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株式会社グループSNEオフィシャルサイト

ソードワールド2.0 2015年冬の大特集

◆『ソードワールド2.0』はさらなる段階へ

 2015年8月。これまで設定されてきた最高レベルを超越するためのサプリメント
『ソードワールド2.0ルール&データブック フォルトナコード』が刊行された『ソードワールド2.0』。同月にはいまからソードワールド2.0を始める方のための『ソード・ワールド2.0 RPGスタートセット』も発売されました。
 「これまで」「これから」に向け、幅広く展開し続ける『ソードワールド2.0』。
 今回のインタビューでは、2015年の冬に発売されたワールドガイド型サプリメント
『ソード・ワールド2.0サプリメント プレイヤーズ・ハンドブック ダグニア博物誌』を中心に、『ソード・ワールド2.0 RPGスタートセット 拡張パック』新刊今後刊行予定の各リプレイなど、ソードワールド2.0(以下SW2.0)の作品群をあますことなく、ご紹介します。

 SW2.0の勢いを示すかのように、怒涛の点数・分量となっております。
 どうぞ興味のある記事から、ご覧になってくださいませ。

++ 今回のお品書き ++

 ・サプリメント
   プレイヤーズ・ハンドブック ダグニア博物誌
   ストーリー型サプリメント 彷徨ノ塔

 ・ボード/カードゲーム、BOX型RPG
   SW2.0 RPGスタートセット 拡張パック 妖精使い&拳闘士

 ・リプレイ
   Rock'n Role 1 レンドリフト・ミスフィッツ
   新米女神の勇者たち リターンズ(3)
   レーゼルドーン開拓記 世にも不幸な冒険者たち
   サウザンドブレイブ トレジャー争奪、実況中!
   要塞少女と契約の騎士(上)
   ドラゴンスレイヤーズ2 誰がために神は哭く

(ボードゲームはグループSNE/cosaic。それ以外はいずれも株式会社KADOKAWA)


 2015年12月某日のSNE分室。
 私、
黒井龍は2年前にも同じようにインタビューをしたことを懐かしく思いだしつつ、SW2.0班の皆さんから話を聞いておりました。
 あの時は皆さんから話を聞くだけでしたが、今回は
インタビューのお品書きの中に自分の作品があるということに言い表せない感慨を覚えつつ。
 SW2.0の魅力を少しでもお伝えできたならば幸いです。

2015年12月
記事作成 黒井龍




プレイヤーズ・ハンドブック ダグニア博物誌
(2015年12月刊行)



◆蛮族との戦いの地「ダグニア地方」

――: それでは『ダグニア博物誌』についてお伺いしたいと思います。「ダグニア地方」基本ルールブックIIIから登場している地方ですね。
北沢 ええ、蛮族との戦いが特に活発な地域として知られています。東にダノス海という蛮族の一大勢力地があって、そこの蛮族との戦いが長年続いているんです。聖戦士不死殺しなど、この地方独特の存在もいます。主な国としては「セフィリア神聖王国」「ラ・ルメイア王国」「バルナッド共和国」があり、その他にも小さい国がいくつかあります。
――: 北沢さんのリプレイの舞台にもなっていますよね。
北沢 『聖戦士物語』『with BRAVE』の2シリーズが舞台としています。
清松 あとは「ドラゴンスレイヤーズ」シリーズのPCのひとりで、不死殺しでもあるセイヴェルの出身地が「ラ・ルメイア王国」ですね。


◆ダグニアで活躍するNPCたち

――: 表紙は『聖戦士物語』と『with BRAVE』における主人公のロイ王子と、そのヒロインであるフィオ姫ですね。
北沢 ええ。リプレイ時からすると、ずいぶん成長した姿になっています。まあ、フィオのプレイヤーは「おっぱい大きくならなかった……」と悔しそうに言っていましたが(笑)。
一同 (爆笑!)
清松 背はずいぶん伸びたんだけどね(笑)。
北沢 「レーシィやヘザーが羨ましい……」とも言ってましたねぇ。まあ、ヘザーはNPCリストに載っていないんですが。
清松 「ヘザーみたいな、そこらの商家とは格が違うのよ!」と嬉しそうでしたよ(笑)。
――: な、なるほど(笑)。
北沢 リプレイではイラストがなかったNPCにイラストがついていたりしますので、元々のリプレイシリーズを知っている方は「こういうキャラクターだったんだ!」と楽しんでいただけると思います。
田中 でも、ギーン・グレガス)さんはちょっと持ち上げられすぎじゃないですか? リプレイの時のイメージと比べると、なんだかギャップが……。
北沢 対外的なイメージと、実際のイメージの違いにも注目、ということで(笑)。

