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株式会社グループSNEオフィシャルサイト

2017春SNEボードゲームインタビュー

 2017年も半分が終わろうとしている今日この頃、いかがお過ごしでしょうか? ボードゲーム大好きおじさん黒田尚吾です。今回、春に発売されたSNEボードゲーム新作5つの魅力や裏話をSNEのボス安田均にお聞きました。さらにさらに夏に向けての新作情報もお届けいたします!
2017年06月
記事作成:黒田尚吾


―― それではインタビューを始めていきたいと思います、よろしくお願いします。
安田 はーい、よろしく。
―― 今回は、2017年4月から5月にかけて出たグループSNEのボードゲーム特集+最新情報という事でお話をお聞きしたいと思います。
安田 だいたい冬の終わりから春のこの時期にかけて、ボードゲームを遊ぶのにはピッタリな時期ですよね。なぜなら日本にはゲームマーケット関西ゲームマーケット春がありますから非常に盛り上がるわけです。
―― 春になるとたくさんの新作ボードゲームがショップに並びますもんね。
安田 そうです。ですからグループSNEとしてもこの時期に力を入れて色々出していきたい……とは言うものの夏は夏でたくさん出すし、秋のエッセンシュピールがあれば盛り上がるし、冬も作品数が多いですから年中力入れてる事になるんですけど(笑)。ま、今回は春の総括という事で!
―― 今年のSNE春の新作ボードゲームは多種多彩なゲームが並びましたね。わいわい楽しめるゲームからコアなゲーマーがうなるゲームまで、幅広いジャンルをカバーしているという印象を受けます。
安田 グループSNEのゲームは当初ドイツの最新のボード/カードゲームの紹介と、ストーリータイプのボードゲーム、この2つの形ではじめたんです。そして近年、日本のボード・カードゲームの分野も色々なタイプのものが広がりました。
 我々SNEが公募コンテストを行ったら本当に色んな種類のものを送ってくださってそれを商品化させていただきました。皆さんにもさまざまなタイプの面白さを味わっていただきたいと思っております。


■ グリムリーパー

わんぱくゲームラボで紹介しています!
―― それでは発売された順に紹介していただきましょう。
安田 ではまず4月に出た『グリムリーパー』のことからお話ししましょう。実は私、このゲーム推してるんですよ。もちろん全部推しなんですけど、特にということで!
―― いきなり社長イチ推しですか! どういった点が魅力なんでしょう?
安田 ワーカープレイスメント(自分のコマを配置して独占効果を得るマスゲームシステム)形式のゲームって、ちょっと難しかったり要素が多かったりするゲームが多いでしょ。
―― いまパッと頭に浮かんだワーカープレイスメントで連想するゲームで言えば『アグリコラ』『村の人生』といったゲームが思い浮かびます、確かにぜんぶ重めのゲームですね。
安田 この『グリムリーパー』はワーカープレイスメントの入門と言いますか、このシステムがこんなに面白いものなんだと分かってもらうために、「難しそう……」と二の足を踏んでる人にとくに遊んでいただきたいです。システムがシンプルですごくとっつきやすいんですよ。
―― では、このゲームを出すことになった経緯をもう少し詳しく聞いても良いですか?
安田 『グリムリーパー』はもともと2009年に発売された『ラングフィンガー』というゲームがもとになっています。宝石を盗む泥棒となってどこに盗みに入ってどこで換金するかという内容だったんですが今回、当社で出すにあたってはクリスチャン・フィオーレクヌート・ハッペル両氏が非常に前向きに取り組んでくださったんです。おふたりとも「ぜひやりましょう」ということで新しい要素を盛り込んだバージョンで出すということになりました。
―― すごい! 作者本人が改良を加えようと話が進んだんですね。
安田 ワーカープレイスメントというのは行為をなすコマを置くのがメインのゲームなんですが、置くからには場所が必要でその場所が元のバージョンは5か所固定だったんです。この新しいバージョンではそのゲーム中に出てくる場所が10か所あって、なおかつ常に出る2つを除いて残り4つがランダムで変わります。毎ゲーム出てくる場所が違うのでパターンに合わせた戦略というのが楽しめると。なんせプレイ時間が20分から30分なんですよ。くやしいからもう一回となるのに良いプレイ時間なんです。
―― 私もプレイしてみましたがその20分が凄く濃厚なんですよね。
安田 そうなんですよ、逆転もあるし最後まで気が抜けない。ワーカープレイスメントが持つ悩ましさを凝縮してます。で、インタビュアーのあなたも『デモンワーカー』というゲームを作りましたよね?
―― はい、去年の暮れに出させていただきました!
安田 『デモンワーカー』もワーカープレイスメントとして非常によくできたゲームなんです。簡単さでいうと『グリムリーパー』の方が簡単で、『デモンワーカー』の方が少し動きが複雑です。複雑なのは拡大生産の要素が入っているからで段階を踏んでこの2つのゲームを遊んでほしいですね。、グリムリーパーは最善手を探すゲームデモンワーカーはそうしつつ様々な方向に踏み込むゲームとして。
―― 両方とも価格が2800円ですし、ぜひどちらもお手に取っていただきたいですね。
安田 同じシステムだけどさわり心地が違う、不思議なもんですね。クリスチャン・フィオーレさんとクヌート・ハッペルさんの作られるゲームが個人的には気になっているので、これからもぜひ色々遊びたいですね。


