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ゲームマーケット2015大阪イベントレポート

 3月1日(日)
 1年ぶりのゲームマーケット大阪ということで、午前8時半、わたしは梅田から、地下鉄御堂筋線の電車に乗りこみました。座席はいっぱいですが、乗り換えの心斎橋までは3駅なので、はなから座るつもりはありません。
 学生らしきカップルが目にとまります。彼氏っぽい男の子は目を閉じて、隣の利発そうな女の子にもたれかかっています。その女の子とわたし、目が合いました。
 すると。
 突如として、その子が立ち上がりました。横で彼氏がガクッとなります。
 女の子は一言。
「どうぞ」
 え?
 はい?
 わたしいま、席を譲られましたか?
 そりゃおばさんですが、まだ40代ですよ? 髪にストレートパーマをあてたばかりで、河端ジュン一にお世辞とはいえ「若返りましたね」と言われたばかりですよ?
 そんなにわたし、座りたそうに見えましたか?
 しどろもどろに断ったものの、生まれて初めて席を譲られたショックで、頭のなかは真っ白でした……。

 そんな憂鬱な気分を晴らしてくれたのがゲームマーケット! 
ビバ、ゲーム!
 前置きが長くなりましたが、楽しかったゲームマーケット2015大阪のようすをレポートしたいと思います。しばらくのあいだお付き合いくださいませ。
執筆:柘植めぐみ


●会場は雨、しかし……
 じつはわたし、ゲームマーケット2012大阪のようすもレポートしています。しかしこの3年のあいだに、ずいぶんと変わったことがありました。
 まず1つ目。
会場の変更
 ゲームマーケット大阪は三度にわたり、天満橋のマーチャンダイズ・マートで行われてきました。しかし今回初めて、鶴見緑地にあるハナミズキホール(水の館ホール)で開催されました。ここは1990年に花博が行われた場所です。
 変更の理由は、増える参加者に対応するためとのこと。かつての場所では屋外に待機列が作れないとか。もちろん会場自体も広くなり、ボード/カードゲームの盛り上がりを感じさせます。……ちょっとだけ遠いけど。




 変わったこと2つ目。1つ目と重複しますが、
参加者が格段に増えていること。
 3年前は80ブース、1500人ほど(出展者含む)でした。それが今回、140ブース、最終的に3000人ほどの入場だったとか。わたしが到着した開場40分前には、すでに外は長蛇の列。あいにくの雨にもかかわらず、じつににぎやかでした。
 変わったこと3つ目。
SNEが「メーカー」として参加していること。
 3年前のゲームマーケット大阪では、SNEにはまだオリジナル商品がありませんでした。ブースで売るのは『マーメイドレイン』の英語版cosaic『キャット&チョコレート』シリーズ、中古ゲームなど。試遊卓のメインはSNEメンバーによるオリジナルゲームで、言わば「デモンストレーションの場」だったように思います。
 ですがいまや、SNEも立派な制作会社! ブースには商品が所狭しと並びます。




 会場内に入ると、SNEの若手たちがすでにブースの準備を整えてくれていました。こうやって見ると、じつに壮観! 新作、旧作、さまざまな作品が並びます。
 そのなかでも今回のイチオシは、なんといってもこの日先行販売

『ゲット・ラッキー』!

 そして試遊卓の目玉は、4月発売予定安田均の新作

『コクーン・ワールド ザ・ボードゲーム』!

 これら2作品についてはこのあと詳しく紹介しますが……その前に。
 あれれ? 肝心のボス、安田均の姿が見当たりませんよ?


