Group SNE
News
About SNE

Products

User Contents
  ●著者インタビュー
●イベントレポート
●リーダーズサーカス
●エッセイ
●TRPGリプレイ
Link
indexに戻る
 
TOP > ユーザーコンテンツ > エッセイ > 安田均の「ゲーム日記」第8回
←前のページ 次のページ→


安田均の「ゲーム日記」 第8回 (2001年6月版)
最新ゲーム50点!〜TRPG・TCGからボードゲームまでを一挙紹介!!〜

 このページに掲載されているゲーム
  ++ チップチップ + 容赦なし! + 魔法のカクテル + クナッチ ++
  ++ リミット + ビッグディール + エヴォ + ドラゴン・ゴールド ++
  ++ マグレガー + ビッグ・ショット + ハムスターリング + ルクソール +



チップチップ
  CHIP-CHIP HURRA
クラウス・トイバー作
クリー社
評価

チップチップ CHIP-CHIP HURRA 自分の知能を上げるために、ボードに散るチップを集めようとするロボットたち。このプラスチックのロボットがすばらしい出来ばえだ。中空でR2D2みたいな形をし、修理を重ねたのか、煤で焦げた跡までついている。こうした凝った備品ロボットの中にサイコロを入れ、ロボットが移動するたびにその目が変わるような仕組みになっている。がたがたとボードのマス目の段を越えてチップに近づき、さあ勝負とばかりにロボットを上げ、サイの目を比べあう。

 考えてみれば、壷振りサイコロじゃないか! なのに、どうしてこんなに馬鹿々々しくも楽しいのだろう。

 これこそドイツのお家芸、ユーモラスな子供向けゲームの真骨頂なのだ。チップをボードに飛ばす手先の器用さがそこそこ必要なのと、マス目でサイコロがどう動いたかを予測しつつ、他のロボットをどう妨害するか考える。考え込む必要はないが、考えてもおもしろい。その微妙さを楽しむべきだ。カタンを作ったトイバーは、実は子供向けゲームもすばらしいとよくわかる作品。

++ ゲームカタログ目次 ++




容赦なし!
  GNADENLOS!
クラウス・トイバー作
コスモス社
評価


容赦なし! GNADENLOS こちらはトイバーの、大人向けゲームで久々の新作。その意味で大いに期待したが、それは裏切られなかった。

 西部の街で、いかに生き延びて自分のコマを前に進めることができるか。プレイヤーはいろんなキャラクターカードを雇って、それを出しあい、有利な特徴によって前進できるのだが、さすがに一筋縄ではいかない。というのも有利なカード以上に、役に立たないカードがあって、それをいかに処理するのかというのが大事。目先ばかりを見ていると、くずカードの処理でえらい目にあう。

 それとトイバーのユーモア感覚も健在で、有利なキャラを取ろうと証文(金ではない。金は証文を回収するために使う)を使いすぎると、後で金がなくなり、ハゲタカの餌食になるというのが最高。プレイがいちばん盛り上がるのは、この誰が餌食になるのか’をサイコロを振りあって決めるときだろう。こうした感覚は、この作者ならではのもの。久々に楽しいトイバーを味わわせてもらった。カタン以外にも、もっと作ってくれればいいのに。

++ ゲームカタログ目次 ++




魔法のカクテル
  ZAUBERCOKTAIL
アルント・ベーネン作
コスモス社
評価


魔法のカクテル ZAUBERCOKTAIL コスモス社が新しいシリーズを出しはじめた。‘簡単’シリーズともいうべきもので、先の容赦なし!もこれに含まれる。こうしたものが出るのは、最近のドイツゲームにちょっと複雑なものが増えたということだろうか。いずれにしても、簡単でおもしろいゲームは歓迎だ。

 この作品もすぐに遊べる。宝石カードを交換しあって、いかに高いポイントを得れるかというものだが、早く交渉を終えれば、それだけでも得点できる。かといって、あっさり交渉を放棄していては、やはり得点は高くならないので、その見極めも大切。