■ サクラダリセット カードゲーム

わんぱくゲームラボで紹介しています! / 河野裕のインタビュー記事も合わせてご覧ください!
―― 続いてはこちら『サクラダリセット カードゲーム』です。
安田 『サクラダリセット』はもともとSNEのメンバー河野裕原作の小説で現在は映画アニメ漫画とマルチメディア展開を広げている作品でして『サクラダリセット カードゲーム』は文字通りそれをカードゲーム化した作品です。
―― まさかのカードゲーム化で僕もびっくりしました。
安田 せっかく小説が映画、アニメになるならゲームにならないとおかしいじゃないかと(笑)。普通そういったゲームで映画のカードゲーム版は原作そのままをカードゲームにした分かりやすいゲームが多いんですが、小説はもちろん映画、アニメとキチッとしたものが出来てるんで、ゲームもしっかりとしたものを作らないと。それをカードゲームとして面白いものとして確立するためにどうしたらいいかと考えたんです。ここで登場するのが公募コンテストで入選した宮野華也くんです。
―― カードゲーム『ギャンブラー×ギャンブル!』のデザイナーですね。
安田 彼を起用したのには理由がありましてね。今はゲームデザインの方に力を入れてるんですけど、宮野くんはもともとライトノベル作家志望だったんです。ですからラノベとゲームデザインの2つの感覚を併せ持っていて適任だったんです。で、サクラダリセットのゲームデザインをお願いしたところ、「サクラダリセット大好きなんです! ぜひやらせてください」と言ってもらえました。
―― ゲームの内容としてはどういったものなんでしょう?
安田 小説は全7巻まであるんですが、映画は1巻頭からスタートじゃないんですよ。アニメもプロローグは1巻じゃない。だからカードゲームは1巻にフォーカスを当てたかったんです。1巻にはマクガフィンという石が出てくるんですが、それを見つけ出すゲームなんですよ。
 カードにはキャラクターが描かれていて、2巻3巻のキャラクターや、1巻のニャンコも出てきます(笑)。もちろん主人公浅井ケイと春埼美空の2人の記憶保持とリセットの能力をあわせもったカードもあります。宮野くんは原作をしっかりリスペクトしつつ、自分の持つゲーム感をしっかりと盛り込んだゲームに仕上げてくれたので、僕は非常に面白いゲームだと思います。
―― ゲームのルール自体は凄くシンプルで2枚のカードの中から1枚プレイするだけなんですよね。でも、奥が深い。
安田 日本の今のゲームの中で世界に羽ばたいたひとつに『ラブレター』というゲームがあります。海外でミニマリズムという評価を受けたゲームですよね。宮野くんもそれに近いものをやりたいということで、今回こういったシステムに落ち着きました。少ないカード枚数の中に様々な戦略や悩ましさがあるのがこのゲームの素晴らしい所です。さらにいうと、原作にある「リセット」や各キャラクターの特性をゲーム中でうまく表現しています。
―― システムと原作がしっかりリンクしているのが凄いですね。
安田 そうそう、宮野くん優等生すぎて(笑)。流石、SNE公募コンテストに入選されただけあって、こちらのオーダーを素晴らしい形で表現してくれました。センスの光るゲームをデザインしていただいたので、ぜひどちらのファンにも楽しんでいただきたいです。ネタバレになっちゃうって方もいらっしゃるかもしれませんが、気になる方は先に原作の方読んでみてください(笑)。
―― ゲームの方は価格が1800円とお手頃価格ですね。
安田 そうなんですよ、手に取りやすい価格にさせていただきました。パッケージも椎名優先生に素晴らしいイラストを描いていただいてます。この前スペインに行きまして、Gen-Xというゲーム会社の社長カーバラル氏に会ったんですが、彼は日本のコミックスが大好きでサクラダリセットを知ってらしたんです。で、実際『サクラダ リセットカードゲーム』を遊んでもらったら凄く好評でしたよ。お世辞じゃなく世界で通用する、世界に羽ばたいてほしい作品ですね。


