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TOP > ユーザーコンテンツ > 著者インタビュー > ボードゲーム・ストリート2014インタビュー パート1(2014年05月)
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ボードゲーム・ストリート2014インタビュー
パート1

 さあさあ今年もやってきました、
ボードゲーム・ストリート2014です!!
 昨2013年、国内外で発売された注目作をピックアップした本書。Role & Roll(刊:新紀元社・以下、R&R)」に掲載された「ボードゲーム・リプレイ」「ウニ頭にもできるもん!」などの記事に加え、「安田均のボードゲーム紹介2013」や日本のゲームを紹介する「アラカルト」など、多量の書きおろしを加えた、豪華な一冊。
 今回はメイン執筆者である安田均に思いのたけを語っていただきました!
 ご案内は、こあらだまりが務めさせていただきます!
「ボードゲーム・ストリート2014
(2014年6月6日発売)
著:安田均/グループSNE
表紙イラスト:平尾リョウ
新紀元社
2014年05月 発行
記事作成 こあらだまり

 
● 今年はどんな年?
―― では、「ボードゲーム・ストリート2014(以下、BGストリート2014)」のインタビューを始めます。よろしくお願いします!
安田 はい。よろしく。
―― 「BGストリート」もすっかり毎年恒例となりましたね。
安田 はい。2010年にボードゲーム・ジャンクションという、2000年から10年分のボードゲーム(正確には二十世紀の名作も含む)をまとめた本が出ました。それを、年鑑風に2011年2012年2013年と続けてきて、とうとう、今年で4冊目の本となりました。
―― これまでのボードゲームの変遷を見つめ続けて来たシリーズということですね!
安田 なぜ4冊も出たかというと、理由は簡単です。
―― はて?
安田 つまり、ボードゲームとカードゲームがどんどん広がってきているというのが背景にある。だから、書くことがいろいろある。今年もこんな新しいゲームが出てる、というので毎年楽しく書けています。
―― やっぱり今年、2013年~2014年のゲームにも新しい流れというのはあるんですか?
安田 ドイツゲーム一般としては、今年は高度で複雑なゲームが多かった。――僕はこの本を作る時に、難しいゲームを担当することが多いのだけれど、その中だと似たようなゲームが多くなってたんだよね。
―― なるほど。
安田 だけど、座談会をして、それぞれのコーナー著者の面白かったゲームを聞いたんだ。すると、どちらかというと、シンプルなゲームの方に今年は新しいもの、面白いものが多かったというのがわかりました。


● 難易度色々
―― 難しいゲーム、というと、ボードゲーム・ストリートは、難易度の数値で表していますね。
安田 そうですね。大体最初に30作品ぐらいを選んで紹介しているけれど、それを1~8に難易度分けをしています。

難易度については、以前「ボードゲーム・ストリート2011」のインタビューでも触れられているので、そちらも参考にしてください。

安田 しかし、なんで8段階にしたんだろうとふと思ったりします(笑)。
―― なんでとおっしゃいましても(笑)。
安田 普通こういうのは1~10段階ですよね。まあ、きっと、ドイツのボードゲームは易しいのが多いから一番難しいのでも8ぐらいにしておいたらいいんじゃないかと無意識に思ったんでしょう。アメリカやイギリスのゲームだと、難易度10以上のゲームもいっぱいあると思うけどね。
―― でも難易度が低いというから奥が浅いというのでもないんですよね。
安田 そうなんですよ。難易度1や2のゲームなのに、非常にわくわくしてみんなが面白がるゲームが多いんですよ。で、5~7になると、要素が増えてきてそのぶん、好みが分かれてくる。
―― 今年は難しいゲームも最初の方でずいぶん紹介されている印象ですね。「ルイス・クラーク探検隊」「洞窟農夫(カヴァーナ)」とか「ロビンソン・クルーソー:呪われた島」とか。

ルイス・クラーク探検隊(セドリック・シャブーシ/Ludonaute社)
 プレイヤーはアメリカ大陸を横断する探検隊の一員となり、ゴールを目指す。
 レースゲームとワーカープレイスメントとデッキ構築の要素がある。

洞窟農夫(ウヴェ・ローゼンベルク/Lookout Games社)
 「アグリコラ」の後継的作品
 洗練されたワーカープレイスメントゲーム。

ロビンソン・クルーソー:呪われた島(イグナツィ・トレウィチェク/POTAL GAMES社)
 協力型冒険ストーリーゲームとワーカープレイスメントを融合させた大作。

安田 今回の「BGストリート2014」は、最初の方に難易度5~7が詰まっていて、後ろに行くほど難易度1~3になっている感じですね。まあ、各人の担当がそうなっているせいかもしれないけど。難易度1~3は笠井さんの担当のゲームが多いので。
―― ああ。「ウニ頭にもできるもん!」でも取り上げられているゲームですね。
安田 それとリプレイでも比較的遊びやすいゲームが取り上げられている。最初だけ見て、難しそうだとビビらないようにしてください(笑)。
―― 何を選んでどう取り上げるかは悩ましいところですね。毎年ボードゲームは500個以上出ているわけですから。
安田 意味のあるものを取り上げようと思うと、すごく難しい。――実は「BGストリート」はカタログ的にただゲームを並べている本ではない。僕自身が20年間見続けてきて、面白くて、意味がある、斬新だ、そう思うものは全部この本に入れてあります


