GM |
では話に聞く新しい奇妙な島を目指して出発したイルカーズプラスルシーネ。視覚判定をしてみて。 |
プレアデス |
(ころころ)9成功。 |
GM |
では一番最初に発見したのはママだな。うん、今まで何もなかったはずのところに、ぽつんと島影が見える。 |
ルシーネ |
本当に新しい島だー。 |
ホクト |
形は? 絵に描いたようなような火山島? |
GM |
いいや、火山はない。 |
ルシーネ |
おや? じゃあ、まさか浮いてる島ってことはないよね? みんな地面からあの島がちゃんとつながっているかどうか見て。 |
GM |
うん、潜って確かめたイルカたちの目には、ちゃんと地面が隆起しての普通の島のように見えるよ。ちゃんと海底から盛りあがってる。ってゆーか、近づいてみればわかるんだけど、島の周囲はすごく切りたった断崖になってて、まるで柱がそのまま海底から生えてきたかのようだ。 |
フーバー |
……間違いありませんな。ここはニョモニョモの塔ですぞ。 |
ホクト |
どこをどう間違えてないのかさっぱりわからんが、とりあえず近づいてみよう。 |
プレアデス |
様子を見るために一周ぐるっと回ってみるかね。 |
GM |
遠くから見ていると島はほぼ円形のように見えたが、一周回ってみると円形というよりも三日月型をしているらしいということがわかった。直径は五百メートルくらい。そして、君たちが近づいてきた場所とは反対に回りこむと、何か柱のようなものが立っているのが見えてきた。 |
ホクト |
入り江型というか、Cの字型だな。で、柱が立っているのが……。 |
GM |
ここ。Cの字の、切れている二十メートルほどの間に等間隔で何本かづつ。ほとんどは朽ちてるけど、ギリシャの神殿なんかを髣髴とさせる、装飾に凝った柱が生えている。海の底にも、何本かの柱が建ってるのがわかるね。 |
マリン |
これが神殿に見えてたんでしょうか? |
GM |
岸辺には小さな石造りの建物とかが見える。そこかしこに干からびた海草なんかがくっついてるね。 |
ルシーネ |
……ふーん、建物って新しいものじゃなくって、もともと建ってたものみたいだね。 |
プレアデス |
人間が急いで移住してきたってわけじゃなさそうだわさ。ずいぶん古い時代のものみたいだしねえ。 |
ルシーネ |
じゃあ、これってすごい発見かもしれないんだ! |
マリン |
早速水曜特番に電話しましょう! |
ホクト |
すんな。 |
フーバー |
どのくらい古いものかわかりますかな? |
GM |
うーん、君たちでは詳しい年代はわからないだろうなあ。 |
ホクト |
とにかく、ちょっと慎重に探検してみるか。変な機械とか装置とかがあるかもしれない。入り江のほうからちょっと中に入ってみよう。 |
GM |
海の中から見る印象としては、半分水に沈んだアクロポリスかな。 |
プレアデス |
柱の間を擦りぬけて……いけるかねえ? |
ルシーネ |
ママー、貴重な遺跡をつぶしちゃだめだよー! |
GM |
大丈夫、ママがつぶさなくても、海水に侵食されて崩れた場所もあるから(笑)。 |
プレアデス |
やれやれ……どっこいしょ(笑) |
マリン |
魚とかはいます? |
GM |
んー、魚はいないけど、視界の隅をカニが横切っていった。 |
ホクト |
ほー、それはうまそうだ。ここはひとつ腹ごしらえを……。 |
GM |
したいと思ったのは向こうも同じらしい。近づいてくるホクトを見つけて、カニもはさみを振りあげようとしている。……ちなみにこのカニ、甲羅だけで3メートルくらいあるんだけど……。 |
ホクト |
うひゃあ!? 逃げる! それは逃げる! 逆においしくいただかれてしまう! |
ルシーネ |
甲羅が3メートル? そんな大きなカニ、このへんに普通にいるのかな。 |