●そのころ……
 『ゲット・ラッキー』の翻訳を手がけ、『コクーン・ワールド ザ・ボードゲーム』のデザインを一手に引き受けた安田均はいずこに?
 答えは
「フランス」です!
 もちろん、のんびりバカンスというわけではありません(あ、いや、少しは骨休めの意味もありますが……)。
 じつは毎年この時期、カンヌでは「国際ゲームフェスティバル」なるものが行われているのです。今年の開催は2月27日(金)〜3月1日(日)。なんとゲームマーケット大阪とまるかぶりしてしまったのでした。
 最後まで悩んでいた安田ですが、心を鬼にして、通訳であるこあらだまりを連れてフランスへと旅立ちました。国際ゲームフェスティバルは、入場者数15万人を超えるヨーロッパ最大規模のゲームイベントフランスゲーム大賞(As d’Or)が発表される場でもあり、一度参加したいとずっと思っていたのです。
 しかもただの参加ではなく、商談も行う予定。SNEは2015年初夏に、フランスのMatagot社
『オリジン』というボードゲームを出す予定。今後の日本語版のラインナップなども相談しなくてはいけません。
「あとは頼んだぞ!」「はい、任せてください!」
 とうわけでわれわれは、安田のぶんまでがんばる決意を固めていたのでした。
 そしてゲームマーケット当日の朝、フランスから写真とビデオレターが送られてきました。さっそく写真を大きく引き伸ばして貼り出し、ビデオレターをiPadで流します。
「うわあ、フランスにいらっしゃるなんてうらやましい」
「安田さん、楽しそう〜」
 道ゆく人たちから感嘆の声があがります。ボス、フランスのイベントの熱気はしっかり伝わりましたよ。
 でもでも。大阪だって負けてはいません!


  


●『ゲット・ラッキー』解禁!
 正式発売日を3月7日(土)に控え、SNEが贈る新作カードゲーム『ゲット・ラッキー』の先行販売が行われました!




 プレイヤーはラッキー博士の殺害を企む人物となり、凶器、動機、機会の3種類のカードで自分を強化していきます。そして頃合いを見計らって殺害にチャレンジ! しかしラッキー博士はその名のとおり「幸運の星」のもとに生まれついており、おいそれとは殺されてくれません。カードのやりくりと他プレイヤーとの駆け引きが面白い、短時間で遊べる名作カードゲームです!
 SNEのホームページなどで告知していたこともあり、朝早くから『ゲット・ラッキー』目当てでブースにいらしてくださるお客さまも。今回は内容物のコマに貼るとより楽しめる「ラッキーさんシール」を特別にご用意し、プレゼントさせていただきました。






 もちろん、「どんなゲームですか?」と質問されることが多いのも事実です。大丈夫、そのために試遊卓をご用意しました!
 試遊卓では『ゲット・ラッキー』がフル回転! 丸一日、休むことなくプレイを行いました。秋口ぎぐるはレクチャーを何度くり返したことか……さすがに疲れが見え始めたので、昼下がりには少しわたしが交代しましたが、その後も「体験したい!」というお客さまは後を絶たず……わたしも4回ほどレクチャーしました。驚いたのは、
若い女性のお客さまが多いこと! 一度など、プレイヤー全員女性というハーレムでプレイさせていただきました(大・満・足!)。
 ほぼ毎回、最大人数の6人ほどでプレイしたので、この日だけでラッキーさんを殺そうとした人は、のべ100人にのぼったのではないでしょうか。そして多くの人が、ブースに直行してゲームをお買い求めくださいました。ありがとうございました!




●カオスなレース、開幕!
 もう1つの試遊卓では、主に『コクーン・ワールド ザ・ボードゲーム』がプレイされました。
 こちらはSNEのオリジナル新作で、デザインは安田均! 苦労に苦労を重ね、ようやく最終的なデザインが決まり、こうしてお披露目することができました。
 できたてほやほやのボードを使用していただき(本当はもっとイラストが入るよ!)、レクチャーは小説『コクーン・ワールド』の執筆者である友野詳が主に務めました。プレイすること5回(いや、6回?)! そのたび、卓は爆笑の渦に包まれていました。




