グループSNE/cosaicでは4月に『ブラックストーリーズ ファニーデス』『王への請願』、5月に『CV -履歴書-』、6月に『コクーン・ワールド ザ・ボードゲーム』『ライナー・クニツィーアのコルセア』,、7月に『オリジン(人類の起源)』と、一段と充実したラインナップをそろえます。 そこで著者インタビュー6月号はボードゲーム特集として豪華三連発でお送りいたします。 |
2015年06月 記事作成 1.笠井道子 |
1.グループSNE ゲーム募集について | |
それでは、記念すべき第一弾として、「グループSNE ゲーム募集」についてグループSNEのボス安田均社長に話を伺います。インタビュアーは笠井道子です。 (以下は主に「ゲーム募集」についてのインタビューです。「社員募集」については結果の通知時期などが異なります。いずれについても必ずこちらでご確認いただきますようお願いいたします) |
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○ゲーム公募のきっかけ | |
―― | 5月18日(月)に、突然グループSNEのホームページに「社員募集/ゲーム募集」という記事が載りましたね。 |
安田 | それにはいろんな要素があるんですよ。まず一つには、グループSNEは2年に1回程度の割合で社員募集を行ってきました。前回採用された優秀なスタッフは現在もグループSNEで頑張ってくれていますが、2年経ったし、さらに新しい人たちにも協力していただきたいな、と思ったんです。 |
―― | これまでの社員募集はどうした形で行われてきたのでしょうか。 |
安田 | グループSNEは神戸にあるんですが、作品を提出してもらって面接をして、という形ですね。ただ、遠くにお住まいの方にはなかなか応募してもらえないというのが、以前からちょっと悩みの種でした。 |
―― | 社員の場合は、最低でも週に何回か事務所に通っていただく必要がありますね。 |
安田 | そうなんです。そこで自作ゲームの公募を考えました。グループSNEは最近はメーカーとしてゲーム製作も行っているので、そうした方法でうまく協力していけるのではないか、と。 |
―― | その形ですと、通勤は無理だけれど作品を世に出したいと考えている方々にも応募していただけますね。 |
安田 | それと、日本の新しいボード/カードゲーム分野の問題として、まだメーカーが少ないという点があります。グループSNEも小さな集団ではあるんですが、最近ではボード/カードゲームに関してメーカー機能を持つようになりました。そこで、公募という形でいい作品を募って、この分野を広げていくことができれば、と思ったのが二つめ。 |
―― | では、三つめは? |
安田 | それは――えっと、何だっけ(笑)。一般公募をするのは出す作品がないからだろう、ということではありません(笑)! |
―― | 今後は海外ゲームの紹介でもサプライズがいろいろありますし―― |
安田 | そう、オリジナル作品でも期待してください! これまでは、ぼくや秋口ぎぐるくんが中心にやってきたんですが、そればっかりでもないですよ。先日、グループSNE内でコンテストを行い、10点ほど集まったなかから2つを優秀作として選びました。 |
―― | おおっ! |
安田 | どちらも非常によくできたゲームです。ぼく自身、クリエーターとして「くそぅ」と思うくらい(笑)、なにより「これは面白い」と思いました。 |
―― | それらの作品はグループSNE/cosaicから発売されるのでしょうか。 |
安田 | 現在ディベロップ&テストプレイ中ですが、この秋10月11月には出す予定です。一つは黒井龍くんのカードゲーム『ドラゴンズ・エッグ』、もう一つは川人忠明くんのボードゲーム『メテオ』です。 |
―― | 全然タイプの異なる作品ですね。 |
安田 | そうなんです。社内でもこうした期待できる作品が出ていますし、ゲームマーケットでも同人の方々が色々面白いゲームを発表されています。そうした流れをさらに広げられるのではないかと思いまして。 |
―― | それにしても、今回の公募の締め切りが6月30日というのはかなり早いんじゃないですか。 |
安田 | ええ、期間が短すぎると思われる方もおありでしょうが、じつは社内コンテストの第二回も同じ締め切りで行うというのを最近告げました。この社内コンテストと公募が、ある意味コンペティティブにはなっています。 |
―― | 募集時期は同じでも選考は別々に行われるのですね。 |
安田 | もちろんです。これはぜひ言っておきたいのですが、公募はプロアマ問いません。どなたでも、これまで溜めていたアイディアをぜひ形にして応募していただきたいと思います。 |
○作品の製品化と選考について | |
―― | 応募作品についてですが、要項には「未発表のものに限る」とあります。 |
