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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > ネオゲーム文庫、始動! (2012年09月)
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ネオゲーム文庫、始動!

 やってきました、食欲の秋。
 ……違いました、読書の秋です!
 このコーナーをご覧のみなさまはきっと、秋の夜長をともにすごしてくれる面白い本を求めておられるはず。
 そんなみなさまにグッド・ニュース!
 このたび、「Truth In Fantasy」シリーズなどでおなじみの新紀元社から、新しい文庫レーベルが創刊されました。
 その名も
NEO GAME BUNKO(ネオゲーム文庫)
 説明不要でしょうが、「ネオ」とは「新しい」の意味です。
 ではこの文庫のどこが新しいのか?
 どのようにゲームと関わっているのか? 
 気になるみなさまのために、執筆者の面々からばっちり話を聞いてまいりました。
 創刊のいきさつからラインナップの詳細まで、これを読めばあなたも「NEO GAME BUNKO通」になれますよ!
 
魔女館からの脱出
キャット&チョコレート ゲームノベル

  2012年9月8日発売
  著:秋口ぎぐる
  イラスト:リヨ
  新紀元社
モンスター・サーカスへようこそ!
シルク・ドゥ・モンスター リプレイ

  2012年10月6日発売
  著:藤澤さなえ/グループSNE
  新紀元社
2012年9月 発行
記事作成 柘植めぐみ


1.創刊の辞
―― それでは「NEO GAME BUNKO」創刊について、グループSNEの代表取締役社長、安田均にインタビューしたいと思います。よろしくお願いします。
安田 よろしく(にこにこ)。
―― さっそくですが、このレーベルが生まれた経緯などお聞かせいただけますか。
安田 (こほん)いまは本の分野がすっかり個別化してしまって、その分野ごとに決まったシリーズばかり出ているよね。
―― 確かに「この文庫ならこういう色」というのがはっきりしていますよね。
安田 でもゲームに関わる本には、いろいろな要素があるべきなんだ。たとえばRPGが日本にやってきたとき、われわれはリプレイという新しい形式を作り出したよね。ありがたいことに、いまやリプレイはすごく広がってくれたけど、そればかり出る状況というのもちょっと窮屈。それで、いろいろなことにチャレンジできるゲームの本を作りたいということで――新しい酒を盛るには新しい革袋ってね――新紀元社さんに、新しいレーベルの相談をしたんだ。これこれこのようなものをやりたい、とラインナップを立ててね。
―― なるほど、SNEから企画を持ちこんだのですね。
安田 うん。新しいゲームの流れを作りたければ、新しいレーベルで新しい分野の作品を出していかなくちゃいけないと考えたんだ。もちろん、新紀元社さんはこれまでにもTruth In Fantasyシリーズといったゲームの薀蓄本をたくさん出しているので、そういったファンにも喜んでもらえるんじゃないかと思ったよ。
―― でも全体的に、「NEO GAME BUNKO」は決してゲーマー向けではないように思います。
安田 もちろん。カジュアルなゲームが好きな人でも楽しめるものを目指している。細かいデータ的にあれこれやりたい人には物足りないかもしれないけど、そういうものは他にもたくさんあるからね。それよりは、気軽に楽しもうぜ、ゲームは面白いんだぜ! と言いたい。
―― 9月から年末にかけてのラインナップを見ますと、ゲームノベルやリプレイ、図鑑など、多岐にわたっていますね。
安田 リプレイという名前はついているけど、従来のTPPGのリプレイじゃなくて、ボード/カードゲームを面白く紹介するためのリプレイ。ゲームノベルも、従来のゲームブックとはずいぶん違う。昔はひたすらフローチャートに沿ってパラグラフが分岐していく形ばかりだった。でも同じパラグラフがあるにしても、もっと別の形があるんじゃないかと、秋口ぎぐるくんと一緒に考えたのが魔女館からの脱出。これは彼のカードゲームキャット&チョコレートをベースにしているんだ。そういった内容面の新しさにも、ぜひ気づいてもらいたい。
―― 「NEO」と「GAME」の意味がよくわかってきました。単なる新しい文庫ではなく、ゲームの魅力の打ち出し方が新しい文庫だったんですね。