 どのようなゲームかといいますと……ひと言で表現するなら「混沌レースゲーム」でしょうか。手番にダイスを振ってコマを進め、「3マス戻る」「スタートへ進む」といったタイルを置いていく「すごろくを作るすごろく」のなのですが、とにかくままならない!
「なんじゃこりゃあ!」
「ダメだ、いくら行ってもスタートに戻される!」
「やった、一気に0点から10点!」
 歓声があがります。
 ある男性など、最終ラウンドに「ふふふ、もう勝ちは決まったな……」とほくそ笑んでいたものの、あんなことやこんなことが起こって逆転され、「や、やられた〜!」と頭を抱えたり。
 わたしも幾度となくプレイしておりますが、ほんと、「なにが起こるかわからない」ゲームに仕上がっております。
 パッケージイラストは弘司さん、コマやタイルは合鴨ひろゆきさんがデザインしてくださっています。とくに合鴨さんが描いてくださったカッコいい
「ダイスタワー」は必見ですよ(ダイスタワーはもちろん、別のゲームにも使えます!)!
 正式発売は
4月末ごろを予定しています。続報をお待ちください!


●幽霊屋敷にも挑んだよ!
 試遊卓ではもう1点、『ゴーストハンター13タイルゲーム』のプレイも行われました。レクチャーは若手の黒井龍が務め、基本セット第1シナリオにチャレンジしていただきました。
 みなさん初めてとあって手探りの幽霊屋敷探検でしたが、2回とも「ギリギリクリア」で大満足していただけた模様。
 このゲームの面白さを再認識させていただきました。これからも「ゴーストハンター13」シリーズをよろしくお願いします!



●SNEブースでは他にも……
 『ゲット・ラッキー』の他にも、昨年秋に発売したカードゲームの『ポイズン』や、2人用ゲームの『アサンテ』もたくさんお買い求めいただきました。水平思考謎解きゲーム『ブラックストーリーズ』に興味を示してくださる人も多く、しばしばブース前で「お試し問題」がくり広げられていましたね。
 じつはブースの横っちょに、こっそり2人用ゲームの『タルギ』の在庫を並べていたのですが……(不良品交換用などに大切に取っておいたものです)。開場30分で完売! いやはや、嬉しい限りです。



●会場のようすもチラリ……
 SNEブースのことばかり書いてきましたが、会場には他にも山ほどのブースが並んでいます。わたしたちのような企業ブースだけでなく、同人ゲームを扱う一般ブースもそれはもう、たくさん。
 わたしも暇を見つけて、会場内を数巡りしてきました。
 全体の感想としましては、とにかく人が多い! 会場は広くなったはずなのに、なぜか人とすれ違うのすら大変な一画があったり。目当ての作品に並ぶ列もあちこちで見られ、同人ゲームの人気の高さを感じました。
 そしてどの作品も、じつに見栄えがします。「ゲームを作る環境」が整いつつある、という声を聞きますが、本当だなあと痛感しました。さらに、確実に面白いゲームも増えているようで、若いデザイナーが育ちつつあるのを感じます。
 SNEで購入したゲームはこれから遊ばせていただき、いずれ『ボードゲーム・ストリート』で取り上げたいと思っております。うん、いまから楽しみ!
 以下、会場の写真をいくつかピックアップしておきますね。

アークライトゲームズでは、SNEでもイチオシの『ネットランナーLCG』や『ウィッチャーボードゲーム』をプレイ。

ゲームストアバネストでは、店長の中野さんが『グローブトロッター:世界を巡る旅行者』をお勧め中。

SNEの隣はDTPでお世話になっているタンサンファブリークさま。いつもありがとうございます!

中道裕大さんのコミック『放課後さいころ倶楽部』で紹介されてからずっと気になっていた「ごいた」をチェック。面白そう!


●最後に
 終日雨にたたられましたが、会場はずっと人であふれ返っておりました。とても寒く、屋内でもコートが手放せない一日でしたが、とても楽しく過ごせました。
 ゲームマーケットはこの後、以下のように開催が予定されています。

 ゲームマーケット2015春 5月5日(火・祝)
 ゲームマーケット2015秋 11月22日(日)

 気になる来年は……

 ゲームマーケット2016
神戸 2月21日(日)

 そう、来年は
神戸国際展示場(ポートアイランド)での開催です!
 神戸はSNEのお膝元! いまから楽しみでなりません。来年もまたお会いしましょう!



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