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タッグトーナメントInSNE
1回戦第3試合
安田均&柘植めぐみVS諸星崇&安道やすみち
 
○第3試合

 1回戦も後半に突入。今回の対戦はボス&秘書チーム(安田均&柘植めぐみ)ソーサルカンパニーチーム(諸星崇&安道やすみち)の組みあわせだ。
 前者のチームワークについては、いまさら説明するまでもないだろう。社長・安田均の意図をつかむことにかけては、秘書である柘植めぐみの右に出る者はいない。これは、プロッティングタイプのゲームにおいては、非常に大きな強みだと言える。
 一方の諸星崇&安道やすみちは、パートナーとしての期間は短いものの、1つの企画を共に立ちあげている真っ最中ということで、これまた強固なチームワークが期待できる。
 果たして若手の勢いは社長室を揺さぶることができるか……!?

 
○第1ラウンド〜第3ラウンド
柘植 とりあえず、どっちを集中して狙うかは決めておいた方がよさそうですよね。
安田 サイズが小さい奴と極端に大きい奴か……小さい方が当てにくそうやけど、当たれば早く終わりそうやな。
安道 聞きましたか!? カトンボ扱いされてますよ、諸星さん!
諸星 まぁ……装甲重量耐久値が低いのは本当だからなぁ(苦笑)。こっちは、その時々で攻撃できるほうを狙っていきましょうか。
柘植 行き当たりばったりな作戦ね。
諸星 臨機応変と言ってください(笑)。
安道 皆さん、プロッティングは終わりましたね? では第1ラウンドの第1セグメント、処理を始めましょう!




 第1ラウンド。ボス&秘書チームは東から、ソーサルカンパニーチームは西から、それぞれ相手チームの背後へ回りこもうと試みる。だが互いが同じことを考えていたために、見事にすれ違う結果となってしまった。
 唯一、第2セグメントの射撃タイミングに射撃攻撃をプロッティングしていた諸星機だが、北へ向かってくると予想していた柘植機が東側に移動したため、アクションはキャンセルとなった。
 
諸星 まさかこんなに綺麗にすれ違うとは……!
安道 社長の機体、すごい移動力ですね。
安田 お前の方が足が遅すぎるんや(苦笑)。

 第2ラウンド、第1セグメントも全機が移動を行った。柘植機は安田機の後を追うように北上。安田機は諸星機に近づこうと西へ移動したが、その諸星機は一気に南へと逃げた。安道機も逃げるように移動し、南の壁の裏へ隠れる。
 第2セグメントでは安田機、柘植機、諸星機が射撃攻撃を選択するが、お互いに距離が遠すぎてキャンセル。一方の安道機は、なぜか東方向へ突撃を行った。
 
諸星 なにもないところで、なんで突撃してるんですか!?
安道 え? い、いや、僕には僕なりの深い作戦がありまして……(汗)。
安田 そういうことは(作戦を)成功させてから言いなさい(苦笑)。
柘植 安道さんの機体、どんな武装を積んでるんだろ……?
安道 ふふふ……謎のベールに包まれた僕に注目が集まってますね。
柘植 あんな意味不明な動き方されたら、さすがに気になって仕方ない(笑)。

 第3ラウンドの第1セグメント。
 安田機、柘植機、安道機は一斉に移動を行った。
 それらの動きを見越したように、諸星機が射撃タイミングにアクションを宣言。
 
諸星 長距離ミサイルを撃ちますよ。社長の機体は移動してるから当たりにくいですが……(ころころ)よし、出目がいい! 命中レベルAで命中しました。ダメージは18点です、命中部位表は……(ころころ)胴!
安田 胴の部位装甲値は19やから……よし、武装破損してへん。でも、他の部位に当たってたら危なかったな。プスプス言っとる(笑)。
諸星 惜しい……けど、ダメージはそれなりに与えましたよ。

 第2セグメント、安田機は射線を確実に確保するため高度2のマスへ移動。
 諸星機は射撃武器の射程を考慮し、安田機へ近づいた。
 
柘植 私は諸星機をガトリングガンで狙ってますけど……最適射程から3距離も外れているし、移動もしているから当たりそうにないかな。キャンセルします。
安道 僕は柘植機に射撃しますよ。頭に付けたラージレーザーで……目からビーム!
柘植 そんな攻撃、絶対に当たりたくない(笑)。
安道 でも――(ころころ)命中してます(笑)。(ころころ)胴に16点のダメージ!
柘植 胴なら武装の破損はありません。――安道機はラージレーザーを積んでるのか。射程には入らないようにしないと。

 
○第4ラウンド〜第6ラウンド


 第4ラウンドの第1セグメント、諸星機はボス&秘書チームから逃げるように森の中へ移動。安道機は――狙われてもいないのに――壁の後ろへ移動し、またも遮蔽を確保した。
 
柘植 また意味不明な行動を……!

