は、ブラウザの「戻る」ボタンをご利用ください)

++ ゲームカタログ + 目次 ++
  アッティラ
ATTILA
  アフリカ
AFRICA
  アミュレット
DAS AMULETT
  イシス・オシリス
ISIS & OSIRIS
  ヴェニス
VENEZIA
  エヴォ
EVO
  エム
M
  オンライン
ONLINE
  海賊
STO:RTEBEKER
  カタン・ブック
DAS BUCH
  カフェ・インターナショナル
CAFE INTERNATIONAL
  カルカソンヌ
CARCASSONNE
  カルタヘナ
CARTAGENA
  キャセイ
KATHAI
  キャピタル
CAPITOL
  クナッチ
KNATSCH
  ゴーストハント
GESPENSTERJAGD
  サンフランシスコ
SAN FRANCISCO
  サンマルコ
SAN MARCO
  ジャワ
JAVA
  新エントデッカー
DIE NEUEN ENTDECKER
  全速力
VOLLDAMPF
  チップチップ
CHIP-CHIP HURRA
  沈没世界
LAND UNTER!
  ツァップ・ツェラップ
ZAP ZERAPP
  ティチュウ
TICHU
  ティトゥス
TITUS
  ドージェ
DOGE
  ドラゴン・ゴールド
DRACHENGOLD
  ドラゴンデルタ
DRACHENDELTA
  ドリーム・ファクトリー
TRAUMFABRIK
  トロイ
TROIA
  バベル
BABEL
  ハムスターリング
HAMSTER ROLLE
  反乱者
MEUTERER
  ピーナッツ
PEANUTS!
  ビッグショット
BIGSHOT
  ビッグディール
BIG DEAL
  ピノキオ
PINOCCHIO
  ボンゴ
BONGO
  マグレガー
MCGREGOR
  魔法のカクテル
ZAUBERCOKTAIL
  まぼろし盗賊
DER SCHATTENDIEB
  豆カポネ
AL CABOHNE
  メディナ
MEDINA
  指輪の王
DER HERR DER RINGE
  容赦なし!
GNADENLOS!
  リミット
LIMITS
  ルクソール
LUXOR
  ワイアット・アープ
WYATT ARP




 
 風薫る季節。

 この時期になると、ドイツではゲーム大賞(年間ベストボードゲーム賞)候補作発表される。日頃そうしたものを遊び倒しているぼくなんかは、わくわくして落ち着かなくなってくるのだが、それはともかく――

 久しぶりのゲーム日記である。

 調べてみたら、前回から半年以上経っていた。

 もともとここでは、ぼく自身があっと驚いた、近年のドイツボードゲーム再発見をメインに書きはじめている。でももちろん、いまでも仕事の中心であるRPGTCGのことも含めようとしてきた。

 そっちの方はどうなっているのか? それらをまとめた、さまざまな海外ゲーム事情全体が気になる人もいるだろう。

 インターネットは便利そうに見えて、意外に情報が専門的断片的なので、今回はそのあたりの概括から書いてみよう。




 RPGTCGは、簡単といえば簡単だ。

 分野が安定期に入ったのか、メインのビッグタイトルに絞られてしまって、あんまりこれは!−−と目につくニュータイトルは出ていない。


ダンジョンズ&ドラゴンズ 特にRPGは、去年出たダンジョンズ&ドラゴンズ(内容としては、『アドバンストD&D』の第三版)が決定版として聳え立っているので、どうしてもほかがかすんでしまう。マイナーなところで、妙なものヘンなものはいくつも出ているんだけどね。こうしたものは、いまじゃ、友野詳が専門に浸っているので、こちらはおまかせしているような感じだ(ポケモンとクトゥルフの混血、‘ポケトゥルフRPG’なんてのは、冗談だったらしいけど)。

 ぼくとしては、近頃のアメリカのRPGは作品よりも、それを遊んでいる様をおもしろおかしくコミック調で描いた『食卓の騎士KNIGHT OF THE DINNER TABLEの方がおもしろかったりもする。どんなものかは、日本でいうなら、ドクター・モロ−RPG一発男や、田中としひさおこんないでねだと思ってもらったらいい。
 もちろん、『エルリック』の改定版『ストームブリンガー(ああ、ややこし!)とか、クラシック・トラベラーの新たなバージョンとか、『ルーンクエスト』の新展開『ヒーローウォーズとか、昔からのファンには嬉しいものも多いけれど、ちょっと懐古趣味かなとも思う。全体としては、メジャーとマイナーが乖離してしまったなあ、というのが偽らざる感想だ。

