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1.開会式

 物販スペースの開場から30分後の11時30分、JGC2016の幕開けを宣言する開会式が行われました。

 壇上には、このJGCの運営代表であり株式会社アークライト刈谷圭司さん、F.E.A.R.代表であり現在第5版の『トーキョーN◎VA』のデザイナーでもある鈴吹太郎先生、弊社から安田社長清松みゆきが登壇しました。

 まず最初の開会のご挨拶を刈谷さんからいただきました。そして粛々とした雰囲気のなか
「本年をもってJGC2016が最後となります」とのお言葉が!
「えぇーっ!」と参加者一同が騒然とするなか、会場の照明が落とされ、壇上のスクリーンに「Komm, susser Tod? 甘き死よ、来たれ」をBGMにとある映像が映し出されます。




「宿泊型コンベンション TRPGフェスティバル開催」


 なんと21年のJGCの歴史に一度幕が降りることになったものの、来年から「TRPGフェスティバル」と形を変え、より大ボリュームのイベントとして復活することが決定したのです!

 場所は
「熱海」老舗旅館「大野屋」さんを貸し切って、2泊3日TRPGのコンベンションはもちろん「ファンタジー飯を食べよう」「メタルフィギュア塗装講習」などなど書きだすととんでもない数になってしまうほど、各種イベント盛り沢山のコンベンションになる予定だそうです。
 しかも大野屋さんには
ローマ風呂の大浴場がある(ここ重要)とのことで、ぶっ通しでゲームを遊んだあとのHP回復もバッチリ可能。
「来年9月は熱海で会おう!」を合言葉にとんでもなくビッグなサプライズ情報が公開され、JGCはおそらく歴代最高のスタートダッシュを切ったことでしょう。大喝采が会場を包みました。

 続いて壇上には安田社長が登壇。

安田「『最後のJGC』とついフライングでつぶやき、みなさんを驚かせてしまいましたが、つまり……こういうことですっ!(笑)」

 と、参加者一同再び喝采。
 そして今年8月にアメリカのインディアナポリスで開催された世界最大規模のアナログゲームイベントGENCON2016のパンフレットを取り出し、アナログゲームのさらなる隆盛を予感していることと、温泉宿でゲームが楽しめる実に日本らしいTRPGフェスティバルの成功を確信しているとのご挨拶をいただきました。

 9月24日に発売が決定した『ソード・ワールド2.0 カードアドベンチャー』をデザインした清松みゆきからは「JGC初開催の歳に一番上の娘が生まれ、今ではもう成人しました。気がつけば、冷蔵庫に入れてあったビールが『なんでだろう1本減っているぞ?』と誰が犯人かは明白になるくらいの年月が経ちました。JGCの歴史は私の父親としての歴史でもあり実に感慨深いです」
 と、しみじみと深い話をうかがえました。

清松「ただ、ショックだったのが、さっきの映像で一瞬かなり前の私の姿が映っていたんですが、
その時のシャツと今着ているシャツがまったく同じだったんですね。なるほど、こんなところにも歴史が」

 これには会場が爆笑に包まれ、すっかり温まった一同に毎年恒例の「あれ」を行うため、再び安田社長が登壇されました。みなさんすでに拳を振り上げる準備が万端です。

安田「今年もJGCを楽しむぜーっ!」
一同「おぉ〜〜〜〜〜〜〜〜!」
安田「2日間寝ないで楽しむぜーっ!」
一同「おぉ〜〜〜〜〜〜〜〜!」
安田「最後の最後まで楽しむぜーっ!」
一同「おぉ〜〜〜〜〜〜〜〜!」
安田「まっ、わたしは寝ますけど」
一同「(大爆笑)」




 こうしてJGC2016の開会が宣言され、各イベントの開始の合図とともにフロアのにぎわいが一層大きくなりました。

 JGCでは「深夜の深淵CON」 「冒険企画局バラエティーショー フィジカルRPGクイズ2016★」などなどバラエティに富んだ企画が盛りだくさんでした。すべてご紹介したかったのですが、このレポートではSNEに関係したイベントを中心に紹介させていただきます。何卒ご了承ください。



2.物販・T&Tサイン会

 今年も新作タイトルが続々と登場しているグループSNE/cosaicでは、物販にもすでに発売されている作品から最新の作品まで取り揃えていました。


〇『トンネルズ&トロールズ完全版』先行発売!
 今回のSNE/cosaic物販最大の目玉はなにをかくそう名作TRPG『トンネルズ&トロールズ完全版』限定100部の先行発売

