Group SNE
News
About SNE

Products

User Contents
  ●著者インタビュー
●イベントレポート
●リーダーズサーカス
●エッセイ
●TRPGリプレイ
Link
indexに戻る
 
TOP > ユーザーコンテンツ > エッセイ > 安田均の「ゲーム日記」第8回
←前のページ 「エッセイ」トップへ→


安田均の「ゲーム日記」 第8回 (2001年6月版)
最新ゲーム50点!〜TRPG・TCGからボードゲームまでを一挙紹介!!〜

 このページに掲載されているゲーム
  ++ サンマルコ + キャピタル + アフリカ + アミュレット ++
  ++ メディナ + ヴェニス ++

  ++ ゴーストハント + ピーナッツ + カフェ・インターナショナル + ピノキオ ++
  ++ まぼろし盗賊 + オンライン + ボンゴ + 新エントデッカー ++



サンマルコ
  SAN MARCO
A・ムーン&A・ヴァイスブルム作
ラベンスバーガー社社
評価
サンマルコ SAN MARCO
 今回、ヴェニスを扱った2番目のゲーム。遅れて出たということで、印象面で損をしていることは否めない。

 実際ドージェとは、よく似ている。ボードの地図がヴェニスなので、その区分けが似ているのは仕方ないにしても、同じような帽子をかぶった総督地域別の支配影響力を競う点など、どうしても‘ああ、またか’と思ってしまう。

 もっとも、ゲームシステムとしては、こちらの方が凝っていて、カードの分配の仕方でおもしろい方法を使ったり、ちゃんとヴェニスらしく、橋が大きな意味を持っていたりする。

 そう考えると、『ドージェ』か、この『サンマルコ』かの好き嫌いは、基本的に簡潔な方が好きか、凝っている方が好きか、になってしまうところがある(ぼくはドイツゲームでは前者だから『ドージェ』で、ドイツなどのゲームマニア層は『サンマルコ』をとるらしい)。

 まあ、ゲームとしてはしっかりしているので、重さとしてミドルクラスのゲーム(カタン程度)が好きだという人にはお薦めしたい。

++ ゲームカタログ目次 ++




キャピタル
  CAPITOL
A・ムーン&A・ヴァイスブルム作
シュミット社
評価


キャピタル CAPITOL これも同じくアラン・ムーンの作。今年は快調でこれを含めて3作も出ているが、正直いって、今回のムーンの作品は感心しないものが多かった。

 どこかで見たようなアイデアが多いのだ。

 これは街発展ゲームだが、内容はカードを選択できる『マンハッタンといったもの。あのゲームのように、いかに高いビルを建てるか、あるいは、低くてもいいから広い地域に多くのビルを建てるかを競いあう。

 さすがにカードはせりをして、どれを使うか選べるようになっているが、それくらいだけだと、すでに大賞を受けたすぐれたゲームがあるのだから、アイデアの借用としか思えない。

 個人的な感想だが、ムーンのデザインは『サンマルコ』にしても、これにしても、やや重めのゲームより、一昨年のアンドロメダとかタイムパイレーツのように、ちょっとお馬鹿な感覚やレトロな部分を取り入れて、気楽に遊べるものの方がずっといいと思うのだけれど……(そういえば、『ヴォンガル』も苦しかったなあ)。

 いずれにしても、気に入っているデザイナーだから注文をつけるのであって、純粋にゲーム単体として見た場合は遊べる。ただし、この作品の場合は、まず『マンハッタン』から遊んでほしい。

++ ゲームカタログ目次 ++




 アフリカ
  AFRICA
ライナー・クニツィーア作
ゴルトジーバー社
評価


アフリカ AFRICA 最高、だと思う。おそらく今年の大賞はこれで決まりだろう。

 遊びやすさバランスめくりの好奇心(冒険心)、ちょっとだけ考えるところ、スピーディで時間がかからない点。どれもがうまく結びついていて、ボードゲームに慣れていない人から、マニアまで、それなりに楽しめる。ボードは美しく、備品も余計なところがほとんどない。