 

 
安道 次は第2セグメント、移動タイミングですね。僕は移動ですけど……?
諸星 こっちも移動です。
安田 移動されたか……こちらの射撃攻撃はキャンセル。
柘植 (諸星機が動くのを見ながら)よかった、うしろから撃たれるかと思った。私は射撃タイミングに、諸星機にガトリングを撃ちます。
諸星 うっ(汗)。
柘植 (ころころ)よし、命中しました! 命中レベルはBだから、ダメージは18点です。部位は……(ころころ)頭!
諸星 いたた……せっかく搭載していたエネルギー弾薬が潰れました(泣)。
柘植 やっぱりこの対戦のコツは、2対1の状況に持っていくことですね。
安道 僕は無視ですか!?(笑)

 第5ラウンド。第1セグメントでは安田機と諸星機の「追いかけっこ」が再び繰りひろげられた。その煽りを受けて、柘植機は諸星機への白兵攻撃をキャンセル。
 第2セグメントでも諸星機は南へと逃げ、安田機の射撃攻撃からうまく逃れた。
 安道機は安田機へ白兵攻撃を試みるが射程が届かず、接近移動を行うに留まる。
 
安田 こっちはキャンセルが続いとるな……。
柘植 もしかして、このまま最後まで逃げまわる気?

 大会規定では「1機も戦闘不能とならずに10ラウンドが経過した場合、敵チームに与えたダメージの合計が大きいチームが勝者となる」と定められている。
 この時点ではボス&秘書チームがより多くダメージを受けているため、諸星機と安道機が以降のラウンドに一切ダメージを受けなければ、試合はソーサルカンパニーチームの勝利となってしまうのだ。
 
諸星 さすがにそれは無理でしょう。移動しつづけても、絶対にどこかで捕まりますから。
安田 そらそうや(笑)。

 第6ラウンドの第1セグメント。安田機は――安道機を警戒してか――遮蔽を取るように移動。柘植機は諸星機を追いかけて水地へと進入した。
 
諸星 その柘植機に射撃攻撃です。ラージレーザーの最適射程からは少し外れていますが、水地の中で動きにくくなってるはず。
柘植 やばい、まだ逃げると思ってたのに……!
諸星 (ころころ)命中! 水の中だからレーザーの威力が落ちる、なんてことはないですよね?(笑) 16点のダメージが(ころころ)柘植機の左腕に当たりますが……破損はありませんね、残念。
安道 僕は白兵攻撃で――柘植さんを狙ってますけど、接近移動して終わりですね。
諸星 いま射撃攻撃の絶好の機会だったじゃないですか!?
安道 も、もっと近づいてくると思ったんです!(汗)

 第2セグメント。安田機は東へ、諸星機は西へ移動を行う。柘植機は不思議な動きを見せる安道機にガトリングガンを命中させ、16点のダメージを与えた。
 
安田 いまのはうまくいったけど、まだ(与ダメージの合計では)負けとるな……。
安道 では、僕は突撃します!
柘植 突撃!? しまった、(突撃の方角が)東だったら、私が移動経路上に入ってる!
安道 ……西に。
諸星 って、それじゃあ敵に後ろを見せただけじゃないですか!?
安道 たしかに……な、なんでこっちに突撃って書いてあるんだろう?(汗) たぶん書き間違えました!
柘植 助かった……。
安田 たぶんあれは新米パイロットやな。どのボタンを押せば攻撃できるかわかってない(笑)。

 
○第7ラウンド〜第8ラウンド

 第7ラウンドの第1セグメント。安田機は諸星機の追撃をやめ、射程の長い武装を使用するため高度の高いマスへ移動。柘植機、諸星機はお互いへの射撃攻撃をプロッティングしていたが、遮蔽があるため共にキャンセル。
 
柘植 第2セグメントの移動タイミングですね。私はK−13へ移動。
諸星 こっちも南東の森の中、J−14へ移動します。――しまった、まさかこんなに近づいてしまうとは。
安道 次のセグメントが怖いですね。僕も一応、東に移動しているのでそっちに近づいてます。
安田 射撃タイミングやけど……あかん、諸星機が(安田機から)射線の通らん場所に来とる!