■ スパゲッティ

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―― 続きまして『スパゲティ』でございます。
安田 今までのSNEにないタイプのゲームですよね。アクションゲームなんですが小器用な事は求められません。日本のゲームでイメージするなら積んだ将棋の駒を崩さずに取っていくゲーム「将棋崩し」のような面白さをもっています。で、今作はスパゲッティでそれをやっちゃおうという。食べるのではなくスパゲティを抜いていこうというね。何といっても見た目が素晴らしい。皿に盛られたスパゲッティが美味しそうというか……美味しくなさそうというか(笑)。
―― 美味しそうではないですけど、一目見て遊びたいってなりましたね。
安田 スパゲティにはいろんな種類があってトマトホウレン草イカ墨なんかもあります。色の違いだけではなく、それぞれ長さが異なります。スパゲティがお皿に盛ってあってミートボールがさらにその上に乗っていて、これがゲームというから驚きですよね。
 初めてこのゲームを目にしたのが去年のエッセンシュピールなんですが、このゲームを作ってる会社がポーランドのGRANNA社というところです。グループSNEでは『CV』という人生の履歴書を作るゲームや『シヴライゼーション』という文明を発展させるとてもよくできたバッティングゲームを出させていただきました。そこの第3弾のゲームがこのスパゲティなんです。
―― 去年のエッセンでは大々的にGRANNAのブースで取り上げてましたよね。
安田 GRANNAのスタッフの人たちがコック帽をかぶって巨大版スパゲティを試遊してて、「何だこれはー!」と思ったんです。ゲームの見た目もキャッチーですし、遊びたいという好奇心がわいてきます。
―― エッセン会場では箱絵のとおり子供たちも飛びついて遊んでいましたね。
安田 実際我々が今年のゲームマーケット春で試遊した時もファミリーやカップルといった層からゲーマーの方まで幅広く遊んでいただけたようです。決して大人だけが有利、子供だけが有利というゲームではないのがいいですよね。ポイントはミートボール。スパゲティを引き抜くときにミートボールが良いアクセントになっているんです。強引に引っ張るとすぐに転がって机を汚してしまいますからね、そうなると次の人に手番がわたってしまう。これがいい抑えになっているんですよ。
―― テーブルを汚すとダメという考え方も独特で好きです。
安田 食事のマナーとゲームとしてのルールがマッチしていますよね。テーブルを汚すという行為がスッと頭の中に入ってきて、インストも凄く楽です。イメージ作りが素晴らしいですよね。
―― スパゲティがテーブルについたりミートボールが転がってゆくと実際、ああああ!って叫んじゃいました(笑)。
安田 見た目に楽しい、みんなでワイワイ遊べるゲームというのはこれからも人気があるだろうなと思います。ご家族で遊んだり、ボードゲームカフェなどで遊んでいただきたいですよね。軽くてパッと場が盛り上がってゲーム空間を醸し出せるゲームなので、その日イチ番に遊んで場を盛り上げたり、ゲームとゲームの息抜きに遊んだりと色々重宝するゲームだと思います。一家に1個ぜひ(笑)。スプーンとフォークを使って遊んでも楽しいので挑戦してみてください!