GM |
《動植物知識》がある人は判定してみそ。 |
ルシーネ |
(ころころ)……あたしの常識が、あんなカニは非常識だっていってる! |
GM |
うん、そのとおりだ。かの大災厄の前、人間たちが宇宙への《大撤退》をおこなう前の時代に、バイオ技術を駆使していろいろな食用の動物を巨大化させて食料をまかなうという試みがなされたことがある。その暴走バイオ技術の産物に巨大毛蟹というのもいたから、今のカニはそのなごりなのかもしれない。 |
ルシーネ |
じゃ、すごく昔のものなんだ。 |
マリン |
食用巨大毛蟹ですか……下手をすれば我々がおいしくいただかれてしまいかねない大きさなんですが。 |
プレアデス |
なんだ、食べられるものなのかい。じゃあ、ちょっと……。 |
ルシーネ |
戦ってゲットしないでね、ママ。 |
プレアデス |
好き嫌いはいけないよ、ルシーネ。なあに、あんな私にくらべれば小さい沢ガニもどきなぞ。 |
フーバー |
まあ、ビッグなママに比べればそうでしょうが、われわれにとっては十分巨大生物ですがな。 |
ホクト |
……しかし、この島の近辺には、あんな化けモンばっかりがふつうにうようよいるのかね? |
マリン |
お腹がいっぱいになりますね(笑) |
ルシーネ |
そういう問題じゃないってことだけは、あたしにもわかるよ。 |
ホクト |
さすがは、《大撤退》以前の遺跡、食料にすら油断できん。 |
GM |
君たちがカニの姿を見送っていると、何やら海面のほうで、フォーンフォーーーンという奇妙な音が聞こえてきた。なんだか、船の霧笛のような音に似ている。 |
ルシーネ |
海面から? ってことは多分島の奥のほうからだよね? |
フーバー |
それはもちろん……。 |
マリン |
ニョモニョモでないということだけはわかるんですが、なんでしょうね? |
プレアデス |
アザラシかねえ? ちょっと似た感じの鳴き声だとおもうんだけど。 |
ホクト |
一度、ここでイルカジャンプ(《跳躍》のことらしい)をつかって、島の様子を見ておこう。何が出てくるかわからないからな。イルカジャーンプ!(ころころ)成功! |
GM |
そうすると、湾の奥になにやら首の長い巨大な生物の姿が見える。 |
ホクト |
首の長い巨大なアザラシ? |
GM |
アザラシとはいってない。体長十メートル以上はあるように思えたけどね。 |
フーバー |
では、ちゃんと《動植物知識》のある私が跳んで見てみましょう……(ころころ)イルカジャンプ成功。そして肝心の《動植物知識》が……(ころころ)はい、成功ですな。 |
GM |
うーん、確信はないし、そんなものいるはずはないと理性はいっているが、フーバーはそれを恐竜だと思った。首が長くて巨大な恐竜。 |
プレアデス |
何いってんだい、この天然電波系は。恐竜なんているはずがないだわさ。 |
ルシーネ |
そうだよお、恐竜っていうのは何千年も前に絶滅したんだよお? |
ホクト |
何千万年だぞ、ルシーネ。 |
プレアデス |
アホに育ててしまっただわ。 |
ルシーネ |
てへ。 |
マリン |
でも、大撤退の前の巨大毛蟹が目の前を横切ってますからねえ。 |
ホクト |
それとこれとは歴史のスパンがちがうだろう。 |
マリン |
琥珀の中から蚊の血をとり出して、恐竜を再生するっていう昔の映画を見たことがありますよ。あと、何の用もないのにほうしゃのうというやつで巨大化した大トカゲが、大都会にやってきて卵を生む話とか。 |
ルシーネ |
それは造り話? |
フーバー |
ふ、我々をここまで混乱させるとはさすがニョモニョモ……、おそるべし。 |
ホクト |
そうかー、ニョモニョモの陰謀だったのか(笑) |
プレアデス |
それですべてを解決した気になるんじゃないわさ。 |
GM |
