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お次は7月発売の『ソード・ワールド2.0ルールブックIII改訂版(以下、III改)』と、同じく7月発売のルールブック改訂版連動サプリ付きリプレイ『ソード・ワールド2.0リプレイ モンスター☆ハッカーズ(以下、モン☆ハカ)』をお願いします。
『III改』は清松さん、北沢さん、田中さんがメインですね。 |
田中: |
2012年から1年1冊、今回でルールブックがすべて改訂されました。 |
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『III改』ではどの部分が改訂されたのでしょうか? |
清松: |
一番改訂されたのはライダー技能だね。全般的にわかりやすく、使いやすくなりました。 |
田中: |
根っこから見直して思いつく限り全部やったので、変わってないのは……、騎獣に乗るよ、とか、サイコロ振るよ、とか、騎芸が使えるよ、っていう本当に根っこのところだけですね。 |
北沢: |
まずライダーのキャラクターはお金がかかり過ぎる! という意見が多かったので、ずいぶんディスカウントされました。 |
田中: |
改訂前は<騎獣証>という騎獣をレンタルするためのアイテム+毎回レンタル料が必要だったんですが、改訂後はアイテム名が<騎獣契約証>に変わって、ソレさえあれば何度でもタダで借りられるようになりました。 |
清松: |
騎獣の種類毎に新しい<騎獣契約証>が必要ではあるんだけどね。 |
田中: |
<騎獣契約証>を買い替えたとしても、これまでみたいに騎獣の装備を買ったら騎手の装備はほとんど買えない、みたいな状態にはならなくなったと思います。 |
清松: |
あれでライダーギルドやっていけるのかな? ていうくらいディスカウントされたよね。……どうやって稼いでるんだ、ライダーギルド? 何か他の儲け口を持ってるに違いない。(笑) |
田中: |
それから騎獣の強さを決めるのが、ライダー技能じゃなく冒険者レベルになりました。
今まではライダー技能が低いと騎獣のレベルもそこで留まってすぐに撃ち落とされるという残念な事案が多発してたんですけど、騎乗に必要なライダー技能レベルさえあれば騎手と同じレベルまで強くなれます。 |
清松: |
これでかなり騎獣のタフネスがあがって死ににくくなった分、騎芸の強さが表に……、出てきてしまったよね。 |
――: |
出てきて「しまった」? |
田中: |
当初から騎芸は強かったんですよ。けど、騎獣が脆くてなかなか、それを発揮するチャンスがなかった。それが、改訂で騎獣がタフになったことで、本来の強さが顕わになったということです。個々の騎芸そのものの強さはほとんど変わってないんですが、遊んでみるとすごく強化された気分になりますね。 |
北沢: |
あとは必須の騎芸がなくなりました。 |
清松: |
【大型制御】【空中騎乗】など取っておかないと騎獣に乗ってるだけの役立たずになる騎芸がいくつかあったんだけど、すべて技能でできることの範囲内におさまったので、例えば10レベルなら10個好きな騎芸を選べるようになった。 |
田中: |
なくなった騎芸の代わりに新しいものが追加されているので、さらに選択肢も豊富になりましたよ。 |
清松: |
これらの改訂にあわせて騎獣データも調整されているので、ライダー技能を使うときはぜひ改訂版を使ってください。 |
北沢: |
新種族はヴァルキリーが追加されました。 |
田中: |
実はSW2.0の開発当初から案に上がってはお蔵入りしていた種族で、今回ようやくお目見えすることができました。 |
清松: |
開発当初は空が飛べる種族として案が出て、でも初期から飛行種族は扱いにくい等の反対意見が出てお蔵入りしたんだけど、『III改』ではライダー技能の改訂とともにライダー技能を扱うのに適した種族を追加しよう、ということでヴァルキリーが収録されました。 |
――: |
ライダー技能に適しているとのことですが、どんな種族なんでしょう? |
田中: |
女の子しかいません! ヴァルキリーだから! |
一同: |
……。 |
田中: |
……。で、えーとナイトメアと同じように人族の中から突然変異で生まれてくるんだけど、穢れがあって忌み嫌われているナイトメアとは逆で神に祝福されて愛されています。