2.『ゾンビーズ? ゾンビーズ!』
安田 そういう意味では、ゾンビーズ? ゾンビーズ!も妙な成り行きだったよね?
―― おっと、そうきますか。ではゲストの1人である友野詳にも話に加わってもらいましょう(手招き)。
友野 いいのかな、ぼくの作品はラインナップの第三弾なんだけど。
―― 紹介の順番が前後しちゃいますが、『ゾンビーズ? ゾンビーズ!』は発売間近ですからね。いまが旬ということで、イチ押ししちゃいます。もちろん他の作品についても、このあとちゃんと取り上げますよ。
友野 では遠慮なく。
 
ゾンビーズ? ゾンビーズ!
テキサス・ゾンビーズ ゲームノベル

  2012年10月中旬発売予定
  著:友野詳
  新紀元社
2012.11.06 エラッタ掲載
2012.11.08 新紀元社HPにて正誤表(PDF)配布中
           詳細は↑リンクをご覧ください
―― 話が戻りますが、『ゾンビーズ? ゾンビーズ!』の妙な成り行きとは?
安田 もともと、さっきも話題にのぼった『キャット&チョコレート』というゲームがあって、それをフランスムーンスター社世界でやるならゾンビだ!と言い出したんだ。
―― テキサス・ゾンビーズですね。
安田 で、ゾンビをやるんだったら俺にストーリーをやらせろ! と友野くんが言って……これもまた、「ゲームで面白いものをやっていこう」という流れの1つ。
―― 最初はRole & Roll」93 号にゲームノベルが掲載されましたよね。テキサス・ゾンビーズ 〜今度はやつらが悲鳴をあげる〜というタイトルで。
友野 うん、あれは短編バージョン
―― 短編バージョン?
安田 新しいシステムだったから、まず面白いかどうか短編でやってみたんだ。そしてじっさいに面白かったから、つぎは長編、と。もちろん長編はもっともっと面白くしよう、といろいろなものを取りこんでいるよ。
―― では、雑誌掲載のゲームノベルとはまったく違うものなんですか。
友野 システムもストーリーも別物。
―― でも『テキサス・ゾンビーズ』なんでしょう?
友野 うん。だから……短編バージョンの「続き」と思ってもらえばいいかな。映画で言うところの「PARTU」という感じ。
安田 いや、PARTUVWXだろう(笑)。
―― ??? 話がたくさんあるってことですか?
友野 そういうこと。ゾンビ物って、長編よりは気楽に短時間で楽しめて、「ぎゃあ、喰われた〜」と終わるほうがいいんじゃないかと思って。それに一言でゾンビ物と言っても、コミカルなものからシリアスなものまでいろいろなパターンがありますからね。
―― つまり、各話、味付けが違うと?
友野 違うよ。
―― うわあ……どうしてそう、苦労を背負いこむんですか(苦笑)。
安田 背負いこむ背負いこむ(笑)。最初は5話構成にしようって話してたけど、さすがに〆切的に4話がせいいっぱいだった。それでも大変そうだったね。
友野 いえ、バリエーションを増やすのは全然しんどくないです。しんどかったのは、量を削ること(笑)。これもやりたい、あれもやりたいと思ってしまうから。まだ1、2冊分のネタは残っていますよ。ほら、いまは世の中がプチゾンビブームだし。
安田 最近はユーモラスなゾンビ物も多いよね。アプリで配信されているプラント vs. ゾンビーズはカジュアルに遊べて大ヒット。
友野 ぼくのもカジュアルに楽しんでもらえるはずですよ。基本、コメディタッチ。
安田 雑誌掲載分はちょっとハードだったからね。戦闘もあったし、いかにもゾンビゾンビしていた。
友野 そういうのがお好きな方向けに、そういうパターンも残してあります。まずプロローグで4人の相棒が現れるので、そのうち誰と冒険をするかを選ぶんですけど。
―― 「○○(人名)の章」というふうに章立てされるのをのぞき見ましたけど、あれは主人公の名前じゃなくて相棒の名前だったんだ!
友野 マッチョなゾンビ退治人ゾンビオタクツンデレ幼なじみ清楚な黒髪の恋人から選べます。
安田 秋口くんが最初に雑誌用に書いたゲームノベル(デス・フロッグ・ダンジョン。「Role & Roll」91号掲載)は普通に読み物になっていて、少しパズルを解くくらいだった。それで『テキサス・ゾンビーズ』には戦闘を取り入れてみたんだけど、このスタイルに細かな戦闘データは適していないとわかったんだ。なにより「鉛筆もサイコロも使わない」のがモットーだからね。で、戦闘とは違う方法で面白くするにはどうしたらよいかと考えた結果、やってみたくなったのが「ストーリーをパラレルにくり返す」こと。
友野 プチブームといえば、最近はループ物もヒットしていますからね。そういう要素を取り入れてみたんです。
―― なるほど、「ゲーム」と「新しい旬のもの」を融合させる――まさに「NEO GAME BUNKO」の真髄!
安田 もともと秋口くんが考え出したゲームノベルシステムが新しかった。それにループ物を加えてみたのが『ゾンビーズ? ゾンビーズ!』。藤澤さんのリプレイは、「ボード/カードゲーム」の初の長編リプレイ――しかも、ボードゲームには本来必要のないキャラクター性をいかに面白く取り入れるかにチャレンジしたもの。そして11月発売予定の加藤ヒロノリLet’s Play! モンスター図鑑は、かつてのモンスター・コレクションというモンスター紹介本と、モンスター・コレクションTCGの流れをくむもの。遊びながらモンスターの強さを体感できる「図鑑をゲームブック化したもの」といったところかな。そして12月発売予定のゴーストハンター13 ゲームノベルは、現在開発中の『ゴーストハンター13 タイルゲーム』の背景をゲームブックで遊んでみたらどうなるだろう、という試み。狂気カード(恐怖判定)を取り入れてみたりして。
―― どれも、本当に新しいですね。
安田 「NEO GAME BUNKO」は全部、まず読み物として楽しんでほしい。そして、ゲームにも興味を持ってほしい。この2つがうまく相乗していければ最高だね。
友野 ――(うなずく)
安田 というわけで、以上、「創刊の辞」終わり!(笑)
友野 ――あれ?(笑)