 おそらく、クニツィーアはこの作品を、ゲーム大賞を‘狙って’作ったはずだ。これまで才能のあふれるままに進んできたデザイナーが、やっと賞狙いに本腰を入れはじめたという気がする。さあ、大賞審査員どうするかね、とぼくなどは野次馬気分で楽しい。

 もちろん、このゲームをめくりだけだ、と批判する人もいるだろう。ま、それをいうなら、バックギャモンサイコロだけ、麻雀ツモだけのゲームとなるけどね。

 ゲームの基本構造は、探検隊を率いて、隣りあうマスのチットをめくっていくだけ。ただ、そのチットには5種類あって、そのそれぞれでの得点計算がある。つまり、どれを中心に狙うか、どういうコンビネーションにするのか、また、位置からいって、他の探検隊とどういう縄張りで進んでいくのか、プラニングはいくつも出てくる。それでも、自分の手番に行なうことは、チットをめくるか再配置することくらいだ−−この簡潔さと、にもかかわらず、考えてしまう妙な緊張感は、依然としていかにものクニツィーアだろう。

 ただ『アフリカ』は、これまでより広い層にもアッピールするはず、という余裕を作品から感じる。

 この1年、彼は従来の傾向と少しちがった形で良作を輩出した。指輪の王ドリーム・ファクトリー、そして、この『アフリカ』。しかし、その前には、3年たて続けにチグリス・ユーフラテス』『砂漠を越えて』『ラー』『サムライ』『タジマハール』『ロストシティなど佳作傑作を10点以上、出し続けてきた。

 これから先、いったいどうするのだろうか。一抹の不安と大きな期待を持って、とりあえずこう言いたい。

アフリカ象が好き!

++ ゲームカタログ目次 ++




アミュレット
  DAS AMULETT
A・ムーン&A・ヴァイスブルム作
ゴルトジーバー社
評価

アミュレット DAS AMULETT ムーンが今回作った3作の中では、いちばんの野心作。おもしろいことはおもしろいのだが、弱点もある。

 ゲームはいかに強力な鉱物(金、銀、銅、鉄)を揃えて、宝石(全部で10種類)を集め、それで首飾りを組み立てるか、というもの。

 鉱物を揃えたり、宝石を集めるには、それぞれ様々な魔法の呪文の支援が必要だ。

 プレイヤーはまず、そうした呪文カードをせり落とす。これによって、鉱物カードが揃えやすくなり、今度はその鉱物カードで宝石をせり落とす

 宝石を7〜8個先に集めたプレイヤーが勝ちだから、この2種類のせりがゲームの鍵を握っているのはおわかりだろう。そして、そのそれぞれに関係してくる魔法の呪文が大切なことも。

 ところが、鉱物に関する呪文はともかく、一般呪文の中にはかなり強力なものも多く、これが最初の配分で偏ってしまうと、ゲームがあっけなく終わってしまうこともある。

 ボードはむしろ、こうしたカードによるせりをサポートするようなもので、それほどの重要性はない。あくまで呪文とせりが中心なのだ。

 カードの偏りを解消するには、カード間のバランスをもっととってゲーム性を高めるのが普通だろうが、それをやりすぎると、ゲームがかなり重くなることもまちがいない。そして、製作にもプレイにも時間がかかったあげく、よくあるゲームということになりかねない。その意味では、このくらいの偏りでまとめた方が、ゲームの動きがはっきりしていてメリハリが効くともいえる。

 いかにも作者の個性の出たゲームだが、最初に呪文を覚えるのがちょっと面倒だ。やりこめばおもしろいと思うけれど。

++ ゲームカタログ目次 ++




メディナ
  MEDINA
ステファン・ドーラ作
ハンス・イン・グリュック社
評価


メディナ MEDINA はっきり言って苦手なタイプのゲームである。

 ドーラ久々の大作ということで、期待しすぎたのもよくないのだろう。

 街を作っていくという、よくあるゲームだが、システムはちょっとちがう。建物が積み木型でそれほど細かくルール化はされない。

 言い換えると、抽象ゲーム風なのだ。

 4つの色の積み木を色別に並べていき、ある段階でその建物群の所有権を宣言する。所有権を宣言した屋根の色はもう使えないので、いつ宣言するかなど、他プレイヤーとの駆け引きが重要なゲームだ。