 特に新たなD&Dは、D20システムと称して、このゲームシステムで、これまでのいろんなRPGや新たな作品を出していくと宣言しているので、ついついそれじゃ、ガープスと同じじゃないかとも言いたくなってくる。予定に、なんとクトゥルフの呼び声トラベラーが上がっていたりしたので、ちょっぴり期待したが、まだ出てはいないようだ。

 スティーブ・ジャクソンあたりは、逆に自信を深めたのか、将来、RPGで生き残るのは、ガープスとD20システムだけだろうみたいなことを言っている(ガープスは相変わらず順調にサプリメント展開をしている)。

 とは言いいつつも、アメリカでRPGを楽しんでいる層はまだまだ多い。新しいD&Dにしても、遊んでいるゲームマスターだけで、150万という数は半端じゃないものね。

 問題は、D&Dがほぼ独占してしまったことかな。

 ある意味で、日本の方が分野としては小さいが、ゲームとしてのRPGは新しいものがどんどん出ていると言えるだろう。

 グループSNEも、夏からはソード・ワールドの新たな展開が始まるので、お楽しみに。(リプレイだけじゃない。それがどんなものかは、そのうちお知らせできると思う)




 で、TCGの方だけれども、こちらも、ほぼマジック・ザ・ギャザリング』の寡占状態といったところ。そりゃ、ポケモンカードとかの伸びは大きかったけれども、急に伸びると落ちるのも早い。ポケモンTCGはまだアメリカでそれなりに売れているとはいえ、去年までの伸びは完全に止まった。

 一方、いわゆるオリジナルなTCGは、かつては雨後の筍のごとく出ていたけれど、いまでは他メディアからの移植作品(いわゆる原作もの)がほとんどとなっている。

 一つだけ頑張っているのは、怪しいオリエンタルもの『レジェンド・オブ・ファイブ・リングズを作っていたAEG社

第7の海 7TH SEA その後、もともとはRPGだが、TCGのシステムとしてもオリジナリティあふれるホラーウェスタン調ドゥームタウンDOOMTOWNを出し、去年も海賊もの第7の海7TH SEAで気を吐いた。

 どちらもRPGを意識した作り背景世界に詳しく、とても楽しめるものだったが、やはり昨今の流れでは、続けて行くのは苦しかったようだ。

 AEG社は、今年も正調ファンタジーウォーロードWARLORD(同名のコンピュータゲームとは別もの)を出すというが、どうなるのだろう。

 TCGでは、むしろスポーツものなんかの方が順調そうだ。翻訳版も出たメジャーリーグMLBショーダウンはシステムの切れがいいし、人気がある。これからも野球以外にいろいろと出てきそうだ。



 こうしてみると、アメリカではRPGもTCGも安定期に入っている(あるいは、入りつつある)ようで、むしろ新しいゲームの出現が待たれるところだろう。

 ボードゲームは後で述べるとして、そうしたものは2つほど現われている。

 一つは、ディスク・ウォーズDISK WARS。これはTCGの派生形と考えるべきだ。ゲームはほとんどが丸いカード(ディスク)で行なわれる。つまりは、メンコだ。これにドワーフやらエルフの種族がいて、バトルを繰り広げるというもの。それぞれの種族はコレクタブルになっていて、TCGからのアイデアだとすぐにわかる。


ディスク・ウォーズ DISK WARS これだけなら、なんだメンコの変形かと思われるかもしれないが、バトルはさすがにシミュレーションゲームの国、ミニチュアルールを応用した詳しいものになっていて、それなりによくできている。ケッサクなのは、魔法をかけるときにディスクを上から落として下のカードにかぶさったかどうかで判定すること。メンコは叩きつけるのだけれど、ここでは落とすとはねえ。

 正直、最初に見たときは、アイデアはおもしろいけれど、冗談かな、と思った。ところがこのゲーム順調で、いまではいろんなゲーム世界に応用されて、それなりに名の通ったゲームになってきている。この前、D&Dのシナリオ・キャンペーンに、この『ディスク・ウォーズ』の世界を使ったものがあったので、ちょっとびっくりした。そのうち、一度このシナリオを遊んでやろうと思っている。

 もう一つは、これもフィギュアをTCGと合体させたようなゲームメイジ・ナイトMAGE KNIGHT。フィギュアといっても、これまでRPGで使われてきたようなメタルではない。