 きれいに話がまとまったところで、安田&友野へのインタビューは終了です。

友野 まだしゃべり残したことが……)
(―― 了解です。『ゾンビーズ? ゾンビーズ!』についてもっと詳しく知りたい方は、こちらへどうぞ)



3.既刊のおさらい
『魔女館からの脱出』
『モンスター・サーカスへようこそ』

 前後してしまいましたが、「NEO GAME BUNKO」は、すでに2冊が発売されています。
 第一弾は、JGC2012で先行発売され、9月に正式発売を迎えた秋口ぎぐる
魔女館からの脱出 キャット&チョコレート ゲームノベル! 第二弾は、同じくJGC2012で先行発売され、正式発売はカードゲームと同じ10月6日のモンスター・サーカスへようこそ シルク・ドゥ・モンスター リプレイ
 まずは新しい試みの先陣を切った『魔女館からの脱出』について、著者である秋口ぎぐるに話を聞いてみたいと思います。

―― 発売からほぼ1か月が経ちましたが、反響はいかがですか?
秋口 ありがたいことに好評いただいている……と、お聞きしております。ぼく自身はほんまに「ゲームブックなんていまさら大丈夫なんやろか」と自信がなかったのですが、有名なアキバblogで取り上げていただいたりとか、SNEのサイトにも感想のお便りをいただいたりとか、とてもうれしい反響が続いております。
―― JGCの会場でも飛ぶように売れていましたよね。
秋口 それは言いすぎ……(苦笑)。でもJGC開催期間中に「もうクリアしました!」と言ってくださるお客さんなんかもいらっしゃって……。いまさらですが、書いてよかったなぁ、としみじみ感じている次第です。
―― このゲームノベルは新しい試みとボスもおっしゃっていたのですが、そのあたりを詳しくお聞かせいただけますか?
秋口 じつはこの作品、2011年のJGCで行われたライブゲームがもとになっているんです。当時ぼくはリアル脱出ゲームにハマっていて、「ストーリー性のある脱出ゲームを作りたい!」と考えたのがことの始まりでした。じっさいのライブゲームでは「居間」や「書斎」などのブースを参加者が自由にまわっていき、さまざまなアイテムカードやヒントカードを入手&駆使して謎を解いていく、という内容だったのですが。
―― わたしもスタッフを務めましたが、めちゃくちゃ楽しかったですよ。ボスがシーツをかぶって幽霊役をやってましたっけ(笑)。
秋口 その安田社長が、どうもあれを気に入ってくださったようで、このイベントを書籍の形にしなさいと唐突におっしゃって……。そんな経緯で生まれたのがこのゲームノベルだった、というわけです。
―― すごく凝った作りの本ですよね。パラグラフごとに改ページされているので余計な文章を読まなくてすみますし、各問題のアイテムイラストもきれいで……。
秋口 アイテムイラストは、カードゲームの『キャット&チョコレート』そのままですよ。
―― あっ、そうか。どうりでなじみがあったわけだ(嬉)。では、この本を書くにあたって、苦労した点、楽しかった点などお聞かせください。
秋口 やはり筆記用具なしで楽しめるゲームブックにするという点、これがいちばん苦労したポイントです。ライブゲームだと普通にアイテムカードを持ち歩けるのですが、書籍で同じことをやろうとすると、どうしても書籍外での記録が必要になってしまう。これを回避するために生まれた苦肉の策が、問題ごとに多数のアイテムを表示する」「その組み合わせで正解のパラグラフを選ぶ」「正解の選び方はほかのパラグラフに隠されているという手法でした。これなら「アイテムを持ち運ぶ」のではなく「アイテムに関する情報を持ち運ぶ」という形になりますので、プレイヤーの記憶だけでなんとかなるだろうと。そのぶんアイテムに関する情報はプレイヤーの印象に残るものにしなければならず、この点も注意が必要でした。
―― ヒントは太字で強調される、といった工夫がされていますよね。
秋口 そういうことです。
―― もとになっているカードゲームの『キャット&チョコレート』は長らく絶版だったのですが、ついに再版が決定したんですよね。おめでとうございます。
秋口 ありがとうございます。ようやく新版を発売できることになりました。10月末に幽霊屋敷編が、年内にビジネス編、そして来年3月には完全新作となる学園編が発売になります。また告知いたしますので、どうかよろしくお願い申しあげます。
―― 入手を心待ちにしていたみなさん、もう少しですよ! 秋口さん、今日はありがとうございました。