 じっと我慢をしていて、チャンスとみるや、所有権を宣言しないといけない。逆に、有利に宣言されたとみるや、今度はそのプレイヤーに対して、全員が足を引っ張るように建物を建てたり、他の色の屋根の所有を宣言しなければならないだろう。

 ゲーマー、特に長考型の人が得意そうなゲームで、せっかちなぼくは失敗しそうで、最初から遠慮したいタイプ。ま、ゲームにはこうしたバラエティも必要だろう。

 もっとも、同じようなゲームだが、以前のマラキャシュはもっと短い時間で決着のつくおもしろいものだった。同じ作者なのだから、どうしてああいうタイプにしてくれなかったのだろう、残念。

++ ゲームカタログ目次 ++




 ヴェニス
  VENEZIA
ロナルド・ホフスタッター作
クィーン社
評価

ヴェニス VENEZIA これが3番目のヴェニスものだが、ぼくは好きだ。

 プレイヤーを選ぶタイプだろうし、失敗している部分もあるけれど、いかにも新人デザイナーががんばっている雰囲気が伝わってくる。

 3番目ということで、大きな特徴がある。これまでのようにヴェニスの支配を争うのだが、なんとそれは人ではない。

 ハトなのだ(ヴェニスには多い)。

 がらの悪そうなハトの集団が、ここはおれたちの縄張りだ、といがみ合う。冗談ゲームの雰囲気だが、ゲーム自体はストロングスタイル。何と、ヴェニスの大きな区画争いだけでなく、サンマルコ広場でハト同士の個別の争いもある。

 争いといっても、出入りではない。そこは平和の象徴らしく、人間のそばに行って、エサの獲得競争をするのだ。特に、人間の頭に乗ったやつには、すばらしくたくさんのエサが与えられる(笑)。しかし、喜んでばかりもいられない。害鳥だと思われ、彼らを狙う人間のハトハンターも出没……

 どうです、おもしろそうなゲームでしょ?

 このゲーム、よくできているのは、やはりサンマルコ広場のハトの争い。チェッカーみたいなサブゲームで、この部分はすばらしい。

 問題なのは、ヴェニスの大きな区画にコマを置くと、なかなか動かしたり戻したりできないので、慎重に選ばないと、すぐにゲームから脱落気味になること。2時間ゲームで初期に脱落となると、ちょっと辛い。もう一つ、強力なカードが多すぎるのも、いまいちなところ。

 全体としてはかなり好みのゲームだし、冗談色の強い題材でストロングスタイルというのも最近珍しいので、評価はしたい。

++ ゲームカタログ目次 ++



 ふ〜、お疲れ様。

 これでまだ、メジャーなゲーム会社から出た作品の半分ほど。残りにも、まだまだおもしろそうな作品は残っている。

 それと毎度のことだが、メジャーなところ以外からも、佳作/快作/怪作がたくさん出ている。そのうち話題になったものは、2〜3年後に大手ゲーム会社から再出版される。

 それらもまた楽しいのだが、切りがないので、いったんストップ(他の仕事ができないよー)。

 ドイツゲーム大賞はこれらのうちから、1ダースほどの作品を大賞候補作として、毎年5月末くらいに発表最終候補3作を決めてから、7月上旬に大賞の発表となる。

 ざっと見ると、いかにバラエティにとんでいるかおわかりになるだろう。

 こうした候補作の広がりを見るのが楽しくて、毎年5月になるとわくわくするのだが、今回、全体を総ざらえしてみても(まあ、半分だが)、その感覚は変わらなかった。さすがに大手から出る作品は最低レベルはクリアしているし、傑作もかなり現われている。