● 気になるドイツ年間ゲーム大賞
安田 そういう意味では選択に自信はあります。……ただ、自信があるといっても怖いんですよね。
―― 怖い?
安田 去年はドンピシャで当たったんで。
―― あー。ドイツ(年間)ゲーム大賞ですね。

ドイツ(年間)ゲーム大賞
 ドイツでも最も権威のあるゲーム賞。前年4月~その年の3月までの一年のベスト賞。
 毎年5月ごろにノミネート作品が発表され、6~7月に大賞が決定される。

―― そういえば、先日2014年の候補作が上がっていましたね。
安田 「BGストリート」はそうした賞や評価が出る何か月も前に取り上げる作品を選んでいるんですよ。そして、原稿が終了した直後に候補作が出て、本が出てしばらくして大賞が決まる。まるでこちらを試すような意地悪さ(笑)。
―― 時期的に「BGストリート」で取り上げている作品がノミネートされているか、大賞になるかが、すごく気になりますね。
安田 2013年は自分でもおかしいと思うぐらい当たっていたから、いつか外すだろうと思っていた。そしたら、今年はどうも上級(エキスパート)部門では外したらしい。
―― いやいや。500以上も出ているボードゲームから、ピンポイントで当てるというのがそもそも不可能に近いですから!
安田 ドイツ年間ボードゲーム大賞には、一般上級部門がありますが、僕はどちらかというと上級部門の方を注目しますね。なぜなら、新しい要素のあるゲームが候補になりやすいから。一般部門はわかりやすい面白さのあるゲームが選ばれやすい。
―― ふむふむ。
安田 ただ、今年の上級部門は高度なゲームがいっぱいありすぎて、ほとんど横並びでした。20個以上その類のゲームが当落線上に並ぶわけですよ。その中から、最終候補は「コンコルディア」「イスタンブール」「ロココの仕立て屋」の三作が候補になった。

コンコルディア(マック・ゲルツ/PD-Verlag社)
 ワーカープレイスメント、デック構築要素のある陣取りゲーム。
 得点獲得のパターンが複数あるため、幅広い戦略が可能となる。

イスタンブール(R・ドルン/Pegasus Spiele社)
 イスタンブールの市場を歩きながら助手を配置し、アクションを行う。
 どのルートで移動を行うかの計画性が大切。

ロココの仕立て屋(マティアス・クラマー、シュテファン・マルツ、ルイス・マルツ / Pegasus Spiele社)
 ワーカープレイスメント+デッキ構築型ゲーム。
 プレイヤーは仕立て屋となり、舞踏会用のドレスを作ることで名声を得る。

―― 「イスタンブール」は今年出てますし、この本で取り上げることができませんから、ふたつを当てるわけですね。
安田 そうしたものをワーカープレイスメントで選ぶとなると、「洞窟農夫」「ガラスの道」「航海術」「石炭王」「コンコルディア」「アメリゴ」「ニューアムステルダム」「ロココ」「マデイラ」「ブリュッセル1893」「ブレマーハーフェン」「お江戸(Yedo)」「ルイス・クラーク探検隊」「漂流者」「ロビンソン・クルーソー」「ロシア鉄道」「ユーフォリア」「ネイション」。名の通ったものだけでこれだけあるんで、さすがに最後は外した。本当に難しい。どれも同じようなレベルで、全部面白い!
―― よりどりみどりというすごい状況ですね(笑)。
安田 あと、不思議だったのがBGストリート2013で面白いと思って取り上げていた「ギルドマスター」が去年入っていなくて、そしたら今年、推薦リストに入っている。
―― 先取りしすぎましたか。

ギルドマスター(ホープ・ファン/AEG社)
 デッキ構築型ゲーム。
 コンボを中心としたカードハンドリングがメインとなる。

安田 いや。「ギルドマスター」を作っていたAEGアメリカの企業だったので、ドイツに流通するのが遅くなったというのが理由。
―― あッ。ドイツのボードゲーム大賞だからですね。
安田 今年の一般部門は、「コンセプト」「宝石の煌き」「キャメルアップ」だね。これは「コンセプト」を笠井さんがウニ頭で取り上げている。後のふたつは2014年発売だから、この本に取り上げるには発売時期が合わなかった。「R&R」ではさっそく取り上げたけど、「オリジン」はきっと来年候補だね。

コンセプト(G・ボージャ、A・リボレー / Repos Production社)
 ボード上の多数のアイコンに、コマを配置することでお題の内容を伝えるコミュニケーションゲーム。