 つぎは『モンスター・サーカスへようこそ』ですが……こちらは8月の著者インタビューでも突っこんだ話を聞かせてもらっているんだよなあ。ううむ、あらためてなにを聞こうか……と思っているうち、藤澤さなえが登場。
藤澤 よろしくお願いしま〜す。
―― いよいよリプレイ発売ですね。なにか反響はありました?
藤澤 おかげさまで、まだ先行販売状態だったにもかかわらず「面白かったです」という感想をちらほらいただいています。「ゲームが面白かったので買いました〜」という声も、「リプレイが面白かったので、ゲームを買いました〜」という声もあって、本当に嬉しい話です。みなさん、ありがとうございます、って感じです!
―― わたし、このリプレイ大好きなんですよ。なんというか……『シルク・ドゥ・モンスター』への導入本としてよくできているし、全体を通して「藤澤さなえのサクセスストーリー」になっていて。あれに「仕込み」は全然ないんだよね?
藤澤 本に仕込みはまったくありません。会話もほぼそのままですね。手を入れたのは、ルール解説部分を読みやすくまとめたくらい。ゲームの展開も、やってみたらそうなったんですよ。第3話(最終話)にわたし(藤澤)が頑張れてたのも、たまたまで……。
―― 普通に遊んだだけ、と?
藤澤 そういう意味では、奇跡の産物かもしれません(笑)。
―― リプレイの表紙は《人魚のウォータータワー》のカードでしたが、ズバリ、いちばん好きな団員カード&スポンサーカードは?
藤澤 うぅ〜ん、悩ましい質問ですね〜。永遠のマドンナはやっぱりスポンサーカードの【フェアリー聖歌教会】なんですけど、【ラミアの風俗嬢王】も捨てがたい。リプレイでは縁があまりなかったですが、【ゴルゴン3姉妹】も好きで、普段よく使うし……。でも、やっぱり【フェアリー】ですかね、強いし、可愛いし、かみちゃ・しもちゃ両方に意地悪できるし(笑)。
―― なんちゅうことを(苦笑)。
藤澤 団員カードでついつい取っちゃうのは《ケット・シーの綱渡り》ですね。あんまり上手に使えたことはないんですけど、お金はあって困らないので(笑)。あと、リプレイ収録時に《ブラックウィドウの傀儡師》の強さに目覚めました(笑)。いつもかわいい系カードを選びがちですが、かっこいい系もやっぱり強いなって。
―― 《人魚のウォータータワー》は?
藤澤 もちろん可愛くて大好きです。でも、カード効果的には「どれを捨て札にするか」ですごく悩んじゃうので、あまり得意ではないです、実は(笑)。
―― さて、TRPGのリプレイ執筆者としてはもはやベテランの域に達しつつある藤澤さんですが、ボードゲームのリプレイは初めてでしたよね。違いはありました?
藤澤 いやいや、ベテランなんて……恐縮です。TRPGリプレイとのいちばんの違いは、ボードゲームのプレイに無駄はないことですね。TRPGだと、調査のときに無駄足を踏んだり、たわいない会話をしたりする時間があるんですが、ボードカードゲームはプレイヤーの挙動にまったく無駄がない。1つが必ず卓上すべてに影響するので、なるべく全部書きたい……と思っていると、どんどん枚数がふくらんで、文庫に収まるページ数まで減らすのが大変でした(笑)。