■ ドワスレ

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―― どんどんいきますよ、続いては『ドワスレ』です。
安田 出ましたよ、ドワスレとはなんだ? ど忘れのダジャレ!? それもありますが正しくは「ドワーフスレイヤー」です。「ドラゴンスレイヤー」や「ゴブリンスレイヤー」というものも存在しますがドワーフスレイヤーはお酒の名前。日本にあるお酒で「鬼殺し」といった名前のお酒ありますよね? あれはいわば「オーガスレイヤー」なわけですよ。オーガでもぶっ倒れるぐらいの強烈な酒。で、あのお酒が大好きなドワーフでさえひっくりかえってしまうぐらいの銘酒。それがドワーフスレイヤー、略して「ドワスレ」となるわけです(笑)。設定から入ってるところもありますが。
―― 聞くだけでわくわくする設定ですが、どういったゲームなんでしょうか?
安田 ダイスゲームです。ダイスを振ってどれだけ酒を飲めるか、飲んだうえで酔いつぶれずにいられるか、というゲームです。もし酔いつぶれてしまうと、掛け金と酒代を持っていかれてしまいます!
―― 中を見てみると特殊な出目のダイスがいっぱい入ってますね。
安田 豪華でしょ? 赤青黄3色の特殊ダイスがとにかくいっぱい入ってる。赤いダイスにはお酒のマークが多くて青いダイスには睡眠のマークが多いというふうにダイスには出目に特徴があるんです。それらのダイスを振ってゆくんですけど、その出目をカードを使って変えたり振り足したりして操作していくわけです。出すカードは裏向きで出して、他のプレイヤーとかぶったら効果は発揮できないという悩ましさもあります。様々な効果がある8種類のカードをどう出していくかがポイントですね。
 サイコロの酒のマークが最も多いプレイヤーはそのゲームの勝者。ただし気合のマークより睡眠のマークが多いと酔いつぶれてしまいます。
―― 僕も遊んでみましたが、ゲームの後半になればなるほど盛り上がるんですよね。
安田 最初サイコロの数は3つから始まるんですけどラウンドが進むにつれて振れるサイコロの数が増えていくんです。サイコロが多くなると飲むお酒も動くし、金額も多くなっていくからね。酒飲みでどっちが金払うの? という賭けのパブゲーム、ドリンキングゲームがあります。お酒を飲みながら、酔っていても楽しめる。このゲームはそれの一種なんです。珍しいでしょ?
―― そうですね、日本ではあまり見かけないかもしれません。
安田 ワハハと言いながらサイコロをひっくり返したり、他人のサイコロを奪ったり、ダイナミックにゲームは進行します。様々なルールが入っていて、ガチ勝負をしたいのであれば初期手札を揃えるルールもありますのでカウンティングしながら遊ぶといった楽しみ方もできるわけです。
―― 様々なルールということは他にもオプションルールが入っているんですか?
安田 はい。他にも1人用や2人用ルールも入っています。とくに1人用は、1人寂しくお酒を飲むという内容でして、1人用専用の酒場のマスターのカードがあって、ささやいてくれるんですよ。ですから1人で手酌しながらこのゲームを遊んでいただく事もできるわけです(笑)。
―― パッケージやアートワークも素晴らしいですね。
安田 ここまできたらそれぞれ8枚のカードをイラストの名手に描いてもらおうということで、表紙の田口さんを含めて9人の方に描いていただきました。贅沢! 第二回公募コンテスト入選作ですから、力入れて作らせていただきました。異色作ではありますが凄く遊びやすいです。そのうち5人~6人用の追加ルールも何らかの形で公開したいと思っております。
―― おお、5人~6人用ルールですか! 気になります。
安田 せっかく楽しいゲームなんだから、みんなで楽しみたいという事で作者のかつさんが考案してくれました。『ドワスレ』2つ買っていただいたら8人まで遊べるんですけどね(笑)。5~6人用ルールについての詳細は、またお知らせいたしますので期待しておいてください!