 もはや説明不要かと思いますが、改めてトンネルズ&トロールズを簡単にご紹介します。
 通称「T&T」でおなじみ、メインデザイナーのケン・セント・アンドレが織りなす強烈なジョークの効いたハイ・ファンタジー世界「トロールワールド」には、一癖も二癖もある多種多様な種族が存在しています。
 プレイヤーはその世界を旅する冒険者となって、ギルドからの依頼や未踏のダンジョン探索、モンスターとの戦いといった冒険を経験していくTRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)です。

 1975年フライング・バッファロー社から刊行されたこのT&Tは、1987年第5版(社会思想社 刊)の翻訳をSNEが手掛け、その後も数々のシナリオ、ソロ・アドベンチャーの紹介により日本でも多くのファンを生み出しました。

 そして今回の『T&T完全版』は2006年12月に刊行された第7版から約10年以来、さらにT&T誕生から約40年を記念した新作タイトルです!

 ちなみに、僕がT&Tをよく知らなかったころ、この作品の話となると「案外あっさりキャラクターがロスト(死亡)するよ」というフレーズをSNEの先輩諸氏からよく聞かされたものです。
「本当かな?」「ちょっとこの若者を驚かせる極端な冗談だろう」と思っていたせいか、軽い気持ちで試しにソロ・アドベンチャー『カザンの闘技場』をプレイしてみたところ、結果から申せば5,6回キャラクターがロストしてからもう数えるのをやめました……。
 キャラクターのHPを表す「耐久度」を3d6(6面体ダイス3個)で決めるのに、判定失敗によるダメージや敵からの攻撃1回でほぼ瀕死なんてこともありました(笑)。
 ですが、シンプルかつダイスを振る楽しみがあるルールと、ところどころに散りばめられた強烈ながら味わい深いジョークがたまらなくクセになって、ついつい繰り返し遊んでしまう……なるほど、今もなお根強く愛される理由がよくわかる作品です。ルールブックが読み物としても面白いという点も良いですね。


 今作はクラシックRPGにふさわしく、リズ・ダンフォースのイラストが描かれた箱に3冊のルールブックトロールワールドの地図キャラクターシート20枚、さらにはダイス30個、ダメージ計算に便利な電卓、そしてT&Tのルールと概要が一覧できるマスタースクリーンが一緒に入っているというなんとも豪華なパッケージとなっています。






 さて物販の話に戻りますと、開場の瞬間からこの『T&T完全版』を求めに多くのお客様にお並びいただきました。
 古くからのファンだけでなく、このT&Tの面白さを最近知ってご購入を決めた方も多く、開場から2時間を待たずして100部が完売! 完売後にやって来たお客様たちが、物販に掲げられた「完売しました」の文字に一様にショックを受けている様子を、我々は泣く泣く眺めるほかありませんでした。
 もちろん今回は先行発売なので本製品は9月24日に正式に発売されます。詳しい製品情報はこちらをご覧ください。僕も個人的に買います(笑)。




 発売から翌日の9月4日(JGC2日目)には、T&T完全版を監修した安田均とメインで翻訳を手掛けた柘植めぐみサイン会が行われました。
 その会の中には、遊びこんで何度もページをめくったことがよくわかるかなり年季が入った「T&T第5版」のルールブックを持参し、このT&Tメモリアルイヤーにそのルールブックにサインをしてもらうという実にうらやましい方もいました。





 サイン会の様子を撮影しつつ、気まぐれにサインをもらっていた皆さんの人数を数えてみると、どうやら完全版をご購入されたほとんどの人に並んでいただけたようです。
 これからT&Tを始める人、これからもT&Tを楽しむ人、そのどちらからもすでに大きな作品愛が感じられるひとときでした。

 このほかにも物販には『アニマルマインド』『メディチ カードゲーム』『ブラックストーリーズ シットハプンズ』『ラプトル』と、新作ボードゲームの充実したラインナップを取り揃えておりました。
 これらのゲームの情報とプレイの模様は同レポート「3.がっつり遊ぼう with SNE」にて紹介しています。






3.がっつり遊ぼう with グループSNE(+物販体験卓)

 今回もSNEから好評発売中のボードゲームの数々ががっつり遊べる体験コーナー「がっつり遊ぼう with SNE」が開かれました。物販でも新作ゲームの体験卓が開かれておりましたので併せてご紹介させていただきます。
 

