■ ふたたびモンスタニアへ! ■ |
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まずは簡単に1巻のおさらいをはさみまして……。 |
『モンスタニア』とは?
カードゲームが大好きな小学5年生のスグル君は、ある日とつぜん、魔物が住む異世界へ召喚されちゃいます。
なんとそこは、直前まで親友と対戦していたカードゲーム『モンスタニア』の世界?!
スグル君は元の世界に戻るため、エルフ族のお姫さま・リンやベアフル族の戦士・パンダモといっしょに、盗まれた『禁だんの書』を取り戻す大冒険を繰り広げるのでした。 |
→1巻(2011年5月)の著者インタビューも読む |
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そんなこんなでさまざまな苦難を乗り越え『禁だんの書』を取り戻して、元の世界に戻ったのが、1巻のお話でした。さて、2巻では? |
河端 |
2巻は「音楽」と「夜」をテーマにしたシティ・アドベンチャーです。
1巻では、スグルはわけもわからないまま巻き込まれてモンスタニアに行ったんですけど、2巻では自発的にモンスタニアに関わることになります。 |
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と、いうと? |
河端 |
新刊案内にも書いてますけど、スグルが通う小学校で合唱コンクールがあって、練習をしているとクラスメートがどんどん病気になっていくんです。 |
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それは大変。 |
河端 |
そう、大変なんです。で、なんでかな? って思ってたらモンスタニアの世界の魔物がこっちの世界に来ていて、実は向こうで起こっている事件が原因らしい、ということが判明します。それでクラスメイトを助けるために……。 |
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再びモンスタニアに行くことになるんですね。 |
河端 |
はい。夜のアヤシイ感じの町で、アヤシイ感じの夜の象徴っぽい魔物がたくさん出てきます。 |
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ほうほう。2巻からサブタイトルがついてるんですが、これがその巻のテーマを表している感じなんでしょうか? 今回は「魔法いっぱいの夜」ですよね。ん? 「魔法」? |
河端 |
はい。それが2巻のもうひとつのテーマである「音楽」の部分です。
今回のラスボスは音楽が好きなんですけど、手下の魔物が使う魔法が“音楽魔法”という特殊な魔法で……。 |
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“音楽魔法”? |
河端 |
「音」そのものを目に見える「モノ」に変換して操る魔法です。敵の魔物たちがこの“音楽魔法”を使ってスグルの妨害をしてくるので、それを乗り越えてモンスタニアの事件を解決し、現実世界も元に戻して、無事合唱コンクールを迎えることができるのかどうか、というのが2巻のお話です。 |
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なるほど〜。ちなみに2巻を読んだ感じ、すごくハロウィンっぽいような、でも途中はちょっとクリスマスっぽいような? そんな雰囲気が漂ってるなぁ、と思って。例えるなら……『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』※な感じ? |
河端 |
はい、まさにそんな感じです。イラストをお願いする時にそういう希望を出しました。『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』をちょっと子供向けにして、でもあそこまで怖くない……
『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』−『アダムス・ファミリー』※っぽさ=『モンスタニア2』
みたいな感じでお願いしたので、それが伝われば嬉しいですね。 |
※『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』(原題:The Nightmare Before Christmas) ティム・バートン原案・原作のミュージカルアニメーション映画。
怖いことや人を驚かせることが大好きな『ハロウィン・タウン』の住人達がある日見つけたのは、陽気で明るい『クリスマス・タウン』。
マンネリなハロウィンに飽き飽きしていたナイトメアーのジャックは、その美しさに魅せられ自分達の力で『クリスマス』を作り出そうと計画を立てるのだけど、本当の『クリスマス』を知らないために事態はどんどんおかしな方向へ……。 |
※『アダムス・ファミリー』(原題:The Addams Family) チャールズ・アダムス原作。もとは雑誌「ザ・ニューヨーカー」掲載の一コマ漫画。
丘の上の洋館に住まうアダムス一家は、莫大な資産がある上流階級の家庭だけど、不幸や忌わしいもの、邪悪なものが大好きなお化け一家。
でも彼らに悪意や悪気があるわけではなく、単に暮らしや育ち方が先祖代々根本からずれているだけ。そんなアダムス一家と世間とのズレが繰り広げる爆笑ホラーコメディ。 |
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■ もっともっと好きになる瞬間 ■ |
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1巻もそうだったんですが、登場するキャラクターがみんなすごく個性豊かでおもしろいですよね。 |
河端 |
ありがとうございます。 |
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今回は××なゾンビとか、○○なマミーとか……。
そういうのってどこからどう出てくるんでしょう? 種族や能力から考えるのか、それとも名前から? |
河端 |
うーん……、今回はまず種族が先ですね。 |
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夜の雰囲気に合うような種族を、という感じ? |
河端 |
はい。今回は夜の町が舞台のお話なので、アンデッドとかデーモンといった暗くて夜っぽいイメージの種族をまず何パターンか出して。
次にもうひとつのテーマの「音楽」にあわせて、楽器や音楽用語などから名前をいくつか出して。
で、それを両方かけあわせて、種族とイメージがあう名前をあてはめた感じですね。 |
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なるほど〜。なんだか種族や名前を決めるのもちょっとパズルみたいですねぇ。
ちなみに、1巻でスグル君と一緒に大冒険をしたリンちゃんやパンダモ君は、2巻でも登場するのでしょうか? |
河端 |
はい、もちろん出てきます。今回は途中でばったり会って、お互いに「え、なんでいるの?」てなって、話してみたらたまたま3人の目的が一緒だったから、一緒に解決しようか! ってなります。 |
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この3人組は元気でノリが良くていいですよね〜。
あ、そうだ。1巻時のインタビューで、キャラクターのことを一番に読者に感じてもらえたらうれしい、というお話をされてたんですけど、河端さん自身は、お気に入りのキャラは誰ですか? |
河端 |
そうですね……、全員好きなんですけど、あいやーぼーるさんのイラストを見て予想外に好き度があがったのが、狼男のワオンです。 |
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2巻で重要な位置を占めるキャラクターですね。 |
河端 |
はい。表紙イラストの右上に描かれてる楽器ケース担いでるのがワオンです。1巻時で言えば本の妖精ニーナ的なキーキャラなんですけど、こいつがね……、やたらイラストが可愛くて。 |
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たしかに可愛いですね〜。 |
河端 |
原稿書いてる時は他のキャラと同列だったのに、ラフ画を見たら、あれ? なんかこいつ、可愛いな……、撫でたいな……、てなって。 |
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撫でたい(笑)?! |
河端 |
そう、撫でたいくらい可愛い(笑)。
1巻でもそうでしたけど2巻も、キャラがみんなあいやーさんのプロパワーのおかげですばらしい感じになってますので、イラストもぜひ楽しんでもらえたらと思います。 |
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++ あいやーぼーるさんのサイト ++
「狗の尾っぽ」
http://aiyah.seesaa.net/ |
■ デザイン一新、超豪華にパワーアップ! ■ |
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では、いよいよ今回のインタビューでいちばん大事な質問を!
