北沢: |
ザルツはルールブック立ち上げの時から中心地方として設定していた場所で、ルールブックI、IIでも詳しく紹介されているホームタウン的なイメージの地方です。 |
田中: |
ザルツを端的に言うと、SW2.0はじまりの地。 |
清松: |
なんというか、1stの時のオランを思い出すよね。 |
++ "賢者と冒険者の国"オラン ++
ソード・ワールドRPG/1stの舞台アレクラスト大陸東部にある大国。
古い歴史と先進的な発想ができる柔軟さを持ち合わせ、国を富ませるための実用的な技術の開発・研究が熱心に行われています。
近郊には古代王国期の広大な遺跡群があり、富と名声を求めて多くの冒険者が集う国で、根強い人気を博するリプレイシリーズ『バブリーズ編』(著=清松みゆき/グループSNE、富士見ドラゴンブック)他さまざまな関連作品の舞台になっています。 |
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――: |
おお、たしかに雰囲気が似てますね〜。 |
北沢: |
ここから冒険を始めてね、という気持ちで設定した地方なのでSNEのリプレイや小説も初期作品はザルツがスタート地点になっているものが多いです。まあ、あくまでスタート地点なのでそこから飛び出していっちゃうケースもあるんだけど。 |
清松: |
例えば『たのだん』がオラン……、じゃないや。 |
一同: |
?! |
――: |
い、今すごいするっと「オラン」って! |
清松: |
わーっ、ごめんなさーいっ! |
一同: |
(笑)。 |
――: |
えー、そんなザルツが舞台になっているのがこちら。ほとんどが初期の作品ですね。 |
++ ザルツから始まる冒険の数々 ++
・小説
剣をつぐもの(著=北沢慶、全4巻)
・リプレイ
たのだん(著=藤澤さなえ/グループSNE、全3巻)
拳と魔封の物語(監修=北沢慶、著=諸星崇/グループSNE、全3巻)
・シナリオ集
(1)挑戦!魔剣が呼ぶ迷宮(著=北沢慶/グループSNE)
(2)風雲!歌声が響く都市(著=北沢慶/グループSNE)
・サプリメント
ミストキャッスル−蛮都からの生還−(著=川人忠明、田中公侍/グループSNE) |
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北沢: |
『ミストキャッスル(以下、MC)』は厳密にはちょっと違うけど、『ザルツ博物誌』で紹介される範囲に入ってるのでおおまかにザルツに分類してもいいかな。
ザルツは陸路で他大陸に渡ることができる唯一の地方、というのも大きな特徴のひとつなんだけど、『MC』があるのは北隣のレーゼルドーン大陸最南端にあるエイギア地方で、通称"霧の街"と呼ばれている場所です。 |
++ レーゼルドーン大陸最南端、エイギア地方 ++
<大破局>前、ダーレスブルグ王国(現在は公国)が建造したグリュック大橋によってテラスティア大陸と陸路での交通が可能になり開拓が進められていた地方ですが、<大破局>による地殻変動と蛮族大侵攻で混乱を極め蛮族に奪われてしまいました。
近年、ルキスラ帝国を中心とした対蛮族同盟軍によって、かつての港湾都市ブルームを奪還、蛮族領に対する新たな橋頭堡としてブルームを中心にエイギア南部地方の開拓が再開されています。
ちなみにレーゼルドーン大陸は『T 改』と『CG』で追加された新種族シャドウの故郷だといわれています。 |
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田中: |
エイギアは<大破局>の後、長いこと蛮族に支配されていた土地で、蛮族との攻防を繰り返しつつ開拓を進めてるんだけど、まだ倒しきれてない魔物がたくさんいます。 |
清松: |
それが、『ザルツ博物誌』の目玉のひとつ「エイギア18の名のある魔物」(P103〜 第三部 エイギアに待ち受けるもの)。
『博物誌』はただのデータ集としてだけでなく、これ自体でも遊んでもらえるようにシナリオ要素の濃いデータを掲載しています。前回はアイヤールのトラップ領で、今回はこれ。 |
++ 名のある魔物 ++
ベースになる魔物にオリジナル能力を付加したりの強化を施した、種族名とは別に個の名前を持っているちょっと強い魔物のこと。<剣のかけら>も入っているので、ボスキャラに最適ですよ。 |
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田中: |
各魔物の出現地域や目的など、1体につき1〜2ページで紹介されています。エイギアの地形の紹介も兼ねたボス付シナリオソースみたいな感じですね。 |
清松: |
人族の進出を阻む危険がたくさんありますよ、ということでそれを順繰り攻略していくキャンペーンができるようになっているので、ぜひ挑戦してください。 |
ベーテ: |
たまにすごいのがいますよ。 |
――: |
ほう、たとえば? |
田中: |
そうですね……、ダンジョンのすべてが見えてるヤツとか。 |
ベーテ: |
蛮族60人運べる列車とか。あとは、今までボス敵として出てくることが少なかった種族なんかもいたりします。 |
田中: |
バリエーションはけっこう豊富に取り揃えました。
それと、エイギア地方と言って思い浮かぶあんなトコやこんなトコに絡んだヤツらも出てくるので、関連書籍を読んで下さってる方にはニヤリとしてもらえるかもしれないですね。 |
北沢: |
知らなくてももちろん問題はありませんし、戦いごたえのあるヤツばかりなので、ぜひ戦ってみてください。
そして、最後にはエイギア最大の難所である"霧の街"、そこに聳えるミストキャッスルを攻略してエイギアを人族の手に取り戻してください。 |
――: |