〇アニマルマインド
 2015年開催「グループSNE ボード/カードゲームコンテスト」選外佳作受賞作
 卵、毛皮、ペット、牛乳と商品が描かれたカードには、0〜2の数字が割り振られています。手番プレイヤーが順番に商品をカードを1枚引いていき、「商品名」か「カードの数字」のどちらか一方を正直に宣言して他プレイヤーに「受取/拒否」のどちらかを決めてもらいます。
 こうしてどんどん同じ商品を集めていくか、数字が高い方を頑張って集めるか、商品カードの受取と拒否の制限も相まってぴりっとした駆け引きが楽しいゲームです。





〇ソード・ワールド2.0 カードアドベンチャー

 TPPG『ソード・ワールド2.0』をもとに清松みゆきがデザインした新作カードゲーム。JGC時点ではまだ発売されていませんでしたが、先行して体験プレイ卓が開かれていました。
 ピラミッド型に配置したカードを下から順にめくっていくことで、ダンジョン探索を遂行していきます。探索時、判定や戦闘を行う際、山札から引いたカードを使っていくことでダイスを振り、その成否を求めていくのですが、このゲームにおけるHPにあたるのがこの手札と山札なのです! いかに手順よくダンジョンを調べていくか、その過程と、ダイスが招くどんでん返しが実にたまりません。9月24日(土)発売です。





〇学園メテオ

 小説家でもあり『ソード・ワールド2.0』のサプリメント、シナリオブックでもおなじみのSNEメンバー川人忠明デザインのボードゲーム。
 隕石が降ってくる街から逃げ惑う少年少女たちのなかから1名自分のキャラクターを決め、隕石の落下で他のキャラクターが先に全滅するか、自分の勝利条件を満たすことで勝ちとなるゲームです。
 ボード上で逃げられる場所は隕石に潰されることでしだいに追いこまれていく恐怖と、自分のキャラクターコマのみならず他のキャラクターコマも動かすことによって自分がどのキャラクターなのか隠すことのできる正体隠匿ゲームの要素が非常に良い緊張感を生んでいます。





〇ダイス・オブ・ザ・デッド TOKYO ARMAGEDON

『サバイバルホラーRPG ダイス・オブ・ザ・デッド』をボードゲーム化した本作。システムデザインに西岡も協力させていただいたゲームでございます。
 ゾンビに埋め尽くされ、巨大な壁に囲まれた東京に核攻撃が宣告され、この窮地を脱するために街を探索する協力型ストーリーボードゲームです。
 ぞくぞくと街を支配するゾンビ、そしてゾンビ化していく自身と味方、行動が左右されてしまうトラウマカードなどなど常に変化していく状況とスリルを楽しめます。





〇ブラックストーリーズ シットハプンズ

 問題への質問に対して出題者が「YES/NO」で答えることで、問題の答えを導いていくという水平思考型ゲーム『ブラックストーリーズ』の日本最新作。本作「シットハプンズ」では、海外で実際に起きたトンデモない事件をもとに問題が作られており、事実は小説よりも奇なりをいくつも感じる傑作問題だらけです。






〇ドレッドノート

 古今東西の神々を使役し、戦う、超ド級TCG(トレーディング・カードゲーム)通称「ドレノ」。昨年5月のリリースから9月現在、第6弾まで登場しています。そのティーチング卓が開かれました。
 スターターセット『紅蓮の剱』『蒼穹の盾』『刻印の槍』を使ってドレノの基本がまるっと知ることができ、その後は1ゲーム分実際に対戦してみたりしました。
 1手1手の選択や、相手の動きへのリアクションが勝敗を分かつ重要な要素となっており、じっくり腰を据えて1プレイの充実感が大きいカードゲームです。
 ドレッドノート公式Webサイトにもティーチング動画が公開されていますので、SNEのHPにある製品情報と併せてぜひご覧ください。

ドレッドノート公式
製品情報






〇知ったか映画研究家スペシャル!
 SNE社内の中でもとくにボードゲームを愛してやまない黒田尚吾が手がけたコミュニケーションゲーム『知ったか映画研究家スペシャル!』。本作はまずカードを2枚引き、そこに書かれた単語のうちそれぞれひとつを決定します(例えば「ゴブリン」「トイレ」)。するとその単語が「映画のタイトル」になります。この場合だと『ゴブリントイレ』になるのでしょうか(笑)。
 そしてプレイヤーは映画研究家になりきってひとりずつ『映画・ゴブリントイレ』の内容について語ります。もちろんそんな映画は存在しないので、思いっきり知ったかぶって良いんです。ここで重要なのが、各プレイヤーの話題に他プレイヤーも話を合せるのです。そうするとだんだん本当にそんな映画があったような気がして、おかしくてたまりません。
 誰が「真の知ったか映画家」なのかを選出し、勝者を決めますが、ただ架空の映画について妄想を膨らませて語り合うだけでも面白い作品です。「映画」だけでなく「妖怪」「お祭り」「ゲーム」といったトークテーマに合せてプレイすることもできます。

