俺はもう、なんの役にも立たない身だよ。
ここで座って、じっと市場を見ているだけだ。
2年前にある事件があって、俺はあまりに無力だった。
犯人を捕まえられなかったことだけじゃない。俺の捜査仲間が、ある男を疑った。
彼は無実だったのに、仲間は、俺が止めるのもきかず、自白の魔法を使った。あいつは魔法を覚えたてで、大しくじりをしかねなかった。
54分の1の確率しかない、その大しくじりが起こった。
魔法が暴走した。何でも喋らせる魔法が、言葉を失わせる魔法に裏返ったんだ。しかも、怒鳴られる父親を救おうとやってきた、たった三才の女の子、その男の娘にかかっちまった。
俺は、捜査仲間を殴りつけ、半死半生にしちまった。そして神殿を追い出された。俺がすべて悪いってことにして、な。
ガヤンの蜘蛛が見てる。
いつか、オレがまたしくじったら、罰するためだろうよ。
01-84-97
01-84-98