■ ファラオの恩恵

紹介動画 / わんぱくゲームラボで紹介しています!
―― さぁ、お待ちかね『ファラオの恩恵』でございます!
安田 やっと出た! 大人気トム・レーマン『王への請願』というダイスゲームがあるんですが、トム・レーマンにエッセンで一昨年前会った時に「あれの正統的な続編……というより拡大版。本格的なのをやるよ、だから期待してくれ」と言われたんです。そこから連絡を取り合って、ついに日の目を見る事となりました。
―― どういったゲームなんでしょうか?
安田 エジプトが舞台でたくさんのタイルが入っていて、ゲームの基本は『王への請願』です。毎手番サイコロを振って役を作り、様々な特殊能力を持つタイルを取っていくわけです。最終的に一番多くのゾロ目を出したプレイヤーの勝ち。『王への請願』と違う点は特殊能力を持つタイルのバリエーションで、可変式となっているので、毎回違った構成で遊ぶことができます。タイルが多いからと言って難しい事は無くて、すべてアイコン化されていて分かりやすいですよ。
―― 手番の回り方も整備されていましたね。
安田 そういった細かい点もシンプルにスッキリ改良されていますよ。従来の『王への請願』ファンの方から『王への請願』を遊んだこと無い方まで買っていただいているようで、現在の売れ筋商品です、ありがたいです。
―― ゲーマー的に嬉しいのは何といっても特殊タイルの多さですね。
安田 分かります。『王への請願』はパターン化したカードの中からどう動くかという妙があったんですが『ファラオの恩恵』はその場に応じて対応しなければいけません。ほかにもスカラベトークンなどの新要素も盛りだくさんです。ダイスは前回普通の6面体だけだったんですが、今回はカラフルな色んな効果を持つものが増えました。特殊なアイコンがついていたり出目に偏りがあったり。「俺は特殊なサイコロを集めるんだ!」といった戦略、楽しみ方もできます。タイルの組み合わせで『王への請願』をそのまま遊べるようにもなっていますので色々試した後、原点回帰するのもいいですね。
―― かゆいところに手が届く本当に良い進化だと思います。
安田 価格はそれなりで6000円となっています。ただ、金額に合った内容物ですので納得していただけるかと思います。ほんとうにたくさんの特殊能力タイルやそのピラミッド置き場! このピラミッドがあれば今いくつゾロ目を出しているのかどんな出目が出ているのか管理しやすくなっていますし何より雰囲気が良いです(笑)。非常に多くの要素を追加しているのですがルールの見通しは凄く良いので『王への請願』ファンの方もまだ遊ばれてない方もぜひ手にとって遊んでみてください。損はさせませんよ!


■ トンネルズ&トロールズ完全版 アドベンチャー・シリーズ2
  死の女神の口づけ&バッファロー・キャッスル
―― さて、今までのインタビューは現在発売されている商品のお話だったんですが、少し未来の事も聞いていいですか?
安田 未来……これからもいっぱい出るんです。大変だよ、作るの! もっと遊びたいよ!(笑)。でも、ありがたい話でこれから先も色々発売を予定してます。一番直近にでるのがこちらです。じゃーん!
―― おお! 『トンネルズ&トロールズ完全版 アドベンチャー・シリーズ2 死の女神レロトラーの口づけ/バッファロー・キャッスル』ですね。
安田 ボード・カードゲームではないんですが番外編という事で。こちら6月末発売予定です。T&Tのシナリオ集といいますか、1人で遊べるソロアドベンチャーを2つにまとめた表題作「死の女神レロトラーの口づけ」それから「バッファロー・キャッスル」。これがカップリングになっているT&Tアドベンチャー・シリーズの第2弾、これが出ますので、ぜひ楽しんでほしいと思います。
―― 第1弾の『アドベンチャー・コンペンディウム』もご好評いただいておりまして、このアドベンチャーシリーズ第2弾も期待してる方も多いと思います。
安田 『トンネルズ&トロールズ完全版』は凄くいいゲームセットなんですけど大版じゃないですか。それを簡単に遊べるようにという事で、アドベンチャーシリーズをやったんです。『アドベンチャー・コンペンディウム』は短いソロシナリオがたくさん入っているんですが、今度はでっかいソロアドベンチャーが2つ入って、しっかりたっぷり遊べるようになっています。1つはゲームブックのはしりといいますか第1作である「バッファロー・キャッスル」。2番目の「死の女神の口づけ」はこのシリーズ最大の350パラグラフもあるソロアドベンチャーです。これをやったらスーパーマンになれるというね。この特徴のある2つとミニシナリオ3つ簡易ルールも入っています。
―― ボリュームが凄い、いたれりつくせりですね!
安田 こちらの書籍は1800円となっております。ただ読むだけでも十分楽しめると思います。