 このほかにも『メディチ カードゲーム』『イカロス』『ソラシノビ』『ギャンブラー×ギャンブル!』など数多くのゲームの体験卓が開かれました。





4.グループSNEコンベンション

 JGCの2日間、セッション会場ではSNEメンバーをGMに、『トンネルズ&トロールズ完全版』『ソード・ワールド2.0』『ダイス・オブ・ザ・デッド』『ゴーストハンター03』の公式コンベンションが行われました。


『トンネルズ&トロールズ完全版』
 物販開始から2時間を待たずして完売と相成りました本作のセッションのGMを初日は柘植めぐみ、2日目には安田均が担当しました!

 カザンの街で死の女神・魔女レロトラーの依頼を受けた冒険者たちはその道中、熊を信奉する謎の宗教結社に捕らわれ、身ぐるみを剥がされたうえに大熊のモンスターに追いかけられる……というなんとも散々な導入から始まるシナリオ。どうやらこの宗教結社は、依頼で捕縛せよとされている要人と何か関係があるようですが、とにかくまずは熊から逃げなければなりません(笑)。
 逃げ込んだ先の洞窟でもこれまたあの手この手で冒険者たちを窮地に陥れます。

 こんなピンチの連続であっても、依頼の報酬が
「レロトラーさまと海辺の別荘ですごす一夜」とあってか冒険者一同のやる気は天井知らず。
 ただ、ふと思ったのが、レロトラーさまと一夜を過ごせたとして、生きて無事帰れるのかどうか……これは皆様独自にシナリオを組んでみていただきたいところ。
 西岡は隣の卓で『ダイス・オブ・ザ・デッド』のGMを担当していたのですが、ちらちら聞こえてくる不穏な単語と愉快な掛け合いについ笑いが漏れてしまいました。







『ソード・ワールド2.0』

 北沢慶清松みゆき秋田みやび田中公侍とそうそうたるメンバーがGMを担当し、大好評発売中
『ソード・ワールド2.0 バルバロスブック』を使って、ラクシアに巣食う一大勢力「蛮族」のPCでのセッションが行われていました。
 PCとしては「ドレイク」「バジリスク」がデータとして解禁され、より蛮族の世界を味わうことができ、普段の冒険者とは違った文化を堪能していました。
 どうやら蛮族VS人族との対立を主軸にしているのではなく、蛮族PCが蛮族社会での冒険での栄達や成り上がりを目指していくようで、人族の社会にはそうそうできないロールプレイをみなさん楽しんでいらっしゃいました。






『ダイス・オブ・ザ・デッド』

 ゾンビの爆発的発生によって壊滅した東京で、人間とゾンビの両方の特質を併せ持った存在「ハーフゾンビ」として目覚めたPCが、生き残りを賭け戦うサバイバルホラーRPGです。
 システムデザイナーの大井雄紀と、リプレイ&ワールドデザインで協力させていただいた西岡がGMを担当しました。

 普段PCは、「運命の盾」という団体に所属し、高校を拠点に生活しているのですが、今回のシナリオでは運命の盾の活動範囲を広げるため新たな拠点を捜索することをメインに置いたシナリオでした。
 もちろん一度襲いかかってきたゾンビは襲撃を待ってはくれません。PCたちはGMの妨害をかわし、状況に合せて柔軟に対応していました。
 仲間がゾンビ化しかかっていて、もう手遅れか否か、それを推測する正体隠匿要素がシステムの特徴のひとつとしてあるのですが、ゾンビ化を疑われたとあるPCは「大丈夫、平気だよ……(小声)」とさっきまで威勢の良かった声が小さくなったせいで疑われる、というなんとも理不尽な一幕がありました。ちなみにアウトラインギリギリだったもののセーフだったようです。