君たちがもめていると、またフォーンフォーーンというどこか物悲しい鳴き声が聞こえてくるよ。 |
プレアデス |
クエエーッ、クエーッ!(鳴き返し) |
ホクト |
キュルルル、キュルルルー!(同じく) |
GM |
フォーーン、フォオオオン。 |
プレアデス |
キュルルルーッ、クルルルーッ(はりあっているらしい)。 |
GM |
フォオオオーン、フォオオオン! |
マリン |
……なんとなくコミュニケーションがとれているようですね。 |
GM |
フォー……って、やかましい!(笑) |
フーバー |
ただ鳴き返すだけではラチが空きませんな。とりあえず、知っている言語ありったけで順番に話しかけてみましょう。 |
GM |
あ、そう? じゃあ、鯨語のところで、ちょっと反応がかわる。ヒュオーーン、ヒュオオーーンって。《鯨語》のマイナス2で判定してみて。 |
フーバー |
……(ころころ)はあっ! ニョモニョモの妨害電波が私の頭に食いこんでくる!(笑) |
GM |
いつもとどう違うのか聞いていいか?(苦笑) |
マリン |
僕も《交渉者》のはしくれですから、《鯨語》はそこそこ達者なんですよ……(ころころ)ほら、成功。 |
GM |
では、なんとなくお互いに意志の疎通ができる。「……そこにいるのは誰なんだーい?」という鳴き声だと思ったよ。 |
マリン |
「こんにちわー。僕はマリン・スノーっていいまーす。この近所に住んでいるイルカなんですよー」 |
GM |
謎のなまった鯨語は「わたしをここから助けてくれませんかー?」と言っている。 |
マリン |
助ける? 一応周りのみんなに通訳はします。「あなたはどこにいるんですか? どんな方なんですー?」 |
フーバー |
見た目は恐竜です。まあ、いわゆるニョモニョモの使いですな。 |
マリン |
僕は日に焼けるのが嫌でジャンプしてないから、姿を見てないんですよ。「あなたはどこにいるんですかー? 姿を見せても、僕たちをいじめません?」 |
GM |
「いじめませんよー。あなたたちが入り江のところにいるのなら、その近くに細い水路があると思います、そこを抜けてきてくださればすぐですよ」 |
マリン |
水路? ……とりあえずみんなに通訳します。 |
ルシーネ |
細い水路って、ママがつっかえたりしない?(笑) |
ホクト |
ママは一番後にきてくれ。でないと前が見えん。 |
プレアデス |
……これでもレディなのに(ぶつぶつ)。 |
フーバー |
水路はすぐに見つかりますかな? |
GM |
うん、見つかるよ。湾は、実は浅くて泳ぐのも不自由なんだが、その水路をたどると、入り江の真ん中の大きな潮だまりにたどりつける。で、そこに首の長ーい、足ではなくヒレのついたプレシオサウルス系の巨大生物が……。 |
ルシーネ |
わー……。 |
GM |
窪みのようになっている場所に海水が溜まっているが、恐竜の半分ほども水は残っていない。さあ、ここでもう一度《動植物知識》判定をしてみようか。 |
ルシーネ |
(ころころ)……うーん、恐竜にまちがいないってことしかわかんない。てへ。 |
プレアデス |
あんたは誰だい? |
GM |
「わたしはわたしですよ」 |
ホクト |
助けるって、どうすればいいんだ? あんたは一体何者なんだ? |
GM |
「わたしたちの種族は、ずっと長い間誰にも知られずに深くて広い海の底で暮らしてきました。もう数はずいぶんと少なくなってしまったけど」 |
ルシーネ |
じゃあ、そんな深い海で暮らしてたあなたが、どうしてこんなところにいるの? ……って、ああ! そっか! |
プレアデス |
こないだの地震で、もしかして海底のほうが上がってきちゃって、ここにとり残されたんだね? |
GM |