■ ブラックストーリーズ ファニー・ファニー・ファニーデス:本当にあったとっぴで滑稽な50の新たな“黒い”物語
―― 続いてはボードゲームの紹介よろしいでしょうか?
安田 はい、順番に行くと7月に2点出ます。まずは毎年2点づつ出させていただいておりますおなじみ「ブラックストーリーズシリーズ」です。今回ご紹介するのはその最新版『ブラックストーリーズ ファニー・ファニー・ファニーデス』
―― すごいタイトルですね(笑)。
安田 『ブラックストーリーズ ファニーデス』『ブラックストーリーズ シットハプンズ』ってありましたよね? 実話をもとにしたブラックストーリーズシリーズということで非常に好評です。で、3作目となる今作は3倍面白いということで、ファニー・ファニー・ファニーデスと名付けました! 「コレ本当にあったの? 実話?」っていう非常にばかげた話がいーーっぱい入っていますんで、きっとビックリしますよ!
―― まだ僕も遊んでいないので楽しみです。
安田 グループSNEの動画コンテンツ「わんぱくゲームラボ」で取り上げてくれるんだよねこれ。ハカセと助手がどう紹介するのか期待しています。
―― そうですね、7月の発売前にはUP出来ればと考えておりますのでぜひお楽しみにという事で(笑)。


■ マネー
 
安田 続きましてはライナー・クニツィア『マネー』です。今回のドイツゲーム大賞の候補に『エルドラド』が挙がりましたが、どれだけ賞を取れば気が済むんでしょう(笑)。そんな彼のカードゲームで有名な作品『マネー』ですが、これもドイツゲーム大賞の候補作になりました。1999年『ラー』『ロストシティ』『サムライ』という今でも遊ばれている名作クニツィアタイトルが1年の内に出たんです。ところが全部候補に残らなかったのでおかしいなと思っていたら、この『マネー』がドイツゲーム大賞の候補に挙がったんですね。遊んでみたらやっぱりスゲー!
―― 今ではなかなか手に入らないゲームになっていますね。どんなゲームなんでしょう。
安田 お金のエクスチェンジです。為替ってありますよね、でも為替を実際やるのではなくてそれはフレーバー。システムはセットコレクションなんです。不思議なゲームですよ。
―― カードデザインが素晴らしいですね、凄く凝っているといいますか。
安田 今作はデザインをタンサンファブリークさんにお願いしたらものすごい頑張ってくださって(笑)。ゲーム内にはドル、日本円、ユーロなどをもとにした架空の通貨が7種類があります。面白いのがポンド紙幣にデザイナーのクニツィアさんの顔が。日本の円にはアレンジした僕の顔がデザインされているんです。すいません! こんなもん見たくないわと思ったらマジックで顔にペケ印つけておいてください(笑)。
―― これぜひ見てほしいポイントですね。
安田 こちら発売が7月末を予定しておりますのでよろしくお願いします。


■ 脱出:ザ・ゲーム
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―― そして最後になります、こちら『脱出:ザ・ゲーム』
安田 こちら8月中旬発売予定となっております。今年のコミケにSNEが初出展するのですがその時に先行販売する予定です。今話題になっています脱出ボードゲームのシリーズでして、この『EXIT』(原題)が今年のドイツ年間ゲーム大賞の候補に挙がりましたね。
―― 現段階では結果がまだなので緊張しますね。
安田 もう、ドキドキですよ。世界でも評価が高くて、日本でもテストしてもらったみなさんにもこれは良いゲームなんじゃないかと好評いただいてます。ドイツでは続編4,5,6が発売されました。そして我々SNEは『EXIT』1,2,3を8月、9月、10月と連続で出していきたいと思っています!
―― 毎月発売されるんですね! 楽しみです。
安田 1つやれば次というふうに順番に遊んでいただけると嬉しいです。すぐやりたいという方もおられると思いますが、その辺はご勘弁を。そのかわり毎月最高の謎を皆さんにお届けできたらと思います、絶対面白いですよ! ネタバレになっちゃうのでどうなのかは言えないのがつらい所です。ただKOSMOS社さんがプロモーションビデオを作っていまして、こちらも近々アップしますので雰囲気をぜひ楽しんでみてください。


■ 最後に
―― では最後に一言お願いします。
安田 今年の春から夏にかけてのボード/カードゲームのラインナップいかがだったでしょうか。皆さん楽しいゲームを色んなところで遊んでいただけたらと思います。
 最近では学校にもそういったクラブができたりとか、ゲームカフェやプレイスペースなど遊べる場所がどんどん増えてきています。ゲームというのは非常に意味があって楽しいものだしコミュニュケーションのツールとしても最高のものだと思います。今後もグループSNEのボード/カードゲームをよろしくお願いいたします。
―― ありがとうございました!
安田 さぁ、インタビューも終わった事だし遊ぼか! このゲームなんだけど……。
―― えええええええ!? でも、まぁいっか!


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