新しい流派もたくさん増えましたね。 |
北沢: |
新流派はエイギアとならんで、ザルツのもうひとつの目玉です。みんなでアイデアを出して、その中から厳選した12種類が掲載されました。 |
田中: |
それに伴って、今回流派のルールを拡張しました。 |
清松: |
『フェイダン博物誌』の時は、戦闘特技に対応してそれを少し変化させるという形だったんですが、今回は対応する戦闘特技なしで使える秘伝もいくつか追加されています。
補足を兼ねたQ&AをHPに掲載しているので、流派の導入をご検討の際はそちらもご確認ください。 |
田中: |
ゲームバランス的には飛躍的に強くなったという感じじゃないけど、選択肢が増えて使い勝手は良くなったと思います。 |
ベーテ: |
今まであまりピックアップされなかったバード技能を補充する流派なんかもありますよ。 |
――: |
バード技能の流派……、どんな感じなんでしょうか? |
北沢: |
楽器振り回して暴れるハードなパンクロックみたいな感じです。 |
――: |
え?! |
北沢: |
初期のアイデアは僕が出したんだけど、流麗な吟遊詩人をイメージした優雅な流派として設定したはずなのに、出来上がったデータを見たらジミヘンになってた、という。 |
++ ジミヘン ++ ジェームズ・マーシャル・ヘンドリックスさんというアメリカの天才ギタリストの略称。
右利き用のギターを逆さまにして左利きの構えで演奏するスタイルと、ギターを歯や背中で弾いたり、火を放ったり破壊したり……、というちょっと過激なパフォーマンスが有名です。 |
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清松: |
流派の取りまとめは僕の担当だったんだけど、初期アイデアがかなりおとなしい感じだったので、加工する時にヒャッハー言いながら改良したらこうなりました。 |
田中: |
地味がジミヘンに変わった。 |
北沢: |
そう、ジミだけは繋がっていた。
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清松: |
そしたらベーテが「これだ!」とノリノリで秘伝名をあげてきて。 |
ベーテ: |
せっかくジミ・ヘンドリックスなので、歌いながら殴る秘伝は彼の曲のタイトルを日本語にしたものを。他の秘伝名も同じように欧米のロックのタイトルからとってきて日本語にあてはめています。 |
――: |
欧米のロックに詳しい方なら知ってるタイトルがあるかもしれないですね。 |
清松: |
他にも秘伝の名前にはお遊びが入っていたりするので、ネタがわかった人はニヤリとしてください。 |
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++ こぼれた話 例えばこんな秘伝名 ++ |
北沢: |
実は今回、地味にゲーム内の歴史が動いています。 |
清松: |
ルールブック設定の308年から既存作品の進行に合わせて2年経過しているので、NPCの年齢がみんな2歳ずつ上がり……。 |
田中: |
なんと28歳だったルキスラ帝国皇帝さまが三十路に! |
北沢: |
ちなみに表紙のイケメンが皇帝さまです。 |
清松: |
三十路の男が表紙ですよ。 |
田中: |
ダーレスブルグの姫将軍も19歳から21歳になりました。
たしかルールブック製作時のはじめの案では25〜6歳くらいにしてて。でも気が付いたら女性NPCの最低年齢が25歳になってて、さすがにそれはあかんやろって19歳に下げたんですよ。 |
清松: |
大台乗せたらヒロインっぽくないから10代にしとこうや、って。それが今や……。 |
田中: |
2年経って20歳を超えてしまった。
改めて見直すと、ルールブックの時にブレイクポイントにいたキャラが軒並みボーダーをこえてるんですよね。そんな細かいところも、さりげなく注目ポイントです(笑)。 |
――: |
なるほど(笑)。
えーと、今回は作業分担などはどんな感じだったんですか? あと制作中、何かおもしろかったお話などあればぜひ。 |
清松: |
うーん……、デザイナーズノートにも書いたんだけど、今回は前回ほど明確に誰がどこを、とは区切れないくらいみんなで作業をした感じです。そのおかげで、とても統一感のある作品に仕上がっていると思います。 |
――: |
あら、いつもだいたいこのあたりで苦労話とか出ますけど、今回はなしですか? |
SW2.0班一同: |
……(顔を見合わせて)。 |
北沢: |
苦労がまったくなかったとは言わないんだけど、制作そのものは今回はわりとスムーズだったかな。各自何をやればいいのかはだいたいわかっていたし。 |
田中: |
ザルツは元になる資料が多くて全員が同じものを把握していたので、みんなで楽しく作業した印象がありますね。 |
清松: |
『たのだんキネティック』の初回おまけブックレットの内容というマニアックな情報なんかも拾ってきたりしているよ。 |
田中: |
NPCもリプレイやシナリオ、小説のキャラがたくさん登場しています。既読の方はニヤニヤしながら読んでいただいて、未読の方にはここから興味をもって各作品に目を向けていただけたら嬉しいですね。 |
――: |
あ、ところで、ザルツにはニンジャはいないんですか? |
北沢: |
あれはフェイダンの特産品なので、ザルツにはいません。 |
――: |
特産品扱い?! |
北沢: |
そう、特産品(笑)。残念ながらニンジャはいませんが、ザルツ特有のアイテムや魔物がさまざま用意されていますし、いろいろと見所の多い作品なのでぜひお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。 |