 ぼくはドイツボードゲーム1980年代後半から黄金時代に突入したと見ているのだけれど、それにも3期あって、1987〜90年クラマー全盛、トイバー登場)、93〜95年クニツィーア登場、トイバーのカタンという決定版)、97〜99年クニツィーアを頂点として、世界的認知)と踏んでいた。

 このところ、ちょっとゲームに複雑なものが増え、逆にアイデアに似たようなものが多く、下り坂になるのかなと危惧したが、再び豊穣な世界が約束されているように思えた。

 そして、いま世界各国から有能なデザイナーが集結しつつある。

 当面もおもしろいゲームは出続けるだろうし、みなさんも注目していただきたい。
 海外のボードゲームこのお店で取り扱っています(リンク準備中)。近くで買えないときは、通販を利用するのが手かも。



 さらに少し遊んだので、追加しておこう。

 ところで、ビッグディールのルールが一部まちがっていたようで、遊び直したら、もっとおもしろくなっていた。ということで、評価7に上げていいと思う。



ゴーストハント
  GESPENSTERJAGD
カイ・ハファーカンプ作
アミーゴ社
評価

ゴーストハント GESPENSTERJAGD
 明らかにスコットランドヤード』を意識した幽霊ハントもの。幽霊が逃げ回り、それを少年たち4人が追い詰める。幽霊は毎回、大きな屋敷での自分の動きをプロットし、それを推測してプレイヤーの少年たちが動き回る。制限ターンまでに追い詰めたら勝ちだし、逃げられたら負け

 幽霊にはダブルムーブまであるので、これはもう最初から、あの名作のシステムをお借りしてますと言っているようなものだ。

 こうしたそっくりなゲームシステムを、ちがうテーマに援用したものは、どう評価すべきなのだろう。

 というのも、ボードや備品の出来ばえは一級品。雰囲気も少年ホラーものを非常によく演出しているからだ。その巧みさに、ついつい‘よくできたゲーム’という評を与えがちとなる。

 だからといって、ここで認めてしまうと、ゲームを作る上でこんなに楽なことはない。もっとも、このゲーム、システムは少し甘い。幽霊の方がいくぶん逃げやすいように作ってある。追いかける側は速度が遅い一方、幽霊は壁を伝って、どこにでも向かえるからだ。『スコットランドヤード』では逃げる方は汗たらたらだったが、こちらはちょっとドキドキくらい。

 それなら、カードを調節したらいいですよ、とルールにある。

 ええい、そういう調子のよい態度がいやなのじゃ! ここは断固として、よくて7点しかつけられない。これもキャピタルと同じで、ぜひ『スコットランドヤード』から遊んでください、と書いておこう。

++ ゲームカタログ目次 ++



ピーナッツ
  PEANUTS!
ハインツ・マイスター作
ゴルトジーバー社
評価

ピーナッツ PEANUTS!
 こちらは、昔よく見かけたルーレットのような円盤をぐるぐるとまわるダイスゲーム

 サイコロのふりかたでいろんなところを狙い、首尾よく、いちばん価値の高い場所に止まった場合、好きな場所を手に入れられ、以後いろんな恩恵に浴せる。

 そうした場所を先に6か所(5人プレイ時)入手するか、もしくは、だれかが破産したときにいちばんお金(なぜかピーナツ!)をもっていたプレイヤーが勝者というもの。

 おっと、もう一つ、おそろしいものを忘れていた。プレイヤーのコマの他に、銀行ゴマというのがあって、これが獰猛。こいつが5か所先に占めたときも、だれがいちばんお金持ちかでゲームが決まる。銀行はそれよりも、プレイヤーのコマを弾き出すし、ときとしていちばん価値の高いところに止まって、献上金を要求する。銀行に追いかけられだすとたまらない(笑)。

 サイコロの振り方にも特徴があって、目が0〜5のサイコロを1個か2個目が1〜3のサイコロを1個、どれかの振り方をしないといけない。これで、他のプレイヤーを弾き出すとか、金を払ってもう1度振るとかして、価値の高い場所を狙うのだ。