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――: |
ナイトメアが嫉妬の炎を燃やしそうな種族ですね。 |
田中: |
そう、ナイトメアがハンカチ噛んでぐぬぬ……て言うような、そんな種族になっています。
見た目の特徴は人間とほぼ変わらないんですが、落下速度がふわーっと羽根が落ちてくる程度になる種族特徴があります。 |
――: |
つまり、騎獣からうっかり落ちてもケガをしない、みたいな? |
田中: |
そうですね。で、そのふわーっと落ちてくる時に背中とくるぶしに羽根みたいなのがぽっと出るので、それを見ればはっきりヴァルキリーとわかる、という感じです。 |
清松: |
自分以外のキャラクターを祝福するとその人がちょっと強くなる種族特徴もあります。でも人間じゃないのでサイコロをひっくり返すことはできません。 |
田中: |
世界観的には祝福された子どもとして神殿に預けられて神官として育つことも多いので、種族特徴で騎獣を強化して神聖魔法で自分や仲間を強化すると、よくある聖女さまみたいなポジションに。 |
清松: |
ジャンヌダルクごっことか、サプリメントとあわせてウォーリーダーを取得して前線で戦うなんてこともできるかもしれない。 |
田中: |
今後のリプレイでも登場すると思いますので、楽しみにしていてください。同時発売の『モンスター☆ハッカーズ(以下、モン☆ハカ)』にも登場していますよ。 |
――: |
ライダーとヴァルキリーがおしみなく活躍すると噂の『モン☆ハカ』。北沢さん監修、著者は大井さん、サプリパートは田中さんがサポートに入ってるんですよね。
毎年ルールブック改訂版と連動して発売されている、シナリオがなくてもすぐに遊べるサプリメント一体型リプレイシリーズ第3弾、今までとタイトルの付け方が違うんですね。 |
田中: |
『バウムガルトの迷宮城』『アシュラウトの無限工房』ときて、何故か『モンスター☆ハッカーズ』。 |
大井: |
ちなみにサプリメントパートにその名残りがちょっとだけ残ってますが、元は『ペイルローフの箱庭牧場』でした。
著者である僕としては箱庭牧場が一押しだったんですけど、誰も箱庭という単語を使ってくれず……。 |
田中: |
企画当初はみんな既作に倣って『ペイルローフの〜〜』になると思ってたから、ファイルの仮タイトルが「大井牧場」だったんですよ。『ペイルローフの大井牧場』。完全に牛乳パックに入ってそうな名前ですよね。箱庭から庭がとれた感じで。 |
一同: |
(笑) |
――: |
そんな『モン☆ハカ』ですが、舞台はどんな場所なんでしょうか? |
大井: |
ペイルローフは、SW2.0ではお馴染み<大破局>の時代に当時の国王が災厄から逃れるために魔剣を使って地下に沈めた国なんですよ。 |
――: |
え、どうやって? |
大井: |
魔剣の迷宮の中に国をまるっと入れてしまったんです。
この迷宮は、赤と白の<マリアブラッド>っていう名前の2本の魔剣が構築していて、ものすごく広いんです。 |
田中: |
国一つ入るって、迷宮の規模がすごいですよね。 |
大井: |
迷宮の中なので迷宮を攻略しないと外には出られないし、迷宮自体も広いので全貌がまったくわからない。そんな場所なんです。 |
田中: |
リプレイではリーゼン地方にあるティラの樹海の遺跡から落ちもの的に始まりますけど、地下王国自体はどこにあってもいいですよ。 |
北沢: |
まさに箱庭のような場所で、出てきた人がいないので本体がどこにあるかは誰も知らないのです。 |
大井: |
で、この魔剣がきまぐれに生き物を召喚するという迷惑極まりないことをするんですが、今回のお話はその箱庭の王国に駆けだしの冒険者たちがうっかり召喚されて落ちてきたところから始まります。 |
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こぼれた話:地上に出たら…… |
田中: |
今回は『III改』とのタイアップなので騎獣がモチーフになっています。開発時に『牧場』っていう企画名をつけていた通り、まあ……、おるんですわ(渋い顔)。 |
一同: |
……。 |
――: |
えーっと、何が、おるんでしょうか? |
