|
5.少年「一郎太」の依頼 |
一行が「怨霊の館」の外で合流して、わいのわいの騒いでいると、歳のころ10歳くらいの男の子が駆けよってきます。 |
男の子:お姉ちゃんら、すごいな。あれ、最後まで見てきたん?
日出子:おお、見てきたとも(イバリっ)!
保助:日出子さんは見てないでしょうが(笑)。
サルバトーレ:ほうら、坊や、これが証拠の品デスよ。
男の子:ぼくの姉ちゃんも、それもろたんやけど、そのあとで行方不明になってしもてん。
サルバトーレ:Oh、それはいいデスね!
銀次:来たっ、来たなっ!
二人とも、人の不幸を喜びすぎです(笑)。
少年は名前を一郎太といいます。一郎太によれば、二日前、姉のお夢(15歳)は「怨霊の館」に行ったあと、いったん家に帰ったものの、心ここにあらず、といったようすでした。そして、日が暮れてから「ちょっと出かけてくる」と出ていったきり、行方が知れなくなっています。
聞けば、ふたりの幼馴染み、14歳の徳助という少年も一週間前、同じく「怨霊の館」で「勇者の証」のお札をもらったあと、行方不明になっているとのこと。
お夢も徳助も近所では、聡明で器量よしと評判の若者です。
一郎太は子どもの勘で、あの「怨霊の館」がぜったい怪しいと言いはります。 |
揚羽:たしかに、あの井戸はもんのすごく気味悪かったから、この子の勘もむげには否定できないんだけど……。
日出子:じゃあ、一郎太くん、警察に行ってみよう。でもって、あそこで人が殺されてるって言ったら探してくれるよ。
サルバトーレ:それはチョットちがいマ〜ス、日出子さん(笑)。
銀次:しかし、気にはなるなあ。
新聞を調べてみると一応、「子どもの行方不明事件」として警察も動いているらしく、一行は近くの交番で話を聞くことにしました。 |
駐在さん:ああ、あのお化け屋敷ね。一郎太があんまりうるさいんで、こっちでも調べたんだがね。直接、事件と結びつくようなものは見つからなんでな。いまは「人攫い」の線で捜査を進めているのだ。
揚羽:そーなんだ。でも、お巡りさん、あんまりあそこには近づかないほうがいいですよ。
駐在さん:ああ、とくにあの井戸は嫌な感じだったねえ。だれもそばに行きたがらなかったけど、調べんわけにはいかんだろう。で、巡査のなかでも豪胆な者がひとり、なかを覗いたんだけどね、からっぽだったそうだ。
銀次:その豪胆な人は、いま、どうしてます?
駐在さん:はい?
銀次:市電にひかれたり、肥溜めに浮かべられたり……。
|
|