―― ボードゲームのリプレイといえば、秋口さんも「Role & Roll」で連載されています。
藤澤 大先輩ですし、どう区別するか、書き始める前は悩んでいました。キャラクターを立ててのリプレイって言っても、秋口さんのリプレイに登場する定番プレイヤーのみなさん、だれもが面白いし(笑)。でもボスに、ゲームの紹介よりも、楽しさを伝えるといいよと言っていただいて、かなり気持ちが楽になりました。わたしはそれほどボードゲームに詳しくないですが、「面白かった〜!」って思ったのは本当で、それを表現するのに注力すれば大丈夫って思えたので。その結果、秋口さんのリプレイより、筆者のキャラがめっちゃ主張しているリプレイになりましたね(笑)。
―― 参加しているプレイヤーもキャラが立っていますよね。
藤澤 遊んでみたら、みなさんがほんと面白かったので、そのまま書きました(笑)。このあたりは苦労しなかったですね〜。トヨ氏とか、あれですからね。すごいですよね。
―― 第1話は、雑誌のボードゲームナビに掲載したものをもとにしているんですよね。あれは連載の第1回で、次回はディセント第2版のリプレイを予定されているとか。ボードゲームとは今後、どのように関わっていきたいですか?
藤澤 ボードゲームリプレイは、嬉しいお仕事ですね。リプレイのおかげで面白いゲームを遊べる! 最高!
―― うはっ(笑)
藤澤 ゲームはいつもボスが選んでくださるんですが、当然面白いものばかりで、まさに役得(笑)。自分では手を出しにくい大きな箱のゲームも、思い切ってチャレンジできちゃうのが嬉しいです。大きな箱のゲームは、それだけで難しそうとか、一見さまお断り空気を感じてしまうので……。で、思い切ってチャレンジした結果、手にした「楽しい」「面白い」「また遊びたい!」をリプレイで伝えていけたらと思います。そしていつかわたしのリプレイを読んでくださった人に「あのゲームで対決して下さい」と声をかけていただくのが夢ですね!(笑)
―― 連載が文庫にまとまると、もっと嬉しい?
藤澤 それはもう、嬉しすぎますね。そんな幸運なことがあるといいな、って感じです。
―― 最後になにかあればどうぞ。
藤澤 わたしはTRPGも知らずにSNEの戸を叩いたくらい、アナログゲームにはうとい人間でした。だから角川G文庫とか知らないですし、富士見ドラゴンブックでばんばんゲーム本が出てた時代を知りません。でもいま、リプレイやボードカードに触れて、「いまもこんな本があればいいのに」と思っていたところに、「NEO GAME BUNKO」の登場ですから、すごくいいことだと思います。わたしと同じような人が買いやすいゲームの本……「NEO GAME BUNKO」はきっとそういうポジションになってくれると思います!
―― ありがとうございま……
藤澤 あっ! あと、できれば『シルク・ドゥ・モンスター リプレイ』の2巻書きたいです(笑)。追加カードセットも登場しますように〜!
―― (ちゃっかりしてるなあ……)