田中: |
その「何」の部分がとっさに出てこない。アイツ何者なんやろうって僕の中でもちょっとまだ収まりがついてないんですけど……。 |
大井: |
本作はタイトルの通りモンスターを、まあハックするんですけど、これはハック&スラッシュのハックではないんですよ。 |
――: |
ほほう? |
大井: |
この地下王国ペイルローフには、ここにしか存在しない幻獣、プティというスライムみたいなぷるんとした生き物がいるんです。
プティは魔物とか騎獣の性能や姿形をまねる、という変な能力を持っているんです。 |
田中: |
生体を模写することができるんです。
だから、馬のデータみたいなやつをぽこっと取り込ませると馬の形にぼわんと変身できる。で、その上にヴァルキリーがどんって乗るわけですよ。 |
大井: |
さらに、この迷宮にはプティを強化するためのご飯があちこちに落ちてるんです。例えばえーと……。 |
田中&大井 |
ランニングチキン。 |
北沢: |
なんで声そろっとんねん。 |
一同: |
(笑) |
田中: |
いやぁ、一番使いやすくてネーミングがぶっとんでる感じのヤツはコレかなって。(笑) |
大井: |
そういう食材をいっぱい集めてプティに食べさせると、馬なのに雷のブレスが吐けるようになったり、2レベルの弱い状態なのに足さばきっていう超強い戦闘特技が使えるようになったりするんです。
そんな感じで、プティを自分のオリジナルモンスターとして育てようぜ! と。今回はそんなゲームです。 |
田中: |
もちろん騎獣のデータを与えれば騎獣としても扱えるので、ライダー技能を持ってる人は乗ることもできるし、そうじゃなくても普通のモンスターとして連れて歩くこともできます。 |
大井: |
ドラゴンにもなれますよ。データさえ手に入れば、ですけど。どんなデータに育てるかは皆さんのお好み次第です。 |
大井: |
今回は視覚的に楽しいダンジョンというのを目指しまして、5×5のビンゴシートみたいな形のダンジョンを作りました。 |
田中: |
ダンジョンには2〜26の数字が割り振ってあって、サイコロで出た目の合計マスに止まって、そのマスのイベントを解決する、というのをやってます。 |
清松: |
ビンゴゲームみたいに5列揃うと、ちょっといいことが起こるよ。 |
――: |
何それ、すごい面白そうです。 |
清松: |
ただし、解決済みのマスが出たらサイコロを振り足すのでバーストもする。バーストしたら、もちろんペナルティがある。 |
田中: |
ここが開いてないぞー、てやぁ! ってサイコロ振ったら、うわー、そこもう開いてるからまたサイコロ振らなあかん! ってなって、やりすぎるとバーストしてひどいことが起きる。 |
大井: |
途中から目的忘れてビンゴゲームに熱中しはじめますからね、みんな。
ちなみにこの地下王国から地上に出る方法を王様が知っているんじゃないか、という噂があるんですけど、王様に会う一番の近道がプティの大会で優勝することなんですよ。
なので、今回の冒険者たちもそれを目指しているんですけど……。 |
――: |
けど? |
大井: |
僕のリプレイではナイトメアグラップラーは頭のネジが何本か緩んでるっていうのが通例になりつつあって今回もウェルっていうキャラクターがいるんですけど、まあこの男が恐ろしい才能を秘めていまして。 |
田中: |
具体的に説明するとせっかくの面白さが半減しちゃうんでアレなんですけど、得意技《魔力撃》なグラップラーがすごい感じで、ある意味大活躍します。 |
大井: |
ええ、そりゃあもう今までのリプレイには存在しなかったであろう、というくらいに。 |
北沢: |
……そ、そんな盛り上げてええんか?(焦) |
大井: |
セッション中は総ツッコミでしたからね!
既作同様に1話目は付属のサプリを使って2話目はオリジナルシナリオですが、1話目で大変なことになったんであらかじめ用意していた2話目がまた全没に……。 |
田中: |
GMがキャラクターたちに翻弄されるという、いつもの展開。(笑) |
大井: |
これまで通りリプレイは2話収録ですが見所はたくさんありますので、ぜひお手にとっていただければと思います。 |
田中: |
サプリパートのペイルローフを遊ぶには『III改』が必要なので、あわせてよろしくお願いいたします。 |