『with BRAVE』シリーズに登場する若きドレイクバロンのNPC。ジャイアントの使役に長ける有望株……なのだが、リプレイ本編では「濁点を抜いたら弱そう」という理由で「キーン・クレカス」と呼ばれるなど、散々な扱いをされていた。
 


◆特徴的なダグニア流派7種

――: 博物誌の内容がどのようなものとなっているか、お聞かせください。
北沢 基本的な構造は従来の博物誌と同じです。地方の紹介であるワールドパートと、地方で継承されている流派、それと特産品が載っていて、遊べるゲーム要素があって、という感じですね。
清松 今回収録されている流派は7つ……いや、6.5です(笑)。
――: 6.5ですか?
北沢 吹き矢流派がありますからね(笑)。特産品にある吹き矢を使えるようになるというだけの単純な流派なので「0.5」扱いなんですよね。
――: なるほど。しかし前回のユーレリアの流派が「10」ザルツに至っては「12」も流派があったわけですが、今回この数にしたのは何かの理由があるのでしょうか?
清松 これまでの博物誌では1ページに1流派を載せていたんですが、各流派ごとの掘り下げが全然足りないんじゃないかという声がありまして。
北沢 背景や由来など、流派に関することを十分に掘り下げようと思うと、どうしても1ページに収まる分量にならなかったんです。
清松 そこで、今回は見開きで1流派を取り上げるようにしました。これによってしっかり分量を使って書けるようになったので、1流派ごとに非常に読みごたえがあると思います。
北沢 数を絞った分、ひとつひとつの密度は相当濃いです。
――: どのような流派がありますか?
清松 まず、ダグニア地方独特の存在である「聖戦士」「不死殺し」の流派があります。それに……建築流派なんていうのもあります(笑)。
北沢 【ヴェルクンスト砦建築一党】ですね。伝説上にしか存在しないヴェルクンスト砦を建築することを目指すという、色んな意味で一風変わった流派です。
清松 あとは、今回のゲーム的要素が「闘技場ルール」なので、それに関わる流派がいくつかあります。
――: バルナッド共和国に存在する闘技場ですね。それらに関しては後程、「闘技場ルール」についてお聞きするときに一緒にお願いします。
清松 そして最後に、さっきの「0.5」扱いの吹き矢使いの流派です。これはダグニアの特産品に吹き矢が入っているんですが、「吹き矢の武器カテゴリってなに?」という話になりまして。
――: 確かに、いままでの投擲、ボウ、クロスボウ、ガン、いずれのカテゴリにも入らないですね。
清松 というわけでカテゴリ「ブローガン」が追加されました。吹き矢流派はそのカテゴリを使うためだけの流派です。なにせこの武器を《武器習熟・ブローガン》で使う、ということにしてしまうと誰も使わなくなってしまいますので(笑)。
北沢 流派秘伝として、《武器習熟・クロスボウ》や《武器習熟・ガン》から派生して、吹き矢が使えるようになるわけです。
清松 敵を弱らせる効果としては非常に優秀です。飛ばすダーツに様々な種類があって、それを使いこなせばかなり強力ですよ。最初はダメージを生命力ボーナスで出すという話もあったんですが、処理が煩雑になるのでやめました。ダメージは筋力ボーナスで出します。
北沢 吹き矢は腹筋で飛ばすものですからね(笑)。
清松 ともあれ、非常に個性的な流派ばかりですので、流派の充実した背景を見ながら、思う存分活かしていただければと思います。


◆「闘技場ルール」で観客を盛り上げろ!