4.これから出る本
『Let’s Play! モンスター図鑑 厄災のドラゴン』
『ゴーストハンター13 ゲームノベル スペイン屋敷の恐怖(仮)』

 さて、10月中旬に『ゾンビーズ? ゾンビーズ!』が発売になったあとも、さらに2冊が待ち構えています。
 11月は、
Let’s Play! モンスター図鑑 厄災のドラゴン。先ほど安田からも簡単な説明はありましたが、せっかくですので、著者である加藤ヒロノリ杉浦武夫に話を聞いてみましょう。
―― というわけで、お二人にお越しいただきました。ようやくすべての原稿が出そろったところですっけ?
加藤 ですね、いろいろあってギリギリまで作業してました。
杉浦 先行して「Role & Roll」95号体験版が紹介されているんですが、それが完成してからもいろいろと加筆や修正をしていました。
―― モンスター図鑑といえば、古いドラゴンブックのモンスター・コレクションをよくお読みになっていたんですよね?
加藤 はい! 初めて買った本格的なファンタジーっぽい本が、いちばん最初のそれです。もうボロボロになるまで読み返して、イラストを模写したりしまくってました! バイブルどころの存在じゃなかったですよ。
杉浦 おなじく、中学生のときに買いました。TRPGのルールが高くて買えなかった時代に、すごくいろいろと妄想をふくらませていました。
―― 今回の『Let’s Play! モンスター図鑑』はいったいどういう本なのでしょう?
加藤 基本はモンスターの紹介本です。さらに小説みたいな(けっこう古風な感じの)お話が楽しめる本でもあります。そしてトランプを使ったミニゲームを堪能できる本でもあるのですよ! しかもルートが3つあって、複数回楽しむことができます。
一粒で何度おいしいねん! ――とツッコミ募集中な内容に仕上がっております。
杉浦 できるだけ、日本で広がったRPG的なファンタジー像の、平均的なイメージになるように心がけました。なので、モンスター紹介とストーリー部分は、古式ゆかしいスタンダードなものになっていると思います。
―― ほほう。では、どのくらいのモンスターが取り上げられているんですか?
加藤 イラストの都合などもあって30種類です。
―― それはピックアップがなかなか大変でしたね?
加藤 昔の『モンスター・コレクション』を参考に、社長、杉浦と相談しつつピックアップしました。いわゆるファンタジーにおける基本的なモンスターばかりで、意外性は低いかもしれませんが、その分、濃いです(笑)。
―― ズバリ、お勧めどころは?
加藤 モンスター紹介部分はもちろんのこと、やっぱりゲーム部分ですかね。基本は「ハイ&ロウ」を使った簡単なゲームなんですが、モンスターの特色がかなり出ているはずです。たとえば「ヒドラ」とかは、7本首を焼かないと勝てないとか。「トロール」なら再生能力がありつつ火傷が有効だとか。
杉浦 ぼくはストーリーのほうばっかりやってましたので、そちらを推したいですね。モンスターのチョイスと同様に直球ストレートな話なんですが、RPGやファンタジー世界でモンスターがどんなふうに登場するのか、参考にしていただけるのではないかと思います。
―― なるほど。それでは最後に、今後「NEO GAME BUNKO」でやってみたいことなどありますか?
加藤 好評なら第二弾! とかやってみたいですね! あと今回の本よりももうちょっと濃いゲーム性の本とかもチャレンジしてみたいです。
杉浦 同じく、第二弾の機会があるならぜひ。昔、SNEの先輩方が書いてらっしゃった、いろんなコレクションシリーズなんかにも憧れます。
―― 楽しみにしています。ありがとうございました!

