■いざJGCへ■ |
ほんの少し遅刻気味で新神戸駅に着き、新幹線内では舟を漕いで手に持っていたコーヒーを足に零して目を覚まし、新横浜駅で降りてみるも周りに先輩方の姿が見えなくて焦り、なんとか無事合流して談笑しながらわいのわいのと新横浜プリンスホテルに向かい、「私、一人で新横浜駅帰れないのと違うか、これ」と思いながら着いた先は想像以上に綺麗で思わず口を開けたところから、私のJGCは始まりました。あ、ここ読み流していいところです。
私、本当にここに泊まっていいんですか……? それとも、SW2.0でいう馬小屋的なものがここにあるの……?
そんなことを頭の端で考えながら、田舎者であることを隠そうともせず周りをキョロキョロと見渡し、堂々と歩く先輩方の後ろをおっかなびっくりついていきます。
4階の会場へ着くと、周りはすでに参加者の皆さんで溢れ返っておりました。どうやら、3日の15時から開いていた物販ルーム目的のお客さんが多々のよう。入り口から奥が見えないほどの人が集っている物販ルームに、溜め込んできたはずの気合いがプシューと抜ける音が聞こえました。
予想以上の群集におののくな、私! さあ、JGCというイベントを体感するんだ!!
部屋でそんな決意を固める私の傍らで、開会式よりもだいぶ早く部屋を出る準備をする同室の田辺あひるさん。
田辺さんは参加はもちろんのこと、2年前のJGCのレポートを書いた経験をお持ちなので、何かと安心出来るルームメイトです。
田辺 「私、先に物販ルーム寄ってから、そのまま開会式に向かいまーす」
さすが先輩! あの猛者の中に自ら飛び込むとは!
田辺 「いやー。サイコロ忘れちゃって」
………ちょーっとまって。プレーバック。プレーバック。
私 「一昨年も忘れてるじゃないですか、田辺さん! 失敗は成功のもとじゃないんですか……!」
田辺 「ほら、だから去年は忘れなかったよ!」
その理屈だと、つまり、来年は大丈夫そうです。
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■開会式■
<3日(17:00〜17:30)> |
午後5時、司会の成田佳恵さんの爽やかな声が会場に響き、いよいよ開会式が始まります!
来たときから 「すごい人数だなあ……」 と思っていましたが、なんと今年は、JGCの宿泊関連を受け持っていたJTBさんのサーバーが途中ダウンしてしまったとのこと! 笑い声とどよめきが会場を包む中、いよいよゲストの登場です。
まず最初に、エンターブレイン代表の森好正さんのご挨拶から。
JGCを“真夏の祭典”と銘打ち、JGCへの思いを力強く語られます。「暑さ、眠さ、幾多の死線を乗り越えて!」のコメントに会場はどっと笑い、開会式序盤から盛り上がりは予想以上!
それに続くは、我らがボスもとい“アナログゲーム界のご意見番”安田均!
「初めての方、これがJGCです!」という安田社長の言葉に、改めて周りを見渡してその規模を体で感じます。
すると、安田社長がババッと急に背を見せました。その背中に輝くのは 『60』 という文字。
「JGCも今年で15年! 私も60になりました!」
そう、今年の7月25日に還暦を迎えた安田社長。 「30歳でダンジョンズ&ドラゴンズに熱中していたら、もう60歳!」 と味いっぱいのコメントに会場から拍手が沸きます。
今回、安田社長は【SNEコンベンション】はもちろん、3日から5日と全日開催されているイベント【サンダーストーン体験会】でレクチャーを行うということで、「サンダーストーンでは、全力でデモプレイを行います!」と宣言されました!
次にマイクの前へと立ったのは、純白のローブを身にまとい、杖を持つ老人……ガ、ガンダルフ!?
と、思ったら、この方こそ“アナログゲーム界の重鎮”鈴木銀一郎先生!
「ゲーマーの諸君が心を合わせたら6の目がでるはず」
青のダイスを手にし、指輪物語さながらの台詞を呟く姿は、もうガンダルフそのものです。
安田社長が今年還暦、そして鈴木先生は今年75歳と、二人のお姿にアナログゲーマーの歴史を感じざるを得ません。
鈴木先生が、すっ、と杖を持った手を頭上高くに掲げます。
そして叫ぶは、毎年お馴染みという例の言葉!
「48時間、やりまくるぞー!」
「寝ないで、やりまくるぞー!」
「「おー!!」」
こうして、怒涛の2日間は幕を開けたのです。
鈴木先生 「……ただし、今年は私は寝ます」
体調第一です!!
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■SNEコンベンション■
<3日(19:00〜24:00)/4日(10:00〜15:00・19:00〜24:00)/5日(9:00〜14:00)> |
JGCといえば、そうセッション。
セッションルーム<若葉>では、【Yellow Submarine Con in JGC2010】【R-CON in JGC2010】【TRPGセッション with F.E.A.R】とともに、【グループSNEコンベンション】が行われておりました!