『ゴーストハンター03』

『ゴーストハンター02』『ゴーストハンター13 タイルゲーム』の流れを汲んだ新作『ゴーストハンター03』も作品監修の友野詳とデザイナーの石野力GMによるセッションが行われていました。
 卓には探索エリアを表すタイルが配置されており、「見た目で状況が把握できる」というTRPGとボードゲームが融合した独特なシチュエーションでセッションが進行していきます。
 判定もTRPGではもはや常識となっているダイスロールではなく、判定で指定された技能レベル分のカードを引き、判定値と同じ値のカードが出たら成功というオリジナリティあるシステムとなっており、ダイスロールに劣らないドキドキ感が卓を盛り上げていました。
 PCが手がかりを入手していくことで、GMも「大罪ポイント」というリソースを手に入れてPCを窮地に追いやるイベントを発生させていきます。その相関を8の字の「ウロボロスボード」で管理していて、善と悪の両方の性質を持ったイベントをシナリオ上でドラマチックに展開していきます。
 PCたちの感想では「GMをやるのがかなり面白そう」という意見をよく聞くことができ、石野本人の良い笑顔でほどよい感じにPCを苦しめている様が印象的でした(笑)






5.人狼ゲーム×ドラゴンブックTRPG発表会

 現在、富士見ドラゴンブックより発売中、または今後発売予定の新作を紹介する
「人狼ゲーム×ドラゴンブックTRPG発表会」がトークショールームにて開催。
 TRPG作品の発売情報がキャッチできるイベントのはずなのですが、イベントタイトルの頭にある「人狼ゲーム」がかなり目をひきます。

 登壇したのは(以下敬称略)、

〇グループSNE
  北沢慶
  藤澤さなえ
  大井雄紀
〇冒険企画局
  河嶋陶一朗
  齋藤高吉
〇F.E.A.R.
  久保田悠羅
  遠藤卓司
  大畑顕
〇インコグ・ラボ
  江島博
  備前伸光(備前屋)

と、話題作を次々リリース中の4社のメンバーたち10名。このメンバー一同で「人狼ゲーム」を行うという、なんとも豪華な企画です。


※人狼ゲームとは
 プレイヤーの中に昼間は人間の姿でありながら、夜になると村の住人を襲ってしまう人狼がまぎれこんでいるという状況で、一体誰が人狼なのか、プレイヤー同士で会話しながら特定していく推理ゲームです。
 初日は現状怪しいと思われる村人を投票で選んで処刑。その後は毎晩人狼によって村人が1名襲撃を受け、人狼の可能性が高い村人をまた投票で選んで処刑していくことで計2名ずつ減っていきます。人狼の数と村人の数が同数になる前に、人狼を見つけ出し、処刑できれば村人側の勝利です。
 村人と人狼以外の役割として主に、投票で処刑された者が村人か人狼か知ることができる「占い師」、人狼側が勝つように行動する「狂人」などがいます。


 今回の役職の内訳は、「村人×6名」「人狼×2名」「占い師×1名」「狂人×1名」。ランダムでこれらの役職がメンバーに割り振られ、スタートはやや人狼側有利のなか、果たして村人は人狼を見つけ出せるのか、一同の慎重な相談が繰り広げられるかと思いきや……

「SNEとF.E.A.R.がそれぞれ3名いるし、ここは各社のバランスを取って、じゃあ若い大井くんか大畑くんをまずためしに吊っておきますか」
 
 と、どこからともなく出た意見に会場は大爆笑。その場のノリと勢いで第一夜目の犠牲者は大井雄紀となってしまいました。もちろん村人です(笑)。

 こうして第二夜、第三夜と経て、占い師を務めたインコグ・ラボの江島博先生の活躍もあってなんとか人狼・北沢慶、遠藤卓司先生を特定。無事村人側の勝利となりました。もし一手間違えていると占い師を吊りかねなかったギリギリの勝負と健闘をたたえて両陣営に拍手が送られました。

 また、SNEから発表されたタイトルとしては、
『ソード・ワールド2.0 サプリメント ディルフラム博物誌』『ダイス・オブ・ザ・デッド 上級ルールブック』などゲームをもっと深く遊べるタイトルの情報が解禁されました。
 そしてソード・ワールド2.0のリプレイシリーズ
「ソード・ワールド2.0リプレイ Rock 'n Role」「from USA」「Sweets」に登場したキャラクターたちのLINEスタンプ双葉ますみ先生のイラストで登場! 可愛らしいキャラクターたちもさることながらベーテ・有理・黒崎を模したおなじみのあのイラストも含めたものが現在配信中です。






6.ドラゴンを倒せ!

