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4.怨霊の館 内部 |
入り口に進むと、建物の扉の前に河が流れていて橋がかかり、両側の河原に石が積まれています(賽の河原)。
一行が橋に足をかけると、下から不気味な声が響いてきますよ。 |
……一つ積んでは母のため〜、二つ積んでは父のため〜、
三つ積んではふるさとの〜、兄弟わが身と回向する…… |
揚羽:まあ、調べて変な気配がないなら、ただの人工物でしょう。
日出子:だね、きっと下にだれか隠れてるんだよ。「ごくろうさま」って声をかけておこう。
やめなさい! うっかり、返事しそうになったじゃないか(笑)。
冷静な揚羽ちゃんのおかげで、最初の仕掛けはなんなく通過。でも、本番はここからだよ、あとで吠え面かいても知らないからね、と強がっておこう。 |
【レベル1】
入り口の橋を渡り、扉を抜けて中に入ると、真中に通路があり、両側に出し物が置かれています。人魂が飛んでいたり、墓場から人形がむくりと起きあがったり…… |
サルバトーレ:Oh、なかなか楽しい仕掛けデス! いっそ、このままパクってはどうデスか、日出子さん?
日出子:そうだね、それをしても心はちっとも痛まないね。
それはなぜ(笑)?
さらに先に進むと、草地に後ろ姿の人影が見えます。くるりと振りかえったその顔は「のっぺらぼう」になってて―― |
一同:お〜(拍手!)
いや、ここで拍手されてもなあ(苦笑)。
そういった仕掛けをいくつか見たあと、扉を抜けて渡り廊下のような場所に出ます。そこには係員がいて、怯えた子どもたちを外に出してくれます。一行がさっき出会った子どもは、どうやらここで外に出たようです。
係員に話を聞くと、近ごろは当局の申し渡しで行きすぎた出し物は規制が厳しく、はでな宣伝は控えている、とのことでした。
いまのところ「ちょっと怖いお化け屋敷」程度で、一行はきゃっきゃとはしゃいでいますが…… |
揚羽:大きな声では言えないけれど、さっきの嫌な霊気は奥に行くほど強くなってる気がするの。
【レベル2】
さらに扉をくぐると、また小さな川に橋がかかっており、戸板が流れてきます。 |
サルバトーレ:おう、おおう〜〜〜ッ。
なぜか異様に興奮する半異国人サルバトーレ。橋に駆けより、しっかと戸板を見据えます。と、戸板がばたんとひっくり返って無残な顔のお岩さんが現われ、さらに戸板がひっくり返って、今度は男の骸(小仏小平)が腕を伸ばしてきます。 |
サルバトーレ:戸板返しデスね、すばらしいっ!
なんでそんなこと知ってるんだろ(笑)。そのとおり、これは歌舞伎「東海道四谷怪談」の戸板返しの一幕です。
というわけで、ここでお待ちかねの恐怖判定です。
さて、今回の判定ではボーナスがつきますので、それぞれの抵抗力にプラス20してかまいませんよ? |
一同:(コロコロっと)それなら、ぜんぜん平気で〜す!
銀次:ん? プラス20?……うぎゃあ〜〜、4足りねえ(笑)。
サルバトーレ:いやいや、戸板が回転すると女の骸、さらに回転すると男の骸というのはしゃれた仕掛けデス。銀次さんがビビるのも無理ありませんジョ。
日出子:戸板が三角形になってるだけじゃないの?
サルバトーレ:Ah! それは気づきませんデシた(笑)。
さらに進むと、前方から不気味な低い声が聞こえてきます。 |
……祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり、
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす…… |
サルバトーレ:耳なし芳一! もちろん琵琶の音も聞こえるデスね、ベベン、ベベン〜〜〜!
妙なことに詳しい、イヤな半異国人だ(笑)。
はい、衣姿の男が森のなかで人魂に囲まれ、琵琶を弾きながら平家物語を語っています。全身に経文が書かれていますが、なぜか耳にだけ書かれていませんよ。 |
保助・銀次:あああ〜っ!
素敵な悲鳴だなあ♪ はい、期待通り耳がばさりと切りおとされ、血がどばあっと噴きだします。おなじくプラス20で恐怖判定をどうぞ。 |
銀次:行くぜっ、コロコロっ! ど〜〜〜ん、99(大失敗)!
日出子:だ、大丈夫、銀次(笑)?
サルバトーレ:ひとりだけカード引かれると、助けたくても助けられナイんですけど。
銀次:あんまり怖いから、ぴょ〜んぴょ〜んと飛んでいこう。
揚羽:それはだめだって(笑)!