 よくあるダイスゲームのように見えるが、意外なことに、むしろモノポリー』に似ているカラーグループのように隣りあう場所や、ボードウォーク街にも似ている高値圏の場所を入手すると有利だ。バランスはなかなかよくて、結構考えての決断が楽しい。

 最新では珍しいタイプということで、評価は高め。おもしろいぜ。

++ ゲームカタログ目次 ++




カフェ・インターナショナル
  CAFE INTERNATIONAL
ルディ・ホフマン作
アミーゴ社
評価

カフェ・インターナショナル CAFE INTERNATIONAL
 かつてのゲーム大賞受賞作をカードゲーム化したもの。

 12か国の国旗を表わすテーブルに、12か国の男女がどうすわるかで得点を争う、というシステムは一緒だ。

 ただ、カードゲームだけに、テーブルはX型に5つしか並べられず、そのまわりを4人が取り囲むとどんどん取り去られていく。随分インターナショナルカフェもこぶりになったなあ、という印象だ。

 その分、注意は集中するので、ゲームは遊びやすくもなっている。この辺りは微妙で、以前はもっと広かったから、12か国人カードと国旗テーブルの不一致は起こりにくかった、とも感じられるのだ。

 まあ、ゲームは形態によって感覚がはっきり変わるのを感じとれたということで、興味深かったけれど、元のボードゲームをしのぐとまでは思えない。手軽な作品。

++ ゲームカタログ目次 ++




ピノキオ
  PINOCCHIO
ディーター・ガブハルト作
アミーゴ社
評価


ピノキオ PINOCCHIO これはまさしくダウト嘘つきがいるたびに、ピノキオの鼻がどんどん伸びていく年小者向けゲームだと思うが、カードに描かれたズボンネクタイなどが可愛らしい

 ゲームの部分は遊びやすく赤青黄のカラーと、靴、ズボン、シャツ、ネクタイ、帽子のどれかを組合わせたカードを手札にもっている。プレイヤーは裏向けに出したカードをこのどれかと宣言する。そこで嘘かどうかのタイミングがあるわけだが、何も起こらなければ、次のプレイヤーはこの色か物かのどちらかを同じで続けなければならない

 ダウトというのはおもしろいもので、心理のどこかに引っ掛かるとうまく続けられない。だから、黒い靴、とか、前のと全然関係ないものを言ったりして、ピノキオの鼻は伸び続ける。この心理だけのゲーム部分に、推測ゲームやアイデアゲームの部分がもう少し結びついていれば、リミットクラスになっただろう。

++ ゲームカタログ目次 ++




まぼろし盗賊
  DER SCHATTENDIEB
ユーゲン・グルナウ作
アミーゴ社
評価

まぼろし盗賊 DER SCHATTENDIEB
 これはもっと評価したいのだが、難しい。

 というのは、とてもおもしろそうなアイデアを3つほど出しながら、それがゲームとしてどれも浅い部分でしか提示されず、なんとも物足りない作品となっているからだ。

 グルナウはデザイナーとしては中堅どころ。知らないはずはない。

 どうしてそんなことをしたのだろう?

 考えすぎかもしれないが、もともとのゲームのあっさりした(誰とでも、そんなに頭を使わないで遊ぶ)部分を強調したかったのだろうか?

 アイデアとは、まずキャンセレーションを使うところ。つまり同じ数字が出たらキャンセルという部分。これの数字幅が大きいので生きていない。じつはここは数字幅を絞り込んで、もっと推測できればとてもおもしろいのに。特に付属してカードを余分に出せるので、大きい数字か小さい数字かはおもしろく悩めるはず。

 もう一つの盗賊にしても、各色1枚ずつしかないのに、色の一致という制限があるにしては効果が弱い。

 そして、金庫に鍵というおもしろいアイデアにしても、引きの要素が大きく、どこでゲームを終わるかに悩むくらいがミソとなる。

 確かに、クニツィーアのカードゲームのように、いつも頭をきりきり使うのはしんどい。カードゲームは本来、気楽にわいわいがやがや出来るものだった、という考えはわかるが、おもしろい素質を秘めているゲームだけに惜しい気分にもなる。