 JGC21年間の歴史の中でもはや古参ともいうべきであり、「1時間30分の間に振ったダイスの個数」のワールドレコードが狙えるであろうイベント「ドラゴンを倒せ!」が今年も開催されました。「T&T完全版」も発売されたT&Tイヤーとあって開会前からいっそうの盛り上がりを見せていました。
 
余談
 当イベントの主催者北沢慶がこのイベントを本当にギネスに申請しようとしたところ、「案外お金がかかる」という壁と「『標準化可能か(他の人も同じ条件で再現できるか)』」というギネスの厳正な審査基準に弾かれて、登録を逃してしまったようです。


 さてこの「ドラゴンを倒せ!」は、「人間陣営(数十名)」VS「1000個のダイス相当のブレスを放つドラゴン&その眷属(数十名)」の戦いであり、この数年間、人間陣営がドラゴン陣営に消し炭にされるという散々な結果を残し続けています。今回はこのイベントが初めてだという方々も多く参加していただきました。

 そもそも当イベントの発端は、北沢さんがかつてT&Tルールブックのモンスターのページを眺めていたところ、第5版最強のモンスター「『アイスドラゴン』MR(モンスターレート)1万4440」を目に止め、「こんなもんどうやって倒すねん!」という疑問が生じ、「あっ、JGCに参加している人たちが束になればいけるんじゃね?」という答えにいきついた結果、誕生したそうです。

 ちなみにMR1万4440がいかに脅威であるか簡単に説明しますと、
敵が1445個のダイスを振って、さらにその結果に7220を足したダメージを与えてくるのです。プレイヤーの初期作成キャラクターの体力値は3d6で決まります……これでこの敵に勝とうとすることがいかに無謀かわかりますね?

 この「ドラゴンを倒せ!」は普段のセッションでは1パーティ4〜6人しかいないプレイヤー側圧倒的不利な状況を、その十倍以上の数で挑むことで打倒ドラゴンを目指すという素敵なイベントです。

 もちろん勇者であるプレイヤー側が不利であることに変わりありません。そこでこのイベントの大きな特徴として、「ダメージ算出に使うダイスの数は無制限」かつ「時間内であれば何度でも振って良い」のです。
 そして「ハイパーバーサーク戦闘」というルールの採用を許可しています。

 これら一連の計算ルールを、清松みゆきにより人間(+ドラゴンの眷属)となった参加者たちが説明を受け、いざひたすらダイスを振り続ける時間に突入します。





 なんと今年は
「1歳」の最年少冒険者も登場! どうやら昨年も挑戦してくれていたようで、つまり0歳からこのドラゴンを倒せに参加してくれている生粋のドラゴンスレイヤーなのです! これからの成長が非常に楽しみな逸材ですね。
 こうしてJGC最後のドラゴンとの戦いを勝利で締めくくらんとその士気は最高潮に達していました。

 ドラゴンもただ黙ってその様子を眺めているわけではありません。4名のSNEメンバーがドラゴンに扮し、1000個のダイスをそれぞれ1回(計4回)と最後に1個のダイス相当のブレスを放ちます。

 そのドラゴンブレスの先鋒は、SNE屈指の高いダイス運をもつ秋田みやび! ダイス結果は「3555点」。期待値よりもやや高い点数に、人間陣営一同の納得と絶望の表情がうかがえる一幕もありました。
 その後、ベーテ・有理・黒崎安田社長北沢慶の順と最後の1d6と続きます。






 転がったダイスをみんなで拾うのはなかなか大変です。
 ドラゴンブレスの結果は以下のようになりました。

秋田 ベーテ 安田 北沢 1d6
3555点 3513点 3434点 3504点 2点

個人修正 20000点

計 34008点


 ドラゴンがブレスを吐き終え、イベントもタイムリミットを迎えます。
 さあ、全体での集計結果は……

人間陣営 ドラゴン陣営
11万2942点 12万6011点


 おおーっと! その差3069の僅差ながら
ドラゴンの勝利!
 前年の7万点差の敗北に比べて大健闘だったものの、JGC最後の「ドラゴンを倒せ!」はまたもやドラゴンのブレスによって人間たちを灰塵に帰してしまいました。
 計算上ではあと一歩のところで勝てた値での惜敗になんともいえない無念さを感じます。
「このままでは終われない!」という強い気持ちをあらためて抱いた参加者の皆さまから、「来年も熱海で『ドラゴンを倒せ!』やってください!」という熱いメッセージをいただいて、これにてイベントは閉幕となりました。
 ここまで強い支持があれば、来年のTRPGフェスティバルの会場にドラゴンがやって来ることでしょう。その時はまた力を貸してくださいね!




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