SNEは 『ソード・ワールド2.0』 『六門世界RPGセカンドエディション』 『パラサイトブラッド』 『エムブリオマシンRPG』 『シルバーレインRPG』
『タンクライフRPG ダークブレイズ』 『セイクリッド・ドラグーン』 『ゲヘナ〜アナタスタシス〜』 『エンドブレイカー!』 計9つ、日替わりで14から16の卓が並びました!
ゲーム制作者・関係者本人によるゲームマスターを体験する数少ない機会に、会場へと向かう皆さんの瞳は爛々としていました。
しかし、瞳が爛々としているのは制作側とて同じ。
見よ! このGMのスタンドアップ率の高さ! 近づく前から盛り上がってる様子が伺えます。
そんな『SNEコンベンション』から、8月に新サプリメント『バルバロステイルズ』が発売された『ソード・ワールド2.0』と、トミーウォーカーさんとのコラボ作品でJGCでルールブックが先行発売された『エンドブレイカー!』の2つの卓をピックアップいたします。
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■□ ソード・ワールド2.0 □■
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説明もいらないであろう、SNEの代表作、『ソード・ワールド2.0』。
今回のシナリオは、村の畑や漁場を荒らされて困っていたルーフェリアの片隅にあるヒコニアの村から、その解決を依頼される、といった内容。
PCたちは依頼の途中で、師匠の詩人・シルヴァンと三匹の兄弟子たちを追ってヒコニアに向かうコボルドのテリーと遭遇しますが、事の原因はその兄弟子たちということが判明します。
このJGC用のシナリオを担当したのは、9月にいよいよ9巻が発売されたばかりの『新米女神の勇者たち』でお馴染み・秋田みやび。
GMは、秋田さんを始め、『バルバロステイルズ』から清松みゆきと田中公侍、そして『ソード・ワールド2.0リプレイ form USA (1) 蛮族英雄 ― バルバロスヒーロー ―』が10月に発売されたベーテ・有理・黒崎など、ベテランから旬な新人まで揃っており、各卓様々なドラマが生まれているようでした。
ハルピュイアに誘拐された女好きのシルヴァンを探し出して無事に保護し、方方に散っていたテリーの兄弟子たちを回収したところで依頼が達成となる今回のシナリオ。
秋田さんの卓では、鞭で脅されてハルピュイアに有利な呪歌を歌おうとするシルヴァンに辟易したPCが、ついに切れて、魅了されたPCたちもろとも、シルヴァンまで巻き込んで“スパーク”を撃ち、敵だけが抵抗して、味方が死屍累々になりかけるという凄まじい展開に……!
設けられた5時間というイベントの時間内に収まって、『バルバロステイルズ』で初お目見えした「シチュエーション戦闘」をプレイする時間もあり、各卓で大変好評なシナリオだったそうです。
しかし、3日から5日まで計4回ある『SNEコンベンション』で3回GMを務めた秋田さんは、5日の日には声が枯れ枯れ。
テンションの高いNPCばっかりだったそうで、思わずお手洗いで 「誰じゃ、このシナリオ作ったのは!」 と切れたとか。敢えて言おう。あなたです、秋田さん!
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■□ エンドブレイカー! □■
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2009年末にPBW(プレイ・バイ・ウェブ)から展開が始まった『エンドブレイカー!』が、とうとうTRPGで登場です!
舞台は多彩な都市国家が存在するファンタジー世界。
GMには、システムデザインを手掛けた江川晃と、ワールドデザインを手掛けた藤澤さなえ、リプレイを執筆した清水一樹、そして新人・河端ジュン一らに加え、なんとトミーウォーカーの上村大社長まで! せっかくなので上村社長の卓のお話を伺ってみました。
PCは偶然にも13歳から16歳の少女ばかりで、その中には“男の娘”もいるという異色なパーティー!
唯一の20代の女の子は、ランダムで武器が「オノ」になったのですが、なんと今回は「オノ」を使う容疑者ということで、事あるごとに疑われたとか。
しかし、敵へのとどめは基本的に「オノ」を装備した彼女の一撃という綺麗な展開で、とても良いストーリーが出来上がったそうです。
さすが上村社長! 特に問題もなく、素敵なセッションですね!
……と、思ったら、上村社長の口から出たのは 「今までのJGCで一番焦りました」 という言葉。ど、どういうこと!?
上村社長、実は時間を勘違いなさっていて、本来5時間のイベントなんですが、6時間あると思い込んでいたそうです。
キャラクターシートを書き終える頃にお客さんから言われてから気付いたそうで、慌てて5時間で終わる流れに変えたとのこと。シナリオが始まる前に気付くことができてよかったですね……!