 結局、この交渉と、どこで見切りをつけて早めのポイントを狙うか、のバランスだろう。確かに遊びやすいのは評価できる。ただ、飽きるのも早いという懸念はあるが。

++ ゲームカタログ目次 ++




クナッチ
  KNATSCH
ミハエル・シャハト作
アバクス社
評価


クナッチ KNATSCH これはダイスゲーム。いかにと、それを攻めるのに有利なカードを、サイコロを振って手に入れ、自分のところを堅固に守るか、というゲーム。

 遊びやすいのはいいけれども、やや有利なカードが目立ってしまい、それを先に手に入れてどんどんサイコロを振っていけば、運がよければ、あっというまに終わってしまう。

 もちろん、ダイスゲームだからダイス運も関係しているのだが、戦略的なゲーム性が高いので、いったん有利になると、他者が集中して攻撃しないと逆転は難しい。

 ちょっとゲームの特徴の組合わせに見誤りがあったのじゃないか、というのが正直な感想。

++ ゲームカタログ目次 ++




リミット
  LIMITS
ウーベ・ローゼンベルク作
アミーゴ社
評価

リミット LIMITS これこそ簡単だがおもしろい’の典型のようなゲーム。プレイヤーは手番に、手札からカラーカードを1枚出していく。あらかじめ場には、各色のカードが何枚まで出せるかが示されている。各プレイヤーはゲームの前に1枚だけ手札からカラーカードを伏せておき、この色の枚数だけは制限を1枚オーバーできる。

 さて1枚出して山札から1枚引くから、そのうちあるカラーを出すとき、不確かな記憶ではあっても、明らかに枚数制限オーバーしているなと思えるプレイヤーが出てくる。しかし、1枚伏せてあるカードがあるので、それをダウト(嘘)と言えるかどうか。いや、2枚オーバーしたかなと思えるプレイヤーが出たときすら、決断は難しい。そのプレイヤーと他のプレイヤーが1人でもそのカラーカードを伏せておれば、まだオーケーなのだから。

 かくして、何ともいえない妙な顔つきで、カラーカードの出しあいが続いていく。

 誰かが‘ダウト’といって、当たっていれば+1点を稼げ、制限オーバーをしたプレイヤーは−2点をもらう。外れていれば、その逆。

 ま、ダウトの変形と言ってしまえばそれまでだが、微妙な戦術性があって、その味加減がすばらしい。評価は7点だが、楽しく遊べる点ではまちがいなくお薦め。

++ ゲームカタログ目次 ++




ビッグディール
  BIG DEAL
ハーパツ、ロテム、ヴァグナー、ツッカーマン作
アミーゴ社
評価


ビッグディール BIG DEAL 投機でもうけるゲーム−−といえば、いまさら、という気がしないでもない。もともとのモノポリーにしてからが投機ゲームであったわけだし、以後、アクワイアをはじめとしてこの種のゲームは数限りなく出てきた。

 今回の作品は、ベンチャービジネスを背景に、それを推し進めるというわけだが、テーマとしてはありきたりなだけに、どうしても背景よりゲームシステムに目が行ってしまうのは仕方ないだろう。

 その点では、遊びやすくてなかなかおもしろい作品だ。アメリカタイプのやたらにシミュレーション性に詳しいものではなく、土地、人材、設備など適度に抽象化しつつ、会社自体の成長性や売買をどうするのか、適確な判断が求められる。土地にしても、資材にしても、人と競って買ったものは高く、人が目をつけないうちに売ったものは高い、という辺りは納得させられた。