――: 今回のゲーム要素「闘技場ルール」について詳しくお願いします。
清松 川人くん謹製の、延々バルナッドの闘技場で戦えるルールです。相当シビアな戦いを頑張らないといけなくなるルールです。
北沢 バルナッドの闘技場自体は、『アルケミスト・ワークス』のコラムにありました。いつかこの要素を使った何かを作りたいというのは前々から考えていまして、今回それが形になったわけです。
――: どのようなルールとなっているのでしょうか?
川人 基本的には闘技場の闘士として、魔物と戦うというだけです。その中で、観客を盛り上げたり、特殊状況が想定される闘技場ならではのルールを作りました。
――: 熱狂ゲージなるものが存在するとお聞きしております。
川人 熱狂ゲージは「どれくらい観客を盛り上げることができるか」というものでして、例えば軽装で戦うことで上昇します。逆にガチガチに硬い鎧で固めると上がりません。
清松 先ほどの流派の時に言いましたが、流派の中には闘技場に関係する流派があります。盛り上がった観客の熱狂を力にすることもできます。盛り上げに盛り上げた観客の熱狂を後押しに最後の一撃を繰り出す、というのは単純に強いです。そこまで盛り上げるのが大変ですけど。
北沢 観客を熱狂させやすくなる流派もありますね。まあ、闘技場の外に出てしまうとかなり役に立ちにくくなってしまいますが(笑)。
清松 闘技場の中でこそ真価を発揮する流派ですから仕方ありませんね。
川人 そういった観客がいる戦いという要素の他に、対戦形式が4種類存在します。普通に戦う「通常試合」、小舟に乗って戦う「水上の戦い」、見えない魔方陣が仕掛けられた戦場で戦う「魔方陣戦」、馬が引く戦車に乗って走りながら戦う「戦車競走」の四種です。形式によっては非常に面白い状況での戦いになりますので、普段の戦闘には飽きたという方も楽しめますよ。
――: 「闘技場ルール」はこれまでの博物誌にもあったゲーム的要素と同じで、セッションの合間にできるもの、という認識でよいのでしょうか? 例えば『ユーレリア博物誌』「恩寵ルール」はセッションで得た〈剣のかけら〉を13人の姫に献上したり、姫からのお願いを解決したりすることで特別な恩恵を得るルールでしたが。
川人 キャンペーンの合間にやってもいいですし、闘技場一本で延々と回すことも可能です。闘技場ルールを使ったキャンペーンをするのも楽しいと思いますよ。
北沢 剣闘士として成り上がりの物語が再現できますよ。儲からないのでかなり大変だとは思いますが……。
川人 いや、高くて重い鎧を買う必要がないのでいけますよ!(笑) 楽しみ方は様々ですが、ぜひ楽しんでやってください。


◆博物誌史上、最多の魔物収録!

――: 今回、かなり魔物収録数が多いようですが。
北沢 さっきの「闘技場ルール」のこともあって、魔物が必要だったんです。名のある魔物もずいぶん収録しましたからね。
清松 固有種魔物が30種で、名のある魔物が10種類ですね。
――: 特徴的な魔物が多いですね。
北沢 ぜひデュラハンアドミラルに指差されて欲しいですね(笑)。
清松 あー、この魔物は本当にひどいね。実にひどい(笑)。
北沢 出会ったら死ぬ、と書いてありますからね。実際のデータを見ていただければ、どういう意味でひどいのかわかりますよ(笑)。ぜひご覧ください。
――: 当初はそのデュラハンアドミラルも闘技場に登場する予定だったとお聞きしましたが?
清松 当初は闘技場の「水上戦」で出てくる予定でしたね。でも、さすがにおかしいだろうと。
北沢 戦いの度に毎回指差しに現れるとか、おかしいですからね(笑)。
清松 観客席に影響を及ぼすのは闘技場では禁止行為だから、観客席にはちょっかいを出さないナイスガイ!みたいな馬鹿設定を作るわけにはいきません(笑)。
北沢 普通に考えて、アンデッドが闘技場の規則を守るわけないですからね。ともあれ、闘技場の中でも外でも、強力な敵との戦いを楽しんでください。


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