++ ゲームカタログ目次 ++




オンライン
  ONLINE
ハートムット・コメレル作
フラニョス社
評価

オンライン ONLINE
 インターネットで広告をうつゲームということだが、実際に遊ぶとタイルの色合せみたいな感覚がある。

 どれかの国語ジャンル企業で、それぞれのネットを支配していくかだが、基本はタイル置き1位2位ゲーム

 そのために妙な安心感があって、ゲーム自体は楽しかったが、このゲーム独特という感触はもちえなかった。

 上級ルールになるともっと得点方法が複雑で、よりらしくなってくるが、今度はゲームも複雑になって、ただでさえ長考しがちなのに、ますますプレイ時間が伸びる。

カフェ・インターナションルと感覚が似ているが、それならあのカードゲームの方をお薦めしたい。

++ ゲームカタログ目次 ++




ボンゴ
  BONGO
ブルーノ・ファイデュッティ作
ハイデルベルガー社
評価

ボンゴ BONGO 一風変わったゲーム。馬鹿ゲーというタイプかな。

 特殊なサイコロを振って、どの動物が該当するかを即座に答えていくゲーム。

 動物にはサイはいるけれど、あとは見慣れないヌーとか、おそらく愛称のボンゴとかいるので、ついうまく答えられず、言いまちがえたりして爆笑になる。

 ゲーム自体は、すぐに密猟者まで入れた上級ルールで遊べて楽しいが、得点ルールがありきたりで、すぐに終わってしまう。

 まあ、あっさりしたところが持ち味のユーモアゲームだから、こんなものだろうか。

++ ゲームカタログ目次 ++




 新エントデッカー
  DIE NEUEN ENTDECKER
クラウス・トイバー作
コスモス社
評価

新エントデッカー DIE NEUEN ENTDECKER
 すばらしい!

 エントデッカーの新版が出ると聞いてはいたが、ただのリメイクではない。新たな部分を作って、これまでのゲームとかなりちがった感触になっている。

 ぼくはアフリカやクニツィーアを大賞の本命に、対抗をエヴォなどフランス勢と考えていたが、この『新エントデッカー』こそ、まさしく対抗(それも強力な)だと思う。それくらい、おもしろかった。

 もともとエントデッカー好きなゲームだ。ぼくは出た当時、カタン』にも比すおもしろさだと思ったが、それはドイツも同じで、ファンの選ぶ賞では大賞のエル・グランデに次いで2位になっていた。

 しかし『カタン』が前年に受賞したこともあり、‘またトイバーか’と大賞では候補段階から外されていて、憤慨したことを思い出す。

 今回、新たなこれを出すにあたって、トイバーもかなりリキが入ったのだろう。以前に口うるさいマニアたちに‘ただのめくりゲームだ’と批判されたことも考えたのか、いろいろと付け加えている(そんなことは気にしなくてもいいのにね。みんな大多数のファンはトイバーが好きなのに)。

 大きく変わったのは、開いているタイルの山を作り、それを資金でも購入できるようにしたこと。これでランダムさの嫌いな人は、ある程度めくりの恐怖から逃れることもできる。

 それと、最後の方で、余りがちになっていた植民者のコマを、チットを獲得するのに使うようになった。以前は、得点したときにすぐにチットを引いて手に入れられたが(これもランダムさが大きいと批判されたりした)、原住民のテントの中にいったん隠し、以後、植民者ゴマの置き競争で多かったものが獲得できるようにしたのである。

 そうした部分があって、少々複雑にはなったけれど、相変わらず大海原に乗り出して、タイルをめくっていく楽しさは健在!

 あっというまに、1時間半が過ぎ去っていた。そして、例によって、大陸は現われるは、小島の区切りあいになるは、得点が大接戦。このおもしろさは、なにものにも替えがたい。

 トイバークニツィーア、やっぱりこの二人の作るゲームはすごい。

 さあ、エントデッカーの復讐戦なるか、それともクニツィーアの執念が実るか。

 今年のゲーム大賞レースはホントにおもしろいぜ!