他の卓のお話を聞いてみると、江川さんの卓では、ボス戦が始まった早々にGMのサイコロが走り、早速PCが一人死んでしまったとか……! もちろんその後、無事ボスを倒してハッピーエンドを迎えたとのことで、一安心。
さらに、河端さんの卓でも、ザコ敵が第1ターンに超絶ダメージを与え、パーティー唯一の回復役PCが死にかけるという事態が起こったそうです。
しかし、2D6で1の目が出たら戦闘不能にならない 『凌駕判定』 を2回もプレイヤーさんが出すことに成功!
二人とも、揃って 「『エンドブレイカー!』 はダイスによってドラマが生まれるゲーム」 と口にしておりました。
リプレイと小説に加え、カードゲームの発売も決まっている『エンドブレイカー!』。
PBWで遊ぶもよし、TRPGで遊ぶもよし、様々な媒体であなたも「終焉」を「終焉」させてください!
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■ライブRPG『パラサイトブラッド』■
<3日(19:00〜23:00)/4日(19:00〜23:00)> |
JGCでしか体験できないものの一つ、それがこの“ライブRPG”。
“ライブRPG”とは、自らの足で所々に設立されたブースへ赴き、サイコロや頭を使ってミッションを解決するJGCの目玉イベントです。
「フリープレイルーム<桜川>、セッションルーム<若菜>、物販ルーム<千鳥>以外、4階は我々が占拠した!」
という北沢さんの掛け声の通り、会場であるトークショールーム<尾上>を含め、JGCとして貸しきっている4階の廊下の至る所にブースが散りばめられました。その数、計9ヶ所!
お祭りの夜店のように一列に並んでいるわけではありません。
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まさかそんなところまで〜! |
……と、思っていたら、まさかそんなところまで……!? |
こんな具合に見事JGC会場を占拠して始まったSNEによる今年のライブRPGは、7月についにそのベールを脱いだ変身ヒーローTRPG『パラサイトブラッド』!
イベントの舞台はサンプル都市「咲坂市」。この町に密かに潜んでいる、悪の意志をもつドミニオンという強力な“悪魔憑き”を倒し、邪悪な計画を阻止するのがイベントの目的です。
ライブRPGの参加人数上限は100人。3日は97人ものプレイヤーさんが足を運んでくださり、ライブRPG経験者の先輩方も 「今年は多い!」 と驚いておりました。
本来のルールでやろうものなら十数人のスタッフでさばけるはずもないので、ルールは大変簡略化されております。そのため『パラサイトブラッド』を良く知らない方も楽しく遊べ、詳しくない私も「勢力」のトップを務めることができました!
ライブRPGの詳しい内容についてはコチラをクリック!
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■ソード・ワールドトークショー■
<4日(15:00〜16:30)> |
新サプリメント『バルバロステイルズ』に始まり、新リプレイや短編集、そしてキネティックノベルと新しいものが目白押しなソード・ワールド2.0作品!
トークショーでは、そんな作品たちの制作秘話もとい裏話が暴露され、会場を盛り上げておりました。
『バルバロステイルズ』では、データが膨れ上がって厳選するのに苦労した話、人気シリーズ『新米女神の勇者たち』では、秋田さんから「プレイヤーが望んだ方向に行ってくれなくて……」という笑ってしまう苦労話が。……裏話という名の苦労話大会と化していた気がするのは、きっと私だけですよね。うん。
そして、豪華声優陣を起用し、話題となった、キネティックノベル『ソード・ワールド2.0リプレイ たのだん〜いにしえの船を追えっ!〜』の話もちらりほらり。なんと、そのオープニングムービーがその場で放映もされました!
8月を皮切りに、9月、10月、11月とソード・ワールドだけでたくさんの作品が続けて発売されますので、皆さん是非チェックしてみてくださいね!
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■サンダーストーン体験会■
<3日(19:00〜22:00)/4日(9:00〜13:30・14:30〜19:00)/5日(9:00〜15:00)> |
『サンダストーン』――それは、この秋、SNEが一押しするデック構築型カードゲームです。
様々な“英雄”たちと共にモンスターたちを倒しに行き、誰よりも先に伝説のサンダーストーンを手に入れる。言うなれば、RPGをカードゲームにした作品です。
開会式で安田社長の言葉を聞いて気になった、という方が続々と顔を覗かせに来てくださり、常に3つのテーブルはフル稼働!
安田社長を筆頭に、柘植めぐみ、江川晃、大井雄紀が直々にレクチャーするとあって、リピーターが後を絶ちません。こんな贅沢もJGCの特権ですね!
テーブルに来てくださった方は、2009年のドイツゲーム大賞を受賞した、デック構築型カードゲーム『ドミニオン』の経験者の方が多く、皆さん1・2回やるとすぐに順応して次の作戦を考えていらっしゃるようでした。1回プレイすれば2回目からはインストラクター無しでもプレイを始める方がちらほら!
当初の予定では、この『サンダーストーン』の日本語版はJGCで先行発売されることになっていたのですが、製造元の都合で間に合わなかったのが唯一残念なところ。
11月6日まで、今しばらくお待ちください。
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