 でも、これまでにない、というようなゲーム面での斬新さは見られなかった。おもしろいんだけどね。

++ ゲームカタログ目次 ++



 エヴォ
  EVO
フィリップ・ケヤエルツ作
ユーロ・ゲームズ社
評価

エヴォ EVO これはよくできている。おそらく、ゲーム大賞候補の中でもアフリカ対抗馬はこれだろう。

 進化を扱ったゲームで、恐竜がいかに生き延びれるか、というテーマ。6角マス目で恐竜ゴマを動かすのだけれど、面倒な数値はほとんどない。むしろ寒帯と熱帯の間をどう往来させるかが問題。というのも、ときどき気候が逆進したりするからだ。

 それと、気候変化や生存競争に適応させるため、毎回恐竜に、やら、毛皮やら、やら、やらをくっつけるのだけれど、これが非常にユーモラス。マンガっぽい恐竜の絵の上で、角や毛皮の追加ゴマを、ウケを狙って変な場所に置くプレイヤーが絶対に出てくる。この部分があるので、そこそこ頭を使うゲームなんだけれど、ほっと息抜きができたりする。この感覚はとても大事だ。

 カードのやりとり部分は、もっと少なくてよかったかもしれない。しかし、これを把握すれば、ますます熱くなれることまちがいない。

 作者は去年ヴィンチで、熱心なファンを獲得している。有能な新しいゲームデザイナーがフランスから登場した。大いに楽しみだ。

++ ゲームカタログ目次 ++




 ドラゴン・ゴールド
  DRACHENGOLD
ブルーノ・ファイデュッティ作
ユーロゲームズ社
評価


ドラゴン・ゴールド DRACHENGOLD こちらもフランス。去年操り人形で話題をさらったファイデュッティは、かなりおもしろい角度でゲームを作る。フランスのデザイナーおそるべし、かな。

 今回も、少なくともRPGファンには大受けするはず。いわくドラゴンを倒すのは簡単。でも、その後が大変−−これが、このゲームのすべてを表わしている。

 場には、いろとりどりのドラゴンがさらされる。どれも防御力を持っているが、各プレイヤーの戦士女戦士盗賊魔法使いたちが2〜3人集れば、倒すのは簡単だ。だが、それからドラゴンの持っていた宝の分配となると−−これにはひと悶着あるはず。貴重な魔法のスクロールやさまざまな宝石金銀、これらすべて勝利点になるものを、1分以内にちゃんと分けないといけない砂時計の砂が落ちきったとき、分け前の議論に決着がついていなければ、宝は泡と消えるのだ。

 ゲーム自体、魔法使いや盗賊の使いどきに頭を悩ませる、おもしろいシステムになっている。宝石の組合わせや、呪いの宝石、あるいは魔法カードにばかり頭がいっていると、意外に金銀を集めただけのプレイヤーが勝利することになって、意外性もある。

 弱点は、コンセプトのおもしろい作品だけに、立て続けに遊ぶとちょっと飽きることくらいか。でも、これだけ楽しめるなら、充分傑作だろう。

++ ゲームカタログ目次 ++




マグレガー
  MCGREGOR
ドミニク・エアハルト作
ラベンスバーガー社
評価

マグレガー MCGREGOR お化けが追いかけてくるゲーム−−といえば、かの名作ミッドナイト・パーティがすぐに連想される。

 たしかにこの作品、部屋をいくつも作り、お化けからいかに移動して逃げるかを競うという点で、先達を意識していないといえば嘘になる。

 もっとも、四角い屋敷なのでゲームシステムはまったくちがう。それは立派だ。

 いかにお化けを離しておくか、プレイヤーの思惑がからんで意外な展開になったりするが、やっぱり考えゲー’の部分は大きいので、『ミッドナイトパーティ』のサイコロのような突き抜けた可笑しさはない。