この作品はパズル&クイズの入ったストーリーブック。当然、2巻にもありますよね? |
河端 |
あります。しかもね、今回はすごいですよ。本文をがんばったのはもちろんなんですけど、2巻はそれ以外の頑張りっぷりがすごいですね。 |
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新刊案内にも「超豪華にパワーアップ!」て書いてあったのですが、どこがどんな風にパワーアップしたんでしょう? |
河端 |
まず、パズルのデザインが一新されてます。
たとえば、1巻では巻末にまとめてあった答えを2巻では問題のすぐ後に持ってきたり。
答えを巻末にまとめると、まだ解いてない他のクイズの答えも見えてしまう、という問題があったので。 |
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答えを考えるドキドキワクワク感は大事ですものね。他には? |
河端 |
実はイラストレーターさんが増えました。 |
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え?! |
河端 |
『モンスタニア』は、普通の小説みたいなカットだけじゃなくて、パズル&クイズや巻末の種族紹介のおまけページまであってイラストが多いんですよね。
なので、あいやーさんの負担を減らしてより良い仕事をしてもらうために、パズル&クイズ部分を担当するイラストレーターさんが増えたんですよ。 |
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ああ、なるほど。 |
河端 |
キャラクターを使うようなパズル&クイズは、これまで通りあいやーさんに描いてもらうんですけど、それ以外のパズル&クイズは普段そういったことを専門に描いている方に担当していただく、という本気の布陣です。 |
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おお〜。 |
河端 |
それから、2巻は巻末のおまけページをたくさんいただけたので、各キャラクターからの、今回の冒険に関するコメントを載せました。
1巻ではカードゲームのリストっぽく種族やキャラの説明文とイラストを並べてたんですけど、今回は各カードの横にふきだしをつけてキャラのコメントを書き込んでいます。 |
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おおー! この手描き感がいいですね〜。 |
河端 |
このコメント部分は、自分が子供の頃に、本のおまけにどういうのがあったら嬉しいかなって考えて作りました。
1巻の時ももちろん本気でしたけど、2巻は限界を突破してがんばって、すごくいい本になっているので、ぜひ買ってください。 |
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読者のみなさま、書店で見かけたらぜひお手にとってみてくださいね!
さてさて、1巻時のインタビューでゲームブックがお好きだとおっしゃってた河端さん。 |
河端 |
はい。 |
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発売当初からSNEでも関心の高かったiPad。河端さんは11月のエッセイで取り上げていたし、同月にSNEHPの新記事で「I Gatta iPad!」(著者:笠井道子)というコラムなんかも始まりましたね。
このiPadを触ってみて、作品に影響を受けたようなことはありますか? |
河端 |
あー、えっとそれは順序が違ってて。
2巻の執筆のためにiPadで何か活かせないかなって探しにかかったことはあります。 |
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ほうほう。成果はどうでした? |
河端 |
アプリのデザインがすごく参考になりました。
携帯端末のアプリって、ものすごくインスタントにゲームをできるようになってるんですよね。通勤時間にやるとか85円でダウンロードして暇な時に少し遊んで、とか。 |
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そうですね。 |
河端 |
なので、デザインがすごいキャッチーでわかりやすいんです。どこをどう触れば動く、といった操作性の部分や、キャラクターものなんかもキャラをすごく記号的に設定していたりして。
『モンスタニア』は子供が遊ぶための本なので、頭で考えないとわからないものじゃなくて、直感的にわかるものにしたいな、と常に思っているので、そういう部分がすごく勉強になりました。 |
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なるほど〜。 |
河端 |
僕は子供が好きで、常に子供の味方でいたいなと思っていて……、でも子供からあまり好かれないんですけど。 |
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えっ(笑)、そうなの? |
河端 |
なんか付き合い方が難しくて(笑)。で、僕自身も良い意味でずっと子供でいたい、という思いがあって『モンスタニア』はそういう気持ちを込めて書いているので、子供に共感してもらえる作品になっているといいな、と思っています。 |