 イギリスで大ヒットしたウォーハンマーなどと同じく、プラスティック製のものだ。これでいろんなモンスターやスーパーヒューマンを作り、それを戦わせて遊ぶいわゆるフィギュアゲーム。どこがこれまでと変わっているかといえば、最初から着色済みのフィギュアで、いろんな種類があってトレーディングして集める点。


メイジ・ナイト MAGE KNIGHT また、フィギュアの台にも特徴があって、ここに生命点やら、武器の射呈、ダメージなどが記入してあって、台をぐるぐる回転することによって、そのフィギュアの状態が一目で見てとれる。フィギュアゲームというと、欧米では長い伝統のある遊びだけれど、定規を使ったりして煩雑なものが多かった。それをここでは回転台座を活用することによって、すごく遊びやすくしてある。

 ゲームは遊びやすいけれど、いまのところ背景世界とかはあまり詳しくないので、これからの展開に期待するところが大きい。

 作ったのは、元FASA社の社長バトルテック』のデザイナーでもあるジョーダン・ワイズマン。FASA社はつぶれたけれど、彼はマイクロソフトの傘下ウィズキッズ社というアナログゲーム専門会社を作り、このゲームでのヒットを狙っている。『バトルテック』を思わせるおもしろさもあり、注目されるところだ。




 ということで、アメリカのゲーム界はいまのところ、好調なTCGを援用したゲームでの新展開を計っているといえそうだ。

 さて、ところ変わってドイツ

 ここはボードゲームがいちばんホットなところ。

 最近目につくのは、そのゲームの影響がヨーロッパはもちろん、海を越えてアメリカにも波及していると同時に、自国での出版に世界各国のデザイナーを使いはじめたことだろう。

 特にかつての黄金時代(1960〜70年代)を経て、凋落の激しいイギリスなどからは、有能なデザイナーを見つけて、ドイツでゲームを出させるというスタイルをとりはじめた。鉄道ゲームで目につくマーティン・ウォーレス変わった都市発展ゲームを作ったリチャード・ブリーズなどは、コスモス社ハンス・イン・グリュック社といった大手から新作を発表するようになった。

 イギリスだけではない。スェーデンからはファンタジーゲーム中世歴史ゲームで注目されたダン・グリムアメリカからはミステリー・ラミーで名を売ったマイク・フィッツジェラルド、そして、近年ドイツに次いでボードゲームの発展著しいフランスからは、気鋭のデザイナーであるブルーノ・ファイデュッティフィリップ・ケヤエルツといった面々が、どっとボードゲームをドイツで出しはじめた。

 すばらしいのは、これらがどれもおもしろいこと。ちょっと前に、ドイツのゲームメーカーが国内の若手デザイナーに焦点を当てていたころよりもイキがいい。各国のデザイナーの特色が、ドイツのボードゲームといういま活力のある分野でうまく生かされつつあるといえそうだ。

 ぼくとしては、あのユニークさで群を抜くチーパス・ゲーム社(アメリカ)のジェイムズ・エルネストが、いつドイツでボードゲームを作ってくれるのか、もしそうなら、どんなチープなものを作るのだろうか、と期待しているのだが、これはもともと豪華な備品をウリにしているドイツゲームでは無理かもしれない。



 もっとも、デザイナーの名前ばかりが続いても、ゲームを遊ぶ人にはもう一つかもしれないので、ここではちょっと変わった試みをしてみよう。

 これまで、よくドイツゲーム大賞の候補作を並べて、寸評を書いてきたりしたが、人に選ばれたものばかりを書いていてもおもしろくない。そこで、2000年の暮(エッセンのゲーム祭)から今年2001年の春夏(ニュルンベルク見本市で発表されたもの)までの新作をずらっと並べて、ぼくの簡単な評価を述べてみようというものだ。

 なんと、50点近くを一挙に取り上げるけれど、いまドイツでは普段からおもしろそうなボードゲームが、これだけ出ているんだ(それでも、まだ半分にしかならない)ということを感じとってもらえたら嬉しい。

 いわば、2001年版‘安田均のドイツゲーム大賞候補作’でもある。

 評価は10点法。簡単に書けば、10名作傑作佳作良作凡作は(こちらが意図的につけた)ダメダメ作くらいに思ってほしい。順番は遊んだ順ということで。

 印あたりが、もうすぐ発表される今年のドイツゲーム大賞の候補作にふさわしいと思う。

 では、スタート。

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