++ ゲームカタログ目次 ++




 と、盛り上がったところで、さらに追記。

 いざアップという段になって、予測していた事態が起こった。

 ドイツゲーム大賞の候補作が発表されたのだ(5/29)。
 じゃじゃ〜ん、こっちも覚悟していたので、それをおそるおそる見ると−−


  ゲームタイトル  作者
 (ゲーム会社)
『バベル』
BABEL
 ローゼンベルク&ドルガテン
 (コスモス)
 『キャピタル』
 CAPITOL
 ムーン&ヴァイスブルム
 (シュミット)
『カルカソンヌ』
CARCASONNE
 ヴレーデ
 (ハンス・イン・グリュック)
 『カルタヘナ』
 CARTAGENA
 コロヴィーニ
 (ウィニング・ムーブズ)
 『アミュレット』
 DAS AMULETT
 ムーン&ヴァイスブルム
 (ゴルトジーバー)

 DIE HANDLER VON GENOA
 ドルン
 (ラベンスバーガー/アレア)
 『ドラゴンデルタ』
 DRACHENDELTA
 フラーガ
 (ユーロゲームズ)

 EBBE UND FLUT
 ヴェルナー
 (アドルング)

 HEXENRENNEN
 パニング
 (クィーン)
 『沈没世界』
 LAND UNTER!
 ドーラ
 (ベルリナー)
 ROYAL TURF  クニツィーア
 (ラベンスバーガー/アレア)
 『サンマルコ』
 SAN MARCO
 ムーン&ヴァイスブルム
 (ラベンスバーガー)
『ツァップ・ツェラップ』
ZAP ZERAPP
 マイスター&ツォッハ
 (ツォッハ)

 オーマイガッ!

 訳題の入っていないのは、まだ遊んでいないので仕方ないが、ぼくの選んだ候補10作のうち、一致したのはわずか3点印)。それよりも、力を入れて推したアフリカエヴォ』『新エントデッカーなどは、みんな討ち死にだ。

 50点近くのレビューを書き、ちょっと疲れながらも、最後に盛り上げておいて、これだけ見事なアンチクライマックスがあろうか、いやない(笑)。

 まあ、好みのちがいだろうから、アラン・ムーンのからむ3点キャピタル』『サンマルコ』『アミュレットはいいけれども、また2年前と同じく、変な選び方しやがって、と言いたくなる点は多い。

 特にリメイクは謎だ。沈没世界なんてのはいいゲームだが、完全なリメイクだし、クニツィーアROYAL TURFにしても、昔に出たマイナーな作品のリメイク。そもそも、クニツィーアに関しては、他の作品を落としてまで何でこれがというのが、再び繰り返された(おっと、ROYAL TURFを遊んでいないので、言いきってはだめですね。大傑作になっているかもしれないし)。

 ま、好き嫌いを抜きにして、この中から大賞を予想すれば、ムーンの3作のどれかか、まだ遊んでいないうちのジェノアの商人DIE HANDLER VON GENOAかな。

 ゲーム会社別に見ると、1社からどれか1点という調整的な感覚がある。ラベンスバーガー社は優遇され(アレア、ベルリナーを含む)、アミーゴ社は可哀想だけど。まあ、アミーゴは、ドイツのRPG、TCGの拠点でもあるしね。ボードゲーム界では異端児かもしれない。

 ゲーム傾向から見ると、どうもドイツゲーム大賞の審査員は、頭の硬いゲーム’が好きな人たちが多いようだ。

 こうなれば、どうせバベル』『カルカソンヌはボックスが小さくて駄目だろうから、がんばれ、われらがツァップ・ツェラップ!(笑)

 そして、10月に発表される、ファンの選ぶずっと筋の通ったドイツゲーム賞に期待しよう!!
←前のページ 「エッセイ」トップへ→

TOP