安田 | そこがちょっと難しいところなんですよ。たとえば、ゲームマーケットなどですでに製品として出ている作品。そうしたものは、ちょっとテーマを変えるとかして出してもらえるとありがたいですね。 |
―― | つまり、きれいなパッケージでなくてもいい? |
安田 | もちろん、自作のプロトタイプで全然かまいません。それをこちらで製品化するわけですから。 |
―― | ただ、提出の際には「ゲームとして遊べる形」というのが前提になると思います。 |
安田 | それはそうです。「こんなアイディアあります!」というだけではやっぱり困る(笑)。 |
―― | データを送ってきて「そちらで適当に作ってください」というのも? |
安田 | そうそう、それも困るね。カードやボードは手作りでかまいませんが、ルールなど可能なものはワープロのプリントアウトでお願いします。 |
―― | ところで、先ほど製品化というお話が出ましたが、具体的にはどのようなことをお考えですか。 |
安田 | それについて大事なことがあるんです。2016年2月21日に「ゲームマーケット神戸」が開催されます。地元グループSNEとしても、そこで優秀作の選考なり発表なり、何かやりたいなと思っていまして、それも今回の公募のきっかけの一つでした。ただ、はじめてのことですし、今回の公募で優秀作があれば、そのときに製品として発表される……かも? という感じでとらえていてください。 |
―― | そうして製品化された優秀作については「賞金」が出るのでしょうか。 |
安田 | 「賞金」とはなっていません。ご希望によって印税や買い取りによる正規のお支払いを考えています。実質は似ています。詳しくは募集要項にも載せていますし、それぞれの方とのご相談になりますね。 |
―― | 面白いのだけれど完全ではない、という作品もあると思いますが。 |
安田 | そういう場合は、こちらでディベロップすることを作者に納得してもらえば、製品化を考えます。報酬についても、ディベロップの度合いによって変わってくるでしょう。ゲームというのは一人でできるものではなく、そうして完成していくものも多いですしね。 |
―― | 今年からグループSNE/cosaicはドイツ・エッセンのシュピール(国際見本市)にも出展を考えておられると聞いています。 |
安田 | ええ、まだ具体的にはお話しできませんが、今後は自社製品を海外にも紹介したいと考えています。もし優れた作品があれば、ご相談の上そうしたことも考えていきます。 |
―― | 選考結果については、いつ頃になるでしょうか。 |
安田 | 6月末の締め切り後、選考のためのテストプレイを行います。なので、結果が出るのは8月に入ってからになると思います。 |
―― | というわけで、結果の通知まで少しお時間をいただきますが、全員の方に通知しますので、しばらくお待ちください。 |
○応募作に期待すること | |
―― | それでは最後に、応募を考えておられる方々に期待されることをお話しいただけますか。 |
安田 | たとえば、RPGやTCGといった従来のものが好きな方に「RPGそのものでもいいんですか」と聞かれるとちょっと難しいですね。 |
―― | と言いますと? |
安田 | 私としては従来の作品を超える新しいものをお願いしたいんです。RPGやTCGはすでにちゃんとしたメーカーさんがあって、そこから出されています。そう考えると、そこに何かプラスされたものを期待したい。 |
―― | なるほど。では具体的なアドバイスとしては? |
安田 | 一例ですが、RGPならボードを使ったストーリーゲーム風にしてもらえたりしたら、そのほうが採用しやすいですね。TCGの場合も二人用のガチの対戦ゲームはすでにありますからね。一言で言うと「LCG(Living Card Game)」なら、まだしも出しやすいです」と。ただ、何百枚とかあるとイラストが大変。 |
―― | ぶっちゃけましたね(笑)。 |
安田 | でも、面白ければ、喜んで採用します。 |
―― | ゲームのプレイ時間に制限はありますか。 |
安田 | すごいゲームなら何時間でも遊びはしますが(笑)、「カジュアル化」という点は意識したほうがいいと思いますよ。カードゲームなら30分から1時間、ボードゲームなら1時間から長くて1時間半が目安でしょう。 |
―― | プレイ人数や難易度についてはいかがですか。 |
安田 | プレイ人数は一人用でも、逆に何百人対応でもOKです(笑)。難易度については、大人も楽しめるものであれば、子ども向けでも全然かまいません。 |
―― | 応募を考えておられるみなさん、これらを参考にぜひ楽しい作品をご応募ください。お待ちしております。 |
安田 | 日本はもちろん、海外でも評価されるようなものがあれば最高ですね。この機会にぜひ素晴らしい作品を作ってください。 |