宝石の煌めき(マーク・アンドレ / Space Cowboys社)
 豪商になって宝石を集めるセットコレクションゲーム。
 拡大生産がデック構築風で面白い。

キャメルアップ(S・ボーゲン / eggertspiele社)
 らくだレースゲーム。
 プレイヤーはらくだの順位を賭け得点を競う。

オリジン(アンドレア・マイニーニ / Matagot社)
 人類の起源が発展をテーマ。
 ボード上に配置する部族を表わすコマには高さと太さが各3段階あり、それをどう発展/移動させるかが勝負のカギを握る。

―― 他にも、この本で取り上げたものは推薦リストの作品には入っていたりしますね。
安田 上級部門では「ロシア鉄道」や「アメリゴ」、「ブラッドバウンド」などですね。あと、一般では「ラブレター」が最終候補に入らなかったのが残念ですね。他も「SOSタイタニック」など色々取り上げていますね。

ロシア鉄道(H・オーレイ、L・オーグラー/Z-MAN GAMES社)
 ロシアの鉄道敷設をテーマとした、ワーカープレイスメントゲーム。
 路線を伸ばすか、技術革新を行うかが悩ましい。

アメリゴ(S・フェルト/ QUEEN GAMES社)
 アメリゴ・ベスプッチの新大陸発見がテーマ。
 巨大なキューブタワーからランダムに資源が出るところが面白い。

ブラッドバウンド(K・クレンツァー/ Fantasy Flight Games社)
 正体隠匿型ゲーム。
 プレイヤーはふたつのヴァンパイアの氏族にわかれて争う。

ラブレター(カナイセイジ/AEG社)
 人から人へと手渡されるラブレターをテーマとしたカードゲーム。
 正体隠匿型の傑作。

SOSタイタニック(ブルーノ・カタラ、ルドヴィック・モーブラン/Ludonaute社)
 沈みゆくタイタニック号から乗客を脱出させる協力型トランプソリテアゲーム。

安田 しかし、今年は外したと思っていたけれど、今、話しているうちにドンピシャで当てられなかっただけで、大枠はつかんでいたというのに気付いた(笑)。
―― この先、来年の注目作となる作品もいっぱいありそうですね。
安田 あると思いますよ。例えば今回「CV」というゲームを紹介したのですが、これはポーランドのゲームなんですよ。ここGranna社の作品は、来年あたりドイツでも話題になっていくのではないかと考えています。

CV(フィリップ・ミウンスキー/Granna社)
 CVとは履歴書のこと。
 ダイスをロールした結果で、カードを獲得し、自分の人生を描いてゆくゲーム。

―― そういうお話を聞くと、ボードゲームっていうのは世界的な広がりを見せているものだって改めて実感しますね。


● もっとゲームを好きになるために!
安田 僕は「BGストリート」は、ボードゲームを好きになってもらうための本なんじゃないかなぁ、と思っています。
―― 好きになってもらう、と言いますと……?
安田 ゲームのシステムなど、構造的な部分を知って、楽しんでやろうと積極性を持つ人にとって、より意味のある本ではないかと。
―― もっと深く知るための本と。
安田 最初にも言ったけれど、カタログではなく、年鑑としての本ですね。この年にボードゲームの世界でどんな流れがあったのか、どんな新しい要素のゲームが出てきたか、通して見るとわかるように書いています。
―― なんと……。そういう資料性の部分もものすごく練られているとは。失礼ながら、カラーページもいっぱいで、リプレイあり紹介ありの楽しい本だな、ぐらいに思っていました。
安田 もちろん、これから始める人がここで取り上げられているゲームを次々遊んでいっても楽しい。ただ、これまでのボードゲームを遊んできている人に向けて書いている部分もあります。
―― なるほど。「BGジャンクション」から「BGストリート」の2011~2014で追っていった流れですね。
安田 全てがそうじゃないけど、ドイツのボードゲームなど広がった分野では、元々あったシステムに別の要素を付け加えて発展していくことも多いです。だから元になったシステムを知っているとすごく面白い。ただ、こちらだと最近急に広がってきたため、ドイツのゲームが30年以上ずっとやってきて広げたものを飛ばしてしまっている部分があると思います。
―― 30年以上の歴史……。あちらはもう文化として根付いていますからね。
安田 日本だと、そこにコンピューターゲームが入って、基になる部分はすっ飛ばしてきた。なので、そこにどうやって入って楽しんでもらおうかな、と考えながらこういう本を書いています。2015年には、この5年分をまとめた本を出せたりしたら、とってもよくわかるかな。
―― おお!?
安田 毎年同じだったらそろそろ飽きられるんじゃないかと思うからね。
―― なるほど。それは今後もとても楽しみですね!


 ボードゲームのこれまでとこれからを見つめ続けた「ボードゲーム・ストリート」。
 2014年も盛り沢山の内容となっております。
 
6月6日の発売開始をお見逃しなく!


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