 高度1のマスにいる安田機から射撃攻撃を行う場合、諸星機との間に高度1のマスがあっても遮蔽にはならない。しかし、今回は安田機の高度(高度1)よりも高いマス(高度2)が射線上にあったため射線が通らず、射撃攻撃が成立しなくなった。
 
安田 せっかく壁の上へ移動したのに、間にもっと高い壁を挟まれるとは――!
諸星 あ、狙ってやったわけじゃないんですが(笑)。うまく隠れてしまいましたね。

 第8ラウンド。安道機は柘植機に攻撃を行うために近づくが、柘植機はその攻撃を避けるために北へ移動。その移動を見越して諸星機が撃ったラージレーザーは、惜しくも出目が届かず、無駄撃ちに終わった。
 第2セグメント。安田機は諸星機に対してロケット砲による射撃攻撃をプロッティングしていたが、背後に回られたためキャンセルとなる。一方、柘植機も安道機への射撃攻撃をキャンセル。
 安道機は柘植機との距離を詰めることができず、再び接近移動のみで終わった。
 
○第9ラウンド〜第10ラウンド

 は四隅に各機が散らばる形となった。
 


柘植 もうすぐ時間切れですね。
安道 なんとか白兵攻撃を決めて活躍しないと、良いところないなぁ。
安田 でも、敵を幻惑するのには成功してるぞ。
諸星 味方も混乱してますよ!
一同 (笑)。
柘植 皆さん、プロッティングは終わりました?
安田 終わった。今回は移動タイミングで西側へ移動するぞ……ここから改めて諸星を狙う!
安道 僕もI−13に移動します。
柘植 射撃タイミングですけど……安道機が壁の後ろに隠れたから、(柘植機からは)射線が通らなくなりました。――あーあ、命中しやすい方を狙って、与ダメージを稼ぐ作戦だったのに(ため息)。
諸星 こっちの射線は通っていますよ(にやり)。長距離ミサイルで社長を射撃攻撃。出目は……(ころころ)16! 命中レベルはBだから、14点のダメージです。
安田 逆にこっちがダメージを受けてしまったか。やっぱり安道に惑わされとるな(苦笑)。

 第2セグメントは柘植機、諸星機が共に北側へ移動。安田機は長距離ミサイルで諸星機を狙っていたものの、懐へ入られたためにキャンセル。安道機も壁に阻まれ、柘植機への射撃攻撃をキャンセルすることとなった。
 
安田 次が最後のラウンドか……。
柘植 与ダメージで負けてますから、難しいですね。こっちの攻撃は命中させて、向こうの攻撃はぜんぶ回避しないと。
諸星 安道さん、ちょっとは役に立ってくださいよ。
安道 酷っ。僕も僕なりに考えて動いてるんですよ!?(笑)
諸星 結果が出てればいいんですけど……。とにかく、最後のアクションフェイズですね。
安田 まずは移動タイミングで南へ動こう。
諸星 こっちも微妙に移動しますが……社長と背中を向け合ってますね。このままだとどっちも攻撃できない。
安道 僕は狙われてるみたいなので、壁の奥に隠れる形で移動します。
柘植 諸星をミドルレーザーで狙ってたけど、射線が通りません。前のセグメントで北に逃げすぎた……。
諸星 第2セグメント、僕は一気に南へ逃げますよ。これで攻撃から身を隠せるはず……だったんですが、社長がミサイルで撃ってきたら射線が通りますね(汗)。
安田 いや……射撃攻撃はプロッティングしてたけど、ミサイルはもう弾切れでラージレーザーを撃つつもりやった。キャンセルするしかないな。
諸星 やった!
柘植 こっちもキャンセル、さっきのセグメントと同じです。
安道 ついでに僕も、社長を狙ってましたがキャンセルです。
諸星 なんで安道さんがそこから社長を狙おうとするんですか!?
安道 なんでだろう?(笑)
柘植 まあ、でもこれで10ラウンド経ったから……。
安道 与ダメージの比べあいですね。9ラウンドの時点でこっちが勝ってて、10ラウンドではどちらもダメージを受けてないから――。
安田 こっちの負けやな。まさか、ふらふら〜っと動きまわってるだけの機体にやられるとは。
安道 単に動きまわってるだけじゃなくて、綿密な計算の結果だったんですよ!
柘植 絶対、嘘だ(笑)。

 
○戦評

 この試合で注目すべき点は、ボス&秘書チームが試合の要所要所で「この状況なら敵はこう動くはずだ」と予想を立て、的確なプロッティングを行っていた点だろう。この予想を――意図的かどうかはともかく――安道機はことごとく裏切り、数多くのキャンセルを発生させ、結果的に勝利することとなった。まさにボードゲーマー泣かせ、最適手を選ばない男・安道やすみちの面目躍如である。
 ちなみに諸星崇と安道やすみちは仲が悪いわけじゃないです(※著者注)。

 

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