「はいそうです」そう答える巨大生物はすごくやさしい目をしているように思えるよ。「このあたりをゆっくりと泳いでいましたら、この島がガガガガっとすごい勢いで隆起してきまして、気がついたらここに……」 |
ホクト |
それは大変だな。この周囲はどうなってるんだ? |
GM |
うん、ぐるっと見回したらわかるんだけど、この恐竜がとり残されてしまった海水溜りは、三日月の島のほぼ中央にある。でも外の海とつながる水路は、この恐竜さんの巨体では到底通りぬけられそうにない。「今までは同じようにこの海水溜りに残された魚を食べたり、ここに迷いこんできた魚をおいしくいただいたりしていたんですけれど……」 |
フーバー |
足りそうにありませんな、それっぽっちでは。 |
GM |
「はい……、お腹が空いて、気を失いそうです……」 |
ホクト |
倒れるなよ、俺らがつぶれる。 |
プレアデス |
しかし、助けるっていってもどうすればいいのかねえ。私らが通ってきた水路を掘って広げるかい? |
フーバー |
ニョモニョモの砦は硬そうですぞ。 |
ホクト |
う……掘ってるあいだに、恐竜のほうが餓死するか干からびそうだな。 |
ルシーネ |
ねえ、この島がもう一度沈めば問題ないんじゃない? |
プレアデス |
へ? |
ホクト |
なるほど、そうか。 |
フーバー |
確かに島を沈めれば、潮溜りにとりのこされた恐竜もうまい具合に脱出できるでしょうなあ。 |
マリン |
(ぼそ)……もう一回、津波起こるけど。 |
ホクト |
……あ(固まっている)。 |
ルシーネ |
う、それは困る。せっかく島が落ち着いてきたところなのに。 |
プレアデス |
急速に沈めなければいいんじゃないかね? |
ルシーネ |
一時間に50センチとか? そんなことできるのかな。 |
ホクト |
とにかく、恐竜をここから出そうと思えば、方法は2択。根性で脱出ルートを掘るか、この島を沈めるか、だ。 |
プレアデス |
脱出ルートを掘るのは難しそうだねえ。 |
ルシーネ |
急に浮上してきた昔の施設の遺跡だもん。ちゃんと沈める方法もあるんじゃないかな? |
ホクト |
ちょっと、この島を念入りに調べてみようか。 |
マリン |
きっと、何か面白いものが見つかるに違いありませんね、大災厄前に流行ったレトロなDVDセットとかあったらうれしいんですけどね。 |
ホクト |
目的が違うぞ、お前。 |
ルシーネ |
恐竜さんをマリン・スノーの念動力で持ちあげてあげられれば、一番早いんだけどね。 |
マリン |
あと100倍くらいパワーがあっても無理です。大体僕のテレキネシスは、テレビの持ち運びのためだけに鍛えてあるんですから。 |
ホクト |
……また言いきりやがった。 |
フーバー |
テレビなぞ、ニョモニョモに汚染された情報が流れてくるだけだというのに……(ぶつぶつ)。 |
GM |
「すみませんねえ、よろしく頼みますよ」恐竜のおばあちゃんは、盛大に鳴っているお腹を我慢して、長い首でぺこりとお辞儀するよ。 |
ルシーネ |
え、おばあさんだったの? |
プレアデス |
おばあちゃん、ということは女性! ……しかもこんな巨体の……それは、敬意を払わなければいけないんだわさ。とにかく腹押さえになりそうなものを見繕ってさしあげないとねえ。 |
フーバー |
さっきの巨大毛蟹と戦いますかな? 食べられればの話ですが。 |
マリン |
中身をせせってあげればおばあちゃんにでも食べられるかもしれませんよ。あ、カニ味噌はコレステロールが高いですから、若いものに始末を任せてください。 |
ホクト |
たしかに、カニ味噌はおばあちゃんの体に悪いだろう(笑) |
GM |
なんかすげー都合のいいこといわれてる気がするが……まあいいや。 |
プレアデス |
じゃあ、一丁活きのいいやつをでもしとめてくるかねえ(笑) |