 ふう、これですべてのインタビュー終了。みんな、新しい本へのチャレンジ、楽しそうだったなあ。
安田 こらこら、もう1冊あるやろ(天の声)。

 うひゃ〜、そうでした。
 かくいうわたし、――めぐみも、じつは鋭意執筆中なのです。その『ゴーストハンター13 ゲームノベル スペイン屋敷の恐怖(仮)』についても紹介しなくちゃですね。全体の監修はボス安田均が務めてくれているのですが、ここではわたし1人の自問自答インタビューとさせていただきます。


 『ゴーストハンター13』とは?
 SNEの歴史とともに歩んできたアクションホラーRPG、『ゴーストハンター』シリーズ。コンピュータゲームの『ラプラスの魔』に端を発し、その後も小説、TRPG3DOのゲームなどマルチメディアに楽しまれてきました。
 2002年に始まったTRPG第二版『ゴーストハンター02』の展開終了後は、しばしのお休みをいただいていましたが……来年は「2013」年? 13? この数字を聞いてピンとひらめいたSNEの面々。『ゴーストハンター』、再びの復活です!
 
柘植 といっても、つぎの『ゴーストハンター』はTPRGではありません。もちろんTPRGの展開も視野には入れていますが、まずはタイルゲームの発売を考えています。
―― タイルゲーム?
柘植 はい。多人数の協力ゲームです。プレイヤーはゴーストハンターの1人となって幽霊屋敷を探索します。1つ1つの部屋がタイルになっていて、それをめくるたび、恐怖の場面に遭遇したり、モンスターや罠に出会ったりします。そうやって屋敷の謎を解いていくんです。JGC2012の会場でもテストプレイをさせていただきましたが、整理券があっという間になくなる大人気でしたよ。
―― ホラーの探索ボードゲームといえば、丘の上の裏切りの館マンション・オブ・マッドネスなどがありますが……。
柘植 雰囲気は似ていますが、全然違うゲームに仕上がっています。やはりキモとなるのは、『ゴーストハンター』シリーズでおなじみの……
―― 恐怖判定ですね!
柘植 はい。プレイヤーは恐怖の場面に遭遇するたびカードを引き、どんどん狂気に近づいていきます。そして発狂した暁には……いろいろと面白いしかけがありますのでお楽しみに。退屈はさせませんよ(ニヤリ)。
―― 「恐怖判定」は、ゲームノベルでも再現されていますよね。
柘植 はい。「Role & Roll」95号で第1話を掲載させていただいたのですが、記者モーガンとその恋人アレックスが幽霊屋敷で遭遇する恐怖を、やはりトランプで再現しています。
―― 文庫版も、同じような感じ?
柘植 そうですね。続編2つを書き下ろしているのですが、各話趣向を変えて、また違った楽しみができるように工夫しています。と同時に、タイルゲームと共有の世界観をたっぷり味わっていただけるよう、全体で1つのお話としてよくできたものにしようと考えています。
―― 第1話はアメリカが舞台でしたが……。
柘植 第2話はヨーロッパに飛びます。第3話は……秘密(笑)。
―― ???
柘植 タイルゲームの世界観を伝える読み物として、また「ゴーストハンター」らしい狂気を味わえるゲームノベルとして、楽しんでいただけたらと思います。12月発売を目指して鋭意執筆中ですので、どうぞお待ちください!

 「NEO GAME BUNKO」のご紹介、いかがだったでしょうか。
 9月から12月にかけて怒涛のように発売される自慢の5冊です。
 ぜひともみなさまの応援をたまわり、もっともっと、新しい「ゲームと読み物の融合」を実現させていけたらと思っております。
 感想もお待ちしていますよ!


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