 がんばってはみたものの、先達の偉大さをかえって際だたせてしまった、といえば可哀想か。

 でも、実は『ミッドナイト・パーティ』は絶版になってしまったんだよね。これを作るくらいなら、あちらを出し続けてほしかったと願うのは、ぼくだけだろうか。

++ ゲームカタログ目次 ++



ビッグショット
  BIGSHOT
アレックス・ランドルフ作
ラベンスバーガー社
評価


ビッグ・ショット BIG SHOT 80歳近くでなお、現役でボードゲームを作り続ける怪物ランドルフの最新作。

 ドイツボードゲーム界の父とも言える彼の新作は、一見よくある街区画ゲーム

 いかに有利な区画を競り落としてマーカーを置き、そこの1位を狙うかというテーマ。今年はこの種のゲームが多く、中でもこの作品は簡単そうに見えるので、もう一つと思われるかもしれない。

 しかし、ぼくには一つ、とてもおもしろい部分があった。借金を毎回してもいいのだ。これがあるせいで、ゲームは随分過激にもなる。これまでせりゲームというと、決められた所有額をいかに効果的に使うかばかりだった。だから、ある意味でケチが強く、豪気なプレイヤーは‘また、せりか’という表情をよく見せた。

 それと、せりは1度遊ぶと適正値がわかるが、最初は値付けが難しい。これを解決したのがラーで、あれは値を付けるマーカーが3枚しかなく、残っているのが何かまで推測がつくので、最初の値付けのあいまいさに苦しむことはなかった(悩むのは同じだけど、ある範囲内という制限がある)。

 このランドルフの作品は、逆に制限をゆるめたらどうなるかという方向を向いていておもしろい。借金しながらせりをするというのは、落ち着かないけどね。

 ゲームのテーマとしてはありきたりかもしれないが、さすがにランドルフともなれば、一つはおもしろいゲームアイデアを考えてくれる。他のルールは、いつものように実に簡潔で遊びやすい。この調子で毎年一つは彼の作品を見たいものだ。

++ ゲームカタログ目次 ++




ハムスターリング
  HAMSTER ROLLE
ヤッケス・ツァイメト作
ツォッハ社
評価


ハムスターリング HAMSTER ROLLE 昔、RPGがよく知られていない頃、名前についてのギャグがあった。ロールプレイング・ゲームではなく、ローリングプレイ・ゲームだと生半可な知識で説明した人がいたのだ。ごろごろ回転ゲーム? なんだそりゃ、ギャハハ−−だったのだが、これをシャレでなくすようなゲームが登場した。

 ゲームは、ハムスターの輪のような木枠の中に12の段がついていて、そこに7種類の積み木をひっかけて置いていく。枠はリング状なので、置くたびに少しずつ回転する。いかに落ちないようにするかだが、フラフラ揺れるリングにどんどん緊張感が高まっていく。おとなしく置いていくと、結構あっけなく終わるので、ここは誰もがつぎの手番を困らせようと攻撃的な置き方をするだろう。そうなると余計に輪が揺れて、恐ろしいことに……。

ハムスターは入っていません'とルールブックにあるように、シャレのきいたおもしろゲーム。基本はジェンガのような置きものゲームだが、何となく楽しくなるハムスターリングのデザインがいい。

++ ゲームカタログ目次 ++




ルクソール
  LUXOR
ギュンター・バールズ作
ラベンスバーガー社社
評価

ルクソール LUXOR いい意味でも悪い意味でも、いかにもラベンスバーガー社らしいゲーム。出来はまあまあだけど。

 まず、備品がいい。ミイラの棺の並んでいるボードの端に、大きなボードが立っている。縦に何列も隙間が開いていて、なんだろうと思うと、ここにチットを落としていくのだ。この意外性はグー。

 チットにはアイコンが2つ並んでいて、これが縦横斜めに揃うようにチットを落としていくことでプレイヤーは得点する。

 一種のパズルだが、それほど難しくはない。

 ただゲームとしては、引いてきたチットをどういう順番で落としていくかだけがキーとなるため、やはり単調だ。

 見た目がよく、ゲームの手順も簡単、でも、ゲームは軽くてどこか不満が残る。軽いのが悪いんじゃなく、何か突き抜けてくるもののないマイルドさに、興奮度が低いというべきだろうか。

++ ゲームカタログ目次 ++

←前のページ 次のページ→

TOP