なぜか銀次ひとり、レベル2で合計3枚もカードを引いてしまいます。
ふたたび渡り廊下に出ると、さっきとはべつの係員がいて、話しかけてきます。 |
係員2:どうです、お客さん、だいぶ怖いでしょ。なんなら、ここから外に出てもいいんですよ。
銀次:いやいや、これは一般の人には刺激が強すぎます!
日出子:そっかな(笑)?
揚羽:銀次さん、怖ければ先に出ていいですよ?
男、銀次、24歳、立場なし。
揚羽ちゃんによれば、このあたりではさらに妖気が強くなっているとのこと。「なんなんだろうなあ、この嫌な感じ」と首を傾げますが、係員さんはいままで、妙なものを見たり感じたりしたことはないそうです。 |
【レベル3】
銀次一人、腰が引けた状態で、さらに奥に進みます。
化け猫騒動の出し物では、なんと、銀次ばかりか日出子さんまで恐怖に固まってしまいます。銀次にいたっては、ついにカード4枚目。
ほんとうに危険だったら、さっきの出口にもどってもいいんだけど? |
銀次:いんにゃあ、ここでもどるのもどーかにゃあ、と……
歯切れ悪く虚勢をはる銀次くんを従えて先に進むと、寂れた廃寺が見えます。
廃寺では坊主が子どもと添い寝しています。やがて、坊主が立ちあがると布団がめくれあがり、子どもの肉がぼろぼろと崩れおちて、ついには白骨になってしまいます。はい、ボーナスなしで恐怖判定をどうぞ。 |
日出子:あ、あれは、あ、あ、あんまり怖くないよねっ(判定成功)。
銀次:そ、そうっすよね(同じく成功)
保助:……う、うぎゃあああああ(笑)!
ここで恐怖にとらわれたのは保助さんだけ。狂気の縁に足をかけた銀次さんでなくて、よかったよかった。
じつは、この出し物が後々の伏線になっているのですが、恐怖に固まるもの、よくない霊気を気にするもの、やたらと興奮する半異国人で、じっくり確認する余裕もないようでした。 |
【出口】
さてさて、ようやく出口が見えてきました。しかし、その出口の前に「古びた井戸」があります。 |
銀次:出たっ、出たよ〜〜〜(笑)!
揚羽:これだ、ここだよ、嫌な感じ!
そのとおり、じつはこの井戸は異界への入り口となっていて、見ただけでかなりの恐怖を感じます。ふつうの神経の持ち主では、怖くて井戸に近づくこともできません。銀次たちは井戸を避けて、すごすごと裏口から出ていきます。
無事に井戸に近づけたのは、やっぱり揚羽ちゃんとサルバトーレの二人。調子に乗って、二人は井戸のなかを覗きこもうとしますが、それこそ瘴気漂う井戸です。うかつに覗くと…… |
サルバトーレ:はい、ピッキーンと固まりまシタ(笑)。
サルバトーレはなにものかが井戸から這いだしてくる恐ろしい幻覚を見て一瞬、硬直してしまいます。
いっぽうの揚羽ちゃんは怪しいものは見なかったものの、さっきから感じている猛烈な妖気のもとはここだと確信します。 |
揚羽:う〜ん、昔、この井戸でだれかが亡くなったりしたのかなあ。イヤンな感じだわ。
と首をかしげつつ、お化け屋敷を完走した揚羽ちゃんとサルバトーレ。
顔色の悪い陰気な若者が
「お客さま方の勇気、あっぱれでございました」
と無表情に言い、「怨霊の館 勇者の証」と書かれたお札を二人に手渡します。 |
揚羽:(霊能力で判定して)ん? このお守りにも、なんかよくないものがかかってるよ?
サルバトーレ:Ohhh! それはおもしろそうなので持ちあるきマ〜ス。
日出子:いいな、いいなぁ。
揚羽:欲しいですか。だったら、あげますよ?
日出子:……やっぱりいらない(笑)。でも、ここまでやると犯罪だから、うち(高島屋)でやるときはもっとマイルドにしないとね。
ほんとにね。お話的にはまだまだ序盤、ここで発狂されちゃったらどうしよう、と本気で焦りました。
この時点でのプレイヤーたちのカード枚数は――
銀次 |
4枚 |
日出子 |
3枚 |
保助 |
2枚 |
サルバトーレ |
1枚 |
揚羽 |
0枚 |
カードの数字は「秘密」にしておくのがお約束なので、枚数だけではわかりませんが、銀次と日出子さんがかなり狂気の縁に近づいているのは確かなようです。 |
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